2026年9月23日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦で、ガンバ大阪と徳島ヴォルティスが対戦した。
結果は、
ガンバ大阪 5-0 徳島ヴォルティス。
前半19分に宇佐美貴史が先制。
後半に入ると57分に山下諒也、64分にデニス・ヒュメットが追加点を奪い、試合終盤には86分に池谷銀姿郎、89分に途中出場の食野亮太郎がゴール。
前半1-0、後半4-0という圧倒的な内容で、ガンバがラウンド16進出を決めた。
リーグ戦では7試合勝利なし。
直近の神戸戦も0-1で敗れていた。
だからこそ、この「5-0」という結果は単なる天皇杯での1勝以上の意味を持つ。
今回は試合内容、スタメン、得点の流れ、全選手採点、ガンバが圧勝できた理由、徳島の敗因、そして今後への課題まで徹底的に振り返る。
試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 3回戦 |
| 開催日 | 2026年9月23日 |
| 会場 | パナソニック スタジアム 吹田 |
| 結果 | ガンバ大阪 5-0 徳島ヴォルティス |
| 前半 | 1-0 |
| 後半 | 4-0 |
| 入場者数 | 9,016人 |
得点者は宇佐美貴史、山下諒也、デニス・ヒュメット、池谷銀姿郎、食野亮太郎。
ガンバ大阪スタメン
4-2-3-1をベースに攻撃力を優先
| ポジション | 選手 |
|---|---|
| GK | 東口順昭 |
| DF | 池谷銀姿郎 |
| DF | 中谷進之介 |
| DF | 佐々木翔悟 |
| DF | 中野伸哉 |
| MF | 安部柊斗 |
| MF | 鈴木徳真 |
| MF/FW | 山下諒也 |
| MF/FW | 宇佐美貴史 |
| MF | 倉田秋 |
| FW | デニス・ヒュメット |
神戸戦から中2日ながら、明神智和監督は宇佐美、山下、ヒュメットを同時起用。
鈴木徳真も古巣・徳島戦で先発した。
徳島ヴォルティススタメン
| ポジション | 選手 |
|---|---|
| GK | 長谷川徹 |
| DF | カイケ |
| DF | 宮崎純真 |
| DF | 山口竜弥 |
| DF | モヨ・マルコム強志 |
| MF | 鹿沼直生 |
| MF | 杉本太郎 |
| MF | 髙田優 |
| MF | 重廣卓也 |
| FW | 梶谷政仁 |
| FW | 髙田颯也 |
徳島は3日後にJ2第8節・栃木シティ戦を控えていることもあり、通常の主力から大きくメンバーを変更して臨んだ。次戦は9月26日17時、鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムで行われる。
得点経過
19分|宇佐美貴史が先制
最初のゴールを奪ったのは宇佐美だった。
リーグ戦ではなかなか結果が出ていなかったガンバだが、天皇杯2回戦でも2得点、ACLE初戦でも2得点と、宇佐美自身の状態は上向いていた。
そして徳島戦でも19分にゴール。
この1点が試合全体を大きく変えた。
明神監督も試合後、
宇佐美の先制点でチームに落ち着きが生まれた
という趣旨の評価をしている。
57分|山下諒也が追加点
前半を1-0で折り返したガンバ。
後半12分、山下諒也が2点目を奪う。
ここが試合の決定的なポイントだった。
徳島としては1点差なら、カウンターやセットプレー一発で試合へ戻れる。
しかし2点差となったことで、前へ出ざるを得なくなった。
結果としてガンバが使えるスペースが一気に広がった。
64分|ヒュメットが3点目
2点目からわずか7分。
今度はヒュメット。
ガンバは完全に試合の主導権を握った。
相手を押し込みながら、奪われてもすぐに回収する。
徳島が前へ出ようとすれば、その背後へ走る。
この時間帯は攻守が完全に噛み合っていた。
86分|池谷銀姿郎が4点目
終盤になってもガンバは攻撃の手を緩めなかった。
86分、右SBの池谷がゴール。
守備だけではなく、最後まで前へ出続けた姿勢が報われる形となった。
89分|食野亮太郎がダメ押し
69分に倉田秋との交代で入った食野が89分に5点目。
途中出場選手まで結果を残し、5-0。
明神監督にとってこれ以上ない展開で試合を終えた。
なぜガンバ大阪は5-0で勝てたのか
理由① 前線からのプレスが機能
最大の要因は守備だった。
5得点した試合なので攻撃に目が向くが、明神監督が試合後に最初に挙げたのは、
前線からしっかりプレスすること。
ハードワークすること。
だった。
徳島に自由なビルドアップを許さず、前へ運ぼうとするところでガンバが圧力をかけ続けた。
そのため徳島は前線まで良い状態でボールを届けられない。
ガンバからすれば、攻撃が終わってもすぐ次の攻撃へ移れる。
この循環が90分間続いた。
理由② 宇佐美の先制点がチームを落ち着かせた
リーグ戦で足りなかった「先に取る」が実現
現在のガンバにとって先制点は極めて重要だった。
リーグ戦では3試合連続無得点。
7試合未勝利。
「また入らないのではないか」という空気が生まれても不思議ではなかった。
それを宇佐美が19分で消した。
早い時間帯にリードを奪ったことで、
無理な縦パス。
苦しい位置からのシュート。
必要以上に前掛かりになる攻撃。
を減らすことができた。
精神的にも戦術的にも大きな1点だった。
理由③ 鈴木徳真と安部柊斗が中盤を支配
ガンバが攻撃を続けられた背景には、中盤の安定がある。
鈴木徳真と安部柊斗がボールを回収。
そこから前線へもう一度つなぐ。
徳島がクリアしても、ガンバが再び拾う。
これによって徳島は守備を休める時間を作れなかった。
明神監督が掲げる「ボールをしっかり動かす」という部分も、中盤の2人が安定していたからこそ成立した。
理由④ 中野伸哉の復調
明神監督も高評価
左SB中野伸哉も重要だった。
明神監督は試合後、中野について、これまでコンディションを上げるのが難しい状況だったとしながら、
「力がある選手」
であり、この試合でその力を見せてくれたという趣旨で評価した。
攻撃では高い位置まで進出。
守備でも相手の前進を止める。
今後のポジション争いを考えても大きな90分になった。
理由⑤ 3点目を取っても止まらなかった
ガンバが特に評価できるのはここだ。
3-0になれば普通はペースを落とす。
だが、この日のガンバは違った。
池谷。
そして途中出場の食野。
さらに2点を追加した。
明神監督も、
「後半は引いて守ることなく」
プレーを続けたことを高く評価している。
今季リーグ戦でなかなか得点できていないチームだからこそ、取れるときに取り切ったことには大きな意味がある。
徳島ヴォルティスはなぜ崩れたのか
理由① ターンオーバーによる連係面
徳島は中2日で次の栃木シティ戦を控える。
そのため通常より大きくメンバーを入れ替えた。
しかしガンバの前線からの圧力に対して、後方から安定してボールを運べなかった。
一人一人の能力以上に、
誰が受けるか。
誰がサポートするか。
どこからプレスを外すか。
という共通理解が十分に出せなかった印象がある。
理由② 2失点目で試合が壊れた
徳島にとって前半0-1は決して悪くない。
しかし57分に2失点目。
その7分後に3失点目。
この時間帯が致命的だった。
1点を返すために前へ出る。
しかし、その分だけ後方のスペースが広がる。
ガンバがそこを使う。
典型的な「追う側がさらに失点する」展開になった。
理由③ 前線まで良い形でボールが入らなかった
梶谷政仁、髙田颯也を前線に置いた徳島だったが、ガンバのプレスによって攻撃の起点を作ることが難しかった。
明神監督自身、徳島に「シュートを打たれるところまで持っていかれなかった」と守備を評価している。
徳島としては、前線の問題よりも、そこまでボールを運ぶ方法に課題が残った。
両チームの交代
ガンバ大阪
69分
倉田秋 → 食野亮太郎
山下諒也 → 中積爲
84分
中野伸哉 → 初瀬亮
宇佐美貴史 → 當野泰生
87分
鈴木徳真 → 吉原優輝
食野は途中出場から89分にゴール。
交代カードがそのまま得点につながった。
徳島ヴォルティス
HT
髙田颯也 → 西坂斗和
55分
髙田優 → 山田奈央
76分
宮崎純真 → 稲見哲行
カイケ → トニー・アンデルソン
重廣卓也 → 児玉駿斗
徳島も流れを変えるために選手を入れ替えたが、ガンバの勢いを止めることはできなかった。
ガンバ大阪 全選手採点
※以下は試合内容をもとにした本稿独自採点。10点満点。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| 東口順昭 | 6.5 | 大きなピンチは少なかったが、最後まで集中してクリーンシート |
| 池谷銀姿郎 | 8.0 | 守備を安定させながら86分にゴール。攻守で大きな仕事 |
| 中谷進之介 | 7.0 | 最終ラインを統率。徳島の前線に自由を与えず |
| 佐々木翔悟 | 7.0 | 対人対応とカバーリングが安定 |
| 中野伸哉 | 8.0 | 左サイドで存在感。明神監督も試合後に高く評価 |
| 鈴木徳真 | 7.5 | 古巣相手に中盤を整理。セカンドボール回収も安定 |
| 安部柊斗 | 7.5 | 高い運動量で攻守を接続。プレスの中心 |
| 倉田秋 | 7.0 | ボールを失わず攻撃のリズムを作った |
| 山下諒也 | 8.5 | 2点目を決め、3点目にも関与。攻撃のスピードを引き上げた |
| 宇佐美貴史 | 8.5 | MOM。試合を落ち着かせる先制点。攻撃の中心として機能 |
| デニス・ヒュメット | 8.0 | 3点目。前線で起点にもなり、徳島CBを苦しめた |
| 食野亮太郎 | 7.5 | 途中出場からダメ押しの5点目 |
| 中積爲 | 6.5 | 終盤の前線で運動量を落とさず |
| 初瀬亮 | 6.5 | 終盤を安定して締めた |
| 當野泰生 | 6.5 | 大差の中でも積極的にプレー |
| 吉原優輝 | 6.5 | 短時間ながら中盤で試合を整理 |
MOM|宇佐美貴史
山下の1得点を含む活躍も非常に大きかったが、本稿のMOMは宇佐美。
理由は**「最も必要な時間に最も必要なゴールを決めた」**こと。
リーグ7戦未勝利の空気を背負った試合で、19分に先制。
明神監督自身が、そのゴールでチームに落ち着きが生まれたと語っている。
徳島ヴォルティス 全選手採点
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| 長谷川徹 | 5.0 | 5失点。GKだけに責任を負わせられないが厳しい試合 |
| カイケ | 4.5 | ガンバのスピードある攻撃への対応に苦戦 |
| 宮崎純真 | 5.0 | 前へ出る場面もあったが守備時間が長すぎた |
| 山口竜弥 | 5.0 | 古巣相手。押し込まれる時間が長く攻撃参加できず |
| モヨ・マルコム強志 | 4.5 | サイドのスペースを使われる場面が増えた |
| 鹿沼直生 | 5.0 | 中盤で奮闘もガンバの回収力を上回れず |
| 杉本太郎 | 5.0 | 53分に警告。攻撃を組み立てる時間を作れなかった |
| 髙田優 | 5.0 | ガンバの中盤に押され、前進に苦労 |
| 重廣卓也 | 5.0 | 攻守に走ったがボール保持で違いを作れず |
| 梶谷政仁 | 5.0 | 前線で孤立する時間が長かった |
| 髙田颯也 | 4.5 | 前半のみ。決定的な仕事を作れず |
| 西坂斗和 | 5.0 | 後半開始から投入も流れを変えられず |
| 山田奈央 | 5.0 | 2失点目以降の難しい時間帯で投入 |
| 稲見哲行 | 5.0 | 終盤の立て直しを図ったが試合は決していた |
| トニー・アンデルソン | 5.0 | 攻撃力を期待されたが十分な供給を受けられず |
| 児玉駿斗 | 5.0 | ボールを動かそうとしたがガンバの圧力が上回った |
ガンバにとって最大の収穫は「5得点」より無失点
5-0なので、当然5得点に目が向く。
しかし今後のJ1を考えたとき、より大きいのは0失点かもしれない。
リーグ戦では失点したあと試合が苦しくなるケースもあった。
この日は徳島に攻撃の形をほとんど作らせず、最後まで集中。
明神監督も、
「失点をゼロで終えられたことも非常に評価している」
とコメントしている。
攻撃力だけなら一時的な爆発という可能性もある。
守備から試合を支配して5-0。
ここに価値がある。
リーグ7戦未勝利からの浮上につながるか
問題は「J1でも同じことができるか」
ただし、これでリーグ戦の問題がすべて解決したわけではない。
ガンバは現在、J1で7試合勝利なし。
徳島はJ2所属で、しかもターンオーバーを行っていた。
そのため、
5-0=リーグでも即復活
とは言えない。
むしろ次に必要なのは、
前からのプレス。
宇佐美を中心にした攻撃。
サイドの推進力。
鈴木・安部による中盤支配。
これをJ1上位相手にも継続できるか。
そこだ。
明神監督にとって大きな意味を持つ勝利
リーグ戦の結果だけを見れば、明神監督には厳しい目が向けられていた。
しかし神戸戦では内容面に改善。
そして今回の徳島戦は5-0。
少なくとも、
「チームが監督の狙いを失っている」
状態ではない。
明神監督が試合後に語った、
前線からプレスする。
ハードワークする。
ボールを動かす。
凡事徹底。
これらがピッチ上で表現された。
次はそれをリーグ戦の勝点3へ変換できるかが問われる。
ガンバ大阪の次戦への改善点
① 決定力をリーグへ持ち込む
5得点したからこそ、次に必要なのは再現性。
J1では相手の寄せも守備強度も上がる。
今回ほど多くのスペースは与えてもらえない。
② 宇佐美依存にならない
先制点は宇佐美。
これは大きな武器だ。
ただし常に宇佐美が決めてくれるとは限らない。
ヒュメット、山下、食野らが得点したことをリーグでも続けたい。
③ 先制後も前へ行く姿勢
この日は1-0で守らず、5点まで伸ばした。
この姿勢をリーグでも継続できれば、ガンバの試合は変わる。
徳島ヴォルティスの次戦への改善点
① ビルドアップの出口を整理
ガンバのプレスに対して、どこから前進するかが曖昧だった。
短くつなぐだけでなく、
前線へのロングボール。
サイドへの逃げ道。
セカンドボール前提の配置。
複数の出口を用意したい。
② 失点後のゲーム管理
1失点後までは耐えた。
しかし2点目から一気に4失点。
追い掛ける必要はあっても、チーム全体のバランスまで壊してはいけない。
③ すぐにリーグ戦へ切り替える
徳島の次戦は9月26日のJ2第8節・栃木シティ戦。中2日でホームゲームを迎える。
天皇杯敗退を長く引きずる余裕はない。
J2では10位ながら3勝1分3敗。
ここから上位へ浮上するためにも、リーグへの切り替えが最優先になる。
ガンバ大阪の次戦は柏レイソル
ガンバの次のトップチーム公式戦は10月3日。
ルヴァンカップ4回戦で柏レイソルとアウェーで対戦する。キックオフは19時、会場は三協フロンテア柏スタジアムだ。
J1で好調な柏は、今回の徳島以上に守備強度も攻撃精度も高い。
そこで今回の5-0が、
「カテゴリー差による大勝」
だったのか。
それとも、
「明神ガンバ復調のスタート」
だったのか。
本当の答えが見えてくる。
まとめ|ガンバがようやく見せた“勝つための形”
ガンバ大阪 5-0 徳島ヴォルティス。
得点者は、
宇佐美貴史
山下諒也
デニス・ヒュメット
池谷銀姿郎
食野亮太郎。
5人全員が違う選手だった。
この事実が、この試合を象徴している。
誰か一人のスーパーゴールだけで勝ったわけではない。
前線からプレスする。
中盤で回収する。
ボールを動かす。
サイドを使う。
途中出場選手が結果を出す。
そして最後まで守る。
明神監督が目指している形が、90分を通して最も明確に表れた試合だった。
もちろんJ2徳島、それもターンオーバーした相手との試合。
評価しすぎるのは早い。
それでも、リーグ7戦未勝利のチームにとって必要だったのは、
「自分たちがやってきたことは間違っていない」
と確認できる結果だった。
5得点。
無失点。
ラウンド16進出。
そして宇佐美、山下、ヒュメット、池谷、食野という複数得点者。
この勝利をリーグ、ルヴァンカップ、ACL Eliteへどうつなげるか。
ガンバ大阪の2026/27シーズンは、ここから改めて勝負を迎える。
免責事項
本記事は、JFA公式サイト、Jリーグ公式サイト、ガンバ大阪公式サイト、徳島ヴォルティス公式サイトなど、2026年9月24日時点で公開されている情報を確認したうえで作成しています。
試合結果、得点者、スターティングメンバー、交代選手、次戦日程等については公式情報を参照しています。
一方、戦術分析、選手評価、採点、MOMの選出、勝敗の要因および改善点については、公開された試合記録などをもとにした本稿独自の分析・評価です。
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