あと数十秒だった。
Jリーグ参入1年目のレイラック滋賀FCが、J1の東京ヴェルディを相手に90分以上ゴールを許さず、延長戦が目前に迫っていました。
しかし2026年9月9日、平和堂HATOスタジアムで行われたルヴァンカップ1stラウンド1回戦。
最後の最後に待っていたのは、J1クラブの意地でした。
後半アディショナルタイム5分。
食野壮磨のスルーパスから平尾勇人が右サイドを抜け出してクロス。中央へ入ってきた途中出場のキム・ヒョンウが右足で押し込み、東京Vがついに先制。
その直後に試合終了のホイッスル。
レイラック滋賀 0-1 東京ヴェルディ。
滋賀にとってクラブ史上初のルヴァンカップは、あまりにも悔しい幕切れとなりました。
ただ、この0-1を単純に「J3がJ1に負けた試合」で片付けてしまうのはもったいありません。
滋賀は今季J3で4位につける勢いが偶然ではないことを、J1クラブ相手にも証明しました。
今回は両チームのスタメン、途中交代、全選手の評価、前後半の試合展開、勝敗を分けたポイント、そしてリーグ戦に向けた課題まで詳しく振り返ります。
1. 試合結果|レイラック滋賀 0-1 東京ヴェルディ
95分、最後のワンプレーで決着
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ 1stラウンド1回戦 |
| 日時 | 2026年9月9日 18:33 |
| 会場 | 平和堂HATOスタジアム |
| 結果 | レイラック滋賀 0-1 東京ヴェルディ |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 0-1 |
| 得点 | 90+5分 キム・ヒョンウ(東京V) |
| 入場者数 | 2,885人 |
東京V公式テキスト速報では、試合終了時点のシュート数は滋賀8本、東京V13本、枠内シュートは滋賀5本、東京V7本。東京Vがチャンスの数では上回ったものの、滋賀も決して一方的に押し込まれていたわけではありませんでした。
2. レイラック滋賀|スタメン・途中交代・採点
※評価点は10点満点。公式採点ではなく、試合内容をもとにした本記事独自評価です。スタメン・交代情報は公式記録に基づきます。
| 選手 | 位置 | 出場 | 評価 | 寸評 |
|---|---|---|---|---|
| 伊東倖希 | GK | 先発フル | 7.5 | 前半から再三好セーブ。95分までJ1の攻撃を無失点に抑えた滋賀のMVP |
| 前川智敬 | DF | 79分まで | 6.5 | サイドで粘り強く対応。終盤まで守備強度を維持 |
| 谷田壮志朗 | DF | 先発フル | 6.7 | 中央で身体を張り続け、東京Vの前線に自由を与えなかった |
| 平井駿助 | DF | 先発フル | 6.8 | 守備だけでなく終盤にはFKから決定機にも絡んだ |
| 井出敬大 | DF | 先発フル | 6.5 | 開始5分に枠内ミドル。入りからチームへ勢いを与えた |
| 竜田柊士 | MF | 68分まで | 6.2 | 攻守の切り替えを支えた。攻撃ではもう一歩欲しかった |
| 久保瑛史 | MF | 68分まで | 6.3 | 中盤で積極的にプレー。34分に警告も強度を示した |
| 海口彦太 | MF | 先発フル | 6.8 | 後半6分の左足ミドルでゴールを脅かす。攻撃のアクセント |
| 山口隆希 | MF | 59分まで | 6.1 | 運動量を生かして守備に貢献。前進時の精度が課題 |
| 人見拓哉 | FW | 先発フル | 6.3 | 前線で身体を張り続けたが、決定機は限られた |
| 日野友貴 | FW | 59分まで | 6.0 | 前線で動いたものの、シュート機会を十分に作れず |
| 三宅海斗 | MF | 59分〜 | 6.5 | 終盤の攻勢を活性化。90分にはシュートがブロックされた |
| 北條真汰 | FW | 59分〜 | 6.7 | 77分に枠内シュート。J3得点王級の怖さをJ1相手にも見せた |
| 中村健人 | MF | 68分〜 | 6.4 | 終盤のセットプレーを担当し、平井の決定機を演出 |
| 松原海斗 | MF | 68分〜 | 6.2 | 中盤にエネルギーを投入し試合強度を落とさなかった |
| 秋山駿 | MF | 79分〜 | 6.1 | 終盤の勝負どころで投入。限られた時間で前へ出た |
3. 東京ヴェルディ|スタメン・途中交代・採点
東京Vはリーグ戦からメンバーを入れ替えながら、3-4-2-1を基本形として臨みました。
| 選手 | 位置 | 出場 | 評価 | 寸評 |
|---|---|---|---|---|
| 長沢祐弥 | GK | 先発フル | 7.0 | 井出、海口、北條らの枠内シュートを防ぎクリーンシート |
| 内田陽介 | DF | 先発フル | 6.6 | 右で安定。滋賀のカウンターに冷静に対応 |
| 佐古真礼 | DF | 先発フル | 6.7 | 中央で人見らとの競り合いを制御 |
| 松田陸 | DF | 先発フル | 6.6 | 経験を生かし最終ラインを安定させた |
| 今井健人 | MF | 先発フル | 6.7 | 11分に枠内シュート。上下動を繰り返した |
| 山本丈偉 | MF | 先発フル | 6.5 | 中盤でボールを動かし、攻撃のリズムを整えた |
| 柴戸海 | MF | 59分まで | 6.3 | ボール奪取で存在感。一方で27分に警告 |
| 松橋優安 | MF | 68分まで | 6.7 | 前半23、24分と連続してゴールへ迫る |
| 神田奏真 | FW | 59分まで | 6.3 | 前線で起点を作るも決め切れず。33分に警告 |
| 白井亮丞 | FW | 75分まで | 6.5 | 31分に決定機。伊東の好セーブに阻まれた |
| 仲山獅恩 | FW | 先発フル | 6.9 | 何度もシュートへ持ち込み、滋賀守備陣へ最大の圧力 |
| 食野壮磨 | MF | 59分〜 | 7.0 | 決勝点につながるスルーパス。途中出場から違いを作った |
| 平尾勇人 | FW | 59分〜 | 7.1 | 95分に右から決勝点を生むクロス |
| 熊取谷一星 | FW | 68分〜 | 6.4 | 前線の活性化に貢献 |
| キム・ヒョンウ | FW | 75分〜 | 7.5 | MOM。最後の最後で決勝点を奪う勝負強さ |
4. 前半|滋賀が耐えたのではなく、“戦えていた”45分
序盤はむしろ滋賀がボールを握る
開始5分。
最初の決定機を作ったのは滋賀でした。
CKのこぼれ球を井出敬大が拾い、ペナルティーエリア外からシュート。
これは東京Vの長沢祐弥にセーブされます。
さらに開始15分までのボール支配率は滋賀61%、東京V39%。
J3の昇格組がJ1を相手に引いて守るのではなく、自分たちでボールを持とうとしていたのが印象的でした。
20分以降は東京Vが徐々に圧力
ただ、時間が進むにつれて東京Vがカテゴリー上位らしい圧力を見せます。
23分、松橋優安がPA内からシュート。
伊東倖希がセーブ。
そのこぼれ球から再び松橋。
26分には柴戸海。
31分には白井亮丞。
さらにこぼれ球を仲山獅恩。
特に31分の連続攻撃では、伊東が立て続けにゴールを守りました。
前半終了時点のシュートは滋賀1本に対して東京V6本。
枠内は滋賀1、東京V5。
それでもスコアは0-0。
この45分だけでも、伊東の存在がどれほど大きかったかが分かります。
5. 後半|滋賀が押し返す
海口彦太のミドルが東京Vを襲う
後半6分。
滋賀に大きなチャンスが訪れます。
こぼれ球を拾った海口彦太がペナルティーエリア外から左足。
しっかり枠を捉えましたが、東京Vの長沢が横っ飛びでセーブ。
これは滋賀にとって非常に惜しい場面でした。
前半は東京Vの決定機が目立ちましたが、後半に入ると滋賀も相手ゴールへ近づく回数が増えていきます。
6. 59分、滋賀がエース北條真汰を投入
「勝ちに行く」という角田監督のメッセージ
後半14分。
角田誠監督が動きます。
日野友貴に代えて、今季J3で5ゴールを記録している北條真汰。
同時に山口隆希から三宅海斗へ。
引き分け狙いではありません。
J1を倒しに行く交代です。
東京Vも同じ59分、神田奏真と柴戸海を下げて平尾勇人、食野壮磨を投入。
偶然にも、この2人が最後の決勝点を作ることになります。
7. 北條真汰、J1相手にも決定機
77分、長沢を襲った一撃
後半32分。
滋賀のエースにチャンスが来ます。
北條がPA内からシュート。
しっかり枠を捉えます。
しかし長沢がセーブ。
J3では5試合5ゴールと圧倒的なペースで得点を奪ってきた北條。
この日はゴールこそありませんでしたが、J1の守備陣を相手に途中出場から決定機を作れたこと自体は大きな収穫です。
8. 90分を過ぎても滋賀は勝ちに行った
三宅、平井が連続してゴールへ
90分。
三宅海斗がPA内からシュート。
東京V守備陣がブロック。
さらに90+3分。
滋賀がペナルティーエリア手前でFKを獲得します。
中村健人がボールを送り、平井駿助が合わせる。
惜しくも枠を捉えられませんでした。
この時間帯に滋賀がゴールへ迫っていたことは重要です。
J1を相手に、
「0-0で延長へ行けばいい」
ではなかった。
最後まで勝ちに行っていました。
9. しかし95分――残酷すぎる決勝点
食野→平尾→キム・ヒョンウ
時計は90+5分。
おそらく最後の攻撃になる場面でした。
食野壮磨が右方向へスルーパス。
反応した平尾勇人がPA右へ侵入します。
平尾はそのまま中央へグラウンダー気味のクロス。
そこへ入ってきたのが、75分から出場していたキム・ヒョンウ。
右足でゴール左下へ。
0-1。
滋賀が95分間守り続けてきたゴールを、最後の最後で東京Vがこじ開けました。
そして再開直後、試合終了。
これほど残酷な終わり方もなかなかありません。
10. なぜ東京Vが勝ったのか?
要因① 控え選手の質
この試合最大の違いは、終盤のベンチワークだったと考えます。
決勝点を作ったのは、
食野壮磨
→平尾勇人
→キム・ヒョンウ
の3人。
全員が途中出場でした。
城福浩監督が投入した選手たちだけで、最後のゴールを完成させています。
これはJ1クラブの選手層を象徴する場面でした。
要因② 最後まで決定機を作り続けた
東京Vはなかなかゴールを奪えませんでした。
それでも攻撃を止めなかった。
仲山を中心に何度もフィニッシュへ持ち込み、伊東に止められても次のチャンスを作る。
90分で諦めず、95分まで攻撃を続けたことが最後の得点につながりました。
要因③ 「あと一歩」の精度
滋賀もゴールへ迫りました。
しかし海口、北條、三宅、平井らのチャンスを得点には変えられませんでした。
一方の東京Vは、最後の一度をゴールへ変えた。
トーナメントでは、この差がすべてです。
11. 敗れた滋賀は本当に評価すべき内容だった
J1相手に“守っただけ”ではない
結果だけなら0-1。
しかし試合内容を見ると滋賀にはポジティブな材料が多くあります。
前半15分時点では61%のポゼッション。
後半には海口がミドル。
北條もPA内から枠内シュート。
終盤には三宅と平井。
そして90+5分まで0-0。
J3参入1年目のクラブが、J1の東京Vに対してここまで戦えたことは大きな自信になるでしょう。
12. レイラック滋賀の課題
課題① 攻撃をシュートまで持っていく回数
東京Vに比べると、前半はフィニッシュまで持っていく回数が少なすぎました。
特にボールを持てている時間帯に、
「保持している」から「ゴールを脅かす」
へ移行する必要があります。
サイドで相手を動かした後、中央へどう侵入するか。
北條を先発で使うのか。
人見との2トップをどう生かすのか。
ここは今後のポイントでしょう。
課題② 最後の5分のゲーム管理
最大の反省点はもちろん95分です。
延長戦が目前。
ここで無理に前へ出るのか。
一度相手を切るのか。
クロスを上げさせないのか。
最後の数十秒をどうプレーするか。
この経験は今後のJ3上位争いで必ず生きるはずです。
13. 東京ヴェルディの課題
J3相手に95分まで無得点
勝利した東京Vですが、手放しでは喜べません。
現在J1では6試合を終えて0勝3分3敗の19位。
得点力不足はリーグ戦でも課題になっています。
この試合でもJ3滋賀を相手に90分以上無得点。
決定機は作れている。
だからこそ、最後のシュート精度を上げる必要があります。
キム・ヒョンウをリーグ戦でもどう生かすか
一方で大きな収穫だったのがキム・ヒョンウ。
途中出場から決勝点。
リーグ戦の攻撃陣へ刺激を与える結果になりました。
さらに平尾、食野も得点に絡んでいます。
この3人がJ1のメンバー争いに入れば、攻撃陣全体の競争も激しくなるでしょう。
14. MOM|キム・ヒョンウ
この試合のMOMは、やはりキム・ヒョンウ。
出場は75分から。
約20分。
しかしトーナメントでは、どれだけ長く出たかではなく、
試合を決めたかどうか。
その意味で文句なしでしょう。
95分に唯一のゴール。
東京Vを2回戦へ導きました。
一方、滋賀側のMVPを選ぶならGK伊東倖希。
前半だけで松橋、白井、仲山らのシュートを止め、試合を最後まで0-0で保った最大の功労者でした。
15. 次戦に向けて|滋賀はJ3首位争いの鹿児島戦
滋賀は9月13日、J3第6節で鹿児島ユナイテッドFCをホームに迎えます。
鹿児島は現在勝点13で2位。
滋賀は勝点9で4位。
つまり、いきなり上位直接対決です。
ルヴァンカップではまたしてもホーム初勝利を逃しました。
だからこそ、鹿児島戦で勝てれば意味は大きい。
J1クラブを95分まで追い詰めた経験を、
「惜しかった」で終わらせず、リーグの勝点3へ変えられるか。
ここが重要です。
16. 東京Vは千葉との“残留争い直接対決”
東京Vの次戦は9月13日。
J1第7節、ジェフユナイテッド千葉戦です。
東京Vは19位。
千葉は20位。
序盤戦とはいえ、非常に重要な下位直接対決になります。
滋賀戦の95分弾で得た勢いをそのまま持ち込みたいところ。
逆に千葉戦でも得点に苦しむようであれば、今季の残留争いはかなり厳しくなります。
17. 今季の順位予想
レイラック滋賀|J3 4~7位予想
現時点では4~7位と予想します。
Jリーグ参入1年目ながら5試合で3勝。
9得点。
北條真汰という明確な得点源。
そして今回、J1クラブ相手にも大崩れしなかった守備。
上位に残る材料は十分あります。
ただしシーズンを通して上位を維持するには、ホームでの勝点と守備の安定が必要です。
今季いきなり昇格争いまで絡んでも驚きません。
東京ヴェルディ|J1 15~18位予想
東京Vは現時点で19位。
ただ今回、控え中心の構成でも勝ち切ったことはプラスです。
キム・ヒョンウ、平尾、食野らがリーグ戦でも戦力になれば、攻撃力が改善する可能性はあります。
それでも現在の得点力を考えると、当面は残留争いが続くでしょう。
予想は15~18位。
まずは9月13日の千葉戦が一つの大きな分岐点になりそうです。
18. まとめ|滋賀は敗れた。でも「J1と戦える」は証明した
レイラック滋賀 0-1 東京ヴェルディ。
記録上は東京Vの勝利です。
滋賀はルヴァンカップ初戦敗退。
ジャイアントキリングは実現しませんでした。
しかし内容まで見れば、
Jリーグ参入1年目のクラブが、J1クラブを95分まで追い詰めた試合。
そう表現した方がしっくりきます。
伊東倖希が止める。
平井、谷田らが身体を張る。
海口がミドルを狙う。
北條が途中からゴールへ迫る。
三宅も終盤にフィニッシュ。
滋賀は最後まで勝利を諦めませんでした。
だからこそ、95分の失点は悔しい。
でも、この悔しさはJ3のリーグ戦で大きな財産になるはずです。
一方の東京Vは苦しみながらも勝利。
最後は、
食野→平尾→キム・ヒョンウ。
途中出場3人で作った劇的な決勝点でした。
カテゴリーの違う2チーム。
ただ、この日のピッチで感じた差は「J1対J3」という大きなものではありません。
最後の一球をゴールにできるかどうか。
そのわずかな差でした。
滋賀にとっては敗戦。
それでも――。
「レイラック滋賀、J1相手でも普通に戦えるじゃないか」
そう全国のサッカーファンに印象付けるには、十分すぎる95分だったのではないでしょうか。
免責事項
本記事は2026年9月10日時点で確認できるJリーグ公式サイト、レイラック滋賀FC、東京ヴェルディ公式サイトおよび国内報道機関の公開情報をもとに作成しています。
スタメン、選手交代、得点時間などの試合記録は公式情報を参照しています。一方、各選手の評価点、MOM、戦術分析、課題、順位予想については公開された試合記録・映像情報等をもとにした当サイト独自の分析・考察であり、クラブ・選手本人・大会主催者の公式評価ではありません。
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