2026年9月12日、浦和駒場スタジアムで行われた2026/27 U-21 Jリーグ 東西リーグラウンド EAST第2節、U-21浦和レッズvsU-21東京ヴェルディ。
新設されたU-21 Jリーグの中でも、両クラブの「育成に対する考え方」がはっきりと表れた一戦となった。
U-21浦和はU-20オーストラリア代表DFルカ・ディドゥリカを除き、ほぼ高校生年代で構成。平均年齢は17歳という非常に若いチームで試合に臨んだ。
対する東京Vは、松田陸をはじめとするオーバーエイジ選手に加え、すでにトップチームで出場経験を持つ若手も起用。
経験値では東京Vが大きく上回る構図だった。
それでも前半30分、浦和が宮﨑叶のゴールで先制。
若い浦和がホームで番狂わせを起こすかと思われたが、後半に東京Vが反撃。56分に白井亮丞が豪快なミドルシュートを突き刺し、71分には山田剛綺がPKを成功。
最終的にはU-21東京ヴェルディが2-1で逆転勝利を収め、今大会初白星を手にした。
試合結果
U-21浦和レッズ 1-2 U-21東京ヴェルディ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 U-21 Jリーグ |
| ラウンド | 東西リーグラウンド EAST 第2節 |
| 開催日 | 2026年9月12日 |
| 会場 | 浦和駒場スタジアム |
| スコア | U-21浦和レッズ 1-2 U-21東京ヴェルディ |
| 前半 | 1-0 |
| 後半 | 0-2 |
| 浦和得点 | 30分 宮﨑叶 |
| 東京V得点 | 56分 白井亮丞、71分 山田剛綺 |
| 入場者数 | 2,531人 |
| 天候 | 曇 |
| 気温 | 23.2℃ |
| 湿度 | 84% |
公式記録では浦和が前半30分に先制。東京Vは後半に2得点を挙げ、試合をひっくり返した。
試合スタッツ
シュート数では浦和が上回る
| スタッツ | U-21浦和 | U-21東京V |
|---|---|---|
| シュート | 12 | 10 |
| オフサイド | 2 | 2 |
| コーナーキック | 3 | 5 |
| フリーキック | 10 | 12 |
| 警告 | 2 | 0 |
| 退場 | 0 | 0 |
結果は東京Vの勝利だったが、シュート数では浦和が12本対10本で上回った。
特に興味深いのは、試合序盤の内容だけを見れば東京Vが優勢だったにもかかわらず、浦和が試合の中で順応し、自分たちの攻撃回数を増やした点だ。
田中達也監督も試合後、序盤は東京Vのスピードに対応できず、ボールを奪ってもすぐ失う場面があったと振り返る一方、時間の経過とともに準備してきた形を出し、複数のチャンスを作れたと評価している。
試合展開
序盤:経験で上回る東京Vが主導権
試合開始直後からボールを握ったのは東京Vだった。
トップチーム経験を持つ選手が複数いる東京Vに対し、浦和は平均年齢17歳。
プレースピード、球際での判断、ボールを受ける前の準備といった部分で東京Vが一歩先を行き、前半の飲水タイム付近までは浦和陣内で試合が進む時間が長かった。
東京Vはボールを奪われても素早く回収。
浦和はマイボールにしても前へ運ぶ前に奪い返される場面が目立った。
このまま東京Vが押し切るかと思われた。
しかし、ここから流れが変わる。
飲水タイム後:浦和がプレスを修正
飲水タイムを利用して浦和が守備を修正。
東京Vのビルドアップに対するプレッシャーの掛け方が整理されると、ボールを高い位置で奪う回数が増え始める。
序盤は相手のスピードに「合わせる」だけだった浦和の選手たちが、徐々に自分たちからプレーを起こすようになった。
この若いチームの適応力は、この試合における浦和最大の収穫だった。
得点までの流れ
30分:宮﨑叶がこぼれ球を押し込み浦和先制
流れを取り戻した浦和が、セットプレーから先制する。
前半30分。
ゴール前へ送ったセットプレーから混戦が生まれ、最後は宮﨑叶がこぼれ球に反応。
ゴールへ押し込み、ホームの浦和が1-0とリードした。
東京Vに長い時間ボールを握られていた浦和だったが、セットプレーという一つのチャンスを確実に得点へ変えた。
経験値で上回る相手に対して若いチームが勝つためには、こうしたセットプレーの精度が非常に重要になる。
56分:白井亮丞が豪快ミドル
後半に入ると東京Vが再び攻撃のギアを上げる。
そして56分。
白井亮丞がペナルティーエリア外から右足を振り抜く。
ボールは勢いよくゴールへ突き刺さり、東京Vが1-1。
この試合の流れを大きく変える豪快なミドルシュートだった。
浦和としては守備ブロック自体を完全に崩されたわけではない。
だからこそ、「エリア外から打たせない」という最後の寄せが必要だった。
一方の白井は、スペースができた瞬間を逃さずフィニッシュまで持ち込んだ。
トップチームでも出場経験を持つ選手らしい判断の速さが表れた。
71分:山田剛綺がPKで逆転
東京Vが追いついたことで試合の流れは一気にアウェイチームへ。
71分、東京VがPKを獲得する。
キッカーは山田剛綺。
落ち着いてゴールを決め、1-2。
東京Vがついに試合をひっくり返した。
第1節ではFC東京に0-3で敗れていた東京Vにとって、これがU-21 Jリーグでの記念すべき初勝利となった。
U-21浦和レッズ スタメン・選手採点
WSP独自採点
| 選手 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|
| GK マルコム アレックス恵太 | 6.5 | 2失点も大崩れはせず。経験豊富な東京V攻撃陣を相手に奮闘 |
| DF 森泉迅 | 6.0 | 序盤は押し込まれたが、時間とともに対人守備が安定 |
| DF ルカ・ディドゥリカ | 6.5 | U-20豪州代表らしい強さを見せ、最終ラインを統率 |
| DF 田中義峯 | 6.0 | 経験差のある相手に粘り強く対応 |
| DF 高橋温郎 | 6.0 | サイドで上下動。後半に警告を受けたが積極性は見せた |
| MF 小川直澄 | 6.0 | 中盤でボールを動かし、浦和が落ち着きを取り戻すことに貢献 |
| MF 和田武士 | 6.5 | 天皇杯でトップ出場経験を持つ存在として中盤をけん引 |
| MF 蔦澤洋紀 | 6.0 | プレスとボール運びで貢献。後半途中までプレー |
| MF 宮﨑叶 | 7.5 | 先制ゴール。セットプレーのこぼれ球への反応が光った |
| MF 川内太良 | 6.0 | 運動量を発揮し攻守に関与。後半に警告 |
| FW 中村虎太郎 | 6.0 | 前線で身体を張り、東京V最終ラインと競り合った |
スターティングメンバーはJリーグ公式記録に基づく。
U-21浦和レッズ 途中出場選手・採点
終盤まで同点を狙って攻める
| 選手 | 投入 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|---|
| 西川碧斗 | 68分 | 6.0 | 蔦澤に代わって投入。中盤に運動量を加えた |
| 菊池大河 | 74分 | 6.0 | 川内に代わって出場し、終盤の攻撃へ関与 |
浦和は大量に選手を替えるのではなく、若いスターティングメンバーを長くピッチに残した。
結果だけではなく、公式戦のプレッシャーの中で90分近くプレーさせること自体も、このU-21チームにおける重要な育成テーマなのだろう。
U-21東京ヴェルディ スタメン・選手採点
WSP独自採点
| 選手 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|
| GK 中村圭佑 | 6.5 | セットプレーから1失点も、それ以外は落ち着いた対応 |
| DF 松田陸 | 7.0 | 27歳のオーバーエイジとして守備陣を支え、経験値を還元 |
| DF 庄司瑛人 | 6.5 | 若い浦和の勢いに対応し、後半は安定 |
| MF 山本丈偉 | 7.0 | トップ経験を生かし中盤のテンポをコントロール |
| MF 今井健人 | 6.5 | 攻守のつなぎ役としてプレー |
| MF 仲山獅恩 | 6.5 | ボールを受ける位置を変えながら浦和守備陣を動かした |
| FW 白井亮丞 | 8.0 | 豪快な同点ミドル。ゲームを完全に変えた一発 |
| FW キム・ヒョンウ | 6.5 | 前線で浦和最終ラインにプレッシャーを掛け続けた |
| FW 大藤颯太 | 6.5 | 攻撃で流動的にポジションを取りチャンスに関与 |
| FW 山田剛綺 | 7.5 | 逆転PKを成功。勝負どころで結果を残した |
| FW 川村楽人 | 6.5 | 豊富な運動量で攻撃を支えた |
東京Vは松田陸らオーバーエイジ選手に加え、トップチーム経験のある若手を起用。浦和とは明確に異なるチーム編成でこの試合に臨んだ。
U-21東京ヴェルディ 途中出場選手・採点
ベンチ4人という状況でも逃げ切る
| 選手 | 投入 | 採点 | 寸評 |
|---|---|---|---|
| ゼイナー大耀 | 76分 | 6.0 | 山田に代わり、リード後の強度維持に貢献 |
| 植月瑛大 | 86分 | 6.0 | キム・ヒョンウに代わって終盤をプレー |
| 七久保優 | 88分 | ― | 川村に代わって投入。出場時間が短く採点なし |
東京Vの森下仁志監督によれば、この日のメンバーが正式に決まったのは当日の朝。
トップチームが翌日にJ1の試合を控えていたこともあり、ベンチ入り選手はわずか4人という状況だった。
それでも逆転後の試合をコントロールし、最後まで1点差を守った点は評価できる。
MOM
白井亮丞【8.0】
WSP選出のMOMは白井亮丞。
最終的な決勝点は山田剛綺のPKだったが、この試合を動かしたプレーという意味では白井のゴールが最も大きかった。
0-1で迎えた後半56分。
若い浦和が勢いに乗り始め、スタジアムの空気もホームチームへ傾き始めていた。
その状況で決めた強烈なミドルシュート。
守備陣形を崩し切れなくても、自ら一振りでゴールを生み出せる。
トップレベルを目指すアタッカーに必要な「個で試合を変える力」を示した一発だった。
東京ヴェルディはなぜ逆転できたのか?
勝因① 経験値の差を後半に生かした
前半の東京Vはボールを握りながらも先制を許した。
ただし、そこで慌てなかった。
オーバーエイジ選手やトップ経験者がいることで、0-1になった後も試合全体のテンポを大きく崩さず、後半へ入ってもう一度自分たちのペースへ引き戻した。
若手育成の大会だからこそ、経験豊富な選手と若手が同じピッチに立つ意味が表れた一戦だった。
勝因② 白井亮丞の一発
育成年代の試合では「内容」が重視されやすい。
しかしU-21 Jリーグは公式戦。
求められるのは最終的に勝敗を決めるプレーだ。
白井は守備を完全に崩すまでボールを回し続けるのではなく、ミドルレンジからシュートを選択。
それをゴールへ結びつけた。
この判断こそ、東京Vを逆転へ向かわせる最大のスイッチだった。
勝因③ 同点後に一気に逆転まで持っていった
1-1に追いついた後、東京Vは安心しなかった。
さらに前への圧力を強め、71分にはPKを獲得。
山田が決めて逆転した。
同点で満足せず、相手が精神的に揺れる時間帯で一気に勝ち越す。
ここにも経験値の差が出た。
U-21浦和はなぜ敗れたのか?
課題① 後半の入りで受けに回った
浦和は前半を1-0で終えた。
平均年齢17歳のチームが、経験豊富な東京Vを相手にリードしてハーフタイムへ入ったこと自体は非常に大きい。
ただ、後半は東京Vが攻勢を強めた際に受ける時間が増えた。
56分の同点ゴールまでの時間帯に、相手陣でボールをキープする時間をもう少し作りたかった。
課題② ペナルティーエリア周辺の守備
白井のミドルシュートは素晴らしかった。
それでも浦和側から見れば、ペナルティーエリア外で自由に右足を振らせたことは改善材料になる。
トップカテゴリーでは一瞬のスペースでも得点につながる。
今回の経験は、若い選手たちにとって非常に価値の高い教材になるはずだ。
課題③ リード後のゲームコントロール
浦和にとって最も大きな経験になったのはここだろう。
「先制すること」と「勝つこと」は違う。
1-0から相手の勢いを消すためにボールを保持する。
ファウルを受ける。
相手陣でスローインを獲得する。
試合のテンポを意図的に落とす。
こうした勝つための細かな技術は、トレーニングマッチだけでは習得しにくい。
公式戦で1-0を守ろうとしたからこそ得られた経験だ。
浦和が得た最大の収穫
平均17歳でも「試合になった」
結果以上に評価したいのがここだ。
浦和は平均年齢17歳。
相手には27歳の松田陸や、すでにトップカテゴリーを経験している選手がいた。
それでもシュート数は12対10。
浦和が上回った。
序盤こそ押し込まれたものの、飲水タイムを利用した修正後はゲームへ適応し、先制点も奪った。
田中達也監督が語ったように、「相手のスピードに慣れてから自分たちの力を発揮した」こと自体が、この大会の存在意義を象徴している。
両クラブで異なるU-21リーグの活用法
浦和は「ユースから引き上げる場所」
田中監督は、浦和のU-21チームについて、基本的にはユースなど下のカテゴリーから選手を引き上げることを目的としていると説明した。
つまりU-21 Jリーグを、
「トップチームに入る前の選手を鍛える場所」
として活用している。
17歳前後の選手が、トップ経験者や20代の選手と公式戦で戦う。
その経験が数年後の浦和レッズへつながっていくという考え方だ。
東京Vは「トップ直下の実戦環境」
一方、東京Vは少し違う。
この試合ではトップチームに近い若手やオーバーエイジを積極的に投入。
森下監督は、この日の出場選手が翌日のJ1メンバーへ入る可能性もあったと明かしている。
つまり、
「トップチームに最も近い選手へ公式戦経験を与える場所」
という側面が強い。
どちらが正解という話ではない。
同じU-21 Jリーグでもクラブごとに異なる育成方法を実践できること自体が、この大会の面白さだ。
U-21浦和が次戦までに改善したいポイント
「良い試合」を「勝てる試合」に変えたい
浦和の次戦は9月20日、アウェイのヤマハスタジアムでU-21ジュビロ磐田と対戦する。
東京V戦では内容面で大きな可能性を示した。
次に必要なのは勝点だ。
特に改善したいのは、
先制後のボール保持。
ペナルティーエリア外の寄せ。
後半立ち上がりのゲームへの入り方。
この3点。
17歳前後の選手たちにとって、今回の逆転負けは悔しい。
ただし、その悔しさを次の公式戦ですぐに修正できることこそ、リーグ戦形式の最大のメリットでもある。
U-21東京ヴェルディが次戦までに改善したいポイント
試合の入りから得点までつなげたい
東京Vは序盤、長い時間ゲームを支配した。
それでも先制したのは浦和だった。
ボールを持つこと自体が目的にならず、その優勢な時間帯にゴールを奪えるか。
ここは大きな改善ポイントだ。
次戦は9月20日、AGFフィールドでU-21清水エスパルスと対戦する。
浦和戦のようにビハインドから逆転する力も重要だが、今後は最初からリードを奪い、90分をコントロールする試合も増やしたい。
U-21 Jリーグだからこそ見えたもの
「練習試合」と「公式戦」はまったく違う
この試合には2,531人が来場した。
新設大会の第2節としては非常に興味深い数字だ。
森下監督は、本気の試合をサポーターの前で経験できることについて「毎週やりたい」と話した。
田中監督も、若い選手たちが120%の力を出す姿が観客の心を動かしたと振り返っている。
勝てば喜び、負ければ悔しい。
スタンドから声援が飛ぶ。
時間を使う。
判定に反応する。
1点を守る。
1点を追う。
こうした感情まで含めた「公式戦の経験」は、トレーニングマッチだけでは完全に再現できない。
U-21 Jリーグが19~21歳を中心としたポストユース年代のプレー環境を確保する目的で創設された意味を感じさせる一戦だった。
まとめ
東京Vが逆転勝利。しかし浦和の17歳軍団にも大きな可能性
最終スコアは、
U-21浦和レッズ 1-2 U-21東京ヴェルディ。
30分に宮﨑叶が決めて浦和が先制。
56分に白井亮丞が豪快なミドルで追いつき、71分には山田剛綺がPKを決めて東京Vが逆転した。
結果だけなら東京Vの勝利。
しかし、この試合の面白さはスコアだけではない。
平均年齢17歳という浦和。
トップ直下の選手やオーバーエイジを組み込んだ東京V。
まったく異なるチーム作りをする2クラブが「育成」と「勝利」を同時に求めて90分間戦った。
浦和にとっては、経験豊富な相手にも十分戦えることを証明した一戦。
東京Vにとっては、公式戦でビハインドをひっくり返す勝負強さを若手が経験できた一戦だった。
そして何より、2,531人の観客の前で行われた「本気の公式戦」であることに価値がある。
数年後。
この試合に出場した選手の中から浦和や東京Vのトップチームを背負う選手が生まれるかもしれない。
そう考えると、今回の1-2は単なるU-21カテゴリーの一試合ではない。
未来のJリーグを先取りした90分だった。
免責事項
本記事について
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