横浜F・マリノスの将来を担う存在として期待されている21歳MF、樋口有斗に大きな動きが出ました。
2026年9月11日、J3の福島ユナイテッドFCが樋口を期限付き移籍で獲得する見通しだと報じられました。
今季のJ1ではここまで出場機会を得られていない樋口。一方で、2026年前半に開催されたJ1百年構想リーグでは7試合に出場しており、プロの舞台で経験を積み始めていました。
「せっかくマリノスに加入したのに、もうJ3へ?」
そう感じるサポーターもいるかもしれません。
しかし、この移籍が期限付きで正式決定すれば、個人的にはかなり面白い“武者修行”になると思います。
福島はただ出場機会を与えてくれそうなクラブではありません。直近のルヴァンカップではJ2のベガルタ仙台を4-3で撃破。4-1-2-3をベースに、ボールを動かしながら前へ出ていくサッカーを見せています。
技術で相手を剥がし、前へ運べる樋口。
福島が目指すサッカー。
かなり相性の良い組み合わせになる可能性があります。
1. 樋口有斗とは何者?
中部大学から横浜F・マリノスへ
まずはプロフィールを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 選手名 | 樋口有斗 |
| 生年月日 | 2005年3月10日 |
| 年齢 | 21歳 |
| 出身 | 埼玉県 |
| 身長/体重 | 174cm/65kg |
| ポジション | MF |
| 主戦場 | ボランチ |
| 経歴 | 東スポーツセンター少年SC→埼玉栄中→埼玉栄高→中部大学→横浜F・マリノス |
| 背番号 | 29 |
横浜FMは2025年10月、当時中部大学に所属していた樋口の加入内定を発表しました。クラブ公式プロフィールでも174cm・65kgのMFとして登録されています。
大学卒業を待つ一般的な加入ではなく、樋口は中部大学3年時にプロ入りを決断。
それだけ横浜FM側から高く評価されていた選手です。
2. 横浜FMが惚れ込んだのは「技術+推進力+走力」
スカウトが高く評価した3つの能力
樋口の特徴を理解するうえで非常に興味深いのが、加入内定時の横浜FM側の評価です。
強化担当だった富澤清太郎氏は、デンソーカップでのプレーを獲得判断の材料の一つに挙げ、
技術力、相手を剥がして前進する推進力、そして技術レベルを落とさずプレーし続けられる走力
を評価していました。
スポーティングダイレクターの西野努氏も、将来の横浜FMにとって重要な人材になると期待を寄せています。
つまり樋口は、単なる「ボールを横へさばくボランチ」ではありません。
相手からプレッシャーを受ける。
かわす。
前を向く。
そして自分でボールを運ぶ。
ここに大きな特徴があります。
3. 樋口有斗のプレースタイル
最大の魅力は“プレスを剥がして前へ出る”こと
現代サッカーのボランチには、ただパスを成功させるだけでは足りません。
特に相手が前からプレスを掛けてくる試合では、
「相手を一人かわして前進できるか」
が非常に重要になります。
樋口にはそれがあります。
足元の技術が高い。
身体の向きを作れる。
狭いスペースでボールを受けられる。
そして一人外したら、そこから前へ運べる。
横浜FM側も、この**“剥がして前へ進む能力”**を明確に評価して獲得しています。
走れるテクニシャン
もう一つ面白いのが運動量です。
テクニック系のMFというと、「ボールを持っている時は上手いが守備では……」というタイプもいます。
樋口の場合、横浜FM側が走力まで評価しています。
技術と運動量。
この両方を持つからこそ、ボランチだけでなくインサイドハーフ的な使い方も考えられるでしょう。
4. 横浜FMではJ1の壁に直面
2026/27シーズンはここまでリーグ出場なし
ただし、プロの世界は簡単ではありません。
Jリーグ公式プロフィールでは、2026/27シーズンの樋口は9月8日時点で、
J1出場0
ゴール0
アシスト0
となっています。
横浜FMの中盤には山根陸、喜田拓也、天野純、渡辺皓太ら経験のある選手がいるうえ、今夏には知念慶も加入しています。
21歳のルーキーがここへ割って入るのは簡単ではありません。
ベンチ。
ベンチ外。
練習。
またベンチ。
これを半年繰り返すより、
カテゴリーを下げてでも毎週公式戦へ出る。
その方が成長につながる時期があります。
樋口はまさにそのタイミングなのかもしれません。
5. ただし百年構想リーグではチャンスをつかみ始めていた
樋口が全くトップチームで戦えていなかったわけではありません。
報道によれば、2026年前半のJ1百年構想リーグでは7試合に出場しています。
5月2日の水戸ホーリーホック戦ではスタメンにも入りました。
6月6日の清水エスパルス戦でも途中出場しています。
つまり横浜FM側も、
「まだトップでは無理」
と判断している選手ではない。
むしろ、
J1で使い始めた若手を、さらに試合経験を積ませるために外へ出す
という意味合いが強いと考えられます。
6. なぜ福島ユナイテッドなのか?
理由① サッカーの方向性が樋口に合いそう
ここが今回、一番面白いところです。
直近のルヴァンカップ・仙台戦で福島は4-1-2-3を基本形として戦いました。
中盤には泉彩稀、田中慶汰、吉田陣平。
前線には中村翼、藤田仁朗、千葉虎士。
カテゴリーが上の仙台相手でもただ引いて守るのではなく、自分たちからボールを動かして攻撃しました。
最終結果は、
福島4-3仙台。
J3クラブながらJ2上位チームから4点を奪っています。
樋口のような技術型MFにとって、
「とりあえず蹴ってセカンドボールを拾う」
サッカーより、
中盤でボールを受けて前進することを求められるチーム
の方が特徴を出しやすい。
福島はかなり面白い環境です。
7. 理由② 福島は“若手を借りて育てる”ことに慣れている
現在の福島には、他クラブから期限付き移籍で加入している若手が複数います。
川崎Fから土屋櫂大。
山形から千葉虎士。
長崎から佐々木奈琉。
新潟から吉田陣平。
山形から狩野海晟。
こうした選手を積極的に戦力として起用しています。
つまり、
「J1・J2クラブから若手を借りる→公式戦で起用→成長させる」
という流れに慣れているクラブです。
横浜FMからすれば、これは重要。
貸したのにベンチ。
では意味がありません。
福島なら、本当に戦力として使われる可能性があります。
8. 理由③ 横浜FMは8月に福島と実際に対戦している
これも面白い偶然です。
8月26日の天皇杯2回戦。
横浜FMは福島ユナイテッドFCと直接対戦しています。
結果は横浜FMの1-0勝利。
そして樋口は、この試合でベンチ入りしていました。
つまり横浜FM側は当然、
福島がどんなサッカーをするのか。
どんな選手がいるのか。
どう若手を使っているのか。
実際の試合を通して見る機会がありました。
この直接対決が移籍に影響したという公式情報はありません。
ただ、移籍先として福島を評価する材料にはなった可能性があります。
9. 福島でどこに入る?
最も面白いのはインサイドハーフ
福島の4-1-2-3で考えるなら、樋口を見てみたいのはインサイドハーフです。
仙台戦では田中慶汰、吉田陣平らが中盤を担当しました。
そこへ樋口。
アンカーからボールを受ける。
相手MFを一枚外す。
ドリブルで前へ。
ウイングへ届ける。
さらに自分もペナルティーエリア付近へ入る。
横浜FMでポジションを奪うためにも、この役割を経験できることには大きな意味があります。
アンカーも十分可能
もちろんボランチが本職なので、アンカーでの起用も考えられます。
ただ福島には副キャプテンを務める針谷岳晃がおり、チームの中心選手の一人です。
だからこそ、
針谷+樋口。
あるいは針谷の前に樋口。
という組み合わせも面白い。
経験のある司令塔の近くでプレーすることで、守備時の立ち位置やゲームコントロールも学べるでしょう。
10. 樋口加入で福島の中盤争いはかなり激しくなる
福島には現在、
針谷岳晃。
吉田陣平。
狩野海晟。
泉彩稀。
田中慶汰。
中村翼。
など、中盤でプレーできる選手がいます。
そのため、
「横浜FMから来たから自動的にスタメン」
ではありません。
むしろ、この競争こそ樋口にとって重要でしょう。
J1では試合に出られない。
J3へ行けば簡単に出られる。
では武者修行になりません。
J3でもポジションを奪い取る。
そこから毎週90分戦う。
それが本当の成長につながります。
11. 福島にとってもかなりメリットのある補強
福島側から見ても魅力的です。
クラブはJ2昇格を目標としており、キャプテン、副キャプテンもシーズン前に明確に「昇格」を掲げています。
そして直近ではJ2仙台を4-3で撃破。
攻撃力は示しました。
一方で4-1から4-3まで追い上げられたように、試合を落ち着かせる部分には改善余地があります。
そこで樋口。
ボールを預けられる。
プレスをかわす。
前へ運べる。
必要ならテンポを落とす。
こうしたMFが増えることで、試合展開に応じた選択肢が増えます。
12. 横浜FMはなぜ手放す?むしろ“期待しているからこそ”の期限付きか
期限付き移籍という前提で考えるなら、ここは重要です。
完全移籍なら、
「構想外なのか?」
という見方もできます。
しかし期限付きなら話は違います。
横浜FMは加入内定時、樋口を将来のクラブにとって重要な財産になり得る選手として高く評価していました。
現在21歳。
プロ1年目。
今季J1出場0。
ならば、
「売る」のではなく「育てるために貸す」。
かなり自然です。
横浜FMへ戻った時、
J3で30試合経験している樋口と、
一年間ベンチ外だった樋口。
どちらが戦力になりやすいか。
答えは明らかでしょう。
13. 福島で求めたい数字は「出場時間」
樋口の場合、最初から「10得点10アシスト」を期待する必要はありません。
最も重要なのは、
試合に出ること。
まず10試合。
そして20試合。
できれば先発で60分、70分、90分。
プロの試合では、
練習では経験できないことがあります。
勝っている残り10分。
負けている残り5分。
1点を守る。
1点を取りに行く。
相手が自分だけを狙ってプレスしてくる。
こうした経験を積むことが重要です。
14. その次に「ゴールに絡めるMF」へ
ただ、横浜FMで将来的にスタメンを奪うなら、ゲームメイクだけでは足りません。
ゴール。
アシスト。
チャンスメイク。
ここも欲しい。
現代のインサイドハーフは、
「パスをつなぎました」
だけでは評価されにくい。
相手を剥がした後、
どこまでゴールへ直結できるか。
福島でここを磨ければ、樋口の市場価値も一気に高まるでしょう。
15. J3への移籍は“降格”ではない
ここはぜひ強調したい部分です。
横浜F・マリノス。
J1。
福島ユナイテッド。
J3。
カテゴリーだけを並べると、
「二つ下へ行く」
ように見えます。
でも21歳の選手にとって、
J1で0分とJ3で2000分。
どちらが良いかは簡単には決められません。
少なくとも成長という意味では、J3で主力として毎週プレーする価値は非常に高い。
そこからJ1へ戻った若手選手はいくらでもいます。
樋口もそのルートを狙えばいい。
16. 将来的には海外も目指している
樋口は横浜FM加入内定時、自身の将来について、
5大リーグでプレーすること。
オリンピック。
そしてA代表。
といった大きな目標を語っています。
その目標を考えると、今はまだスタート地点です。
横浜FM加入。
百年構想リーグ出場。
J1では出番なし。
そして福島への武者修行。
一見遠回りに見えるかもしれません。
でも20代前半なら、遠回りはいくらでもできます。
重要なのは、その場所で何を積み上げるかです。
17. まとめ|福島で暴れて、横浜へ帰ってこい
2005年生まれ。
21歳。
中部大学から横浜F・マリノスへ。
加入時には3クラブからオファーを受け、その中から横浜FMを選んだ期待のMFです。
武器は、
技術。
プレス回避。
推進力。
そして走力。
横浜FMのスカウト陣も高く評価した能力です。
しかしプロの世界では、実力があるだけでは試合に出られない。
今季のJ1ではここまで出場0。
だからこその福島。
J3だから簡単、ではありません。
むしろ、
毎週結果が求められる。
昇格を目指すチーム。
ポジション争いもある。
そして寺田周平監督のもと、自分たちからボールを動かして攻撃する。
樋口有斗が成長するには面白い環境です。
直近では仙台を4-3で撃破した福島。
そこへ横浜FM期待の21歳MFが加わる。
もし正式決定すれば、J3を見る楽しみがまた一つ増えます。
そしてマリノスサポーターとして期待したいのは、
半年後、あるいは一年後。
福島で何十試合も経験した樋口が日産スタジアムへ戻ってくる姿です。
「あの樋口、こんなに上手くなったのか」
そう言わせてほしい。
J3で試合に出ることはゴールではありません。
横浜FMの中盤を奪うためのスタートです。
福島でボールを受けて。
剥がして。
運んで。
アシストして。
そして自分でもゴールを決める。
頑張れ、樋口有斗。
福島で大きくなって、横浜へ帰ってこい!
免責事項
本記事は2026年9月11日朝時点で確認できる横浜F・マリノス、Jリーグ、福島ユナイテッドFC等の公式情報および国内報道をもとに作成しています。
現時点で確認できる報道では、福島ユナイテッドFCが樋口有斗選手を獲得し、期限付き移籍となる見通しとされていますが、記事作成時点では両クラブから正式な移籍加入発表は確認できていません。
そのため、移籍形態、契約期間、背番号等については今後の公式発表によって変更・追加される可能性があります。記事内の起用ポジション、移籍の狙い、横浜FM復帰後の可能性等については、公開された選手特性や現在のチーム編成を踏まえたワールドサッカーポータル独自の分析・考察です。
正式発表後に公開する場合は、タイトルの**「期限付き移籍へ」→「期限付き移籍決定」**へ変更すればそのまま使える構成です。









