2026年8月26日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会2回戦で、北海道コンサドーレ札幌とヴァンフォーレ甲府が激突しました。
会場は大和ハウス プレミストドーム。ともにJ2を戦うチーム同士の対戦であり、さらに驚くことに、この試合からわずか3日後の8月29日にはJ2リーグでも再び顔を合わせます。
そんな“前哨戦”とも言える一戦は、札幌が前半30分に髙尾瑠の豪快なボレーシュートで先制。しかし後半、試合の様相が一変します。
甲府のスタチオーリ・ミケーレが59分、70分と立て続けにゴールを奪うと、81分には途中出場の内藤大和がダメ押し。北海道コンサドーレ札幌1-3ヴァンフォーレ甲府で試合終了となりました。
前半だけを見れば、札幌がこのまま押し切っても不思議ではない内容でした。
では、なぜここまで試合がひっくり返ってしまったのでしょうか。
本記事では、両チームのスターティングメンバーから試合の流れ、最大の見どころ、そして「札幌はなぜ1-3で敗れたのか」まで詳しく振り返ります。
目次
- はじめに:前半と後半でまるで別の試合になった札幌vs甲府
- 北海道コンサドーレ札幌vsヴァンフォーレ甲府のスタメン
- 試合の流れ|髙尾瑠のスーパーゴールから甲府の逆転劇へ
- この試合の見どころシーン
- なぜ札幌は1-3で逆転負けしたのか?
- まとめ:8月29日のリーグ再戦にも直結する一戦
1. はじめに:前半と後半でまるで別の試合になった札幌vs甲府
8月26日の天皇杯2回戦は、両クラブにとって単なるカップ戦以上の意味を持つゲームでした。
リーグ戦では札幌が開幕3試合を1勝2敗の14位、甲府が1分2敗の19位。どちらも決して満足できるスタートではなく、天皇杯で勝利してチームに勢いを取り戻したい状況でした。
札幌は直前の大宮戦からスターティングメンバー11人全員を変更。夏に加入した野瀬翔也とキム・ゴヌンも先発し、リーグ戦で出場機会の少なかった選手たちにとっては大きなアピールチャンスとなりました。
そして、この大胆なメンバー変更は前半に関して言えば成功だったと言っていいでしょう。
札幌は立ち上がりからテンポ良くボールを動かし、甲府陣内へ侵入。前半だけなら札幌がゲームを掌握していました。
しかし、サッカーは90分。
追加点を奪えなかったこと、後半に入りビルドアップでミスが出たこと、そして甲府がその隙を逃さなかったことが、最終的な1-3というスコアにつながりました。
2. 北海道コンサドーレ札幌vsヴァンフォーレ甲府のスタメン
北海道コンサドーレ札幌
GK
- 1 菅野孝憲(Cap.)
DF
- 2 髙尾瑠
- 28 岡田大和
- 29 キム・ゴヌン
- 43 野瀬翔也
中盤
- 25 大﨑玲央
- 50 浦上仁騎
攻撃陣
- 11 青木亮太
- 16 長谷川竜也
- 23 大森真吾
- 35 原康介
札幌は菅野を最後尾に置き、髙尾、岡田、キム・ゴヌン、野瀬による最終ラインを形成。中盤では浦上、大﨑がゲームを組み立て、前線には長谷川、青木、原、大森が並ぶ構成でした。
特に目立ったのが右サイドです。
長谷川、大﨑、髙尾が絡みながらボールを前進させ、甲府の守備陣を何度も押し込んでいました。
ヴァンフォーレ甲府
GK
- 97 東ジョン
DF
- 3 野澤陸
- 4 山本英臣(Cap.)
- 6 小林岩魚
MF
- 15 米陀大洋
- 16 末木裕也
- 19 水野颯太
- 41 和田拓也
前線
- 23 スタチオーリ・ミケーレ
- 25 平塚悠知
- 96 黒川淳史
甲府は3バックをベースにした3-4-2-1。最前線にスタチオーリ・ミケーレを置き、その周囲から平塚、黒川らがゴールを狙う形です。
結果的に、この日の主役となったのはミケーレでした。
3. 試合の流れ|髙尾瑠のスーパーゴールから甲府の逆転劇へ
前半4分:いきなり札幌が決定機
キックオフ直後から積極的だったのは札幌です。
浦上を起点に右サイドの長谷川へ展開すると、長谷川のクロスに青木が飛び込みます。
青木のシュートはGK東ジョンに阻まれましたが、さらにこぼれ球から長谷川がループシュート。これも東ジョンが防ぎました。
開始数分で立て続けにゴールを脅かしたことで、完全に札幌がペースを握ります。
前半30分:髙尾瑠が豪快なダイレクトボレー
そして迎えた30分。
札幌のCKから甲府守備陣がクリアしたボールがペナルティーエリア手前へ。
そこに待っていたのが髙尾瑠でした。
落ちてきたボールを右足でダイレクト。
強烈なボレーシュートが甲府ゴールに突き刺さります。
セットプレーそのものではなく、その“二次攻撃”から生まれたスーパーゴール。前半の主導権を握っていた札幌にとって、内容に見合った先制点でした。
前半終了:札幌1-0甲府
問題はここからです。
札幌には1-0を2-0にするチャンスがありました。
しかし、サイドを崩してクロスを送る場面までは作れても、最後のパスやフィニッシュが合わない。
川井健太監督も試合後、前半にはさらに得点できる形を作れていた一方、それを追加点につなげられなかったことを課題として挙げています。
結果的に、この「2点目を奪えなかった45分」が後々まで響きました。
後半14分(59分):ミケーレが同点ゴール
後半に入ると空気が変わります。
札幌は前半に見せていた落ち着いたボール回しが徐々に乱れ始め、後方からのつなぎでもミスが発生。
そして59分、甲府がその隙を突きます。
最後はスタチオーリ・ミケーレが決め、1-1。
札幌の野瀬も試合後、自身のパスが試合を難しくしてしまったと振り返っており、この失点が精神的にも大きな分岐点となったことがうかがえます。
後半25分(70分):ミケーレがこの日2点目
同点に追いついた甲府は完全に勢いに乗ります。
70分、再びミケーレ。
これで1-2。
前半は守勢に回っていた甲府が、わずか11分間で試合をひっくり返しました。
札幌は76分にアマドゥ・バカヨコ、イッティモン、堀米悠斗を一気に投入。反撃に出ます。
しかし、その選手交代よりも結果につながったのは甲府側でした。
後半36分(81分):途中出場・内藤大和がダメ押し
甲府は74分にスタチオーリ・ミケーレを下げ、内藤大和を投入。
すると、そのわずか7分後。
内藤がゴールを奪い、スコアは1-3となります。
2得点のミケーレから内藤へ。
ストライカーを交代させてもゴールが生まれたところに、この日の甲府の強さが凝縮されていました。
そのまま試合終了。
北海道コンサドーレ札幌1-3ヴァンフォーレ甲府。
札幌は2年連続で天皇杯2回戦敗退となりました。
4. この試合の見どころシーン
見どころ① 髙尾瑠の豪快すぎる先制ボレー
まず外せないのは30分の先制点です。
CKのクリアボールを迷わず振り抜いた髙尾の判断と技術は見事でした。
髙尾自身も蹴った瞬間に手応えを感じていた一撃で、試合単体のベストゴール候補と言っていいでしょう。
見どころ② 長谷川竜也を中心とした札幌の右サイド
得点には直接結びつかなかったものの、前半の札幌で最も可能性を感じたのが右サイドです。
長谷川が幅を取り、大﨑や髙尾が内外を使い分けながら連係。
序盤の青木の決定機もここから生まれました。
札幌が今後リーグ戦で攻撃を改善していくうえで、一つのヒントになりそうです。
見どころ③ スタチオーリ・ミケーレの2ゴール
甲府側では、もちろんミケーレ。
59分に同点弾、70分に逆転弾。
チームが苦しい時間帯を耐えた後、ストライカーが訪れたチャンスを得点に変える。
まさにFWに求められる仕事をやってのけました。
5. なぜ札幌は1-3で逆転負けしたのか?
この試合を単純に「札幌の守備が悪かった」で片付けるのは少し違います。
最大のポイントは、前半に試合を決め切れなかったことと、後半のミスから自分たちで流れを失ったことです。
原因① 1-0の時間帯で追加点を奪えなかった
前半は明らかに札幌の時間でした。
開始直後から決定機を作り、30分には先制。
さらに攻め込む場面もありました。
ここで2-0まで持っていければ、甲府はより前に出なければならず、札幌がカウンターを狙える展開になっていたはずです。
しかし1-0のまま後半へ。
甲府にとっては「まだ1点で追いつける」状況が残りました。
原因② 後半、ビルドアップの安定感を失った
札幌は前半、浦上や大﨑を経由して比較的スムーズに前進できていました。
ところが後半になると判断やパス精度が乱れます。
同点につながる場面でもミスが発生し、そこからチーム全体に焦りが生まれました。
川井監督も試合後、相手に完全に上回られたというより、自分たちから約束事を崩してしまった後半だったという趣旨の分析をしています。
原因③ 甲府の「仕留める力」が上回った
これが最も大きな差です。
前半の札幌は何度もチャンスを作りましたが1得点。
一方の甲府は後半に流れをつかむと、ミケーレが2得点。
さらにミケーレを下げた後には途中出場の内藤が得点しています。
チャンスの数だけではなく、流れが来た時間帯に一気にスコアへ反映させる力で甲府が上回りました。
札幌が「良い時間帯に1点しか取れなかった」のに対し、甲府は「良い時間帯に3点取った」。
この差が、そのまま1-3という結果になったと言えるでしょう。
6. まとめ:8月29日のリーグ再戦にも直結する一戦
天皇杯2回戦、
北海道コンサドーレ札幌 1-3 ヴァンフォーレ甲府
という結果になりました。
得点経過は以下の通りです。
- 30分:髙尾瑠(札幌)
- 59分:スタチオーリ・ミケーレ(甲府)
- 70分:スタチオーリ・ミケーレ(甲府)
- 81分:内藤大和(甲府)
札幌にとって悔しいのは、最初から最後まで圧倒された試合ではなかったことです。
むしろ前半は札幌のゲームでした。
だからこそ、そこで仕留められなかったこと、そして後半の一つのミスから冷静さを失ったことが重くのしかかります。
一方の甲府は、苦しい前半を1失点で耐えたことが大きかった。
そして後半はミケーレという明確な得点源が結果を残し、さらに途中出場の内藤までゴール。
カップ戦で必要な「悪い時間を耐え、良い時間に一気に仕留める」という試合運びを見せました。
そして何より興味深いのが、両チームは8月29日に再び対戦することです。
今度はJ2第4節、甲府のホーム・JIT リサイクルインク スタジアムで19時キックオフ予定。
天皇杯からわずか3日。
札幌は今回の後半45分をどう修正するのか。
甲府はミケーレや内藤の好調をリーグ戦にも持ち込めるのか。
8月26日の天皇杯は90分で終わりましたが、両チームの駆け引きという意味では、むしろ“前半戦”が終わっただけなのかもしれません。
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