「Jリーグに上がったばかりのクラブだから、まずは残留争いかな」
そんな予想を、早くもひっくり返し始めているクラブがあります。
レイラック滋賀FCです。
滋賀は2025年のJFLで2位に入り、J3・JFL入れ替え戦を突破。2026年から滋賀県勢として初めてJリーグへ参入しました。2月から6月の「百年構想リーグ」という特別シーズンを経験したうえで迎えた2026/27シーズン、開幕5試合を終えて成績は3勝2敗、勝点9の4位。首位争いが見える位置につけています。
しかも、ただ守って勝っているわけではありません。
ここまで5試合で9得点。アウェーでは松本、群馬、讃岐を相手にすべて3得点を奪って勝利しています。さらにFW北條真汰はすでに5ゴールを記録し、J3得点ランキング首位タイ。
そして今日、9月9日。
滋賀はルヴァンカップ1回戦で、J1の東京ヴェルディをホームに迎えます。
「J3で本当に強いのか?」
その答えをJ1クラブ相手に試す、これ以上ない舞台がやって来ました。
1. レイラック滋賀、そもそも本当に「Jリーグ1年目」
滋賀県初のJリーグクラブが2026年に誕生
レイラック滋賀がJリーグ入会を正式に決めたのは2025年12月14日。
JFLを2位で終えた滋賀は、J3・JFL入れ替え戦を勝ち抜き、J3入会に必要な条件をクリアしました。これによって滋賀県初のJリーグクラブが誕生しています。
クラブの歴史をたどると、2005年にジュニアユースクラブとしてスタート。
2008年にはJFLへ昇格し、その後「MIOびわこ滋賀」などの名称を経て2023年から現在の「レイラック滋賀FC」となりました。Jリーグ加盟年は2026年です。
つまり、一朝一夕で誕生したクラブではありません。
20年以上かけてようやくたどり着いたJリーグ。
その最初の年から、いきなり面白いことになっています。
2. 5試合で3勝2敗、いきなりJ3・4位
9月6日時点のJ3順位表は以下の通りです。
| 順位 | クラブ | 勝点 | 勝敗 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 愛媛FC | 13 | 4勝1分 | +10 |
| 2 | 鹿児島ユナイテッドFC | 13 | 4勝1分 | +5 |
| 3 | FC岐阜 | 10 | 3勝1分1敗 | +12 |
| 4 | レイラック滋賀 | 9 | 3勝2敗 | +1 |
昇格初年度のクラブが5試合終了時点で4位。
十分すぎるスタートでしょう。
開幕戦は0-3完敗だった
さらに面白いのが、最初から順調だったわけではないことです。
開幕戦。
ホームでFC岐阜に0-3。
記念すべきJ3本格シーズンの初戦は完敗でした。
この試合だけを見れば、
「やはりJFLとJ3では違うのか」
と思っても不思議ではありません。
ところが、ここから一気に変わります。
3. 第2節・松本戦で流れを変えた“北條真汰劇場”
約1万人のアウェーでハットトリック
第2節の相手は松本山雅FC。
会場はサンプロ アルウィン。
入場者数は9,926人です。
Jリーグ初年度の滋賀にとって、完全アウェーと言っていい環境でした。
しかも前半21分に先制を許します。
そこで試合をひっくり返したのが、FW北條真汰でした。
後半開始からピッチへ入ると、
51分
74分
78分
と立て続けにゴール。
わずか後半45分の出場でハットトリックを達成し、滋賀を3-2の勝利へ導きました。
Jリーグ公式も、これを北條自身、そしてレイラック滋賀としてもJ3初のハットトリックとして記録しています。
ここから滋賀のシーズンは大きく動き始めました。
4. 北條真汰とは何者?
福岡大出身、2001年生まれのストライカー
北條真汰は2001年5月20日生まれ。
大阪府出身で、
鹿児島城西高校
↓
福岡大学
↓
レイラック滋賀
というキャリアを歩んできました。
身長175cm、70kg。ポジションはFWで背番号77です。
いわゆる高校年代から全国的なスターとして騒がれ、そのままJ1へ――という選手ではありません。
大学サッカーを経由し、JFLで力を磨き、クラブと一緒にJリーグまで上がってきた選手です。
だからこそ、今の爆発にはストーリーがあります。
5試合5得点でJ3得点王タイ
今季は、
岐阜戦 0得点
松本戦 3得点
群馬戦 1得点
鳥取戦 0得点
讃岐戦 1得点
で計5ゴール。
9月8日更新のJリーグ公式得点ランキングでは、愛媛FCの田村翔太と並んで5得点でトップです。
さらに公式記録の出場時間を合計すると253分。
単純計算では、
約51分に1ゴール。
驚異的なペースです。
5. ただの“北條頼み”ではないところが滋賀の面白さ
滋賀の快進撃を、
「北條がたまたま当たっているだけ」
と見るのは少し違います。
第3節・群馬戦では北條以外にも坂元一渚璃、三宅海斗が得点。
3-0で勝利した第5節・讃岐戦では、
鍋田純志
北條真汰
竜田柊士
と3人の選手がゴールを奪いました。
一人の絶対的エースだけに依存するのではなく、複数の選手がゴール前へ入っていける。
ここは昇格クラブとして非常にポジティブな材料です。
6. アウェーで「3点、3点、3点」がかなり異様
松本3-2、群馬3-2、讃岐3-0
滋賀の序盤戦で特に目を引く数字があります。
アウェーゲームです。
松本 2-3 滋賀
群馬 2-3 滋賀
讃岐 0-3 滋賀
なんと3試合連続3得点。
昇格クラブというと、
「まず守備を固める」
「失点しないことを優先する」
という戦い方をイメージしがちです。
ところが滋賀は違います。
アウェーでも点を取りに行く。
だから見ていて面白い。
特に第5節讃岐戦では18本ものシュートを放ち、3-0で勝利しました。
7. 一方で不思議なのが“ホームではまだ勝っていない”
これだけ好調なのに、面白い数字がもう一つあります。
リーグ戦のホームゲームは、
岐阜戦 0-3
鳥取戦 0-1
で2連敗。
つまり3勝はすべてアウェーです。
Jリーグ公式の東京V戦プレビューでも、「リーグ戦では本拠地でまだ白星を届けられていない」ことが取り上げられています。
普通ならホームで勝ち、アウェーで苦戦しそうなもの。
レイラック滋賀は現在、完全に逆。
このあたりも“Jリーグ1年目らしい読めなさ”があります。
8. 指揮官はJ1通算345試合出場の角田誠
2026/27シーズンから監督就任
現在チームを率いるのは角田誠監督です。
現役時代には京都、名古屋、仙台、川崎F、清水、長崎などでプレー。
J1通算345試合20得点という豊富な経験を持っています。
2026/27シーズンからトップチーム監督へ就任。
つまりクラブがJリーグ本格シーズンへ突入するタイミングで、指揮官も新体制になったわけです。
それでも開幕5試合で3勝。
チームの立ち上がりとしてはかなり順調でしょう。
9. J1から若手が加入する“育成先”としての可能性も
滋賀には、J3クラブとして別の面白さもあります。
8月にはセレッソ大阪からMF久保瑛史が育成型期限付き移籍で加入しました。
久保は2025年からC大阪に所属している若手で、移籍期間は2027年6月末までです。
これは今後、かなり重要な流れになるかもしれません。
J1クラブでは出場機会が少ない。
しかしJ3で試合に出れば、プロの公式戦経験を積める。
滋賀が若手を積極的に使いながら結果も残せれば、
「若手を育てながら勝つクラブ」
として他のJ1クラブからも注目される可能性があります。
10. そして9月9日、いきなりJ1東京ヴェルディと対戦
ルヴァンカップ初出場
そして今日、滋賀にとって大きな試験が訪れます。
2026年9月9日(水)18:30
ルヴァンカップ1stラウンド1回戦
レイラック滋賀FC vs 東京ヴェルディ
平和堂HATOスタジアム
です。
滋賀にとってルヴァンカップ初出場。
さらにホームにJ1クラブを迎えるのも初めてです。
対する東京Vはオリジナル10の一角。
クラブの歴史、カテゴリー、選手層。
あらゆる意味で格上と言っていい相手です。
11. 東京V戦は“勝敗以上”に滋賀の現在地が分かる
この試合が面白い理由は、単純なジャイアントキリング期待だけではありません。
J3で3勝している滋賀のサッカーが、
J1相手にも通用するのか。
ここが見られます。
アウェーで発揮してきた攻撃力。
前線からの勢い。
北條の決定力。
複数選手がゴール前へ入る形。
これらがJ1の守備陣を相手にどこまで再現できるのか。
Jリーグ公式も、
「“ルーキー”と“名門”の対峙」
としてこの一戦を紹介しています。
東京V側も簡単には流せない
一方の東京Vはリーグ戦との連戦。
城福浩監督も試合前、今回のルヴァンカップを選手の成長や、リーグ戦へ向けて誰が準備できているか確認する機会として位置づけています。
ある程度メンバーを入れ替える可能性もあるでしょう。
だから滋賀にもチャンスはあります。
ただし、出てくるのはJ1クラブの選手。
ここで互角以上に戦えれば、自信は一気に大きくなるはずです。
12. もし東京Vまで倒したら、一気に全国区になる可能性
現在の滋賀は、Jリーグファン全体から見ればまだ「新しいクラブ」です。
北條真汰という名前も、J3を普段見ない人にはまだ馴染みが薄いかもしれません。
しかしカップ戦には、
一晩でクラブの知名度を変える力
があります。
もしJリーグ参入1年目の滋賀が、ホームでJ1東京Vを撃破したら。
「J3の4位」という話題から、
「今年のJ3、滋賀がかなり面白いぞ」
へと見られ方が変わるでしょう。
北條がJ1クラブ相手にも得点すれば、個人への注目度も一気に高まります。
13. 課題はやはり守備
もちろん、このまま簡単に上位へ定着できるとは限りません。
5試合で9得点。
一方で8失点しています。順位表上の得失点差は+1です。
松本戦は3-2。
群馬戦も3-2。
勝ったから良かったものの、一歩間違えば勝点を落としていた試合でもあります。
逆に第5節の讃岐戦は3-0。
今季初のクリーンシートでした。
この「点を取れるチーム」に安定した守備が加われば、本当に上位争いを続ける可能性があります。
14. 「昇格初年度だから残留」が目標ではなくなるかもしれない
シーズン前なら、
「まずJ3残留」
が現実的な目標だったはずです。
しかし5試合を終えて4位。
北條は得点王争い。
アウェー3連勝。
となれば、少し欲が出てきます。
もちろんまだ5試合。
ここから研究され、北條へのマークも厳しくなります。
ケガや累積警告。
長いシーズンではさまざまな問題も出てくるでしょう。
それでも、
「ひょっとして上位争いできるのでは?」
と思わせるだけの材料は、すでに見せています。
15. まとめ:レイラック滋賀は“昇格クラブ”ではなくJ3のダークホースへ
2026年。
滋賀県に初めてJリーグクラブが誕生しました。
そのレイラック滋賀が、2026/27シーズン開幕5試合で、
3勝2敗。
勝点9。
9得点。
J3・4位。
そして北條真汰は、
5試合5得点。
J3得点ランキング首位タイ。
開幕戦は0-3。
そこから松本、群馬に3-2で連勝。
鳥取には0-1で敗れましたが、讃岐を3-0で撃破。
「昇格クラブだから守って耐える」ではなく、点を取って勝つサッカーを見せています。
そして今日9月9日18時30分。
初めてのルヴァンカップで、
J1・東京ヴェルディ
と対戦します。
もし勝てば、クラブ史に残るJ1撃破。
負けたとしても、今の滋賀が上のカテゴリーを相手にどこまで戦えるのかを測る絶好の90分です。
まだJリーグに入ったばかり。
まだ5試合しか終わっていない。
それなのに4位。
そして得点王争いのトップに、自分たちのストライカーがいる。
レイラック滋賀はもう、「新しくJリーグに入ってきたクラブ」というだけではありません。
2026/27シーズンのJ3で、
最も追いかけたくなるダークホースの一つになり始めています。
免責事項
本記事は2026年9月9日午前時点で確認できるJリーグ公式サイト、レイラック滋賀FC、東京ヴェルディなどの公式情報をもとに作成しています。
順位、選手成績、試合日程等は記事公開後に変更・更新される可能性があります。また、「ダークホース」「上位争い」などの表現には、現時点の成績を踏まえた編集上の分析・考察を含みます。
9月9日のレイラック滋賀FC対東京ヴェルディ戦は18:30キックオフ予定です。最新の試合開催情報、メンバー、結果についてはJリーグおよび両クラブの公式発表をご確認ください。










