2026/27シーズンのAFCチャンピオンズリーグElite(ACLE)がいよいよ開幕する。
今大会には日本から鹿島アントラーズ、ヴィッセル神戸、柏レイソル、京都サンガF.C.、ガンバ大阪の過去最多5クラブが出場。
アジアの頂点を目指す戦いに注目が集まる一方、開幕前からサッカーファンの間で意外なポイントも話題になっている。
それが、
「ACLEでは選手がどういう扱いで登録されるのか?」
という問題だ。
特に興味深いのが柏レイソルと京都サンガF.C.。
今夏、京都アカデミー出身のDF麻田将吾が柏へ完全移籍。
さらに柏には、同じく京都U-15、U-18で育ったGK若原智哉も所属している。
ではACLEの登録上、
「京都育ちの選手が柏に移籍したら柏のホームグロウンになるのか?」
「京都のクラブ育成選手という扱いは消えるのか?」
「Jリーグのホームグロウン制度とは同じなのか?」
登録ルールを詳しく見ていくと、実は単純な「生え抜き」「移籍組」という区分では説明できない。
今回はACLEの選手登録ルールを整理しながら、柏と京都を例にファンが混乱しやすいポイントを徹底解説する。
ACLEの登録人数は最大35人
リストAとリストBの2種類がある
ACLEでは各クラブが登録できる選手は最大35人。
ただし、単純に好きな35選手を登録できるわけではない。
登録は、
リストA:最大25人
リストB:最大10人
に分けられている。
リストBへ登録できるのは、2026/27シーズンの場合、2005年1月1日以降に生まれた選手のみ。
つまり若手選手を別枠で登録できる仕組みになっている。(jleague.jp)
| 区分 | 登録可能人数 | 主な条件 |
|---|---|---|
| リストA | 最大25人 | ホームグロウン規定あり |
| リストB | 最大10人 | 2005年1月1日以降生まれ |
| 合計 | 最大35人 | ― |
| 試合エントリー | 最大23人 | 外国籍人数制限なし |
ここまでは比較的分かりやすい。
問題はリストAだ。
リストAには「ホームグロウン6人」が必要
そのうち3人以上はクラブ育成選手
ACLEのリストAにはホームグロウン選手を最低6人登録する必要がある。
しかも、その6人のうち最低3人は、
「クラブ育成選手(Club-Trained Player)」
でなければならない。(the-afc.com)
ここが今回の話の核心だ。
ホームグロウン選手は大きく2種類に分かれる。
クラブ育成選手
15歳になるシーズンから21歳になるシーズンまでの期間に、
現在所属するクラブへ合計36カ月以上登録されていた選手。
これがクラブ育成選手だ。
例えば柏のアカデミーで15~21歳の対象期間に3年以上過ごし、現在柏でプレーしている場合は、柏の「クラブ育成選手」として扱える。
所属協会育成選手
もう一つが、
Association-Trained Player(所属協会育成選手)
だ。
同じ15~21歳の期間に、日本サッカー協会に加盟するクラブで合計36カ月以上登録されていれば対象になる。
日本人選手の多くは、この条件を満たしやすい。
つまり、
クラブ育成選手+所属協会育成選手=ACLE上のホームグロウン選手
という構造になっている。(jleague.jp)
ここで話題になる柏と京都
麻田将吾は京都アカデミー出身
特に分かりやすい例が麻田将吾だ。
麻田は京都サンガF.C.U-18出身。
トップチームへ昇格後、讃岐への期限付き移籍を挟みながら長期間京都でプレーした。
2026年6月、柏レイソルへ完全移籍。
京都退団時には、U-18時代や期限付き移籍期間を含め「12年半」京都に在籍したことを本人も振り返っている。(sanga-fc.jp)
まさに、
「京都が育てた選手」
と言っていい。
しかし現在所属しているのは柏だ。
ここで疑問が生まれる。
麻田将吾は柏の「クラブ育成選手」になる?
答えは基本的にNO
ACLE規定で重要なのは、
「どこで育ったか」
と、
「現在どこに所属しているか」
の組み合わせだ。
クラブ育成選手になるには、対象年代で現在所属しているクラブに36カ月以上登録されていなければならない。
麻田の場合、その対象期間を過ごしたのは京都。
2026年から加入した柏で育成年代を過ごしたわけではない。
そのため柏においては、基本的に
クラブ育成選手ではなく、所属協会育成選手
という整理になる。
つまり、
柏のホームグロウン枠には寄与できても、「柏育成の3人」という枠には入らない
ということだ。
ここが非常に分かりにくい。
若原智哉も同じパターン
京都U-15、U-18で育ったGK
柏にはもう一人、非常に興味深い選手がいる。
GK若原智哉だ。
若原は、
京都サンガF.C.U-15
↓
京都サンガF.C.U-18
↓
京都トップチーム
というキャリアを歩んだ、生粋の京都アカデミー出身選手。
その後長崎、ジェフ千葉などを経て、2026/27シーズンから柏へ加入した。(jleague.jp)
当然ながら、柏へ移籍したことで過去の育成歴が「柏育ち」に書き換わるわけではない。
若原も麻田と同様、
京都で育った選手が、現在は柏でACLEを戦う
という非常に興味深い存在になる。
「京都育ちなのに柏のホームグロウン?」が混乱の原因
ホームグロウン=自クラブ育成ではない
ここで多くのファンが混乱しやすい。
一般的に「ホームグロウン」という言葉を聞くと、
「そのクラブのアカデミー出身」
を想像するからだ。
しかしACLEでは、
クラブ育成選手
と、
所属協会育成選手
の両方を合わせてホームグロウンと呼ぶ。
そのため、
京都アカデミー出身
↓
柏へ移籍
↓
柏のACLE登録ではホームグロウン資格を持つ可能性
という一見不思議な現象が起きる。
ただし、
柏のクラブ育成選手ではない。
ここを分けて理解する必要がある。
京都側から見るとどうなる?
移籍した麻田や若原を京都の登録枠には当然使えない
一方の京都。
麻田や若原は、育成年代の経歴だけを見れば京都の典型的なクラブ育成選手だ。
実際、過去の京都では若原、麻田、川﨑颯太、福岡慎平らアカデミー出身者が主力を構成する時期もあった。Jリーグ公式も2022年当時、こうした選手たちを京都が自前で育ててきた世代として紹介している。(jleague.jp)
しかし当然ながら、現在クラブを離れている選手を京都のACLE登録人数に数えることはできない。
つまり京都は、
「過去に多くのクラブ育成選手を育てていても、現在所属していなければ登録枠には使えない」
ということになる。
アカデミー選手の育成とトップチームへの定着がACLEでも重要になる理由だ。
なぜACLEはこんな制度を導入している?
お金で25人を集めるだけではダメ
狙いは非常に分かりやすい。
強豪クラブがお金を使い、即戦力を25人集めるだけではなく、
自分たちで選手を育てることも求める
ためだ。
最低6人のホームグロウン。
そのうち3人はクラブ育成。
という条件があることで、アカデミーの存在価値が高まる。
これはUEFAチャンピオンズリーグにも近い考え方だ。
条件を満たせないとどうなる?
登録枠そのものが減る
ホームグロウン選手が不足した場合、
「外国人を代わりに登録すればいい」
とはならない。
必要人数を満たせなければ、
リストAの最大登録人数そのものが減る。
例えば本来25人登録できるところを、条件を満たさない人数に応じて24人、23人……と削られる可能性がある。(jleague.jp)
これは過密日程を戦うクラブにとってかなり大きい。
J1。
天皇杯。
国内カップ。
ACLE。
複数大会を同時に戦う中で、一人でも多く選手を登録できることは重要になる。
柏は育成力が大きな武器
アカデミー出身選手を多く輩出
この制度との相性が良いクラブの一つが柏だ。
2026特別シーズンのJリーグホームグロウン登録人数では、柏は9人を登録していた。(jleague.jp)
さらに現在も、
細谷真大。
古賀太陽。
猿田遥己。
若手アカデミー選手。
など、育成組織とのつながりが強いクラブだ。
ただし注意したいのは、
Jリーグで「ホームグロウン」と表示される選手とACLEで「クラブ育成選手」になる選手が完全に同じとは限らない
という点だ。
各大会にはそれぞれ定義がある。
JリーグとACLEではルールが違う
ここがファンをさらに混乱させる
2026/27シーズンからJリーグのホームグロウン制度にも変更が加えられている。
例えば期限付き移籍期間について、実際に試合へ出場した場合は期限付き移籍先クラブの育成期間としてカウントする仕組みが導入された。(jleague.jp)
つまり、
JリーグのHG制度。
ACLEのClub-Trained。
ACLEのAssociation-Trained。
リストA。
リストB。
似た単語が並んでいるが、すべて同じ制度ではない。
SNSで、
「この選手はHGじゃないの?」
「京都育ちなのに柏扱いなの?」
「クラブ育成はどっちになる?」
といった疑問が生まれるのも無理はない。
柏は選手層が厚いからこそ登録競争も激しい
トップチーム全員をACLEへ連れて行けるわけではない
柏は今季、大人数のトップチームを抱えている。
ACL登録の年齢制限なしとなるリストAは最大25人。
つまり国内リーグで登録されている選手全員を、そのままACLEへ登録することはできない。
さらにGKを最低3人登録する必要があり、リストAにも最低2人のGKが必要。(the-afc.com)
監督・強化部には、
ポジションバランス。
負傷状況。
ホームグロウン条件。
年齢。
国内大会とのローテーション。
すべてを考えた登録が求められる。
実際、柏サポーターの間でも開幕前からACLEのリストA候補を整理する投稿などが見られ、誰が登録されるのかへの関心は高まっていた。
京都も登録枠の選択が重要
外国籍選手が多くても試合出場制限はない
京都も今季は選手層が非常に厚い。
ブラジル人選手をはじめ外国籍選手も複数所属している。
ただACLEでは、
外国籍選手の試合エントリー人数・出場人数に上限はない。 (jleague.jp)
これは過去のACLとの大きな違いだ。
そのため問題になるのは外国籍人数そのものではなく、
25人のリストAをどう構成するか。
そこでクラブ育成選手を3人以上確保できるかどうかが重要になる。
「生え抜き」の価値がACLEでは数字になる
アカデミー育成が登録枠に直結
国内リーグでは、
「アカデミー出身だから絶対に使わなければならない」
というわけではない。
しかしACLEでは違う。
クラブ育成選手の存在が、
そのまま登録可能人数に影響する。
言い換えれば、
アカデミーで育て、トップチームまで残した選手には競技面以外の価値もある。
鹿島。
柏。
京都。
神戸。
G大阪。
ACLEを継続的に戦うクラブにとって、育成戦略とトップチーム編成はこれまで以上につながっていくだろう。
ファンの議論自体がACLEの面白さを示している
「誰が出る?」だけではなく「誰を登録できる?」
通常、試合前にファンが考えるのは、
「スタメンは誰か」
「誰をベンチに入れるか」
という部分だ。
しかしACLEではその一段階前に、
「そもそも誰を大会へ登録するのか」
という戦略がある。
35人。
リストA。
リストB。
クラブ育成。
所属協会育成。
こうした制度を理解してから登録リストを見ると、クラブが何を考えて選手を選んだのかも見えてくる。
単なる名簿ではない。
登録リスト自体が、一つのチーム編成戦略なのだ。
今後注目したいポイント
冬の追加登録でどう動く?
ACLEはリーグステージが2027年2月まで続く。
その間には冬の移籍市場もある。
新加入選手。
海外移籍。
負傷。
復帰。
さまざまな変化が起こる。
AFC規定には追加・変更登録のルールも設けられているため、クラブが登録リストをどう調整していくのかにも注目したい。
若手がリストBから一気に台頭する可能性
リストBには2005年1月1日以降生まれの選手を最大10人登録できる。
ここからアジアの舞台で若手がブレイクする可能性もある。
国内では出番の少ない選手がACLEで一気に評価を高める。
そんな展開も大会の楽しみになる。
まとめ
「柏の選手」「京都育ち」は両立する
ACLEの登録リストを巡って注目されている柏と京都。
特に分かりやすいのが、現在柏に所属する麻田将吾と若原智哉だ。
2人とも京都アカデミーで育った。
しかし現在は柏の選手。
だからといって、
「柏へ移籍した瞬間に柏育成選手になる」
わけではない。
ACLEでは、
現在所属しているクラブ。
15~21歳の時期にどのクラブへ何年間登録されていたか。
この2点を組み合わせて判定する。
そのため、
柏所属選手でありながら、育成歴は京都。
柏ではAssociation-Trainedに該当し得るが、柏のClub-Trainedではない。
という整理が可能になる。
ここを理解すると、今回の「選手扱い」を巡る疑問もかなり分かりやすくなる。
ACLEはピッチ上の戦いだけではない。
25人のリストAをどう作るのか。
若手10人のリストBをどう使うのか。
自クラブ育成選手を何人確保するのか。
そこにもクラブの育成力と編成力が問われる。
2026/27シーズン、日本からACLEへ挑むのは過去最多5クラブ。
試合結果だけでなく、
「どんな選手構成でアジアを戦うのか」
にも注目すると、ACLEをさらに深く楽しめそうだ。
免責事項
本記事について
本記事は2026年9月15日時点で公開されているAFC Champions League Elite 2026/27大会規則、Jリーグ公式のACLE大会概要、Jリーグ選手登録情報、柏レイソルおよび京都サンガF.C.の公式発表などをもとに作成しています。
ACLEにおけるホームグロウン、Club-Trained Player、Association-Trained Playerの判定は、実際には各クラブから提出された登録履歴を加盟協会およびAFCが確認して正式に決定します。
本記事で個別選手について説明している分類は、公開されている所属歴と大会規定に基づいた整理であり、AFCが公開する最終的な登録区分と異なる可能性があります。
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最新の選手登録状況についてはAFC、Jリーグおよび各クラブの公式情報をご確認ください。








