2026年8月26日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会2回戦で、川崎フロンターレと栃木SCが激突しました。
J1の川崎に対し、栃木は臆することなく前からプレッシャーをかけ、29分にはオタボー・ケネスのゴールで先制。一時は「天皇杯らしい波乱」を感じさせる展開となりました。
しかし、ここから川崎が地力を見せます。
前半終了間際の45分にキャプテンの大関友翔が同点ゴール。さらに後半開始早々の50分に紺野和也、56分には再び大関が決め、一気に試合をひっくり返しました。最終スコアは川崎フロンターレ3-1栃木SC。川崎が3回戦進出を決めています。
ただ、スコアだけを見ると「J1の川崎が順当に勝った試合」に見えるかもしれません。
実際にはシュート数が11本対11本。栃木にも十分にチャンスがあり、特に前半は川崎を苦しめる時間帯を作っていました。では、なぜ最終的に2点差がついたのでしょうか。
本記事では、2026年8月27日現在の公式情報をもとに、両チームのスタメン、得点経過、試合の見どころ、そして「なぜ川崎が逆転できたのか」を詳しく振り返ります。
目次
- はじめに:スコア以上に緊張感のあった天皇杯2回戦
- 川崎フロンターレvs栃木SCのスタメン
- 【試合展開】栃木が先制、川崎が前半終了間際に追いつく
- 【勝負の分岐点】なぜ川崎フロンターレが3-1で逆転できたのか?
- この試合で見えた両チームの収穫と課題
- まとめ:大関友翔の2ゴール以上に重要だった「得点した時間帯」
1. はじめに:スコア以上に緊張感のあった天皇杯2回戦
試合は2026年8月26日、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで開催され、公式記録では19時04分にキックオフ。入場者数は7,596人、気温31.3℃、湿度70%という厳しい暑さの中での90分となりました。
川崎にとっては今大会の初戦。一方の栃木は、J1クラブを相手に勝利すれば大きなアップセットとなる一戦です。
さらに栃木を率いる米山篤志監督は川崎に選手・コーチとして在籍した経験があり、五十嵐太陽、大曽根広汰といった川崎に縁のある選手も所属。単なる「J1対J3」というカテゴリー差だけでは語れないカードでした。
そして実際、試合序盤からそのカテゴリー差を感じさせない展開になります。
2. 川崎フロンターレvs栃木SCのスタメン
川崎フロンターレ
GK
山口 瑠伊
DF
松長根 悠仁
フィリップ・ウレモヴィッチ
丸山 祐市
三浦 颯太
MF
河原 創
大関 友翔(Cap.)
紺野 和也
持山 匡佑
FW
マルシーニョ
デリキ・ラセルダ
川崎は大関友翔がキャプテンマークを巻きました。前線にはマルシーニョとデリキ・ラセルダが入り、紺野和也や持山匡佑も先発。普段のリーグ戦とは異なる顔ぶれも含めたメンバー構成となりました。
栃木SC
GK
川田 修平
DF
柳 育崇(Cap.)
阿部 海斗
田畑 知起
MF
佐藤 祥
大迫 塁
大曽根 広汰
堤 陽輝
杉森 考起
FW
オタボー・ケネス
鈴木 輪太朗 イブラヒーム
栃木はオタボー・ケネスと鈴木輪太朗イブラヒームを前線に置き、川崎がボールを保持することをある程度受け入れながらも、「奪った瞬間にゴールへ向かう」という狙いを明確にしていました。
3. 【試合展開】栃木が先制、川崎が前半終了間際に追いつく
前半:川崎が押すも、栃木の狙いが先に結果へ
立ち上がりから川崎はボールを持ち、サイドを使いながら栃木陣内への侵入を試みます。
13分には紺野のロングパスからマルシーニョが左サイドを抜け出し、中央のデリキへ。決定機になりましたが、シュートはゴール上へ外れました。
川崎がチャンスを作る一方、栃木もただ引いて守っていたわけではありません。
中盤で積極的にボールへプレッシャーをかけ、奪った直後には素早く縦へ運ぶ。この狙いが実ったのが29分でした。
川崎の中盤でのボールを栃木がインターセプト。そこからカウンターを仕掛け、一度は川崎守備陣に対応されたものの、最後はフリーとなったオタボー・ケネスがシュートを決めて0-1。栃木が先制します。
この時間帯は栃木の良さが非常によく出ていました。
39分、40分にも川崎ゴールへ迫っており、川崎からすれば簡単な前半ではありませんでした。
45分:大関友翔の一撃が試合を変える
川崎にとって最大のポイントとなったのが前半45分です。
右サイドから紺野がスルーパス。松長根が深い位置まで走り込み、ゴール前へマイナス気味に折り返します。
そこへ遅れて入ってきたのが大関友翔。
ニアサイドで合わせてゴール左隅へ流し込み、1-1。
前半終了間際という、栃木にとって最も避けたかった時間帯で川崎が追いつきました。
栃木の米山監督も試合後、この失点によってゲームプランが難しくなったと振り返っています。1-0でハーフタイムを迎えるのと、1-1で迎えるのでは、後半の心理状況はまったく違います。
4. 【勝負の分岐点】なぜ川崎フロンターレが3-1で逆転できたのか?
後半50分:紺野和也が逆転ゴール
後半開始から川崎は丸山祐市に代えてペドロ・ホマーノを投入。
そして、この交代が早々に結果へつながります。
50分、ホマーノが自陣から栃木ディフェンスラインの背後へロングボール。
マルシーニョがスピードを生かして走り込み、胸でコントロール。こぼれ球に反応した紺野和也が冷静に流し込みました。
川崎2-1栃木。
川崎加入後、紺野にとって初ゴールとなりました。
56分:大関友翔がこの日2点目
栃木が立て直す間もなく、6分後に再び川崎。
ウレモヴィッチが中盤左から前線へロングボールを送り、デリキが相手を背負いながらボールを収めます。
その外側を追い越した大関へラストパス。
大関の左足シュートはDFに当たりながらGKの頭上を越え、ゴールへ吸い込まれました。
3-1。
この日キャプテンを任された大関が2ゴール。結果だけを見れば文句なしのヒーローです。
ただし、大関本人は試合後、先制点につながった場面を含めて自身のミスが多かったことを認めています。それでも前半終了間際にゴール前へ入り、さらに後半もデリキを追い越して得点した点には、ボランチとしての積極性と勝負への責任感が表れていました。
「ボール保持」ではなく「背後への一発」が勝負を決めた
この試合で面白かったのは、川崎の後半2ゴールが細かなパス交換からではなく、センターバック付近から相手最終ラインの背後へ送ったボールを起点としていることです。
長谷部茂利監督も、ゴールへ直接向かうプレーの重要性を試合後に強調しています。
栃木は前線から積極的にプレッシャーをかけました。
それは29分の先制点につながった最大の武器でもあります。
しかし、前へ出れば当然、その背後にはスペースが生まれます。
川崎は後半、そのスペースに対してマルシーニョらのスピードを生かし、シンプルにボールを送り込むことで攻略しました。
米山監督も、後半の失点についてディフェンスライン背後へのボール処理を課題として認めています。
栃木の強みだった前への圧力を、川崎が逆手に取った。
これが3-1という結果につながった大きな理由でしょう。
5. この試合で見えた両チームの収穫と課題
川崎フロンターレ:最大の収穫は「苦しい展開から勝ち切ったこと」
公式記録を見ると、シュート数は川崎11本、栃木11本。
コーナーキックは川崎6本、栃木3本でした。
つまり、川崎が一方的に攻め続けた試合ではありません。
それでも最終的には3得点。
特に、
- 45分に同点
- 50分に逆転
- 56分に追加点
という得点時間は非常に重要でした。
前半終了直前と後半立ち上がりは、サッカーで最も流れが変化しやすい時間帯です。
そこで立て続けに得点できたことが、川崎に試合の主導権をもたらしました。
また、この勝利は川崎にとって2026/27シーズンのトップチーム公式戦初勝利。長谷部監督も試合後、ここからリーグ戦で勝点3を積み重ねていきたいという考えを示しています。
山市秀翔、関德晴がトップチームでデビューしたことも、今後の戦力を考えるうえで明るい材料です。
栃木SC:J1を苦しめた前半は大きな収穫
敗れた栃木にも収穫はありました。
特に前半は、高い位置からボールを奪う狙いが機能。
29分の先制点はまさにチームとして準備してきた形で、米山監督も「高い位置で奪ってチャンスにつなげる」ことを自分たちの武器として挙げています。
一方で課題となったのは、
前からプレスをかけた際の最終ライン背後の管理。
50分、56分と似たエリアを使われて立て続けに失点したことは、今後のリーグ戦に向けても修正が必要でしょう。
ただ、シュート数11本という数字が示すように、栃木が「守るだけ」の90分ではなかったことも事実です。
カテゴリー差以上に競争力を示した一戦だったと言えます。
6. まとめ:大関友翔の2ゴール以上に重要だった「得点した時間帯」
天皇杯2回戦、川崎フロンターレvs栃木SCは3-1で川崎が勝利しました。
得点者は、
29分 オタボー・ケネス(栃木SC)
45分 大関友翔(川崎フロンターレ)
50分 紺野和也(川崎フロンターレ)
56分 大関友翔(川崎フロンターレ)
となっています。
この試合の最大のポイントは、単純な「J1とJ3の個人能力の差」だけではありません。
栃木は前半、積極的なプレスとカウンターで川崎を苦しめ、実際に先制点まで奪いました。
しかし川崎は前半終了直前に同点へ追いつくと、後半は栃木のプレスライン背後を素早く攻撃。50分、56分と立て続けにゴールを奪い、わずか11分ほどの間に試合の景色を完全に変えました。
45分の同点ゴール。
50分の逆転ゴール。
56分の追加点。
この3つのゴールが生まれた「時間帯」こそ、この試合を読み解く最大のポイントです。
天皇杯は、一つのミス、一つのゴールで流れが大きく変わる一発勝負。
栃木が見せた前半の戦い方には「ジャイアントキリング」の可能性が確かにありました。それでも最終的に勝ち切った川崎には、相手の弱点を見つけたあと、それをゴールという結果へ変える個の力と修正力がありました。
スコアは3-1。
しかし内容を振り返れば、数字ほど簡単ではなかった90分です。
川崎にとっては天皇杯の次ラウンドへ進むだけでなく、今季公式戦初勝利という意味でも、今後につながる大きな1勝となりました。
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