今、ベルギーで**「日本人を追いかけるならウェステローが面白い」**。
そう言いたくなる試合がありました。
2026年9月5日に行われたベルギー1部ジュピラー・プロ・リーグ第5節、KVメヘレン対KVCウェステロー。ウェステローは敵地で4-0の快勝を収め、今季リーグ戦初勝利を挙げました。
その中心にいたのが、日本人選手です。
坂本一彩が1ゴール1アシスト。
齋藤俊輔が2ゴール。
そして木村誠二もCBとして先発。
4得点のうち3得点を日本人2人が決め、4点目も坂本のアシストから誕生しました。公式記録ではウェステローが44.4%のボール保持ながら、シュート数21対8、決定機5対0。ボールを持たせながら、ゴールへ向かう局面では完全にメヘレンを上回った一戦でした。
しかも興味深いのは、単に「日本人がたまたまゴールした」という試合ではなかったことです。
坂本のポジショニング。
齋藤のカウンター時の走り。
シュートまで持っていく判断速度。
この2人の特徴が、それぞれ得点場面にはっきり表れていました。
現地メディアからも高い評価を受け、ウェステローのイッサメ・シャライ監督からは日本代表を意識した発言まで飛び出しています。
今回は、メヘレン戦の日本人コンビの活躍を掘り下げながら、坂本一彩と齋藤俊輔がどんな選手なのか、そして今後SAMURAI BLUEまでたどり着く可能性があるのかを考えていきます。
1. メヘレン0-4ウェステロー|日本人が主役になった90分
試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | ジュピラー・プロ・リーグ第5節 |
| 開催日 | 2026年9月5日 |
| 会場 | AFAS Stadion |
| 結果 | KVメヘレン 0-4 KVCウェステロー |
| 前半 | 0-2 |
| 後半 | 0-2 |
| 7分 | 坂本一彩 |
| 27分 | 齋藤俊輔 |
| 67分 | 齋藤俊輔 |
| 88分 | ニコラ・ストルム(坂本一彩アシスト) |
ウェステローは4-2-3-1でスタート。坂本、齋藤、木村誠二の日本人3選手が揃って先発しました。坂本は90分まで、齋藤は73分までプレー。木村も守備陣の一角としてクリーンシートに貢献しています。
2. 7分|坂本一彩、いきなり試合を動かす
ラッセ・フレのクロスを右足で仕留める
開始わずか7分でした。
右サイドからラッセ・フレがクロス。
ペナルティーエリア中央へ入ってきた坂本が右足で合わせ、ボールをゴール右下へ流し込みます。
0-1。
坂本にとって今季リーグ戦初ゴール。
先発復帰した試合で、いきなり結果を出しました。プロリーグ公式記録でも、フレのクロスからペナルティーエリア中央で右足シュートを決めた得点として記録されています。
なぜ坂本は得点できた?
このゴールには、坂本の良さがかなり凝縮されています。
派手なドリブルではありません。
30メートルのスーパーシュートでもありません。
重要なのは、
「ボールが来る前に、すでに得点できる場所へ入っている」
ことです。
クロスが入ってから慌ててゴール前へ走ったのではなく、ボールがサイドへ展開された段階で中央のフィニッシュエリアを取る。
そして余計なタッチをしない。
右足でそのままゴールへ。
これこそ坂本の得意パターンです。
Jリーグ時代から評価されていたのも、まさにこの能力でした。2024年のJ1月間ヤングプレーヤー賞では、選考委員から「マークを外す動き」「3人目の動き」「DFラインの裏への意識」「ワンタッチシュート」が高く評価されています。
つまりベルギーへ行って突然身についたゴールではありません。
G大阪時代から磨いてきた“ストライカーの嗅覚”が、ベルギーでも得点になった。
そう見ると、この一発の価値はさらに大きく感じます。
3. 坂本一彩はゴールだけでは終わらなかった
88分には4点目をアシスト
終盤88分。
坂本は今度は作る側に回ります。
左側からニコラ・ストルムへラストパス。
ストルムが右足でゴール右下へ決め、0-4。
坂本はこの試合を、
1得点1アシスト
で終えました。
ここが現在の坂本の面白いところでしょう。
ゴール前に入り込んでフィニッシュするだけではなく、攻撃の組み立てにも関与する。
現地紙「GVA」はこのメヘレン戦で坂本へチーム最高タイの8点をつけ、「アウェーチームの司令塔」と評価したと報じられています。
FWに対して「司令塔」という表現。
これはかなり興味深い評価です。
4. 坂本一彩とは何者?ガンバ育ちの“頭で点を取るFW”
G大阪→岡山→G大阪→ベルギー
坂本一彩は2003年8月26日生まれ。
熊本県出身で、173cm・66kgの右利きFWです。
プロ入り後は、
2022年 ガンバ大阪
2023年 ファジアーノ岡山(期限付き移籍)
2024年 ガンバ大阪
2025年 ウェステローへ期限付き移籍
2025年夏 ウェステローへ完全移籍
というキャリアを歩んできました。
2024年にはG大阪でブレイク。
4月と11・12月の2度にわたってJ1月間ヤングプレーヤー賞を獲得しました。シーズン終盤には二桁得点へ到達するなど、得点源として存在感を示しています。
さらに年代別日本代表では、2023年U-20ワールドカップにも出場。
イスラエル戦ではゴールも記録しました。
5. 坂本のプレースタイル|“派手じゃないのに、なぜかそこにいる”
坂本を見る時に注目したいのは、ボールを持っていない時間です。
DFの背後。
CBとSBの間。
クロスに対する入り。
味方がボールを持った瞬間のランニング。
Jリーグの選考委員から「先を読む力」「ボールの転がる先を読む嗅覚」を評価されていたように、純粋な身体能力だけで勝負するFWではありません。
2024年のG大阪でも、チーム内で裏抜けランや高速走行の上位に入っており、ボールを持たない状況からゴールを作る特徴がデータにも表れていました。
今回のメヘレン戦の先制点も同じ。
クロスが来る。
そこに坂本がいる。
ワンタッチ。
ゴール。
見た目は簡単です。
でも実際には、
「簡単に決められる場所へ先に動く」
ことが一番難しい。
そこが坂本一彩というFWの面白さです。
6. 27分|今度は齋藤俊輔、カウンターから強烈な2点目
坂本の先制から20分。
今度は21歳の齋藤俊輔が魅せます。
ウェステローが素早く攻撃へ転じる。
キャメロン・コングリーヴからボールを受けた齋藤が、ペナルティーエリア中央から左足。
ボールはゴール左下へ。
0-2。
プロリーグ公式も「速いカウンターからコングリーヴのアシストを受け、左足でゴール左下へ決めた」と記録しています。
なぜこのゴールを決められた?
ポイントはトランジションの速さです。
メヘレンが攻撃から守備へ切り替える瞬間。
まだ守備陣が完全には整っていない。
そこをウェステローが一気に前進します。
齋藤は外へ逃げるのではなく、ゴールへ最短距離となる中央へ入る。
そしてボールを受けてから迷わず左足。
守備陣が身体を寄せる前にフィニッシュまで完了させました。
齋藤の武器である、
ドリブル→前進→思い切ったシュート
という一連の流れが、より速い判断の中で出たゴールだったと言えるでしょう。
7. 67分|齋藤がもう一発!今度は右足
左足だけではないことを証明
後半67分。
齋藤が再びゴール前へ現れます。
直前の65分にも至近距離から右足でシュートを放ち、GKに阻止されていました。
それでも攻撃への参加を止めない。
そして67分。
ペナルティーエリア中央から、今度は右足。
ゴール左下へ流し込みます。
0-3。
この日2得点。
1点目は左足。
2点目は右足。
しかも一発のスーパーシュートだけで終わらず、その直前にも決定機へ入っている。
ここに現在の齋藤の成長が見えます。
単なるドリブラーではなく、
「ゴール前へ何度も顔を出し、数字を残すアタッカー」
へ変わり始めているのです。
8. そもそも齋藤俊輔とは何者?
桐光学園から水戸へ、高卒2年で欧州へ
齋藤俊輔は2005年4月26日生まれ。
神奈川県出身、173cm・68kg。
横浜F・マリノスのプライマリー、ジュニアユースを経て桐光学園高校へ進学。
高校卒業後の2024年、水戸ホーリーホックへ加入しました。
プロ2年目の2025年に一気にブレイク。
J2で27試合8得点を記録し、水戸の攻撃を牽引しました。2025年にはU-20日本代表としてU-20ワールドカップにも出場しています。
そして2026年1月。
20歳でウェステローへ完全移籍。
契約期間は3年半。クラブは加入時から齋藤を、攻撃的MFとウイングの両方をこなせる選手として紹介していました。
9. 齋藤俊輔のプレースタイル|“運ぶだけじゃない”ドリブラー
最大の武器はドリブル+パンチ力のあるシュート
齋藤を一言で表現するなら、
ゴール方向へ進むドリブラー。
でしょう。
ボールを持ったら横へ逃げるのではなく、前へ。
一人かわしたら、もう一人。
そしてシュートレンジに入れば振り抜く。
2025年にJ2月間ベストゴールを受賞した際にも、本人が「自分の武器であるドリブルで積極的に仕掛け、シュートまで持っていく」ことを自分らしいプレーとして挙げています。
水戸時代にはドリブルだけでなく、強烈なミドルシュートでも何度もゴールを奪いました。
そしてベルギーでも、その特徴は消えていません。
むしろ、
「ドリブルする選手」から「ドリブルもできて点も取れる選手」へ。
進化の途中にいるように見えます。
10. 実はフィジカル面の成長がすごい
ここは今回の現地評価で、かなり注目したいポイントです。
シャライ監督によると、齋藤は加入当初、60分ほどでエネルギーを使い切る状態だったとのこと。
しかし現在は、
1試合12kmを走れるところまで成長した
と評価されています。
監督は、加入後半年とプレシーズンが現在のレベルへ到達するために必要だったと説明し、戦術的な原則も理解していると高く評価しました。
これはかなり大きい。
日本人アタッカーが欧州へ移籍した際によく課題になるのが、
フィジカル。
試合強度。
守備。
90分間動き続ける力。
です。
齋藤はその部分を、わずか半年程度で急速に改善している。
だからこそ、攻撃時にも最後までゴール前へ入れるのでしょう。
11. 海外メディアも日本人を絶賛
今回の試合後、ベルギーメディアではウェステローの日本人選手が大きく取り上げられました。
『Voetbalkrant』は、日本人選手たちがメヘレンを「完全に狂わせた」という趣旨の強烈な見出しで特集。
坂本、齋藤、木村の存在へ注目しています。
さらに坂本については、現地紙『GVA』が採点8。
しかも単なる得点者としてではなく、
「アウェーチームの司令塔」
と高く評価しました。
齋藤も2得点でマン・オブ・ザ・マッチに選出されたと報じられています。
これは日本人ファンが盛り上がっているだけではありません。
現地で実際に「試合を決めた選手」として評価され始めている。
そこが重要です。
12. そして監督から「日本代表」という言葉が出た
坂本一彩、日本代表入りは現実的?
シャライ監督は坂本について、ウェステロー加入後の数字とプレーの質を評価しつつ、さらにゴールやアシストを増やす必要があると指摘。
そのうえで、
代表チームを次の目標にすべき
という趣旨のコメントを残しています。
これはかなり興味深い発言です。
坂本は2023年のU-20日本代表経験者。
ただし2026年W杯の日本代表メンバーには入っていませんでした。日本の前線には上田綺世、小川航基、前田大然、町野修斗、塩貝健人、後藤啓介など欧州でプレーするライバルが揃っています。
簡単な競争ではありません。
それでも現在23歳。
2030年W杯を考えれば、むしろこれからが勝負です。
ベルギー1部で二桁得点級の数字を残し、さらにアシストやチャンスメイクまで増えてくれば、
A代表のテスト招集候補に入っても不思議ではない。
特に坂本の「オフ・ザ・ボールでゴールへ入る能力」は、代表でも使い道があります。
13. 齋藤俊輔は“日本代表候補になる前段階”にいる
齋藤はさらに若い。
21歳。
2025年にはU-20ワールドカップを経験しています。
まず大きなターゲットになるのは年代別代表、そして2028年ロサンゼルス五輪世代でしょう。
ただし、このままベルギー1部でゴールを量産するようなら話は変わります。
日本代表の2列目には、
久保建英。
堂安律。
中村敬斗。
鈴木唯人。
鎌田大地。
など強力な選手がいます。2026年W杯でもこのポジションには欧州組が多数選出されました。
だから、
「メヘレン戦で2点取ったから次の代表に呼ぼう」
というほど簡単ではありません。
それでも21歳で、
ドリブルできる。
左右でシュートを打てる。
運動量も伸びている。
複数の攻撃ポジションをこなせる。
これは代表スタッフにとって面白いプロフィールです。
今季を通して数字を残せれば、
「五輪代表候補」から「A代表でも一度見てみたい選手」へ評価が変わる可能性は十分にあります。
14. 実はウェステローというクラブ自体が面白い
ウェステローは第5節終了時点で、
1勝1分3敗、勝点4の13位。
開幕から苦戦しています。
だから今回の4-0は、ただの一勝ではありません。
チームにとって今季初勝利。
しかもアウェー。
そして日本人選手がその中心でした。
現在のウェステローには、
坂本一彩
齋藤俊輔
木村誠二
と日本人が3人在籍しています。
さらにチームの平均年齢もメヘレン戦では22.6歳。
非常に若いチームです。
若い選手が欧州で経験を積み、結果を残し、さらに上のクラブを狙う。
その成長過程を見るという意味でも、かなり面白いクラブになっています。
15. メヘレン戦の真価は「44%の保持率で21本打ったこと」
この試合で個人的に一番面白い数字はこちらです。
ウェステローのボール保持率44.4%。
メヘレンは55.6%。
それなのに、
シュート8対21。
枠内1対6。
決定機0対5。
ウェステローが圧倒しました。
つまり、
ボールを長く持つ必要はない。
奪ったら速く攻める。
スペースへ走る。
ゴールへ向かう。
シュートまで終える。
この戦い方に、坂本と齋藤が非常によく合っています。
坂本は相手DFの背後とゴール前へ入る。
齋藤はスペースがあれば運ぶ。
そして二人ともフィニッシュできる。
今回、日本人コンビが活躍したのは偶然ではなく、
ウェステローの速い攻撃と2人の特徴が噛み合った結果
とも言えるでしょう。
16. 次のスタンダール戦はかなり楽しみ
ウェステローの次戦は9月12日。
ホームでスタンダール・リエージュと対戦します。クラブ公式日程でも18時15分キックオフ予定となっています。
注目したいのは当然、
坂本と齋藤をそのまま先発させるのか。
メヘレン戦では、
坂本1G1A。
齋藤2G。
木村を含め日本人3人が先発。
これで4-0。
監督からすれば、簡単には外しにくいでしょう。
そして次の試合でも結果を残せれば、
「日本人が一試合だけ爆発した」
ではなく、
「ウェステローの攻撃を日本人が牽引している」
と本格的に言えるようになります。
17. まとめ|今のウェステローは、日本人ファンなら追いかけたい
ベルギーリーグ。
KVメヘレン0-4ウェステロー。
7分。
坂本一彩。
27分。
齋藤俊輔。
67分。
また齋藤俊輔。
88分。
坂本一彩→ニコラ・ストルム。
日本人2人で、
3ゴール1アシスト。
そして後方には木村誠二。
まさに日本人が主役になった90分でした。
ただ、今回の記事で一番伝えたいのは数字だけではありません。
坂本は23歳。
G大阪、岡山を経てベルギーへ。
Jリーグ時代から評価された「マークを外す」「裏へ走る」「ワンタッチで決める」という武器が、今や欧州でも通用し始めています。
齋藤は21歳。
桐光学園から水戸。
J2でブレイク。
U-20W杯。
そしてベルギー。
半年ほど前まで60分で力を使い切っていた選手が、今では12kmを走りながらゴールまで奪う。
まだ日本代表ではありません。
まだ欧州5大リーグでもありません。
だからこそ面白い。
ここからさらに結果を残し、
ベルギーで評価を上げ、
ステップアップし、
ある日突然、日本代表のメンバー発表で、
「坂本一彩」
「齋藤俊輔」
という名前を見るかもしれません。
有名になってから見るのもいい。
でも、
「ウェステローで暴れていた頃から見ていた」
と言えるのも海外日本人選手を追いかける醍醐味です。
今季のウェステロー。
そして坂本一彩、齋藤俊輔、木村誠二。
日本から少し早めに、追いかけておきたいチームになってきました。
次節も、日本人トリオの活躍に期待しましょう。
免責事項
本記事は2026年9月10日時点で確認できるKVCウェステロー、ベルギー・プロリーグ、Jリーグ、JFA、ガンバ大阪、水戸ホーリーホック、および国内外の報道機関が公開している情報をもとに作成しています。
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