天皇杯は、J1から大学、JFL、地域リーグのクラブまでが同じトーナメントで日本一を争う大会です。一発勝負であるため、カテゴリーが大きく離れたチーム同士の対戦でも番狂わせが起こりやすく、数多くの「ジャイアントキリング」が大会史に刻まれてきました。
天皇杯の有名なジャイアントキリング一覧
| 年 | 勝利チーム | 当時の所属 | 破った主なチーム | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 2004 | ザスパ草津 | JFL | セレッソ大阪 | 2-1 |
| 2004 | ザスパ草津 | JFL | 横浜F・マリノス | 2-1・延長 |
| 2007 | Honda FC | JFL | 柏レイソル | 3-2・延長 |
| 2007 | Honda FC | JFL | 名古屋グランパス | 2-0 |
| 2009 | 松本山雅FC | 北信越リーグ1部 | 浦和レッズ | 2-0 |
| 2009 | 明治大学 | 大学 | モンテディオ山形 | 3-0 |
| 2012 | 横河武蔵野FC | JFL | FC東京 | 1-0 |
| 2013 | AC長野パルセイロ | JFL | 名古屋グランパス | 2-0 |
| 2014 | 奈良クラブ | 関西リーグ1部 | ベガルタ仙台 | 2-1 |
| 2014 | ソニー仙台FC | JFL | 鹿島アントラーズ | 2-2、PK2-1 |
| 2017 | 筑波大学 | 大学 | ベガルタ仙台 | 3-2 |
| 2017 | 筑波大学 | 大学 | アビスパ福岡 | 2-1 |
| 2018 | 関西学院大学 | 大学 | ガンバ大阪 | 2-1・延長 |
| 2019 | 法政大学 | 大学 | ガンバ大阪 | 2-0 |
| 2019 | Honda FC | JFL | 北海道コンサドーレ札幌 | 4-2 |
| 2019 | Honda FC | JFL | 浦和レッズ | 2-0 |
| 2021 | 順天堂大学 | 大学 | FC東京 | 2-1・延長 |
| 2021 | Honda FC | JFL | 横浜F・マリノス | 2-2、PK5-3 |
| 2022 | ヴァンフォーレ甲府 | J2 | J1クラブ5チーム | 天皇杯優勝 |
| 2023 | 高知ユナイテッドSC | JFL | ガンバ大阪 | 2-1 |
| 2023 | 高知ユナイテッドSC | JFL | 横浜FC | 1-0 |
| 2024 | JAPANサッカーカレッジ | 北信越リーグ1部 | 名古屋グランパス | 1-0 |
| 2024 | 筑波大学 | 大学 | FC町田ゼルビア | 1-1、PK4-2 |
| 2025 | 東洋大学 | 大学 | 柏レイソル | 2-0・延長 |
| 2025 | 東洋大学 | 大学 | アルビレックス新潟 | 2-1 |
| 2025 | SC相模原 | J3 | 川崎フロンターレ | 0-0、PK3-1 |
2004年|ザスパ草津がJ1王者を撃破
天皇杯史上最大級のジャイアントキリングとして語られるのが、2004年のザスパ草津です。当時JFLに所属していた草津は、4回戦でJ1のセレッソ大阪に2-1で逆転勝ち。続く5回戦では、Jリーグ年間王者となった直後の横浜F・マリノスと対戦しました。
草津は退場者を出して9人となりながら延長戦まで粘り、延長前半に依田光正が決勝点を記録。2-1で勝利し、国内最強クラブを下しました。温泉旅館などで働きながらプレーしていた選手も多かった草津の勝利は、クラブの知名度を全国に広げるきっかけにもなりました。
2007・2019・2021年|「アマチュアの雄」Honda FC
天皇杯で最も多くの番狂わせを起こしてきたチームの一つがHonda FCです。2007年には柏レイソルを延長戦で破ると、名古屋グランパスにも2-0で勝利してベスト8へ進出しました。
2019年には北海道コンサドーレ札幌から4得点を奪い、ラウンド16では浦和レッズを2-0で撃破。JFL勢として準々決勝まで勝ち上がりました。2021年にも横浜F・マリノスと2-2で引き分け、PK戦を5-3で制しています。
プロ化やJリーグ参入を目標としない企業チームでありながら、戦術、運動量、組織力ではJクラブと互角に戦える存在として知られています。
2009年|地域リーグの松本山雅が浦和に完勝
2009年大会では、北信越リーグ1部所属だった松本山雅FCが浦和レッズを2-0で破りました。松本は柿本倫明の得点で先制し、後半にも追加点。約1万4500人が集まったアルウィンで、浦和を無得点に抑えました。
地域リーグ所属チームがJ1クラブを破った初めての事例とされ、後に松本山雅がJリーグへ昇格していく過程でも象徴的な一戦となっています。
同じ2009年には明治大学がモンテディオ山形に3-0で完勝。大学チームがJ1クラブを破った初の事例として歴史に残りました。
2017年|三笘薫を擁した筑波大学が快進撃
2017年の筑波大学は、J3のY.S.C.C.横浜、J1のベガルタ仙台、J2のアビスパ福岡を連破してラウンド16まで進出しました。
仙台戦では、当時大学2年生だった三笘薫が開始6分に先制点を記録。逆転された後にも中野誠也と三笘が得点し、3-2で再逆転しました。筑波大学には三笘のほか、後に日本代表となる選手や多くのJリーガーが在籍しており、大学サッカーのレベルの高さを示した大会となりました。
2022年|J2甲府がJ1勢を5連破して優勝
大会全体を通じた最大の下克上といえるのが、2022年のヴァンフォーレ甲府です。当時J2だった甲府は、北海道コンサドーレ札幌、サガン鳥栖、アビスパ福岡、鹿島アントラーズとJ1勢を次々に撃破しました。
決勝ではサンフレッチェ広島と1-1で延長戦を終え、PK戦に勝利。J2クラブとして史上2チーム目となる天皇杯優勝を成し遂げました。大会期間中のJ2リーグでは下位に低迷していましたが、堅い守備とセットプレー、一発勝負に徹した試合運びで頂点に立っています。
2023年以降も続く地方・大学勢の躍進
2023年には高知ユナイテッドSCがガンバ大阪に2-1、横浜FCに1-0で勝利し、J1クラブを2試合連続で撃破しました。
2024年は北信越リーグ1部のJAPANサッカーカレッジが名古屋グランパスを1-0で破り、筑波大学もJ1首位を争っていたFC町田ゼルビアにPK戦で勝利しました。
2025年には東洋大学が柏レイソルを延長戦の末に2-0で破ると、アルビレックス新潟にも2-1で勝利。大学勢として初めて同一大会でJ1クラブを2試合連続で倒しました。SC相模原も川崎フロンターレを無得点に抑え、PK戦で勝利しています。
まとめ
天皇杯最大のジャイアントキリングとしては、9人でJ1王者を倒した2004年のザスパ草津、地域リーグから浦和を破った2009年の松本山雅、J1勢を5連破して優勝した2022年のヴァンフォーレ甲府が挙げられます。
Honda FCや大学勢も繰り返しJ1クラブを破っており、近年では高知ユナイテッドSC、JAPANサッカーカレッジ、東洋大学が大会を沸かせました。カテゴリーや選手の知名度に関係なく、90分または120分の一発勝負で日本一への道が開かれていることが、天皇杯最大の魅力です。









