2026年5月。決戦の地、北中米へと旅立つ26名のサムライたちが決定し、いよいよワールドカップ開幕の足音が耳元まで迫ってきた。
チュニジア、スウェーデン、オランダ。全く異なる戦術パラダイムを持つこの3カ国に対し、森保一監督はどのようなメンバーをピッチに送り出し、いかにして勝ち点を奪い取るのか。
本稿では、プロの戦術アナリストの視点から、グループステージ全3試合の「スタメン予想」と「試合別の戦術的アプローチ」を徹底解剖する。対戦相手のストロングポイントを打ち消し、日本の強みを最大化するための「最適解」を、忖度なしのリアルな視点でお届けしよう。
第1戦 vs チュニジア:堅牢なる要塞を打ち破る「非対称ポジショナルプレー」
【予想フォーメーション:4-2-3-1】
| ポジション | 選手名 | 選考の意図・役割 |
| FW | 上田綺世 | 屈強なCBを背負い、基準点となる絶対的ポストワーカー。 |
| MF (左) | 三笘薫 | 左の大外に張り、1対1のアイソレーションで局面を打開する。 |
| MF (中央) | 久保建英 | ライン間でパスを引き出し、攻撃のリズムを作る絶対的司令塔。 |
| MF (右) | 伊東純也 | 右サイド深くをえぐり、クロスで相手守備陣をパニックに陥れる。 |
| MF (ボランチ) | 守田英正 | 相手のプレスラインを越える配球と、神出鬼没なハーフスペースへの侵入。 |
| MF (ボランチ) | 遠藤航 | ネガティブ・トランジション時の防波堤。カウンターの芽を摘む。 |
| DF (左) | 伊藤洋輝 | 攻撃時は偽CBとして振る舞い、後方のビルドアップを安定させる。 |
| DF (CB) | 冨安健洋 | 高いライン設定を支える圧倒的なスピードとカバーリング能力。 |
| DF (CB) | 板倉滉 | 対人守備の強さと、縦パスを突き刺すビルドアップの起点。 |
| DF (右) | 菅原由勢 | 伊東純也をサポートしつつ、インナーラップでハーフスペースを突く。 |
| GK | 鈴木彩艶 | 広大なスペースをカバーするスイーパーキーパーとしての役割。 |
戦術アプローチ:ボール保持の質と「レストディフェンス」の徹底
アフリカ特有の身体能力と、組織的な4-5-1のローブロックを敷くチュニジアに対し、日本はボールを保持する時間が長くなる。ここで採用すべきは、左右非対称の攻撃陣形だ。
左サイドは三笘薫を大外に張り出させ、伊藤洋輝は攻め上がらずに後方に留まる「3バック化」でビルドアップを安定させる。右サイドは伊東純也が大外を取り、菅原由勢が内側(ハーフスペース)を駆け上がるインナーラップで相手のマークを混乱させる。久保建英は自由を与えられ、相手の中盤と最終ラインの間(ライン間)を浮遊して決定的なパスを狙う。
この試合の最大の鍵は「レストディフェンス(攻撃時の予防的守備)」だ。チュニジアのカウンターの切れ味は鋭い。ボールを失った瞬間、遠藤航と冨安健洋が相手FWへのパスコースを瞬時に塞ぎ、即時奪回(ゲーゲンプレス)を成立させられるかが、勝ち点3獲得への生命線となる。焦れずにボールを動かし続け、後半の相手の足が止まった時間帯に三笘の単独突破から勝負を決めるシナリオを描きたい。
第2戦 vs スウェーデン:重戦車を機能不全に陥らせる「カミカゼ・プレス」
【予想フォーメーション:4-3-3】
| ポジション | 選手名 | 選考の意図・役割 |
| FW | 前田大然 | 狂気的なスプリントで相手CBの配球を狂わせる「守備のスイッチ」。 |
| FW (左) | 中村敬斗 | 中に入ってのフィニッシュワークと、サイドでの献身的な上下動。 |
| FW (右) | 伊東純也 | トランジション時に一気に裏のスペースを突くスピードスター。 |
| MF (IH) | 南野拓実 | セカンドボールの回収と、前線からの連動したハイプレスの徹底。 |
| MF (IH) | 守田英正 | 攻守のリンクマン。機を見た前線への飛び出し。 |
| MF (アンカー) | 遠藤航 | イサクやギェケレシュにクサビが入る瞬間の徹底的な潰し役。 |
| DF (左) | 中山雄太 | クルゼフスキとの1対1に蓋をする、守備重視のサイドバック。 |
| DF (CB) | 町田浩樹 | スウェーデンの空中戦に対抗するための高さとフィジカル。 |
| DF (CB) | 板倉滉 | 対人戦での粘り強さと、ディフェンスラインの統率。 |
| DF (右) | 冨安健洋 | 右サイドバックに配置し、相手の強力な左サイドの攻撃をシャットアウト。 |
| GK | 鈴木彩艶 | クロスボールへの積極的な対応とシュートストップ。 |
戦術アプローチ:肉弾戦の回避と、出どころへの強烈なプレッシャー
第1戦から中3日で迎える大一番。イサクとギェケレシュという理不尽なツートップを擁するスウェーデンに対し、まともに引き引いて守備ブロックを作れば、90分間のどこかで必ずフィジカルで押し切られる。
そこで森保監督が打つべき手は、前田大然を頂点に据えた「超攻撃的プレッシング」だ。スウェーデンのビルドアップの起点は決して世界トップレベルではない。前田、南野、中村が連携し、相手CBとボランチに対して息を呑むようなハイプレスを敢行する。狙うのは、前線のツートップへ「良質なボールを供給させない」こと。
守備陣も大幅に入れ替える。冨安健洋を右サイドバックに回し、中央には190cmの町田浩樹を起用。スウェーデンのストロングポイントであるフィジカルと高さに対し、日本も最大限のサイズと強度で応戦する。ボールを奪えば、相手のハイラインの背後へ伊東純也を走らせるシンプルなショートカウンターが主体となる。戦術の美しさよりも、インテンシティ(プレーの強度)と泥臭さが勝敗を分ける、総力戦の90分間だ。
第3戦 vs オランダ:オレンジの支配を破壊する「5バックの罠」
【予想フォーメーション:3-4-2-1(守備時 5-4-1)】
| ポジション | 選手名 | 選考の意図・役割 |
| FW | 浅野拓磨 | ワンチャンスで相手最終ラインの背後を陥れる「ジャガー」。 |
| MF (シャドー) | 三笘薫 | カウンターの起点。奪った直後の単独ドリブルで陣地を回復する。 |
| MF (シャドー) | 久保建英 | 守備時はデ・ヨングを監視し、攻撃時はキープ力でタメを作る。 |
| MF (ボランチ) | 遠藤航 | バイタルエリアの門番。シャビ・シモンズらの侵入を絶対に許さない。 |
| MF (ボランチ) | 田中碧 | 運動量と予測力を活かしたスペースカバーと、配球のリズム作り。 |
| WB (左) | 長友佑都 | 大一番での経験値と、ダンフリース(またはフリンポン)との肉弾戦対応。 |
| CB (左) | 町田浩樹 | オランダの右サイドからのクロスを跳ね返す防空壕。 |
| CB (中央) | 冨安健洋 | 5バックの統率者。ガクポやデパイへのカバーリングを徹底。 |
| CB (右) | 板倉滉 | 対人守備の強さを活かし、左サイドからのカットインを阻止。 |
| WB (右) | 菅原由勢 | 豊富な運動量でサイドを上下動し、5バックの一角として蓋をする。 |
| GK | 鈴木彩艶 | 波状攻撃に対するメンタルの強さと、至近距離でのシュートストップ。 |
戦術アプローチ:リアリズムへの回帰と「デ・ヨング封じ」
グループ突破の行方を左右する最終戦。相手は優勝候補の一角であるオランダだ。ここで日本は、プライドを捨てて極端なリアリズム(現実主義)に徹する必要がある。
システムは3-4-2-1。ボール非保持時は両ウイングバックが最終ラインに吸収され、強固な5-4-1のブロックを形成する。この試合の最重要ミッションは、オランダの心臓であるフレンキー・デ・ヨングに自由を与えないこと。久保建英または浅野拓磨が常に彼の視界に入り、パスコースを限定し続ける。
オランダがボールを70%以上保持する展開になるだろう。日本はペナルティエリア幅にコンパクトな陣形を敷き、ハーフスペースへの侵入に対してはCBがアグレッシブに迎撃に出る。そしてボールを奪取した瞬間、ターゲットになるのはオランダの超攻撃的ウイングバックが空けた「両脇の広大なスペース」だ。そこに三笘や浅野が猛烈なスプリントをかけ、ファン・ダイクらを走らせる展開に持ち込む。
耐えて、耐えて、耐え抜いた末のセットプレー、あるいは一瞬のカウンター。泥にまみれながら勝ち点1(あわよくば勝ち点3)をもぎ取る、息詰まるような攻防戦となるだろう。
※免責事項:本記事の内容は、2026年ワールドカップに向けたシミュレーションおよび筆者の戦術分析に基づく予想であり、実際の監督の采配や試合結果を保証するものではありません。各選手のコンディションや直前のチーム状況により、スタメンや戦術は大きく変わる可能性があります。
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