2026年9月13日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第7節、東京ヴェルディvsジェフユナイテッド千葉。
19位・東京ヴェルディと20位・ジェフユナイテッド千葉。勝点3で並ぶ両チームによる、序盤戦ながら今後の残留争いを左右しかねない直接対決となった。
試合は東京Vがボールを握り、シュート21本、ボール支配率60%、CK9本と押し込む展開。しかし後半58分、矢村健のシュートのこぼれ球をエリソンが押し込み、千葉が先制する。
そのまま千葉が逃げ切るかと思われた90+2分。
溝口修平が送り込んだボールにDF林尚輝が頭で合わせ、東京Vが土壇場で同点に追いついた。
最終スコアは1-1。
東京Vにとっては「負けなかった」試合である一方、内容を考えれば勝点2を落としたとも言える。千葉にとっては勝利目前から勝点3を逃した悔しい一戦となった。
試合結果
東京ヴェルディ 1-1 ジェフユナイテッド千葉
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 明治安田J1リーグ 第7節 |
| 開催日 | 2026年9月13日 |
| 会場 | 味の素スタジアム |
| スコア | 東京ヴェルディ 1-1 ジェフユナイテッド千葉 |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 1-1 |
| 東京V得点 | 90+2分 林尚輝 |
| 千葉得点 | 58分 エリソン |
| 入場者数 | 15,254人 |
| 天候 | 曇り |
| 気温 | 26.3℃ |
| 湿度 | 68% |
東京Vは今季リーグ戦初勝利を逃したものの、終了直前の林尚輝のヘディングで勝点1を確保。千葉も2連勝目前だったが、最後の最後でリードを守り切れなかった。
試合スタッツ
東京Vが圧倒的に押し込むも「1点」にとどまる
| スタッツ | 東京V | 千葉 |
|---|---|---|
| シュート | 21 | 8 |
| 枠内シュート | 7 | 5 |
| ボール支配率 | 60% | 40% |
| パス成功率 | 73% | 63% |
| 走行距離 | 112.8km | 112.2km |
| スプリント | 111 | 105 |
| コーナーキック | 9 | 1 |
| フリーキック | 20 | 16 |
| 警告 | 2 | 4 |
この数字を見ると、ゲームの構図はかなり明確だ。
東京Vがボールを握りながら敵陣へ押し込み、千葉が耐えながら縦への速い攻撃を狙った。
東京Vはシュート21本、CK9本。千葉のシュート8本、CK1本を大きく上回った。
しかし、21本打ってゴールは終了間際の1点のみ。
東京Vにとって最大の課題は、「チャンスを作れていない」ことではない。
作ったチャンスを得点へ変え切れていないことだ。
試合展開
前半:東京Vがボールを握り続ける
序盤から主導権を握ったのはホームの東京Vだった。
斎藤功佑と平川怜を中心に中盤でボールを動かしながら、左右へ展開。
そこから溝口修平、新井悠太らが前進し、染野唯月、石川大地、福田湧矢へボールを届けていった。
特に斎藤がボランチでボールを引き出したことで、ここ数試合よりも東京Vのビルドアップはスムーズになった。
城福浩監督も試合後、斎藤の復帰によってチームが「自分たちらしさ」を取り戻しつつあるとの認識を示している。
ただし、問題は最後の部分。
敵陣まで運べても、千葉の最終ラインを完全に崩し切る場面は限られ、前半は0-0で終了した。
58分:エリソンが千葉を先制へ導く
後半開始から千葉は杉山直宏に代えてエリソンを投入。
この采配が的中した。
58分、右サイドから石尾陸登がスルーパス。
抜け出した矢村健がペナルティーエリア右から右足でシュートを放つ。
東京VのGKマテウスが一度は防いだものの、こぼれ球へ素早く反応したのがエリソンだった。
左足で押し込み、千葉が0-1。
東京Vがゲームを支配していた中、千葉が数少ないチャンスを確実にゴールへ変えた。
エリソンにとっては、これが今季リーグ戦初ゴール。
ルヴァンカップでの得点に続き、ストライカーとして欲しかった一発が生まれた。
90+2分:林尚輝が執念の同点ヘッド
1点を追う東京Vは終盤、さらに前へ人数を掛ける。
千葉は自陣深くに守備ブロックを作り、クロスを跳ね返しながら時間を進めた。
しかし、最後の最後に東京Vがこじ開ける。
90+2分、ペナルティーエリア手前から溝口修平がボールを供給。
前線に残っていた林尚輝がゴール中央で競り勝ち、ヘディングシュート。
ボールはゴールへ吸い込まれ、1-1。
残留争いの直接対決は劇的なドロー決着となった。
東京ヴェルディ スタメン・選手採点
WSP独自採点
| 選手 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|
| GK マテウス | 6.5 | 矢村のシュートを一度は阻止。失点場面も最初の仕事は果たしていた |
| DF 林尚輝 | 7.5 | 90+2分に値千金の同点弾。攻撃参加も含めてチームを救った |
| DF 井上竜太 | 6.5 | 千葉の縦への攻撃に粘り強く対応 |
| DF 鈴木海音 | 6.0 | 大きく崩れる場面は少なかったが、後半途中で交代 |
| MF 齋藤功佑 | 7.0 | 中盤のテンポメーカー。東京Vが60%保持できた大きな要因 |
| MF 平川怜 | 7.0 | 斎藤とのコンビでボールを前進。攻撃のリズムを作った |
| MF 溝口修平 | 7.5 | 左サイドで攻撃へ関与し続け、最後は林の同点弾を演出 |
| MF 新井悠太 | 6.5 | 積極的に高い位置を取り、攻撃の幅を確保 |
| FW 染野唯月 | 6.0 | 前線の起点にはなったが、エースとしてゴールが欲しかった |
| FW 福田湧矢 | 6.0 | 運動量を発揮したが決定的な仕事までは届かず |
| FW 石川大地 | 6.0 | 前線から積極的にプレッシャー。フィニッシュ精度が課題 |
東京Vはマテウス、林、井上、鈴木を軸とする守備陣に、斎藤と平川を中盤中央へ配置。前線では染野を中心に千葉ゴールへ迫った。
東京ヴェルディ 途中出場選手・採点
最後まで攻撃強度を落とさず
| 選手 | 投入 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|---|
| 食野壮磨 | 73分 | 6.0 | 斎藤に代わって出場。攻撃への意識を高く保った |
| 熊取谷一星 | 73分 | 6.5 | 仕掛ける姿勢を見せ、終盤の攻勢に貢献 |
| 松橋優安 | 87分 | 6.0 | 残り時間で前への推進力を加えた |
城福監督としては選手交代で攻撃強度を維持しながら、最後はCBの林まで前線へ送り込む形で勝点1をもぎ取った。
ジェフユナイテッド千葉 スタメン・選手採点
WSP独自採点
| 選手 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|
| GK ホセ・スアレス | 7.0 | 東京Vの攻勢を何度もストップ。終了間際までゴールを守った |
| DF 鳥海晃司 | 6.5 | 大量のクロスを跳ね返し続けた。終盤に警告 |
| DF 石尾陸登 | 7.0 | 先制点につながるスルーパス。攻撃でも決定的な仕事 |
| DF ダニエル・ホール | 6.5 | 対人守備で奮闘。押し込まれる展開を耐えた |
| MF 小林祐介 | 6.0 | 中盤で守備バランスを維持 |
| MF 津久井匠海 | 6.5 | 運動量豊富。スプリントでもチームをけん引 |
| MF 杉山直宏 | 5.5 | 前半で交代。攻撃面では大きな違いを作れず |
| MF マテウス・インディオ | 6.5 | 中盤の球際で奮闘し、終盤まで戦った |
| MF 日高大 | 6.0 | サイドで上下動を繰り返し守備に貢献 |
| FW 平尾勇人 | 5.5 | 前線で走ったが、攻撃の機会は限られた |
| FW 矢村健 | 7.0 | 先制点につながるシュート。少ない攻撃機会で存在感 |
千葉はボールを握る時間こそ少なかったが、前線の矢村を狙ったシンプルな攻撃で東京Vの背後を狙った。
ジェフユナイテッド千葉 途中出場選手・採点
エリソン投入が試合を動かす
| 選手 | 投入 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|---|
| エリソン | 46分 | 7.5 | 今季リーグ初得点。こぼれ球への反応はまさにストライカー |
| 一美和成 | 65分 | 6.0 | 前線で身体を張り、守備でもハードワーク |
| 米倉恒貴 | 73分 | 6.0 | リードを守る時間帯で運動量を投入 |
| 河野貴志 | 73分 | 6.0 | 守備強化の役割を果たした |
| 呉屋大翔 | 83分 | 6.0 | 矢村に代わって前線で時間を作った |
| 田口泰士 | 90+2分 | ― | 終了直前の投入で採点なし |
特にエリソン投入は大きな効果を生んだ。
前半はシュート機会が限られていた千葉だが、身体の強さとゴール前への嗅覚を持つエリソンが入ることで攻撃に迫力が加わった。結果的に、そのエリソンが先制点を奪っている。
MOM
林尚輝【7.5】
WSP選出のMOMは東京ヴェルディの林尚輝。
90+2分。
負ければ最下位転落の可能性もあった直接対決で、チームを救う同点ゴールを決めた。
本職はDFだが、試合終盤は得点が必要な状況を読み、ゴール前まで上がった。
そして溝口のボールに対して競り合いを制し、ヘディングでゴール。
今季は負傷による離脱もあり、この試合が2試合ぶりの復帰戦だった。それだけに、価値の大きい一撃だった。
東京ヴェルディはなぜ勝ち切れなかったのか?
課題① 21本のシュートで1得点
最大の問題は決定力だ。
東京Vは21本のシュートを放った。
千葉は8本。
単純なシュート数では2倍以上の差がある。
それでも結果は1-1。
東京Vには「攻撃の形がない」のではなく、その一つ先にある「ゴールへ変える作業」が不足している。
染野を中心に前線で起点は作れる。
平川と斎藤からボールも入る。
サイドも高い位置を取れている。
だからこそ、最後のシュート、ラストパス、クロスの質を一段階引き上げる必要がある。
課題② 攻めている時のリスク管理
城福監督が試合後に強く悔やんだのが、千葉の先制点だった。
東京Vが押し込んでいたにもかかわらず、一瞬の隙から石尾の縦パスを通され、矢村に抜け出される。
マテウスが止めても、エリソンに詰められた。
相手を押し込めている時ほど、CBとボランチはカウンターへの準備をしておかなければならない。
攻撃の人数を増やしながら、守備の保険も残す。
勝点3を取るためには、このバランスが不可欠だ。
課題③ 染野にゴールが欲しい
染野唯月はポストプレー、空中戦、前線からの守備でチームに貢献している。
しかし、FWとして最も欲しいのは得点だ。
東京Vが今季リーグ戦7試合でまだ勝利できていない状況を考えても、エースの一発が流れを変える可能性は大きい。
ジェフユナイテッド千葉はなぜリードできたのか?
ポイント① 少ないチャンスを仕留めた
千葉のシュートは8本。
東京Vの21本に対して半分以下だった。
それでも枠内シュートは5本を記録している。
つまり、攻撃回数そのものは少なくても、シュートまで持ち込んだ時の質は低くなかった。
58分の得点も典型的だった。
石尾の縦パス。
矢村の背後への飛び出し。
エリソンのこぼれ球への反応。
わずかなプレー数でゴールへ到達した。
ポイント② エリソンを後半から投入
前半は東京Vにボールを握られた千葉だが、後半開始からエリソンを投入した。
この変更によって最前線でボールを収める力と、ゴール前での怖さが増した。
本人も得点シーンについて、こぼれ球が来る場所へ入ることを意識していたと振り返っている。
偶然そこにいたのではなく、ストライカーとしてゴールが生まれる場所へ動いていた。
ジェフ千葉が勝ち切れなかった理由
終盤に押し込まれ過ぎた
1点をリードした後、千葉は徐々に守備の重心を下げた。
もちろんアウェイで勝点3を取るためには守備を固める判断も必要だ。
しかし、あまりにも自陣へ下がる時間が長くなれば、相手のクロスやセットプレーを受け続けることになる。
実際、CKは東京V9本に対して千葉1本。
最後はCBの林までゴール前へ入ってきた東京Vのパワープレーを防ぎ切れなかった。
「1-0になった後に、もう一度相手陣でプレーする時間を作れるか」。
ここが今後の重要なテーマになる。
東京ヴェルディが次節までに改善したいポイント
「良い内容」を勝点3へ変えたい
城福監督は試合後、内容についてはここ数試合で大きく改善しているとの見方を示した一方、引き分けそのものを評価することはなかった。
これは現在の東京Vをよく表している。
ボールを保持できる。
チャンスも作れる。
押し込むこともできる。
しかし勝てない。
次節は9月19日、アウェイで浦和レッズと対戦する。
敵陣へ進入するところまでは大きく変える必要はない。
最後のクロス、ラストパス、シュートの精度を高め、「内容が良かった」で終わらない試合にしたい。
ジェフユナイテッド千葉が次節までに改善したいポイント
リード後のゲームコントロール
千葉は前節のガンバ大阪戦を2-0で制し、J1復帰後初勝利を挙げていた。
東京V戦も58分に先制。
2連勝へ大きく近づいた。
それだけに、90+2分の失点は非常にもったいない。
守備一辺倒にならず、途中出場のFWを使いながら相手陣で時間を作ること。
あるいは相手の最終ラインを押し下げること。
「守り切る」だけではなく、「攻撃しながら逃げ切る」技術も必要になる。
次節は9月19日、アウェイで清水エスパルスと対戦する。
今後の順位をどう見る?
東京V:7試合未勝利、内容改善を結果につなげられるか
東京Vは第7節終了時点で、
0勝4分3敗・勝点4。
順位は19位。
いまだ今季リーグ戦初勝利はない。
ただ、C大阪戦の0-0に続き、千葉戦でも内容面では改善が見えている。
特に斎藤功佑の復帰によって中盤でボールが落ち着き、平川怜との関係から東京Vらしいパスワークが戻り始めている点はポジティブだ。
まず必要なのは一勝。
一つ勝てれば、チームの雰囲気が大きく変わる可能性はある。
千葉:エリソンの初ゴールは大きな収穫
千葉も勝点4で最下位20位。
結果だけを見れば苦しい状況が続いている。
しかし、前節G大阪戦で初勝利を挙げ、この試合ではエリソンにリーグ初得点が生まれた。
前線の核として期待されてきたストライカーが得点を取ったことは大きい。
矢村、エリソンという異なるタイプのFWをどう組み合わせるか。
ここが機能すれば、千葉の攻撃にはさらに選択肢が増える。
まとめ
残留争い直接対決は痛み分け。しかし両チームに「光」も見えた
最終スコアは、
東京ヴェルディ 1-1 ジェフユナイテッド千葉。
58分、エリソンが千葉に先制点をもたらした。
90+2分、林尚輝が東京Vを救った。
順位だけを見れば19位と20位。
どちらにとっても勝点3が欲しかった一戦だっただけに、「痛み分け」という表現が最も近いだろう。
ただ、内容には今後につながるポイントもあった。
東京Vは斎藤功佑と平川怜を中心にボールを動かし、シュート21本、支配率60%を記録。
ここ数試合で失われていた「自分たちがボールを握って相手を動かす」姿勢が戻りつつある。
一方の千葉は、限られたチャンスからゴールを奪った。
そして何より、エリソンにリーグ初得点が生まれた。
東京Vは「チャンスをゴールへ」。
千葉は「リードを勝利へ」。
両チームとも、次に必要なものははっきりしている。
この勝点1を浮上へのきっかけにできるのはどちらなのか。
第8節の戦いにも注目したい。
免責事項
本記事について
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