2026年9月23日に行われた天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦、ヴィッセル神戸vsサガン鳥栖。
試合は後半33分(78分)、エリキが決勝ゴールを奪い、ヴィッセル神戸が1-0で勝利した。
J1首位を走る神戸とJ2の鳥栖という対戦だったが、内容を見るとカテゴリー差を感じさせない接戦だった。
鳥栖はボール保持率54%、シュート11本を記録。神戸の保持率46%、シュート8本を上回り、枠内シュートでも鳥栖が2本、神戸が1本だった。
それでも最後に勝敗を分けたのは、神戸が後半から投入した大迫勇也、井手口陽介、武藤嘉紀らの存在、そして一度の決定機を仕留めたエリキの決定力だった。
今回はヴィッセル神戸vsサガン鳥栖を、試合展開、戦術、交代策、個人評価、今後の課題まで徹底分析する。
ヴィッセル神戸vsサガン鳥栖|試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 3回戦 |
| 開催日 | 2026年9月23日 |
| 会場 | ノエビアスタジアム神戸 |
| 結果 | ヴィッセル神戸 1-0 サガン鳥栖 |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 1-0 |
| 得点 | 78分 エリキ(神戸) |
| 観客数 | 6,887人 |
神戸はこの勝利で天皇杯ベスト16進出を決めた。
また、8月26日の天皇杯2回戦から続く公式戦の連勝を8に伸ばしている。
両チームのスターティングメンバー
ヴィッセル神戸|4-1-2-3
神戸は直前のJ1・ガンバ大阪戦から、永戸勝也を除く10人を変更。
過密日程を考慮しながら、普段リーグ戦で出場時間が限られている選手を多く起用した。
| ポジション | 選手 |
|---|---|
| GK | 新井章太 |
| DF | 岩波拓也 |
| DF | 桑崎優樹 |
| DF | カエターノ |
| MF | 渡辺皓太 |
| MF | 日髙光揮 |
| MF | 飯野七聖 |
| MF | エリキ |
| MF | ジェアン・パトリッキ |
| MF | 永戸勝也 |
| FW | 小松蓮 |
フォーメーション上は4-1-2-3。大幅なメンバー変更を行いながらも、渡辺皓太や永戸勝也らを配置し、ボールを動かせる構成を採用した。
サガン鳥栖|3-4-2-1
対する鳥栖は3-4-2-1。
| ポジション | 選手 |
|---|---|
| GK | 松原颯汰 |
| DF | 神山京右 |
| DF | 森下怜哉 |
| DF | 小川蒼空 |
| MF | 安藤寿岐 |
| MF | 松本凪生 |
| MF | 櫻井辰徳 |
| MF | 城生幹大 |
| MF | 中原輝 |
| MF | 楢原慶輝 |
| FW | 鈴木大馳 |
3バックとウイングバックを使いながら幅を確保し、前線の鈴木大馳を中心に神戸ゴールへ迫った。
試合スタッツから見る「数字以上の接戦」
この試合を象徴しているのがスタッツだ。
| 項目 | 神戸 | 鳥栖 |
|---|---|---|
| ボール保持率 | 46% | 54% |
| シュート | 8 | 11 |
| 枠内シュート | 1 | 2 |
| CK | 0 | 3 |
| オフサイド | 1 | 2 |
| FK | 10 | 12 |
| PK | 0 | 0 |
| イエローカード | 3 | 0 |
勝った神戸が保持率、シュート、枠内シュート、CKのすべてで鳥栖を下回った。
特に注目したいのは、神戸の枠内シュートがわずか1本だったことだ。
その1本がエリキの決勝ゴールになった。
数字だけなら鳥栖にも十分勝機があった試合であり、両チームの差が最も表れたのは「シュート数」ではなく「決定機を得点に変える力」だったと言える。
前半分析|鳥栖が主導権、神戸は10人変更の影響も
鳥栖がカテゴリー差を感じさせない入り
前半は鳥栖がボールを持つ時間が長くなった。
神戸はG大阪戦から10人を入れ替えており、普段とは異なる組み合わせだったこともあって、攻撃時の距離感やタイミングが完全には噛み合わない。
鳥栖は3-4-2-1から横幅を使い、神戸の守備を動かしながら前進。
J2チームがJ1首位の神戸に対して一方的に押し込まれるような展開にはならなかった。実際、試合レポートでも前半は鳥栖が主導権を握る時間帯があったと報じられている。
神戸にも小松蓮、日髙光揮がチャンス
神戸にも得点機はあった。
小松蓮、日髙光揮らがゴールを狙う場面を作ったものの、フィニッシュの精度を欠き、前半は0-0。
天皇杯2回戦で2得点を記録していた小松にも期待がかかったが、この日は1本のシュートにとどまり、ハーフタイムで大迫勇也との交代となった。
後半分析|スキッベ監督の交代策で流れが変わる
ハーフタイムに大迫勇也&井手口陽介を投入
ミヒャエル・スキッベ監督は0-0のまま後半を迎えると、一気に動いた。
ハーフタイムに、
小松蓮 → 大迫勇也
桑崎優樹 → 井手口陽介
の2枚替えを実施。
神戸としては、大迫を前線に置くことで攻撃の基準点を作り、井手口を中盤へ入れることで球際やセカンドボールへの強度を高める狙いがあったと考えられる。
57分には武藤嘉紀も投入
それでも試合が動かないと、57分には日髙光揮に代えて武藤嘉紀。
リーグ首位を走る神戸の主力が次々とピッチへ送り込まれた。
大迫が前線でボールを収め、武藤がその周囲を動くことで、前半よりも鳥栖最終ラインへプレッシャーを掛けやすくなった。
スタメン10人を変更してスタートしながら、勝負所では主力を投入できる。
この「ベンチの質」が、結果的に試合の大きな分岐点となった。
78分|エリキが唯一の枠内シュートをゴールへ
ジエゴ、武藤、エリキが絡んだ決勝点
均衡が破れたのは78分。
左サイドから攻撃を作り、途中出場のジエゴへボールが渡る。
そこからゴール前へ入り、武藤嘉紀がつないだボールをエリキが右足で仕留めた。
神戸 1-0 鳥栖。
この試合で神戸が記録した枠内シュートは、このエリキのシュート1本だけだった。
それを確実にゴールへ変えたことに、現在の神戸の勝負強さが表れている。
エリキは公式戦2試合連続ゴール
エリキは直前のG大阪戦でも90分に決勝点を記録しており、これで公式戦2試合連続得点。
鳥栖戦は今夏チームへ復帰してから初先発となったが、再び結果を残した。
単純なスピードだけではなく、ゴール前で冷静にコースを選べるフィニッシュ能力は、今後の神戸にとって非常に大きな武器になりそうだ。
勝敗を分けた3つのポイント
① 神戸の「交代選手の質」
この試合最大の違いは選手層だった。
神戸が後半から投入したのは、大迫勇也、井手口陽介、武藤嘉紀、ジエゴ、山川哲史ら。
特に大迫、井手口、武藤の投入によって、前半とは明らかにチームの強度が変わった。
そして決勝点にも途中出場のジエゴと武藤が関与している。
10人を入れ替えて試合に入り、必要になれば日本代表経験者をベンチから投入する。
J1首位を走る神戸の選手層が、トーナメント戦で大きな意味を持った。
② 「11本対8本」でも決定力は神戸
シュート数は鳥栖が11本、神戸が8本。
鳥栖FW鈴木大馳だけでも4本を放っている。
それでも鳥栖はゴールを奪えなかった。
一方のエリキは2本のシュートを放ち、唯一枠へ飛ばした1本を得点にした。
トーナメントでは内容で互角以上に戦っていても、最後の一振りで結果が決まる。
鳥栖にとっては非常に悔しい数字となった。
③ 神戸は苦しい時間でも失点しない
鳥栖は54%のボール保持率と11本のシュート、3本のCKを記録した。
それでも神戸は無失点。
大幅なメンバー変更がありながらも、最後の局面では身体を張り、新井章太を中心にゴールを守った。
内容が良くない時間帯でも失点せず、最後に得点して勝つ。
公式戦8連勝という結果には、この「崩れない時間を作れること」も大きく影響している。
ヴィッセル神戸徹底分析
10人変更でも勝利できたことが最大の収穫
神戸にとって最も大きな収穫は、主力を大幅に休ませながら天皇杯を突破できたことだろう。
直前のG大阪戦から残った先発は永戸勝也のみ。
それでも1-0で勝利した。
複数大会を戦う神戸にとって、「主力11人でなければ勝てない」という状況にならなかったことは重要だ。
大迫・武藤に依存し過ぎない攻撃へ
一方で課題もある。
前半は攻撃が停滞し、試合全体でもシュート8本、枠内1本、CK0本。
最終的には大迫や武藤を投入することで攻撃が改善したため、裏を返せば控え組だけで相手を押し切るところまでは至らなかった。
今後ACLなどを含む過密日程を考えれば、ローテーションメンバー同士でも攻撃の再現性を高める必要がある。
飯野七聖は古巣相手に今季初フル出場
飯野七聖は古巣・鳥栖を相手に今季初のフル出場。
攻守に運動量を発揮し、90分を通してチームに貢献した。
大量ローテーションの試合で最後までピッチに残ったことは、今後の出場機会を考えてもプラス材料となりそうだ。
サガン鳥栖徹底分析
J1首位相手でも内容では十分戦えた
敗れた鳥栖だが、内容を悲観する必要はない。
保持率54%。
シュート11本。
枠内シュート2本。
CK3本。
ほとんどの攻撃系スタッツで神戸を上回った。
カテゴリーが上の相手、それもJ1首位の神戸を相手に敵地でここまでボールを持ち、シュートまで持ち込めたことは評価できる。
鈴木大馳が4本のシュート
鳥栖の攻撃で積極性を見せたのが鈴木大馳。
チーム最多となる4本のシュートを放ち、そのうち1本を枠内へ飛ばした。
前線でフィニッシュまで持ち込めた点はプラスだが、今後はその回数を得点へ結び付ける必要がある。
課題は「良い試合」を「勝利」に変える部分
鳥栖にとって最大の課題は決定力だ。
神戸より3本多い11本のシュートを打ちながら無得点。
相手に許した枠内シュートはわずか1本だったにもかかわらず、それが決勝点になった。
内容で互角に戦うだけでなく、ペナルティーエリア内での最後の判断やシュート精度を高めることが、リーグ戦でも重要になってくる。
選手個人評価|ヴィッセル神戸
※評価点は10点満点で、試合内容をもとにした当サイト独自評価。JFA、Jリーグ、クラブ等による公式採点ではない。
| 選手 | 評価 | 寸評 |
|---|---|---|
| 新井章太 | 7.0 | キャプテンとして無失点勝利。鳥栖の枠内シュートを阻止 |
| 岩波拓也 | 6.5 | 最終ラインを落ち着かせ、終盤まで無失点に貢献 |
| 桑崎優樹 | 5.5 | 警告を受け、ハーフタイムで交代 |
| カエターノ | 6.5 | 守備を安定させながら決勝点につながる攻撃にも関与 |
| 渡辺皓太 | 6.5 | 中盤でボールを動かし、攻守の接続役を務めた |
| 日髙光揮 | 5.5 | 攻撃に絡む場面はあったが決定的な仕事までは至らず |
| 飯野七聖 | 7.0 | 古巣相手に今季初フル出場。攻守で高い運動量 |
| エリキ | 7.5 | 決勝点。唯一の枠内シュートを仕留めたMOM候補 |
| ジェアン・パトリッキ | 6.0 | 推進力を見せたが、決定機には直結せず |
| 永戸勝也 | 6.5 | G大阪戦から唯一の連続先発。左サイドを安定させた |
| 小松蓮 | 5.5 | 1本のシュート。前半のみで交代 |
| 井手口陽介 | 6.5 | 後半から入り、中盤の強度を向上 |
| 大迫勇也 | 6.5 | 前線の基準点となり、神戸の攻撃を安定させた |
| 武藤嘉紀 | 7.0 | 決勝点につながるラストプレーに関与 |
| ジエゴ | 6.5 | 途中出場から決勝点の攻撃に絡んだ |
| 山川哲史 | 採点なし | 終盤から出場し逃げ切りに貢献 |
| 髙橋壱晟 | 採点なし | アディショナルタイムから出場 |
神戸のMOM:エリキ
MOMにはエリキを選出したい。
シュート2本、枠内1本、得点1。
決して多くのチャンスがあったわけではない試合で、最大のチャンスを確実にものにした。
G大阪戦に続く公式戦2試合連続の決勝ゴールという結果も含め、7.5点とした。
選手個人評価|サガン鳥栖
| 選手 | 評価 | 寸評 |
|---|---|---|
| 松原颯汰 | 6.0 | 失点場面以外は大きく崩れず |
| 神山京右 | 6.5 | 神戸の前線に粘り強く対応 |
| 森下怜哉 | 6.0 | 77分まで守備陣を支えた |
| 小川蒼空 | 6.5 | J1首位の攻撃陣を相手に大崩れせず |
| 安藤寿岐 | 6.0 | サイドで攻守に関与 |
| 松本凪生 | 6.0 | 中盤でボール保持に貢献 |
| 櫻井辰徳 | 6.5 | キャプテンとして中盤を支えた |
| 城生幹大 | 6.0 | 鳥栖が主導権を握った前半に貢献 |
| 中原輝 | 6.0 | 前半を中心に攻撃の組み立てに参加 |
| 楢原慶輝 | 6.0 | 幅を作りながら神戸守備陣へプレッシャー |
| 鈴木大馳 | 6.5 | チーム最多4シュート。得点まであと一歩 |
| 井澤陸 | 6.5 | 後半から入り、枠内シュートも記録 |
| 豊田歩 | 6.0 | 中盤に変化を加えた |
| 西澤健太 | 6.0 | 後半から攻撃に関与 |
| 坂本航基 | 6.0 | 途中出場から得点を狙った |
| 阿部海大 | 採点なし | 終盤から出場 |
| 吉田真那斗 | 採点なし | 終盤投入で攻撃参加 |
ヴィッセル神戸|次戦までの改善ポイント
ローテーション時の攻撃精度
神戸が改善したい最大のポイントは、メンバーを入れ替えた際の攻撃。
鳥栖戦では前半0-0。
試合全体でも枠内シュートは1本のみだった。
勝利という結果は得たものの、複数大会を勝ち抜くためには、大迫や武藤を投入しなくても一定水準の攻撃を作れる状態を目指したい。
不要な警告を減らす
神戸は桑崎、日髙、井手口の3選手が警告を受けた。
一発勝負の大会では累積警告や退場が試合そのものを左右する可能性がある。
球際の強度を維持しながら、よりクリーンにボールを奪うことも課題だ。
次戦は10月9日の柏レイソル戦
神戸の次のJ1リーグ戦は10月9日、アウェイの柏レイソル戦。
鳥栖戦から一定の準備期間を取れるため、コンディションを整えながら首位争いを続けたい。
サガン鳥栖|次戦までの改善ポイント
シュート11本を得点につなげる
鳥栖に必要なのは非常に明確だ。
「チャンスを作る」段階から、「チャンスを仕留める」段階へ進むこと。
J1首位の神戸に11本のシュートを放てるのであれば、攻撃そのものが機能していないわけではない。
最後のクロス、ラストパス、シュートの精度を少しずつ上げることが結果につながる。
主力投入後の相手への対応
前半は鳥栖が互角以上に戦ったが、大迫、井手口、武藤が投入されると神戸の圧力が増した。
90分の中で相手がシステムや選手を変えた時に、自分たちもどう対応するのか。
試合中の修正力も今後のポイントになりそうだ。
次戦は9月26日のモンテディオ山形戦
鳥栖は中2日でJ2リーグへ戻り、9月26日17時からアウェイでモンテディオ山形と対戦する。
天皇杯で120分まで戦わず90分で終えられたとはいえ、短い準備期間となる。
神戸戦で見せたボール保持とシュートまで持ち込む形を、今度はリーグ戦の勝点につなげたい。
天皇杯|神戸はベスト16進出
この勝利によって神戸は天皇杯ベスト16入り。
3回戦の残り10試合は10月7日に開催予定となっており、そこから大会はさらに本格的な決勝トーナメントへ進んでいく。
リーグ戦で首位を走り、ACLも並行して戦う神戸にとってはタイトル獲得を狙える大会がさらに一つ残った。
選手層の厚さが問われる今後の天皇杯でも、今回のようにローテーションと主力投入をどう組み合わせるかが重要になる。
まとめ|数字では鳥栖、勝負所では神戸
ヴィッセル神戸1-0サガン鳥栖。
結果だけならJ1首位の神戸がJ2鳥栖を順当に破ったようにも見える。
しかし試合内容は大きく異なる。
保持率は鳥栖54%、神戸46%。
シュート数は鳥栖11本、神戸8本。
枠内シュートも鳥栖2本、神戸1本。
鳥栖はカテゴリー差を感じさせない内容で神戸を苦しめた。
それでも、その「1本」を得点に変えたのが神戸だった。
大幅にメンバーを変更し、前半に苦しみながらも、後半から大迫勇也、井手口陽介、武藤嘉紀らを投入。最後は途中出場選手が絡んだ攻撃からエリキが決めた。
圧倒して勝つだけでなく、苦しい試合でも1-0で勝ち切る。
公式戦8連勝という神戸の勢いを象徴するような一戦だった。
一方の鳥栖にとっても、J1首位を相手に敵地で互角以上の数字を残したことは今後につながる。
あとは、その内容を「得点」と「勝利」に変えられるか。
勝者と敗者を分けたのは、大きな実力差ではなく、ゴール前でのわずかな精度の差だった。
免責事項
本記事は、JFA、Jリーグ、各クラブ公式情報、試合記録など、2026年9月24日時点で確認できる公開情報をもとに作成しています。
戦術分析、選手評価、MOM、改善ポイントなどについては、公式記録をもとにしたワールドサッカーポータル独自の分析・見解であり、JFA、Jリーグ、各クラブ、監督、選手等の公式評価ではありません。
また、本記事の文章作成、構成整理および情報整理の一部にはAIライティングツールを使用しています。可能な限り公式情報との照合を行っていますが、最新かつ詳細な情報についてはJFAおよび各クラブの公式発表をご確認ください。








