2026年9月11日、明治安田J1リーグ第7節でヴィッセル神戸と鹿島アントラーズがノエビアスタジアム神戸で激突した。
試合は前半を0-0で折り返すと、後半56分に大迫勇也がPKを決めて神戸が先制。鹿島も73分、途中出場のチャヴリッチがヤン・マテウスのクロスを仕留めて同点に追いつく。
しかし、そのわずか4分後だった。
左サイドからジエゴがクロスを送り、山川哲史がヘディングでネットを揺らす。鹿島が作り出した流れを一気に断ち切る勝ち越し弾となり、神戸が2-1で勝利した。これで神戸はリーグ4連勝。一方の鹿島は開幕4連勝から一転して3連敗となった。
スコアだけなら「神戸の競り勝ち」だが、内容を見ると鹿島にも十分に勝機はあった。シュート数は神戸10本に対して鹿島13本。それでも枠内シュートは神戸5本、鹿島3本だった。
では、なぜ神戸は上位直接対決を制し、鹿島は勝点を持ち帰れなかったのか。
試合内容をスタッツ、選手採点とともに徹底分析する。
試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J1リーグ 第7節 |
| 開催日 | 2026年9月11日 |
| 会場 | ノエビアスタジアム神戸 |
| 結果 | ヴィッセル神戸 2-1 鹿島アントラーズ |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 2-1 |
| 得点 | 56分 大迫勇也(神戸・PK) |
| 得点 | 73分 チャヴリッチ(鹿島) |
| 得点 | 77分 山川哲史(神戸) |
| 入場者数 | 17,110人 |
| 天候 | 曇 |
| 主審 | 木村博之 |
試合は19時04分にキックオフ。気温26.9℃、湿度72%のコンディションで行われた。
スタッツ比較
| スタッツ | 神戸 | 鹿島 |
|---|---|---|
| ボール支配率 | 54% | 46% |
| シュート | 10 | 13 |
| 枠内シュート | 5 | 3 |
| パス | 452 | 408 |
| パス成功率 | 69.9% | 71.3% |
| 走行距離 | 116.48km | 112.32km |
| スプリント | 146 | 118 |
| コーナーキック | 2 | 3 |
| オフサイド | 0 | 3 |
| PK | 1 | 0 |
注目したいのは、神戸がシュート数では鹿島を下回りながら、枠内シュートでは5対3と上回っていることだ。
そして走行距離、スプリント数でも神戸が鹿島を上回った。
単純なボール保持だけではなく、「走る」「球際で戦う」「ゴール前までやり切る」という部分で神戸の強度が最後まで落ちなかったことが、2-1という結果につながっている。
前半|鹿島もチャンスを作るが、神戸が主導権を渡さない
立ち上がりから鹿島は積極的だった。
小川諒也や広瀬陸斗がサイドから前進し、鈴木優磨、徳田誉を使いながら神戸ゴールへ迫る。
対する神戸は大迫勇也を前線の基準点に置きながら、武藤嘉紀、郷家友太らが連動。鹿島に簡単に試合のテンポを握らせなかった。
前半だけを見ると神戸のシュート4本に対して鹿島は5本。大きな差はなく、互いに相手の強みを消し合う展開となった。
鹿島は23分に津久井佳祐、25分に広瀬陸斗が立て続けに警告を受けた。
サイドで神戸の推進力を止めるために強く出なければならず、早い時間帯に2人がカードを受けたことは、その後の守備強度にも少なからず影響したと言える。
スコアレスで前半終了。
勝負は後半へ持ち越された。
後半56分|山川のシュートからPK、大迫勇也が仕留める
試合が動いたのは後半だった。
50分、山川哲史が放ったシュートがペナルティーエリア内で小川諒也のハンドを誘う。
VARによる確認を経て神戸にPKが与えられる。
キッカーを務めたのは大迫勇也。
右足から放たれたシュートをゴール左上へ豪快に突き刺し、56分に神戸が1-0と先制した。
前線でボールを収めるだけでなく、最終的に得点という形で結果を残す。
大迫の存在感が改めて際立つ場面だった。
鬼木監督が勝負手|65分の「3枚替え」が的中
追いかける鹿島の鬼木達監督は65分、一気に勝負に出る。
| OUT | IN |
|---|---|
| 広瀬陸斗 | 小池龍太 |
| 津久井佳祐 | ヤン・マテウス |
| 徳田誉 | チャヴリッチ |
この交代が見事に的中する。
69分にはチャヴリッチが決定機を迎えたが、ここは神戸GK権田修一が好セーブ。
それでも鹿島は攻撃の勢いを失わなかった。
73分|ヤン・マテウス→チャヴリッチで鹿島が同点
73分、右サイドでヤン・マテウスがボールを持つ。
ドリブルで前進してクロスを送り込むと、中央へ入ってきたチャヴリッチが右足で合わせた。
ゴール左下へ決まり、1-1。
投入されたばかりのヤン・マテウスとチャヴリッチの2人だけでゴールを作り出した。
鬼木監督の采配によって完全に鹿島へ流れが傾きかけた瞬間だった。
ところが神戸は、その流れをわずか4分でひっくり返す。
77分|山川哲史が決勝点!神戸の強さが凝縮された一撃
ロングスローからの流れでジエゴがセカンドボールに反応する。
マテウス・トゥーレルとの連係で左サイド深くまで進入すると、ジエゴがゴール前へクロス。
そこへ飛び込んできたのが山川哲史だった。
山川がニアで頭を合わせ、ゴール左下へ。
2-1。
鹿島が同点に追いついてから、わずか4分後の勝ち越しゴールだった。
この「追いつかれても崩れない」ことこそ、現在の神戸の強さだろう。
同点にされた直後は試合の流れが鹿島へ傾いてもおかしくなかった。それでも神戸は慌てず、自分たちの強度を維持して再び相手ゴールへ向かった。
ヴィッセル神戸 スタメン・選手採点
※採点はWorld Soccer Portal独自評価。10点満点。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| GK 権田修一 | 7.0 | チャヴリッチの決定機を阻止。同点前後の重要な時間帯で存在感 |
| DF マテウス・トゥーレル | 6.5 | 対人守備で安定。決勝点の局面でも攻撃に関与 |
| DF 山川哲史 | 8.0 | PKにつながるシュートに加え決勝ゴール。攻守で主役 |
| DF ジエゴ | 7.5 | 左サイドから推進力を発揮。決勝点をアシスト |
| DF 酒井高徳 | 6.5 | 経験を生かしたポジショニングで右サイドを安定化 |
| DF 永戸勝也 | 6.5 | 幅を作りながら攻守に貢献。72分まで高強度を維持 |
| MF 郷家友太 | 6.5 | 中盤と前線をつなぎ、セカンドボール争いにも参加 |
| MF 井手口陽介 | 6.5 | 中央で鹿島の攻撃を制限。球際でも存在感 |
| MF 髙橋壱晟 | 6.5 | サイドの守備を助けながら攻撃にも関与 |
| FW 大迫勇也 | 7.5 | PKを確実に成功。前線の基準点としても機能 |
| FW 武藤嘉紀 | 6.5 | 5試合ぶりの先発復帰。前線から強度をもたらした |
途中出場
| 選手 | IN | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 小松蓮 | 72分 | 6.0 | 大迫に代わって前線の強度を維持 |
| エリキ | 72分 | 6.0 | 終盤のカウンター要員としてスペースを狙った |
神戸は大迫と永戸を72分に下げ、小松蓮とエリキを投入した。
鹿島アントラーズ スタメン・選手採点
※採点はWorld Soccer Portal独自評価。10点満点。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| GK 早川友基 | 6.0 | 2失点も大きなミスはなし。PKと至近距離ヘッドは難しかった |
| DF キム・テヒョン | 6.0 | 大迫とのフィジカル勝負で粘った |
| DF 小川諒也 | 5.5 | 攻撃参加は見せたが、PKにつながったハンドが痛恨 |
| DF 津久井佳祐 | 5.5 | 23分に警告。攻守で積極性を見せるも65分交代 |
| DF 植田直通 | 6.5 | 大迫との競り合いを繰り返し、最終ラインを支えた |
| MF 三竿健斗 | 6.5 | 中盤で強度を出し続けた。終盤に警告 |
| MF マテウス・ブエノ | 6.0 | ボールを前進させたが決定的な仕事までは至らず |
| MF 松村優太 | 6.0 | 推進力を見せたが、ゴールへ直結するプレーは限定的 |
| MF 広瀬陸斗 | 5.5 | 積極的に右サイドを上がるも早い時間の警告が影響 |
| FW 鈴木優磨 | 6.5 | 前線で身体を張り起点を作る。最後まで勝利への執念を見せた |
| FW 徳田誉 | 5.5 | 前線で奮闘したがシュートチャンスを増やせず |
途中出場
| 選手 | IN | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 小池龍太 | 65分 | 6.0 | サイドの活性化に貢献 |
| ヤン・マテウス | 65分 | 7.0 | ドリブル突破からチャヴリッチのゴールをアシスト |
| チャヴリッチ | 65分 | 7.5 | 同点ゴール。投入後すぐに攻撃の空気を変えた |
| 柴崎岳 | 78分 | 6.0 | 終盤に配球役として攻撃を組み立てた |
| 林晴己 | 81分 | 6.0 | 終盤の攻撃参加で同点を狙った |
MOM:山川哲史(ヴィッセル神戸)8.0
この試合のMOMは山川哲史としたい。
最大の理由はもちろん77分の決勝ゴールだ。
だが、それだけではない。
神戸の先制点となったPKも、山川のシュートから小川のハンドを誘ったことがきっかけだった。
つまり、この試合で生まれた神戸の2得点に山川が直接関与している。
センターバックとして守備を支えながら、勝敗を決める仕事までやってのけた。
文句なしのMOMだ。
神戸が勝った3つの理由
① シュート数ではなく「枠内へ飛ばす質」
鹿島13本、神戸10本。
シュート数だけを見れば鹿島が上だった。
しかし枠内シュートは神戸5本、鹿島3本。
神戸はチャンスの数以上に「最後までシュートをやり切る精度」が高かった。
大迫のPK、山川のヘディングだけでなく、相手GKを脅かす位置までボールを運ぶ回数を確保できていた。
② 同点直後にギアを上げられた精神的な強さ
73分のチャヴリッチ弾で1-1。
普通ならホームチームが動揺してもおかしくない展開だった。
しかし神戸はわずか4分後に再び勝ち越した。
失点したからといって必要以上にラインを下げず、再び鹿島ゴールへ圧力をかけたことが山川の得点につながった。
これは4連勝中のチームが持つ勢いだけでなく、試合運びの成熟度を象徴するシーンでもある。
③ 走行距離とスプリントで鹿島を上回った
神戸は走行距離116.48km、スプリント146回。
鹿島は112.32km、118回だった。
特にスプリント数の差は28回。
球際や攻守の切り替えを重視する両チームの対戦だからこそ、この差は小さくない。
技術だけではなく、「もう一歩走る」部分でも神戸が上回った。
鹿島はなぜ敗れたのか
内容そのものが悪かったわけではない。
実際にシュート13本を放ち、一度は1-1まで戻した。
それでも勝点を取れなかった最大の問題は、良い時間帯を結果につなげ続けられなかったことだ。
チャヴリッチの同点ゴールで試合の流れを完全に引き寄せかけたにもかかわらず、その4分後に失点。
「追いつくこと」にエネルギーを使い、スコアを動かした直後のゲームコントロールに隙が生まれた。
さらにこの試合では、リーグ戦で8得点を挙げているレオ・セアラがコンディション不良で欠場した。日刊スポーツは、鹿島が終盤に決定機を作りながら仕留め切れなかった点を伝えている。
チャヴリッチが結果を出したことはポジティブだが、チームとして得点パターンを増やす必要がある。
ヴィッセル神戸の課題と次戦への改善点
4連勝の神戸だが、完璧だったわけではない。
鹿島には13本のシュートを許している。
特に後半、鹿島がヤン・マテウスとチャヴリッチを投入した後はサイドから押し込まれる時間が増えた。
今後さらに上位との試合を勝ち切るためには、リード時に相手が前線の枚数を増やしてきた際の守備整理が必要になる。
一方で、大迫や武藤が先発に戻りつつある中、小松やエリキなど途中から入る選手もいる。
誰が出ても強度を落とさない「総力戦」が可能になっている点は大きな強みだ。
神戸は9月16日にACLEでポートFCと対戦し、その後20日のJ1第8節では敵地でガンバ大阪と対戦する。連戦になるだけに、選手の入れ替えとコンディション管理もポイントとなる。
鹿島アントラーズの課題と次戦への改善点
鹿島は開幕4連勝から3連敗。
ただし今回の敗戦には、悲観材料だけではない。
特に65分の3枚替え以降、攻撃のスピードは明らかに上がった。
ヤン・マテウスの突破力とチャヴリッチのゴール前への入り方は、今後の攻撃において大きな武器になる。
改善したいのは「得点した直後」の試合運びだ。
1-1に戻した直後は、無理に2点目を狙うより、一度ボールを保持して神戸の勢いを切る選択肢もあった。
勝負どころで試合のテンポをコントロールできれば、内容を勝点へ変えられる可能性は高い。
鹿島は9月15日にACLEでニューカッスル・ジェッツと対戦。その後19日のJ1第8節では川崎フロンターレとのアウェーゲームを迎える。
3連敗を引きずらないためにも、ここが序盤戦の重要な分岐点となりそうだ。
第7節終了時点の順位
第7節終了時点で、神戸は勝点16の2位。
首位FC町田ゼルビアも勝点16となっており、得失点差で町田がトップに立っている。
鹿島は勝点12で4位となった。
| 順位 | チーム | 勝点 |
|---|---|---|
| 1 | FC町田ゼルビア | 16 |
| 2 | ヴィッセル神戸 | 16 |
| 3 | 柏レイソル | 15 |
| 4 | 鹿島アントラーズ | 12 |
神戸にとっては首位町田を完全に射程圏内に捉える大きな1勝。
一方の鹿島はまだ4位ではあるものの、これ以上連敗が続けば首位争いから一気に離される可能性もある。
今後の順位予想
ヴィッセル神戸:1~3位
4連勝という結果だけでなく、主力が戻りながら複数の選手が結果を残せている点を高く評価したい。
守備の安定感もあり、大迫を中心に勝負どころで得点できる。
町田との優勝争いに本格的に入っていく可能性は高く、現時点では「優勝候補の一角」と見ていいだろう。
鹿島アントラーズ:3~6位
開幕4連勝から3連敗と急ブレーキがかかった。
ただし神戸戦の内容を見る限り、チームそのものが崩れているわけではない。
レオ・セアラが戻り、チャヴリッチやヤン・マテウスとの組み合わせが機能すれば攻撃力は再び上昇する可能性がある。
逆に川崎戦でも敗れるようなら、優勝争いではなく上位争いへ目標が変わってくる可能性もあるだろう。
まとめ|神戸が見せた「追いつかれてからの強さ」
ヴィッセル神戸 2-1 鹿島アントラーズ。
大迫勇也がPKを決め、チャヴリッチが同点弾。
そして最後に試合を決めたのはDF山川哲史だった。
鹿島もシュート13本を放ち、交代策も的中した。
決して神戸が一方的に支配したゲームではない。
それでも最後に勝点3を手にしたのは神戸だった。
同点にされても崩れず、その4分後には再び勝ち越す。
この勝負強さこそ、優勝を争うチームに必要な要素だ。
4連勝で首位と勝点16で並んだ神戸。
対照的に、開幕4連勝から3連敗となった鹿島。
シーズンはまだ序盤ながら、この直接対決が数カ月後に振り返った時、優勝争いの一つのターニングポイントになっている可能性もある。
神戸はこの勢いのまま首位へ立つのか。
鹿島は3連敗から再び立ち上がれるのか。
両チームの第8節にも注目したい。
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