2026年9月2日、維新みらいふスタジアムで行われた「2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ」1stラウンド1回戦、レノファ山口FC vs 藤枝MYFC。
試合は前半を0-0で折り返したものの、後半70分に真鍋隼虎が均衡を破ると、79分にも真鍋がこの日2点目を奪取。藤枝MYFCが2-0で勝利し、1stラウンド2回戦進出を決めました。
ただ、スコアだけを見ると「J2の藤枝がJ3の山口を順当に破った」という印象になるかもしれません。
実際の90分は、そこまで単純ではありませんでした。
公式記録ではシュート数は両チームとも14本。山口も前半から粘り強く守り、藤枝に簡単な決定機を与えない時間を長く作っています。それでも最終的に0-2。
最後に浮き彫りになったのは、ボールを奪った後の精度、ゴール前での判断、そして数少ない好機を結果へ結びつける「決定力」の差でした。
本記事では、山口vs藤枝の試合展開を振り返りながら、スタメン、途中出場選手、全選手採点、両チームの課題、次戦に向けた改善ポイントまで詳しく解説します。
1. レノファ山口FC vs 藤枝MYFCの試合結果
試合基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ 1stラウンド1回戦 |
| 開催日 | 2026年9月2日 |
| 会場 | 維新みらいふスタジアム |
| 結果 | レノファ山口FC 0-2 藤枝MYFC |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 0-2 |
| 得点 | 真鍋隼虎 70分、79分 |
| 入場者数 | 2,308人 |
試合は19時03分にキックオフ。
山口はJ3、藤枝はJ2を戦っているためカテゴリーは一つ違いますが、前半45分を見る限り、その差がそのままピッチ上へ現れていたわけではありません。
シュート数は最終的に14本対14本。CKは山口4本、藤枝6本と、山口にも攻撃の機会はありました。
それでも得点は0対2。
数字上の「互角」を勝利へ変えた藤枝と、良い時間帯を得点へ変えられなかった山口。その差がこのゲームを分けました。
2. 前半分析|山口が粘り強く守り0-0で折り返す
「失点ゼロの時間を長くする」という山口の狙い
山口はリーグ戦からメンバーを大きく変更してこの試合へ入りました。
中2日という厳しい日程もあり、小田切道治監督はポジションごとのバランスを考えながら選手を入れ替えています。
試合の入りで明確だったのは、まず守備を崩さないこと。
小田切監督も試合後、カテゴリーが上の藤枝を相手に「失点ゼロで行く時間をどれだけ長くできるか」をテーマにしたと説明しています。
このプランは少なくとも前半については機能しました。
藤枝にボールを持たれる時間はある。
それでも最終ラインを簡単に破らせず、中央を閉じながら我慢する。
GK飯田雅浩の対応も含め、山口は前半を0-0で終えることに成功しました。
カップ戦で格上と戦う上では、悪くない45分だったと言えます。
山口の問題は「奪った次」
ただし、この前半には後半の失点につながる伏線もありました。
それがボールを奪った後の精度です。
せっかく守備でボールを回収しても、1本目、2本目のパスがつながらない。
再び藤枝へボールを渡し、また守備をする。
この繰り返しです。
守れている時間は長くても、マイボールの時間が短ければ選手は徐々に疲弊します。
小田切監督も試合後、「奪って前に行こうというところで、1本、2本がつながらず、また相手ボールになる状況が続いた」と課題を振り返っています。
0-0で耐えられた一方、山口としては「このまま90分守り切れるか」という不安も残る前半でした。
3. 後半分析|真鍋隼虎が9分間で2得点
藤枝が後半開始から選手を動かす
藤枝はハーフタイムに沼田駿也を下げ、近藤優成を投入。
さらに61分には河本大雅に代えて川本梨誉を送り込みます。
前半にゴールを奪えなかった中で、早い段階から変化をつけました。
対する山口も64分に久保征一郎から山本駿亮、松下永遠から輪笠祐士へ2枚替え。
ここから試合が大きく動きます。
70分、真鍋隼虎が均衡を破る
スコアが動いたのは70分。
藤枝のFW真鍋隼虎がペナルティーエリア外から右足を振り抜き、ゴール右上へ。
均衡を破る先制点となりました。
山口からすれば、最も避けたかった形です。
長い時間粘り強く守りながら、一つの局面でゴールを許す。
しかもそこから追いつくためには、それまでより前へ人数を掛けなければいけません。
試合の性質が一気に変わった瞬間でした。
79分、再び真鍋。藤枝が勝負を決める
山口は74分、野寄和哉から田邉光平、藤岡浩介から郡司璃来を投入。
攻撃へ変化をつけようとします。
しかし、その5分後でした。
再びゴールネットを揺らしたのは真鍋隼虎。
今度はペナルティーエリア内から右足でゴール左下へ流し込み、この日2得点目。
0-2。
試合の流れを決定づける一撃となりました。
同じ選手に9分間で2ゴール。
藤枝にとってはエースが仕事をした試合であり、山口にとっては集中力を保ち続ける難しさを突きつけられた時間帯でした。
4. レノファ山口FCのスタメン・途中出場・選手採点
※採点は10点満点、「6.0」を標準とした当サイト独自評価です。Jリーグおよびクラブ公式の採点ではありません。出場選手・交代時間は公式記録を基にしています。
レノファ山口FC 選手採点
| 選手 | 出場 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 飯田 雅浩 | GK・先発 | 6.5 | 2失点したものの好セーブもあり、長時間0-0を維持した立役者の一人 |
| 下堂 竜聖 | DF・先発 | 6.0 | 前半は粘り強く対応。終盤は藤枝の圧力に苦しんだ |
| 亀川 諒史 | DF・先発 | 6.0 | 経験を生かして守備を整理。攻撃面ではもう一歩前へ出たかった |
| 鈴木 準弥 | DF・先発 | 6.0 | 対人守備では一定の安定感。2失点目まで集中を維持できなかった点は課題 |
| 山本 龍平 | DF・先発 | 6.0 | サイドで上下動。守備を優先する展開の中で攻撃参加は限定された |
| 三沢 直人 | MF・先発 | 6.0 | 中盤で守備に奔走。ボール保持時にもう少し試合を落ち着かせたかった |
| 伊藤 拓巳 | MF・先発/82分OUT | 5.5 | 運動量はあったが、藤枝の中盤を押し返すところまでは至らず |
| 松下 永遠 | MF・先発/64分OUT | 5.5 | 前半から献身的に動いたが、攻撃の起点を作り切れなかった |
| 野寄 和哉 | FW・先発/74分OUT | 5.5 | ボールを受ける場面はあったものの、決定的なプレーには結びつかなかった |
| 藤岡 浩介 | FW・先発/74分OUT | 5.5 | 前線でプレッシャーを掛けたが、シュートチャンスを増やせず |
| 久保 征一郎 | FW・先発/64分OUT | 5.5 | 藤枝の最終ラインを動かそうとしたものの、ゴール前で存在感を出し切れず |
| 山本 駿亮 | 64分IN | 6.0 | ビハインドの状況で前線に入り、攻撃の活性化を狙った |
| 輪笠 祐士 | 64分IN | 6.0 | ボールへの関与を増やしたが、66分に警告。流れを完全には変えられず |
| 田邉 光平 | 74分IN | 6.0 | 攻撃的な姿勢を見せ、得点を狙う時間帯でボールに絡んだ |
| 郡司 璃来 | 74分IN | 6.0 | 積極的にゴール方向へプレーしたが得点には届かず |
| 藤森 颯太 | 82分IN | ― | 出場時間が短いため採点なし |
山口のチーム評価:5.5
前半だけなら6.0以上を付けてもいい内容でした。
しかしサッカーは90分です。
長時間守れたことを勝点や勝利へ変えられず、最後は0-2。
さらに攻撃では14本のシュートを打ちながら無得点でした。
「悪くない時間」を「勝てる時間」に変えることが、今の山口には必要です。
5. 藤枝MYFCのスタメン・途中出場・選手採点
藤枝MYFC 選手採点
| 選手 | 出場 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| ジョーンズ レイ | GK・先発 | 6.5 | 山口の14本のシュートを受けながら無失点。安定した対応で勝利を支えた |
| 中川 創 | DF・先発 | 6.5 | 最終ラインで落ち着いた対応。クリーンシートに貢献 |
| 楠本 卓海 | DF・先発 | 6.5 | 山口FWとの競り合いで強さを見せ、中央を締めた |
| 鈴木 翔太 | DF・先発/74分OUT | 6.5 | 大きなミスなく役割を遂行。リード後に交代 |
| 青木 俊輔 | MF・先発/74分OUT | 6.0 | 幅を取りながら攻撃に関与。運動量でも貢献した |
| 梶川 諒太 | MF・先発 | 6.5 | 中盤でゲームをコントロール。山口にボールを渡し過ぎない役割を果たした |
| 角田 惠風 | MF・先発 | 6.5 | 攻守に幅広く関与。終盤に警告を受けたが中盤の安定に貢献 |
| 沼田 駿也 | MF・先発/HT OUT | 6.0 | 前半のみ。スペースを使いながら攻撃へ絡んだ |
| 河本 大雅 | MF・先発/61分OUT | 6.0 | 中盤で動きながら攻守をつないだ |
| 北原 槙 | MF・先発 | 6.5 | 豊富な運動量で中盤から攻撃を支援。90分を通して存在感 |
| 真鍋 隼虎 | FW・先発/84分OUT | 8.0 | 70分、79分に2ゴール。停滞した試合を一人で動かした文句なしのMOM |
| 近藤 優成 | HT IN | 6.5 | 後半開始から入り、チームの攻守に変化を加えた |
| 川本 梨誉 | 61分IN | 6.5 | 前線の活動量を高め、山口守備陣にプレッシャーを掛けた |
| 松木 駿之介 | 74分IN | 6.0 | リード後も攻撃姿勢を維持する役割を担った |
| 森 侑里 | 74分IN | 6.0 | 最終ラインを安定させ、無失点で試合を締めた |
| 金本 毅騎 | 84分IN | 6.0 | 試合終盤から入り、前線で時間を作った |
藤枝MYFCのMOM:真鍋隼虎 8.0点
この試合のMOMに迷いはありません。
真鍋隼虎です。
前半から山口の粘り強い守備を崩し切れず、藤枝にとって少し嫌な雰囲気になり始めた70分。
そこで試合を動かす先制点。
さらに9分後には2点目。
「チャンスが来たら決める」というFWに求められる仕事を完璧に遂行しました。
特に1点目はペナルティーエリア外から右足でゴール右上を射抜く一撃。
拮抗していた試合だからこそ、その価値は非常に高いものでした。
6. レノファ山口FCの課題と今後の改善点
課題① ボールを奪った後の1本目をつなぐ
山口最大の課題はここでしょう。
守備自体は一定時間機能しました。
しかし奪った直後に失う。
また守る。
そして疲れる。
このサイクルから抜け出せませんでした。
小田切監督も、ボールを奪った後に1本、2本とつながらず、再び相手ボールになる状況が続いたと振り返っています。
次の試合に向けて必要なのは、派手な戦術変更というよりも、奪った直後のパスコースをチーム全体で共有することです。
誰が縦パスを受けるのか。
誰がサポートするのか。
無理ならどこへ逃がすのか。
ここが整理されれば、守備時間そのものを減らせます。
課題② 前線4人の距離感
小田切監督は、攻撃面について「前線の4人のユニットでうまく段差が作れなかった」とも説明しています。
全員が同じ高さに立ってしまえば、相手DFは守りやすくなります。
一人が下がる。
その背後へ別の選手が走る。
サイドへ流れて中央を空ける。
こうした動きの連動を増やし、藤岡や久保、途中出場の郡司らがゴール前で前向きにボールを持つ回数を増やしたいところです。
課題③ 「耐える」から「仕留める」への切り替え
0-0で試合を進めること自体は成功していました。
問題はその次です。
一度でも自分たちの流れになったとき、そこでゴールを奪えなければ格上相手には押し切られます。
14本のシュートを「14本打った」で終わらせず、本当にGKを困らせる決定機を何本作れるか。
次のリーグ戦・鳥取戦では、守備の粘りを得点へつなげるところまで求められます。山口側も試合後、次戦の鳥取戦へ気持ちを切り替える必要性を強調しています。
7. 藤枝MYFCの課題と今後の改善点
課題① 前半の攻撃にもう一工夫欲しい
藤枝は勝利しました。
それでも前半は0-0です。
ボールを持つ時間を作りながら、山口の守備ブロックを決定的に崩すところまでは至りませんでした。
最終的に真鍋の個人能力でゲームを動かしましたが、毎試合スーパーなフィニッシュが生まれるとは限りません。
サイドから中央。
中央から逆サイド。
一度裏を見せて足元を使う。
こうした揺さぶりをさらに増やせれば、より早い時間帯に試合を動かせるはずです。
課題② 決定力を「チーム全体」に広げたい
この日は真鍋が2得点。
素晴らしい結果です。
逆に言えば、得点者は真鍋一人でした。
今後J2で上位を狙うことを考えると、2列目の選手や途中出場のFWからも継続的にゴールが欲しいところです。
青木、北原、川本、松木らがフィニッシュまで入る回数が増えれば、相手は真鍋だけを警戒するわけにはいかなくなります。
改善点は「勝ちながら選手層を厚くすること」
藤枝はリーグ戦でも好スタートを切っており、このカップ戦でも勝利。
しかも複数の選手を起用しながら結果を残しました。
次のJ2リーグ戦は9月5日、ホームでヴァンラーレ八戸戦が予定されています。さらにルヴァンカップ2回戦では9月29日にセレッソ大阪と対戦します。
リーグとカップを並行して戦う中で重要なのは、「ベスト11」だけでなく「誰が出ても戦えるチーム」を作ること。
この山口戦は、その意味でも価値のある勝利になりました。
8. まとめ|互角のシュート数、それでも生まれた「0-2」の差
ルヴァンカップ1stラウンド1回戦、レノファ山口FC vs 藤枝MYFC。
結果は0-2で藤枝MYFCの勝利となりました。
前半は0-0。
山口はカテゴリーが上の藤枝に対して粘り強く守り、狙い通り失点せずに試合を進めます。
最終的なシュート数も14対14。
数字だけなら、大きな差はありませんでした。
それでも70分、79分と真鍋隼虎がゴールを決めた。
この事実が、この試合を最も端的に表しています。
藤枝は、ゴールが必要な時間にFWが仕事をした。
山口は、守れる時間も攻める時間も作ったものの、最後の得点だけが足りなかった。
サッカーでは、内容が悪くなくても0-2で負けることがあります。
逆に、90分すべてを圧倒できなくても、勝負どころをものにすれば2-0で勝てる。
この日の維新みらいふスタジアムは、まさにそれを象徴する試合でした。
藤枝が見せたのは「決め切る力」。
山口に必要なのは「良い時間帯を結果に変える力」。
両チームがこの90分を次のリーグ戦へどうつなげるのか。
そこまで追いかけてこそ、このルヴァンカップ1回戦の意味が見えてきそうです。
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