2026年8月26日、ヤマハスタジアムで行われた天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会2回戦、ジュビロ磐田vsテゲバジャーロ宮崎。
90分では決着がつかず、試合は延長戦へ。最後に均衡を破ったのはテゲバジャーロ宮崎でした。
延長後半110分、途中出場の土信田悠生が決勝ゴール。テゲバジャーロ宮崎が1-0でジュビロ磐田を撃破し、次のラウンドへ駒を進めました。
単純に「磐田が決め切れなかった試合」と片付けるには、あまりにも内容が濃い120分でした。宮崎はシュート数、セットプレー、そして交代策で徐々に試合の主導権を引き寄せ、最後は途中出場の選手たちによってゴールを完成させています。
なぜジュビロ磐田はホーム・ヤマハスタジアムでゴールを奪えなかったのか。そして、テゲバジャーロ宮崎はどのようにして延長戦を制したのでしょうか。
本記事では、両チームのスタメン、120分間の試合経過、勝敗を分けたポイント、そして最大の見どころとなった延長110分の決勝点まで詳しく振り返ります。
目次
- はじめに:またしてもヤマハで宮崎が磐田を撃破
- ジュビロ磐田vsテゲバジャーロ宮崎のスタメン
- 試合の流れを徹底分析
- なぜジュビロ磐田は0-1で敗れたのか?
- この試合で見逃せない4つのシーン
- まとめ:宮崎の「交代策」と「最後まで攻め切る姿勢」が生んだ勝利
1. はじめに:またしてもヤマハで宮崎が磐田を撃破
2026年8月26日19時、ヤマハスタジアムでキックオフされた天皇杯2回戦。
公式記録では実際のキックオフは19時01分。気温26.7度、湿度90%という蒸し暑いコンディションの中、3,846人の観客が見守りました。試合は前半0-0、後半0-0、延長前半も0-0。スコアが動いたのは120分ゲームも終盤に入った110分でした。
テゲバジャーロ宮崎の土信田悠生が左足で仕留め、ついに0-1。
興味深いのは、このカードには少なからず因縁があることです。
2024年の天皇杯2回戦でも両チームは同じヤマハスタジアムで対戦。当時J1だったジュビロ磐田に対し、J3だったテゲバジャーロ宮崎が2-1で勝利しています。そして2年後の2026年、今度は同じJ2に所属するクラブ同士となって迎えた一戦でも、再び宮崎が磐田を退ける結果となりました。
「天皇杯の宮崎は、ヤマハスタジアムで何かが起きる」。
そんな印象を残す120分になったと言っていいでしょう。
2. ジュビロ磐田vsテゲバジャーロ宮崎のスタメン
ジュビロ磐田
GK
- 1 川島永嗣
DF
- 4 松原后
- 30 山﨑浩介
- 37 川﨑一輝
MF
- 7 上原力也
- 8 為田大貴
- 18 井上潮音
- 39 角昂志郎
FW
- 11 マテウス・ペイショット(Cap.)
- 19 野澤零温
- 32 太田龍之介
監督:秋葉忠宏
登録ポジション上では3バックに中盤4枚、前線3枚という構成。最前線にはマテウス・ペイショットを置き、太田龍之介、野澤零温も先発しました。
さらにベンチには乾貴士、ジョアン・ヴィクトル、佐藤大樹、金子大毅らがおり、試合後半に攻撃力を追加できる陣容でした。
テゲバジャーロ宮崎
GK
- 19 松山健太
DF
- 45 田中誠太郎
- 33 黒木謙吾(Cap.)
- 15 安部崇士
- 13 堤奏一郎
MF
- 14 家坂葉光
- 8 山内陸
- 82 坂井駿也
- 10 井上怜
FW
- 42 松本ケン チザンガ
- 9 橋本啓吾
監督:大熊裕司
宮崎は登録上4バック+中盤4枚+2トップ。
しかし、この試合で最終的に大仕事をしたのはスタメンだけではありません。
土信田悠生、村越凱光、奥村晃司。
決勝ゴールに直接絡んだ3人はいずれも途中出場でした。この事実こそが、今回の試合を読み解く重要なポイントになります。
3. 試合の流れを徹底分析
前半:開始5分で宮崎にアクシデント
試合開始直後、いきなり宮崎に想定外の出来事が起こります。
5分、FW松本ケン チザンガが脳振盪の疑いによりプレー続行不能となり、佐藤遼と交代。開始直後にプラン変更を余儀なくされました。
それでも宮崎は大きく崩れません。
公式記録による前半のシュート数は磐田4本、宮崎4本。両チームとも決定打を欠いたまま前半を0-0で折り返しました。
スコアだけを見れば静かな45分ですが、宮崎にとっては開始5分のアクシデントを乗り越え、敵地で無失点のまま後半へ入れたことが大きかったと言えます。
後半:宮崎がシュート13本。流れが変わり始める
ハーフタイム、両監督が動きます。
磐田は野澤零温を下げて佐藤大樹を投入。
一方の宮崎は橋本啓吾に代えて土信田悠生をピッチへ送りました。
この土信田が後に決勝点を決めることになります。
そして数字を見ると、後半は宮崎の攻撃量が一気に増えています。
後半シュート数
- ジュビロ磐田:7本
- テゲバジャーロ宮崎:13本
宮崎は実に13本ものシュートを放ちました。
90分間を通して守るだけではなく、時間の経過とともに「自分たちから勝ちに行く」姿勢が強くなっていったことが数字にも表れています。
磐田も68分に増田大空、77分にはジョアン・ヴィクトルと乾貴士を同時投入。さらに87分に金子大毅、88分には西久保駿介を送り込みました。
特に77分の乾、ジョアン・ヴィクトル投入は、90分以内で試合を仕留めようという秋葉監督の意思が感じられる交代でした。
しかし、最後の一線を越えることができません。
90分を終えて0-0。勝負は15分ハーフの延長戦へ突入しました。
延長前半:磐田が押すもゴールは遠い
延長前半開始から磐田は角昂志郎に代えて加藤大育を投入。
この15分間のシュート数は磐田3本、宮崎1本で、数字だけなら磐田がやや優勢でした。
しかし、0-0は動きません。
120分を戦うカップ戦では、ここから「技術」だけではなく「集中力」と「交代カードの質」が大きくなってきます。
そこで宮崎の交代策が効いてきました。
84分に村越凱光、100分に奥村晃司を投入。
この2人と、ハーフタイムから出場していた土信田が、運命の110分に一本の線でつながります。
延長後半110分:途中出場3選手で作った決勝ゴール
試合最大の見どころは110分。
宮崎が右CKを獲得します。
キッカーの奥村晃司がボールを入れると、中央で村越凱光がつなぎ、最後は土信田悠生。
土信田がワンタッチから左足でシュートを放ち、ゴール。
ジュビロ磐田 0-1 テゲバジャーロ宮崎。
JFA公式記録にも、「右CK→奥村→村越→土信田、ワンタッチ左足シュート」という得点経過が記録されています。
注目すべきは、
- 土信田:ハーフタイム投入
- 村越:84分投入
- 奥村:100分投入
と、得点に絡んだ3人がすべて途中出場だったことです。
偶然の一発というより、大熊裕司監督が時間帯に応じて切った交代カードが、最後の最後で一つのゴールとして結実した場面でした。
そのまま試合終了。
宮崎が120分の死闘を1-0で制しました。
4. なぜジュビロ磐田は0-1で敗れたのか?
今回の結果には、大きく4つの要因があったと考えられます。
① 宮崎に合計21本のシュートを許した
120分間のシュート数は、
ジュビロ磐田:16本
テゲバジャーロ宮崎:21本
でした。
しかも宮崎は後半だけで13本。
磐田が一方的に試合を支配しながら一発に沈んだ、という内容ではありません。むしろ時間が経つにつれて宮崎にも十分な得点機会が生まれていました。
「格上・ホーム側が押し込み、宮崎が耐える」という単純な構図に持っていけなかったことが、磐田にとって苦しい展開につながりました。
② セットプレーの回数で宮崎が上回った
CK数は、
磐田4本
宮崎9本
と宮崎が大きく上回っています。
そして決勝点も、その9本のCKの一つから生まれました。
120分近く走った状態では、流れの中から相手守備を完全に崩すのは難しくなります。だからこそセットプレーの価値が高まる。
宮崎は最後までCKを奪える位置までボールを運び続け、最終的にその積み重ねを得点へ変えました。
③ 磐田は攻撃カードを切っても得点できなかった
磐田は決して消極的だったわけではありません。
後半には佐藤大樹、ジョアン・ヴィクトル、乾貴士を投入。攻撃の質を変えようとしました。
スタメンにはマテウス・ペイショット、太田龍之介、野澤零温もいました。
それでも120分間で16本のシュートを打ちながら得点はゼロ。
こうした一発勝負では、内容以上に「訪れたチャンスを一本決め切れるか」が大きく響きます。
磐田にとって最大の課題として残ったのは、やはり最後のフィニッシュでした。
④ 宮崎の交代策が完全に結果へ結びついた
この試合で最も象徴的だった部分です。
大熊監督が途中から投入した土信田、村越、奥村。
その3人だけで決勝ゴールが完成しました。
特に土信田は後半開始から入り、延長後半までプレーして最後の仕上げを担当。
延長戦まで見据えた選手起用と、途中出場選手のエネルギーが宮崎の勝利を引き寄せました。
5. この試合で見逃せない4つのシーン
見どころ① 開始5分の脳振盪交代
宮崎はいきなり松本ケン チザンガを失いました。
通常なら試合プランが崩れてもおかしくない時間帯です。
それでもその後115分間を大きく崩れることなく戦った点は、宮崎の対応力を象徴していました。
見どころ② 後半の宮崎「13本シュート」
前半4本だった宮崎のシュートが、後半には13本まで増加。
磐田が攻勢をかける一方で、宮崎も受け身にならずフィニッシュまで持ち込んでいたことが、この数字から分かります。
見どころ③ 77分、乾貴士&ジョアン・ヴィクトル投入
0-0が続く中、磐田は77分にマテウス・ペイショットと太田龍之介を下げ、ジョアン・ヴィクトルと乾貴士を投入しました。
試合を動かそうとする大きな勝負手でしたが、宮崎は最後までゴールを許しませんでした。
磐田からすれば、この時間帯で試合を終わらせられなかったことが結果的に大きく響きました。
見どころ④ 110分、途中出場3人で完成した決勝点
そして何と言っても110分。
奥村のCK。
村越がつなぐ。
土信田が左足で仕留める。
サッカーでは試合後、「交代策が当たった」という表現がよく使われます。
しかし今回は、まさに文字通り。
ゴールを作った3選手全員が途中出場だったのです。
120分を見据えて戦う天皇杯らしさが凝縮されたワンプレーでした。
6. まとめ:宮崎の「交代策」と「最後まで攻め切る姿勢」が生んだ勝利
最終結果は、
ジュビロ磐田 0-1 テゲバジャーロ宮崎
得点は延長後半110分、土信田悠生。
90分だけでなく延長30分を含む120分間の戦いとなりました。
数字を改めて見ると、
- シュート:磐田16本/宮崎21本
- CK:磐田4本/宮崎9本
- 90分終了:0-0
- 延長前半終了:0-0
- 110分:土信田悠生が決勝点
という内容です。
磐田にもチャンスはありました。
攻撃的な交代カードも切りました。
それでも1点を奪えなかった。
一方の宮崎は、試合開始5分のアクシデントを乗り越えながら後半に攻撃の回数を増やし、延長戦でも集中力を切らさなかった。そして最後は途中出場3人がセットプレーから決勝点を作りました。
120分間のすべてが完璧だったわけではありません。
それでも「最後の一瞬まで勝つための準備を続けたチームが勝った」。
そんな試合だったのではないでしょうか。
さらに宮崎にとっては、2024年に続いて再び天皇杯のヤマハスタジアムでジュビロ磐田を撃破する結果となりました。2024年は2-1、そして2026年は延長戦の末に1-0。
天皇杯は、リーグ戦とは違う顔を見せる大会です。
一つのセットプレー、一つの選手交代、そして一瞬の集中力が120分間のすべてを決めてしまう。
ジュビロ磐田vsテゲバジャーロ宮崎は、その怖さと面白さを改めて感じさせる一戦となりました。
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