2027年1月にサウジアラビアで開幕する予定のサッカー・AFCアジアカップが、開催の危機に直面しています。背景にあるのは、開催国で相次ぐミサイルやドローンによる攻撃と、それに伴う治安情勢の悪化です。アジアサッカー連盟(AFC)は2028年への延期も選択肢としており、日本サッカー協会(JFA)も安全確保への懸念を表明しています。2026年10月25日時点での状況を整理します。
アジアカップ2027の開催概要
第19回大会となる「AFCアジアカップ サウジアラビア2027」は、2027年1月7日から2月5日まで、首都リヤド、ジッダ、アル・コバールの3都市で開催される予定です。24チームがアジア王者を争います。
日本代表はグループFに入り、インドネシア、タイ、カタールと順番に対戦することが決定しています。日本は2011年以来となる5度目の優勝を目指しますが、開催の見通しは不透明です。
なぜ開催が危ぶまれているのか?
最大の理由は、イエメンの武装組織フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が激化していることです。10月に入ってから、首都リヤドのキング・ハーリド国際空港や東部の空港などが攻撃の対象となり、民間人を含む死傷者が発生。10月10日のリヤドの空港への攻撃では、12人が死亡し、300人以上が負傷したとされています。
空港への攻撃は選手やスタッフ、観客の移動にも直接関わる問題です。競技会場の警備だけでなく、航空便、宿泊施設、都市間移動など、大規模な国際大会に必要な安全体制を確保できるかが問われています。
日本の外務省は10月22日、リヤド州、ジッダを含むマッカ州、アル・コバールを含む東部州などの危険情報をレベル3「渡航中止勧告」に引き上げました。予定される開催3都市がいずれも対象地域に含まれており、日本からの観戦を考えるサポーターにとっても重大な状況です。
他のスポーツ大会にも影響
影響はアジアカップだけではありません。サウジアラビアで10月に予定されていたテニスのエキシビション大会「シックス・キングス・スラム」は12月末に延期され、サッカーのeスポーツ大会「FIFAe Finals 2026」も延期が決まりました。
国際大会の日程変更が続いていることも、アジアカップ開催への懸念を強めています。
AFCは2028年への延期も検討
AFCのサルマン会長は10月中旬、治安情勢を見極める必要があるとして、場合によっては大会を1年延期し、2028年に開催する可能性に言及しました。一方で、現時点では予定通りの開催を前提に対応しており、延期が決まったわけではありません。
今後の重要な節目は、11月19日にタイで予定されているAFC理事会です。11月中に開催可否について判断が示される可能性があり、それまでの治安状況や安全対策が焦点となります。
開催国サウジアラビアは準備継続を強調
サウジアラビアの大会組織委員会は10月15日、AFCなどと連携しながら予定通りに準備を進めていると表明しました。22日にも、現地の情勢を注視しつつ大会運営に向けた準備を続けていると説明しています。
つまり、AFCが延期の可能性を排除していない一方、開催国側は当初の日程を維持する方針です。大会準備に加え、選手・関係者・観客の安全確保が判断材料となります。
日本代表の監督交代にも影響か
大会が延期された場合、日本代表の活動計画にも大きな影響が及びます。JFAは森保一監督が2027年アジアカップまで指揮を執り、大会終了後に大岩剛監督が就任すると発表しています。大岩監督は2028年ロサンゼルス五輪を目指す年代別代表との兼任も予定しています。
そのため、アジアカップが2028年にずれ込めば、森保監督から大岩監督への引き継ぎ時期や代表チームの強化計画、五輪関連の日程との調整が必要になる可能性があります。
JFAの宮本恒靖会長も10月23日、安全確保を最優先とする考えを強調し、現状では予定通りの開催は容易ではないとの見方を示しました。
今後の見通しは?
2026年10月25日時点では、アジアカップ2027の中止も延期も正式には決まっていません。予定通り2027年1月に開催される可能性もあれば、情勢次第で2028年への延期などが検討される可能性もあります。
今後はサウジアラビアの治安情勢、外務省などの渡航情報、11月のAFC理事会での協議が重要になります。アジア王座奪還を目指す日本代表にとっても、安全な環境で大会が実施できるのか、そして監督交代を含めた活動日程がどうなるのか、引き続き注目されます。









