2026年10月7日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦で、清水エスパルスとV・ファーレン長崎がIAIスタジアム日本平で対戦した。
J1同士の一戦は、13分に北川航也が清水に先制点をもたらすと、39分には清水でもプレーしたチアゴ・サンタナが長崎の同点ゴールを記録。1-1のまま90分では決着がつかず延長戦へ突入した。
そしてPK戦目前の116分。足を痛めながらも最後まで走り続けた弓場将輝が決勝ゴールを奪い、清水が2-1で勝利。激しい120分の戦いを制してベスト16進出を決めた。
清水エスパルスvsV・ファーレン長崎|試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 |
| ラウンド | 3回戦 |
| 開催日 | 2026年10月7日 |
| キックオフ | 19:00 |
| 会場 | IAIスタジアム日本平 |
| 結果 | 清水エスパルス 2-1 V・ファーレン長崎 |
| 前半 | 1-1 |
| 後半 | 0-0 |
| 延長前半 | 0-0 |
| 延長後半 | 1-0 |
得点者
| 時間 | チーム | 得点者 |
|---|---|---|
| 13分 | 清水 | 北川航也 |
| 39分 | 長崎 | チアゴ・サンタナ |
| 116分 | 清水 | 弓場将輝 |
JFA公式記録では、清水がシュート10本、長崎が5本。長崎公式記録でもCKは清水7本、長崎1本となっており、清水がより多く相手ゴールへ迫った試合だったことがデータからもうかがえる。
両チームのスターティングメンバー
清水エスパルス
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 沖悠哉 |
| DF | 須貝英大 |
| DF | 高橋祐治 |
| DF | 住吉ジェラニレショーン |
| DF | マテウス・ブルネッティ |
| MF | ウォン・ドゥジェ |
| MF | 弓場将輝 |
| MF | 松崎快 |
| FW | 北川航也 |
| FW | 井上健太 |
| FW | ジャーメイン良 |
清水は4-1-2-3を基本形としてスタート。住吉ジェラニレショーンがキャプテンを務め、前線には井上、北川、ジャーメインを配置した。
V・ファーレン長崎
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 後藤雅明 |
| DF | 江川湧清 |
| DF | 米田隼也 |
| DF | 新井一耀 |
| DF | 土肥幹太 |
| MF | 山口蛍 |
| MF | 翁長聖 |
| MF | 山田陸 |
| MF | 松本天夢 |
| MF | 長谷川元希 |
| FW | チアゴ・サンタナ |
長崎は3-4-2-1をベースに、チアゴ・サンタナを最前線へ配置。山口蛍がキャプテンを務めた。
前半|清水が13分に鮮やかなカウンターから先制
北川航也がカップ戦2試合連続ゴール
清水は序盤から試合を動かした。
13分、中盤でボールを奪うと素早くカウンターへ移行。
左サイドを井上健太が突破してクロスを送り、ジャーメイン良がワンタッチでつなぐ。さらに松崎快がペナルティーエリア左から右へラストパスを送ると、走り込んだ北川航也がワンタッチで押し込んだ。
清水 1-0 長崎。
ボール奪取からフィニッシュまで複数選手が連動した、完成度の高い速攻だった。
北川は9月29日のルヴァンカップ・ツエーゲン金沢戦に続くカップ戦2試合連続ゴールとなった。
清水は10分に早くも選手交代
清水は先制前の10分、ウォン・ドゥジェからディエギーニョへ交代。
予定外だった可能性のある早い時間帯の交代を強いられながらも、その直後に北川のゴールを奪った点は評価できる。JFA公式記録でもこの交代は10分と記録されている。
39分|古巣対戦のチアゴ・サンタナが同点弾
長崎も細かな連係から清水守備を攻略
長崎も一方的に押し込まれたわけではない。
39分、押し込んだ状態から長谷川元希がバイタルエリアで前を向き、左へ鋭い縦パスを送る。
米田隼也がフリックし、松本天夢がワンタッチでラストパス。
最後はチアゴ・サンタナが左足で仕留めた。
清水 1-1 長崎。
長崎も複数選手によるワンタッチプレーで清水の守備を崩した質の高い得点だった。
サンタナが古巣・清水から得点
このゴールには特別な意味もあった。
サンタナは2021年から2023年まで清水でプレー。その後、浦和レッズを経て2026年に長崎へ加入している。古巣日本平で、かつて所属した清水からゴールを奪った。
前半は1-1で終了した。
後半|両チームが交代カードを切るも決着せず
長崎はサンタナをハーフタイムで交代
長崎は後半開始からサンタナに代えて山﨑凌吾を投入。
67分には山口蛍と松本天夢を下げ、
- ディエゴ・ピトゥカ
- 保田堅心
を投入した。
さらに88分には鍋島暖歩を送り込み、フレッシュな選手を使いながら試合を進めた。
清水も65分から選手を入れ替える
清水は65分に北川航也と井上健太を下げ、
- 嶋本悠大
- 藤井智也
を投入。
79分にはマテウス・ブルネッティとジャーメイン良に代えて、本多勇喜と木下康介を送り出した。
90分間で両チームとも勝ち越し点を奪えず、試合は1-1のまま延長戦へ突入した。
延長戦|最後の最後まで動かなかったスコア
長崎も守備陣を再編
長崎は延長前半開始から米田隼也に代えて岩崎悠人。
延長後半開始には新井一耀から進藤亮佑へ交代した。
一方の清水も101分に、10分からプレーしていたディエギーニョを下げて小塚和季を投入。
120分間を見据えながら、両ベンチが最後まで手を打ち続ける総力戦となった。
116分|弓場将輝が魂の決勝ゴール
藤井→松崎→弓場
試合を決めたのは、延長後半11分だった。
左サイドで藤井智也が仕掛けて縦へボールを預けると、松崎快がゴール前へ低いクロス。
そこへ飛び込んだのが弓場将輝だった。
弓場は直前の接触プレーで足を痛めた様子を見せていたが、それでもゴール前まで全力でスプリント。
倒れ込みながらボールを押し込んだ。
清水 2-1 長崎。
116分の劇的な決勝点だった。
120分走った松崎と弓場が最後に決める
特筆すべきなのは、決勝点を作った2人だ。
松崎も弓場もスタメン出場。
120分間走り抜いた終盤に、松崎がクロスを送り、弓場がゴールへ飛び込んだ。
交代選手の藤井が起点となり、先発2人が最後の部分を仕上げる。
チーム全体の力で奪った決勝点だった。
清水エスパルスが勝利できた4つの要因
①試合開始直後から前へ出た
最初のポイントは入り方だ。
13分の先制点は、中盤で奪った瞬間から複数選手が一気に前へ出たことで生まれた。
井上。
ジャーメイン。
松崎。
北川。
4選手が連続してボールに関与している。
単純な個人技ではなく、ボール奪取後の切り替えの速さで長崎を崩した。
②サイドから攻撃を続けた
決勝点も左サイドからだった。
藤井が仕掛け、松崎がクロス。
清水は中央だけに固執せず、サイドを使って長崎の守備を横方向に動かした。
CK数でも清水7本、長崎1本。
清水がサイドを含めて継続的に相手陣へ侵入したことを示す数字の一つと考えられる。
③交代選手が決勝点に関与
65分から出場した藤井智也が、116分の決勝点の起点となった。
90分を越える試合では、先発選手だけでなく交代選手の質が重要になる。
藤井が延長戦でも縦への推進力を失わず仕掛けたことで、長崎の最終ラインを動かした。
④弓場将輝の走力と精神力
そして最大のポイントが弓場だ。
足に問題を抱えながらも116分にペナルティーエリアへ走り込んだ。
得点技術だけでなく、「この時間帯でもゴール前へ入る」判断と走力が勝敗を決めた。
この一つのスプリントが、清水を次のラウンドへ導いた。
V・ファーレン長崎が清水を苦しめた理由
①失点後に崩れなかった
長崎の高木琢也監督は試合後、立ち上がりの失点を反省点に挙げる一方、同点に追いついてから粘り強く戦えた部分については評価している。
実際、13分に先制されても試合は壊れなかった。
39分には同点。
そこから116分まで清水に追加点を与えなかった。
②チアゴ・サンタナを生かした攻撃
長崎の得点場面では、長谷川、米田、松本、サンタナと複数選手が連動した。
清水に在籍経験のあるサンタナのフィニッシュ能力を生かすまでの形も非常に良かった。
③守備で長時間耐えた
長崎公式記録ではシュート数は長崎5本に対して清水10本、CKも1対7。
数字上は清水に攻め込まれる時間が多かったが、90分では1-1。
延長戦でも116分まで耐えた。
江川湧清も試合後、「押し込まれる展開」の中で耐える時間について触れており、守備面で一定の成果があったことを振り返っている。
試合最大のポイント|「90分では負けなかった」長崎と「120分で勝ち切った」清水
この試合は、90分だけを切り取れば1-1だった。
長崎DF江川も、普段と異なる形を試した中で90分間では負けなかったことをポジティブな材料として挙げている。
しかし天皇杯はそこで終わらない。
延長戦を含む120分の最後にもう一度ゴール前へ人数をかけられたのが清水だった。
最後の数分まで攻撃を止めなかったこと。
そこが両チームを分けたと言えるだろう。
清水エスパルス|選手採点
※以下は公開された試合内容をもとにした当サイト独自評価で、公式採点ではありません。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| 沖悠哉 | 6.0 | 1失点も、その後はゴールを守り抜いた |
| 須貝英大 | 6.5 | 120分を通してサイドで奮闘 |
| 高橋祐治 | 6.5 | サンタナら長崎前線と粘り強く対峙 |
| 住吉ジェラニレショーン | 6.5 | キャプテンとして最終ラインを統率 |
| マテウス・ブルネッティ | 6.0 | 79分まで攻守に関与 |
| ウォン・ドゥジェ | 5.5 | 10分で交代となり評価時間は限定的 |
| 弓場将輝 | 8.0 | 116分に決勝点。120分間走り抜いたMOM |
| 松崎快 | 7.5 | 決勝点をアシスト。最後まで攻撃を牽引 |
| 北川航也 | 7.0 | 13分に先制ゴール |
| 井上健太 | 6.5 | 先制点で左サイド突破から起点 |
| ジャーメイン良 | 6.5 | 先制点をワンタッチでつないだ |
| ディエギーニョ | 6.5 | 10分から101分まで長時間プレー |
| 嶋本悠大 | 6.0 | 65分から中盤にエネルギーを加えた |
| 藤井智也 | 7.0 | 決勝点の起点となる突破 |
| 本多勇喜 | 6.0 | 延長まで最終ラインを支えた |
| 木下康介 | 6.0 | 前線で長崎守備陣と競り合った |
| 小塚和季 | 6.0 | 延長戦終盤にボールを動かした |
V・ファーレン長崎|選手採点
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| 後藤雅明 | 6.5 | 2失点も長時間清水の攻撃に対応 |
| 江川湧清 | 6.5 | 押し込まれる時間帯でも粘り強く守備 |
| 米田隼也 | 6.5 | サンタナの同点弾につながるフリック |
| 新井一耀 | 6.0 | 延長前半まで中央を守った |
| 土肥幹太 | 6.0 | 120分間守備で奮闘 |
| 山口蛍 | 6.0 | 中盤のバランスを取り67分までプレー |
| 翁長聖 | 6.0 | WBとして攻守に運動量を発揮 |
| 山田陸 | 6.0 | 中盤でボール回収に貢献 |
| 松本天夢 | 7.0 | サンタナの得点をワンタッチでアシスト |
| 長谷川元希 | 6.5 | 同点弾の起点となる縦パス |
| チアゴ・サンタナ | 7.0 | 古巣相手に貴重な同点ゴール |
| 山﨑凌吾 | 6.0 | 後半から最前線で奮闘 |
| ディエゴ・ピトゥカ | 6.0 | 67分から中盤を支えた |
| 保田堅心 | 6.0 | 延長を含め運動量を維持 |
| 鍋島暖歩 | 6.0 | 終盤からサイドに活力 |
| 岩崎悠人 | 6.0 | 延長戦で攻撃の推進力を狙った |
| 進藤亮佑 | 6.0 | 延長後半から守備を支えた |
この試合のMOM
弓場将輝(清水エスパルス)
採点:8.0
MOMは文句なしで弓場将輝としたい。
最大の理由は116分の決勝ゴールだ。
しかし単にゴールを決めただけではない。
先発から120分間プレーし、延長後半には足を痛める様子を見せながらも、松崎のクロスに対してゴール前へスプリント。
倒れ込みながらボールを押し込んだ。
90分では決まらなかった試合を最後の最後に動かしたという意味で、この一戦を象徴する選手だった。
清水エスパルスの課題
先制後に試合をコントロールしたい
清水は13分という理想的な時間帯に先制した。
しかし39分に同点を許し、その後は延長戦まで勝負を決められなかった。
特にリード後に、
- ボールを保持して相手を動かす
- 2点目を狙う
- 相手の反撃を抑える
という部分をより明確にできれば、120分を戦う必要のない試合にできた可能性もある。
決定力の改善
シュート数は10対5。
CKも7対1だった。
攻撃回数では清水が上回りながら、決勝点は116分。
今後、より強い相手との試合では、優勢な時間帯で得点を重ねられるかが重要になる。
V・ファーレン長崎の課題
試合の入り
高木監督が最も強調したのが立ち上がりだ。
監督は試合後、アウェーゲームで序盤に失点する状況を繰り返している点について改善の必要性を語っている。
13分の失点では、清水のカウンターに対して連続して前進を許した。
ゲームプランを安定させるためにも、開始15分をどう戦うかは大きな課題となる。
押し込まれた時間帯から攻撃へつなげる
シュート数は5本。
守備で耐えるだけでは、相手の攻撃を受け続けることになる。
ボールを奪った後にサンタナや山﨑へつなぎ、さらに2列目が押し上げる時間を増やす必要がある。
特に延長戦では疲労もあり、清水に主導権を握られる時間が長くなった。
長崎は天皇杯・ルヴァン杯ともに敗退
長崎にとっては悔しい敗戦となった。
9月29日のルヴァンカップではガイナーレ鳥取に0-2で敗戦。
そして今回の天皇杯も清水に2-1で敗れたため、カップ戦から相次いで姿を消す形となった。
江川も試合後、天皇杯とルヴァンカップが終了したことで、今後はリーグ戦で結果を残す必要性を強調している。
試合総括|120分の最後に示した清水の執念
最終結果は、
清水エスパルス 2-1 V・ファーレン長崎。
13分、北川航也。
39分、チアゴ・サンタナ。
そして116分、弓場将輝。
J1同士の一戦は、文字通り最後まで分からない死闘となった。
清水にとっては、開始10分で早くも交代カードを使い、前半に先制しながら追いつかれる難しい展開。
それでも試合を投げ出さず、120分間攻め続けた。
最後に藤井が仕掛ける。
松崎がクロス。
弓場が走る。
決勝点は、この試合で清水が最後まで続けた姿勢そのものだった。
一方の長崎も、先制されながらサンタナのゴールで追いつき、116分まで1-1を維持した。高木監督が評価したように、粘り強さは十分に示した。
90分間では互角。しかし120分間では清水が上回った。
わずかな差だったが、その差を生んだのが116分にもゴール前へ走り込んだ弓場将輝の一歩だった。
清水はこの激闘を制し、天皇杯ベスト16へ進出する。
免責事項
本記事は、日本サッカー協会(JFA)、清水エスパルス、V・ファーレン長崎の公式発表および各種報道機関が公開している2026年10月8日時点の情報をもとに作成しています。
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