2026年9月12日、明治安田J1リーグ第7節で清水エスパルスとアビスパ福岡がIAIスタジアム日本平で対戦した。
ともに開幕から思うように勝点を積み上げられず、浮上のきっかけを求めて迎えた一戦。試合は前半を0-0で折り返すと、71分に19歳のMF嶋本悠大がゴールを奪い、清水が1-0で勝利した。
清水にとっては8月8日の名古屋グランパスとの開幕戦以来、実に6試合ぶりの白星。そしてホームでは今季リーグ戦初勝利となった。第7節終了時点で清水は13位まで浮上。一方、敗れた福岡は18位と降格圏へ後退している。
単なる「1-0」というロースコアゲームではない。
清水はシュート12本、福岡は6本。ボール支配率でも清水が56%を記録し、試合を通して相手陣内へ押し込む時間を作った。
では、なぜ清水はようやく勝利をつかむことができたのか。両チームのスタメン、選手採点、戦術面から徹底分析する。
試合結果・基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J1リーグ 第7節 |
| 開催日 | 2026年9月12日 |
| 会場 | IAIスタジアム日本平 |
| 結果 | 清水エスパルス 1-0 アビスパ福岡 |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 1-0 |
| 得点 | 71分 嶋本悠大(清水) |
| アシスト | ジャーメイン良 |
| 入場者数 | 14,091人 |
| 天候 | 曇り |
| 気温 | 24.5℃ |
| 湿度 | 89% |
| 主審 | 中村太 |
公式記録では18時34分キックオフ。71分に嶋本悠大が挙げた1点がそのまま決勝点となった。
スタッツ比較
| スタッツ | 清水 | 福岡 |
|---|---|---|
| ボール支配率 | 56% | 44% |
| シュート | 12 | 6 |
| 枠内シュート | 3 | 1 |
| パス成功率 | 81.9% | 78.6% |
| 走行距離 | 108.42km | 110.55km |
| スプリント | 103 | 83 |
| オフサイド | 2 | 0 |
| コーナーキック | 1 | 5 |
| フリーキック | 20 | 12 |
| 警告 | 1 | 1 |
清水は走行距離では福岡を下回ったものの、スプリント数は103対83。シュート数でも12対6、枠内シュートでも3対1と上回った。
特に注目したいのがシュート数だ。
ここまで得点力不足に苦しんできた清水が、ゴール前へ人数を送りながら12本までフィニッシュを増やした。
1得点に終わったとはいえ、これまでの試合と比較すれば攻撃面には明確な前進が見えた一戦だった。
両チームのスターティングメンバー
清水エスパルス
フォーメーション:4-2-3-1
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 梅田透吾 |
| DF | 高橋祐治 |
| DF | 本多勇喜 |
| DF | 須貝英大 |
| DF | マテウス・ブルネッティ |
| MF | 弓場将輝 |
| MF | 嶋本悠大 |
| MF | 小塚和季 |
| MF | 井上健太 |
| FW | ジャーメイン良 |
| FW | オ・セフン |
アビスパ福岡
フォーメーション:3-4-2-1
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 小畑裕馬 |
| DF | 深澤大輝 |
| DF | 田代雅也 |
| DF | 宮大樹 |
| MF | 重見柾斗 |
| MF | 見木友哉 |
| MF | 前嶋洋太 |
| MF | 椎橋慧也 |
| MF | 橋本悠 |
| MF | 師岡柊生 |
| FW | ウェリック・ポポ |
清水は前節から5人を変更。福岡も4人を入れ替えて試合に臨んだ。
前半|福岡を襲った2度のアクシデント
8分、ウェリック・ポポが負傷交代
試合序盤から福岡に予想外の事態が起こった。
先発したウェリック・ポポが腰付近を痛めた様子を見せ、わずか8分でプレー続行が不可能に。名古新太郎が急きょ投入された。
さらに27分には深澤大輝が空中戦の着地後に左足首付近を負傷。30分に上島拓巳との交代を余儀なくされた。
前半30分までに2枚の交代カードを使わなければならなかった福岡。
事前に準備していたゲームプランを維持するという意味では、かなり難しい展開になった。
清水はボールを握りながらゴールを探す
清水は福岡の3バック+中盤のブロックに対し、サイドを使いながら攻略を狙った。
左では井上健太、右ではジャーメイン良が幅と推進力を作り、中央ではオ・セフンが相手センターバックを引きつける。
39分には小塚和季のFKからジャーメインが頭で合わせる場面も作ったが、シュートは枠外。
前半は清水3本、福岡2本のシュートで、0-0のまま折り返した。
後半|清水が徐々に福岡を押し込む
オ・セフンを起点に中央とサイドを使い分ける
後半に入ると清水の攻撃回数が増え始める。
59分には須貝英大のクロスからオ・セフンがシュート。
63分にはマテウス・ブルネッティのクロスにジャーメインが合わせるなど、左右から福岡の最終ラインを揺さぶった。
特に重要だったのは、オ・セフンを単なるフィニッシャーとして使うだけでなく、ポストプレーの起点として活用したことだ。
中央に192cmのストライカーを置くことで福岡のCBを中央へ寄せ、その周囲を嶋本やジャーメインが使う。
これが決勝点にもつながった。
71分|嶋本悠大がついに均衡を破る
ジャーメイン→嶋本、19歳が待望のリーグ初得点
試合を決めたのは71分だった。
清水が右サイドの高い位置で一度ボールを失う。しかし、ここですぐさまプレッシャーをかけてボールを回収。
オ・セフンからジャーメイン良へボールが入り、ジャーメインが相手DFと競り合いながらペナルティーエリア右へ進入する。
そして中央へラストパス。
最後に走り込んできた嶋本悠大が右足を振り抜いた。
シュートは福岡DFに当たりながらゴールへ吸い込まれ、清水がついに1-0とリードした。
嶋本にとっては今季初得点であり、J1リーグ初ゴール。
さらに、この試合後にはU-21日本代表としてアジア競技大会へ向かうタイミングだった。
まさにチームに勝点3を置いて代表活動へ向かう「置き土産弾」となった。
清水エスパルス 選手採点
※World Soccer Portal独自採点。10点満点。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| GK 梅田透吾 | 6.5 | 見木の枠内シュートを処理。大きなミスなくクリーンシート |
| DF 高橋祐治 | 6.5 | 師岡ら福岡攻撃陣に粘り強く対応 |
| DF 本多勇喜 | 6.5 | 最終ラインを安定させ、ビルドアップにも参加 |
| DF 須貝英大 | 6.5 | 豊富な上下動。後半にはクロスからオ・セフンのシュートを演出 |
| DF マテウス・ブルネッティ | 6.5 | 左サイドから積極的に高い位置を取り、攻撃にも絡んだ |
| MF 弓場将輝 | 6.5 | 中盤でバランスを取りながらボール循環を支えた |
| MF 嶋本悠大 | 8.0 | 6本のシュートを放ち決勝ゴール。攻撃の中心として存在感 |
| MF 小塚和季 | 6.5 | ボールを引き出しながら攻撃を組み立てた |
| MF 井上健太 | 6.0 | 左サイドから突破を試みた。34分に警告 |
| FW オ・セフン | 6.5 | 前線の基準点。決勝点につながる攻撃でも起点となった |
| FW ジャーメイン良 | 7.5 | 決勝点をアシスト。右サイドから攻撃をけん引 |
ESPNの記録では嶋本はチーム最多6本のシュート、うち2本を枠内へ飛ばした。ジャーメインも3本のシュートに加えて1アシストを記録している。
清水エスパルス 途中出場
| 選手 | IN | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 藤井智也 | 67分 | 6.5 | サイドに運動量を加え、リード後も前への意識を維持 |
| ウォン・ドゥジェ | 67分 | 6.5 | 清水での公式戦デビュー。中盤を落ち着かせた |
| パク・スンウク | 90分 | ― | 終盤の守備固め |
| 木下康介 | 90+2分 | ― | 出場時間が短く採点なし |
アビスパ福岡 選手採点
※World Soccer Portal独自採点。10点満点。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| GK 小畑裕馬 | 6.5 | 枠内3本に対して2セーブ。1失点も責任は限定的 |
| DF 深澤大輝 | 6.0 | 負傷により30分で無念の交代 |
| DF 田代雅也 | 6.5 | 最終ライン中央で身体を張った |
| DF 宮大樹 | 6.5 | 清水の攻撃を複数回ブロック。警告は受けたが粘り強かった |
| MF 重見柾斗 | 6.0 | 中盤で守備強度を出したが攻撃への関与は限定的 |
| MF 見木友哉 | 6.5 | 福岡最多3本のシュート。17分には枠内シュートも放った |
| MF 前嶋洋太 | 6.0 | サイドから前進を試みるも決定的な形には至らず |
| MF 椎橋慧也 | 6.0 | 中盤でボールを動かしたが清水のプレスを崩し切れず |
| MF 橋本悠 | 6.0 | セットプレーやクロスでチャンスを狙った |
| MF 師岡柊生 | 6.0 | 前線でボールを受けたが決定機を作り切れなかった |
| FW ウェリック・ポポ | ― | 開始8分で負傷交代のため採点なし |
見木は3本のシュートを放ったものの、福岡全体ではシュート6本、枠内1本に終わった。
アビスパ福岡 途中出場
| 選手 | IN | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 名古新太郎 | 8分 | 6.0 | 急きょ投入され、前線と中盤をつないだ |
| 上島拓巳 | 30分 | 6.5 | 深澤負傷を受けて投入。守備では安定感 |
| 秋野央樹 | 77分 | 6.0 | 追いかける展開で配球役を担った |
| 山脇樺織 | 77分 | 6.0 | サイドから攻撃参加を狙った |
| サニブラウン・ハナン | 77分 | 6.0 | 前線に高さと推進力を加えた |
MOM:嶋本悠大(清水エスパルス)8.0
この試合のMOMは文句なしで嶋本悠大だ。
決勝ゴールだけが理由ではない。
嶋本は試合を通じて積極的にゴール前へ進入し、6本ものシュートを記録。
29分にもオ・セフンのパスからシュートを放ち、74分には再び枠内シュートを放つなど、1点を取った後もゴールへの意欲を失わなかった。
ここまで清水は得点力不足に苦しんできた。
だからこそ、中盤の選手がペナルティーエリア内へ飛び込み、フィニッシュまで持ち込んだことには大きな意味がある。
U-21日本代表へ向かう19歳が、清水に待望の勝点3をもたらした。
清水が勝利できた3つの理由
① 前線からの即時奪回が決勝点につながった
決勝点で最も評価したいのは、ゴールそのものだけではない。
清水は右サイドで一度ボールを失った直後、すぐに相手へプレッシャーをかけて奪い返した。
福岡が守備陣形を整える前に攻撃を再開できたことで、オ・セフン、ジャーメイン、嶋本とテンポよくつながった。
「奪われたらすぐ奪い返す」。
この切り替えの速さが1-0を生んだ。
② オ・セフン+ジャーメイン+嶋本の関係性
ゴールシーンでは3人の役割が非常に明確だった。
オ・セフンが中央で相手DFを引きつける。
ジャーメインが右のハーフスペースへ入り、相手と競りながらボールをキープ。
そして空いた中央へ嶋本が飛び込む。
FWだけでゴールを狙うのではなく、2列目、3列目の選手がフィニッシュへ入る。
今後の清水にとって重要な得点パターンになり得る。
③ 「1点」を守り切った
清水は今季、得点だけでなく勝ち切れないことにも苦しんでいた。
しかし福岡戦では71分にリードして以降、大きくバランスを崩さなかった。
福岡が秋野、山脇、サニブラウン・ハナンを同時投入して攻撃へ人数をかけても、最終ラインが冷静に対応。
89分に田代雅也のシュートを許したものの枠外。
最後まで1点を守り切ったことは、今後のシーズンを考えても大きな成功体験だ。
福岡が敗れた3つの理由
① 前半30分までに2人を負傷で失った
この試合を考える上で無視できないのが、ウェリック・ポポと深澤大輝の負傷交代だ。
8分と30分という早い時間帯に、予定外の交代カードを2枚使用。
塚原真也監督にとってはゲームプランを試合中に大きく組み替えざるを得なかった。
敗戦のすべてを負傷の影響だけで説明することはできないが、試合運びを難しくしたのは間違いない。
② シュート6本、枠内1本
福岡の最大の課題は攻撃の終着点だった。
支配率44%ながら、コーナーキックは5本を獲得している。
それでもシュートは6本、枠内シュートは見木の1本だけ。
師岡をはじめ前線へボールを入れる場面はあったものの、そこから「シュートを打てる形」まで持っていく回数が少なかった。
③ 失点後のパワーが足りなかった
77分に福岡は秋野、山脇、サニブラウン・ハナンを同時投入。
攻撃へ明確に人数を増やした。
しかし清水の守備ブロックを大きく崩すまでには至らなかった。
サイドからクロスを入れるだけでなく、中央で相手を動かしてから逆サイドを使うなど、攻撃にもう一段階変化が必要だった。
清水エスパルスの課題と次節への改善点
決定力はまだ改善が必要
勝利したとはいえ、清水の課題が完全に解決したわけではない。
12本シュートを打ちながら得点は1。
枠内シュートも3本だった。
今後上位クラブと戦う場合、同じ12本のシュートチャンスを作れるとは限らない。
オ・セフンへのクロスだけでなく、ジャーメインや嶋本が中央へ入る形をさらに増やし、「良い攻撃」を「複数得点」へ変える必要がある。
嶋本不在をどう埋めるか
もう一つの問題は、決勝点を挙げた嶋本がU-21日本代表活動のため一時チームを離れることだ。
ここまでリーグ戦全試合で先発してきた選手だけに影響は小さくない。
藤井智也、ウォン・ドゥジェらも含め、中盤の構成をどう変えるのか。
吉田孝行監督の次節の起用法に注目したい。
アビスパ福岡の課題と次節への改善点
師岡をゴールに近い位置で使いたい
今季ここまで得点源となっている師岡柊生だが、この試合では十分なシュートチャンスを得られなかった。
前線でボールを受けるために下がり過ぎれば、当然ゴールからは遠くなる。
中盤が前進をサポートし、師岡をよりペナルティーエリア周辺でプレーさせることが重要だ。
クロス後の人数を増やしたい
福岡はコーナーキック5本を獲得しているように、清水陣内へ侵入する場面自体は作っていた。
問題はその先だ。
サイドからボールを入れた際に、ニア、中央、ファーの3レーンへ人数を送り込めれば、相手DFも対応が難しくなる。
「クロスを上げること」が目的にならず、そのクロスを誰がどこで仕留めるのかまで整理したい。
第7節終了時点の順位
第7節終了後、清水は勝点7で13位まで浮上した。
一方の福岡は勝点4のままで18位。降格圏へ入っている。
| 順位 | チーム | 勝点 | 得失点差 |
|---|---|---|---|
| 13 | 清水エスパルス | 7 | -3 |
| 14 | V・ファーレン長崎 | 7 | -5 |
| 15 | ガンバ大阪 | 6 | -5 |
| 16 | 名古屋グランパス | 6 | -6 |
| 17 | 京都サンガF.C. | 5 | -5 |
| 18 | アビスパ福岡 | 4 | -2 |
| 19 | 東京ヴェルディ | 4 | -6 |
| 20 | ジェフユナイテッド千葉 | 4 | -10 |
清水にとって、この1勝は単なる勝点3以上の意味を持つ。
17位から13位へ一気に浮上し、降格圏との距離を作った。
反対に福岡は、次節以降早い段階で流れを変えなければならない状況だ。
今後の順位予想
清水エスパルス:10~14位
清水には守備面で一定の安定感がある。
今節もクリーンシートを達成し、ここまで7試合の失点は7。
今後の鍵は明確に得点力だ。
オ・セフン、ジャーメインに加えて、中盤やサイドの選手から得点が生まれるようになれば、中位以上へ浮上できる可能性は十分にある。
福岡戦で見せたような「複数人がペナルティーエリアへ入る攻撃」を継続できるかがポイントになる。
アビスパ福岡:14~18位
福岡は1勝1分5敗となったが、絶望的な内容ではない。
7試合で9得点を奪っており、得点数自体は下位クラブの中では決して少なくない。
一方で11失点を喫しており、1点差の試合を落とすケースが目立つ。
攻撃力を維持しながら守備を整理できれば浮上は可能。
ただし、このまま勝ち切れない試合が続けば、残留争いに深く巻き込まれる可能性も高い。
次節の注目ポイント
清水はホームで千葉戦
清水は9月19日、第8節でジェフユナイテッド千葉と再びIAIスタジアム日本平で対戦する。
福岡戦でようやくホーム初勝利を挙げただけに、次に必要なのは「連勝」だ。
嶋本不在が予想される中、誰が攻撃の中心を担うのか注目したい。
福岡はホームで広島戦
福岡は同じ9月19日、ホームでサンフレッチェ広島と対戦する。
第7節終了時点で広島は4位。
難しい相手となるが、5試合勝利なしという流れを止めるためには、ホームで勝点を取りたいところだ。
まとめ|清水にとって「1-0以上の価値」がある勝利
清水エスパルス1-0アビスパ福岡。
決勝点を挙げたのは19歳の嶋本悠大だった。
シュート12本。
支配率56%。
そしてクリーンシート。
数字から見ても、清水が試合の主導権を握った時間が長かった。
しかし何より大きいのは、「勝てない時間」をようやく終わらせたことだろう。
開幕戦以来6試合ぶりの勝利。
ホームでは今季初勝利。
17位から13位へ浮上。
そして次節もホームゲーム。
ここから清水が一気に上昇していく可能性は十分にある。
一方、福岡は5試合勝利なしとなり、18位へ後退した。
ウェリック・ポポと深澤の負傷というアクシデントはあったが、それを差し引いてもシュート6本、枠内1本という攻撃面は改善したい。
「ようやく勝った清水」と「勝ち切れなくなっている福岡」。
この一戦が両クラブのシーズンを分ける転機となるのか。
第8節の戦いにも注目したい。
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