日本時間7月4日に行われたFIFAワールドカップ2026決勝トーナメント1回戦、オーストラリア対エジプトは1-1のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦の末にエジプトが4-2で勝利しました。これにより、アジア勢として最後に残っていたオーストラリアが敗退。先にブラジルに1-2で敗れていた日本に続き、今大会のAFC勢はベスト32で全滅となりました。
今大会は出場国が48チームに拡大され、AFCからは日本、韓国、イラン、オーストラリア、サウジアラビア、カタール、イラク、ヨルダン、ウズベキスタンの9カ国が出場しました。過去最多規模のアジア勢が本大会に挑んだ一方で、グループステージを突破したのは日本とオーストラリアの2カ国のみ。2022年カタール大会では日本、韓国、オーストラリアの3カ国が決勝トーナメントに進んでいたことを考えると、数の上では出場枠が増えながらも、結果面では後退した大会だったと言えます。
2026年大会のアジア勢成績まとめ
| 国 | グループ成績 | 最終成績 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 1勝2分0敗・勝点5 | ベスト32 | オランダと引き分け、チュニジアに4-0で快勝し、スウェーデンとも引き分けて無敗で突破。決勝トーナメント1回戦ではブラジルに1-2で敗退 |
| オーストラリア | 1勝1分1敗・勝点4 | ベスト32 | トルコに勝利し、パラグアイと引き分けてグループ突破。エジプト戦は1-1からPK戦で敗退 |
| 韓国 | 1勝0分2敗・勝点3 | グループステージ敗退 | 初戦でチェコに勝利したものの、メキシコ、南アフリカに連敗。3位ながら突破圏には届かず |
| イラン | 0勝3分0敗・勝点3 | グループステージ敗退 | ニュージーランド、ベルギー、エジプトとすべて引き分け。無敗ながら初の決勝トーナメント進出はならず |
| サウジアラビア | 0勝2分1敗・勝点2 | グループステージ敗退 | ウルグアイ、カーボベルデと引き分けたが、スペイン戦の大敗が響き最下位 |
| カタール | 0勝1分2敗・勝点1 | グループステージ敗退 | スイス戦で勝点1を得たが、カナダ戦、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦で失点が重なり敗退 |
| イラク | 0勝0分3敗・勝点0 | グループステージ敗退 | フランス、ノルウェー、セネガルの強豪組で3連敗。1得点12失点と厳しい結果 |
| ヨルダン | 0勝0分3敗・勝点0 | グループステージ敗退 | 初出場ながら3試合すべてで得点。ただし勝点には届かず |
| ウズベキスタン | 0勝0分3敗・勝点0 | グループステージ敗退 | 初出場でコロンビア、ポルトガル、DRコンゴと対戦。すべて複数失点で敗れた |
アジア勢全体で見ると「勝ち切れなかった大会」
グループステージのアジア勢は、合計27試合で3勝9分15敗。勝利を挙げたのは日本、韓国、オーストラリアの3カ国だけでした。日本はグループステージで無敗、オーストラリアも現実的な戦い方で決勝トーナメントに進出し、イランも3引き分けで粘りました。しかし、それ以外の国は勝利をつかめず、特に初出場のヨルダン、ウズベキスタン、そして久々出場のイラクは世界との差を痛感する大会となりました。
2026年大会は、3位チームにも決勝トーナメント進出の可能性がある形式でした。そのため、従来の32チーム制よりもグループ突破のチャンスは広がっていました。それでも9カ国中2カ国しかベスト32に進めなかった点は、アジア全体としては重く受け止めるべき結果です。
日本は一定の評価も、ベスト8への壁は残る
日本はオランダと2-2で引き分け、チュニジアに4-0で勝利し、スウェーデンとも1-1で引き分けました。グループステージの内容だけを見れば、アジア勢の中では最も安定していたチームと言えます。攻撃面でも3試合で7得点を挙げ、世界相手に主導権を握る時間も作れていました。
一方で、決勝トーナメント1回戦ではブラジルに1-2で敗戦。勝負どころで強豪国を上回るには、試合運び、決定力、終盤の守備強度など、もう一段階の上積みが必要であることも示されました。グループステージを突破する力はすでにあるものの、「ベスト8以上」を本気で狙うには、強豪国との一発勝負で勝ち切る力が問われ続けます。
オーストラリアは粘ったが、PK戦で力尽きる
オーストラリアはグループDでトルコに2-0で勝利し、アメリカには0-2で敗れたものの、最終戦でパラグアイと0-0で引き分けて2位通過を決めました。派手さはないものの、守備を固めて勝点を拾う現実的な戦い方は健在でした。
エジプト戦でも1-1のまま延長戦を終え、最後はPK戦に持ち込みました。しかし、PK戦では2人が失敗し、エジプトに4本すべてを決められて敗退。前回2022年大会に続く決勝トーナメント進出は果たしましたが、ベスト16の壁を破ることはできませんでした。
韓国・イランの敗退が痛かった
今大会のアジア勢で大きな誤算だったのは、韓国とイランがグループステージで敗退したことです。韓国は初戦でチェコに2-1で勝利したものの、その後はメキシコ、南アフリカに連敗。3位には入ったものの、決勝トーナメントに進むには足りませんでした。特に最終戦の南アフリカ戦を落としたことで、自力で流れを引き寄せることができなかった印象です。
イランはベルギー、エジプトを含むグループで3引き分けと粘りました。無敗で大会を終えたことは評価できますが、逆に言えば1勝を取り切れなかったことが決定的でした。3位突破の可能性がある大会形式だっただけに、ニュージーランド戦やエジプト戦で勝ち切れなかったことが悔やまれます。
過去大会との比較
| 大会 | アジア勢の主な結果 | 最高成績 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1994年アメリカ大会 | サウジアラビアが初出場で決勝トーナメント進出 | ベスト16 | アジア勢の可能性を示した大会 |
| 1998年フランス大会 | 日本、韓国、イラン、サウジアラビアが出場も全てグループ敗退 | グループステージ | 出場国は増えたが結果は伸びず |
| 2002年日韓大会 | 韓国が4位、日本がベスト16 | 4位 | アジア勢史上最高の大会 |
| 2006年ドイツ大会 | 韓国、日本、イラン、サウジアラビアはグループ敗退。オーストラリアはベスト16 | ベスト16 | オーストラリアは当時OFC経由だが、現在のAFC勢として見ると重要な実績 |
| 2010年南アフリカ大会 | 日本と韓国がベスト16進出 | ベスト16 | アジア勢2カ国が決勝トーナメント進出 |
| 2014年ブラジル大会 | 日本、韓国、イラン、オーストラリアが全てグループ敗退 | グループステージ | 近年では最も厳しい大会の一つ |
| 2018年ロシア大会 | 日本がベスト16進出。韓国はドイツに勝利もグループ敗退 | ベスト16 | 日本がベルギーを追い詰めた大会 |
| 2022年カタール大会 | 日本、韓国、オーストラリアがベスト16進出 | ベスト16 | アジア勢3カ国が決勝トーナメント進出した好大会 |
| 2026年北中米大会 | 日本、オーストラリアのみベスト32進出。両国とも1回戦敗退 | ベスト32 | 出場国数は最多だが、結果は伸び悩み |
2026年大会は「出場枠拡大の恩恵」と「世界との差」が同時に見えた
2026年大会のアジア勢は、過去最多の9カ国が本大会に出場しました。これはアジアサッカー全体にとって大きな前進です。日本、韓国、イラン、オーストラリアだけでなく、ヨルダンやウズベキスタンのような初出場国がワールドカップの舞台に立ったことは、地域全体の底上げという意味では重要でした。
しかし、本大会での結果を見ると、世界との差はまだ大きいと言わざるを得ません。特に欧州、南米、アフリカ勢と比較すると、個の強度、試合終盤の勝負強さ、守備の安定感、攻撃の決定力で差が出ました。48チーム制になったことで出場チャンスは広がりましたが、決勝トーナメントで勝つための基準はむしろ上がっているようにも見えます。
2022年大会から後退した印象は否めない
2022年カタール大会では、日本、韓国、オーストラリアの3カ国が決勝トーナメントに進出しました。日本はドイツ、スペインを破ってグループ首位通過を果たし、韓国もポルトガルに勝利して突破、オーストラリアも堅実な戦いでベスト16入りしました。アジア勢全体に勢いがあり、「次こそベスト8」という期待が高まった大会でした。
それに対して2026年大会は、出場国が増えたにもかかわらず、決勝トーナメントに進んだのは2カ国だけ。しかも2026年大会の決勝トーナメント1回戦は「ベスト32」であり、従来の32チーム制における「ベスト16」よりも一つ手前の段階です。そう考えると、2026年の結果は単純なベスト32進出では評価しにくく、2022年大会からは後退した印象が強く残ります。
アジア勢に求められる次の課題
今大会で明確になった課題は、まずグループステージで勝ち切る力です。引き分けで粘るだけでは、3位突破の可能性がある大会でも安全圏には届きません。イランのように無敗でも敗退するケースがある以上、どこかで1勝を取り切る攻撃力が必要になります。
次に、チーム内の層の厚さも問われます。日本やオーストラリアは一定の完成度を示しましたが、強豪国との連戦や決勝トーナメントでは、交代選手を含めた総合力が勝敗を分けます。アジアのトップ国がベスト16常連からベスト8候補へ進むには、スタメンだけでなく、途中出場で試合を変えられる選手の質がさらに必要です。
そして、アジア全体としては、トップ数カ国とその他の国との差をどう縮めるかも大きなテーマです。ヨルダンやウズベキスタンの初出場は明るい材料でしたが、本大会で勝点を得るにはまだ多くの経験が必要でした。出場枠拡大を一過性の経験で終わらせず、国内リーグ、育成、海外移籍、強化試合の質を高めていくことが求められます。
まとめ
2026年ワールドカップのアジア勢は、過去最多9カ国が出場しながら、決勝トーナメントに進んだのは日本とオーストラリアの2カ国のみ。そして両国ともベスト32で敗退し、アジア勢は大会から姿を消しました。
日本はグループステージで高い完成度を見せ、オーストラリアも粘り強く勝ち上がりました。しかし、ブラジルやエジプトを相手に一発勝負で勝ち切ることはできませんでした。韓国、イランの敗退も含め、アジア勢全体としては期待を下回った大会だったと言えます。
2002年の日韓大会、2010年南アフリカ大会、2022年カタール大会では、アジア勢が世界にインパクトを残しました。それと比較すると、2026年大会は「出場国数は増えたが、結果は伸びなかった大会」として記憶される可能性があります。次回大会に向けて問われるのは、出場することではなく、グループを突破し、さらに決勝トーナメントで勝つための本当の競争力です。








