2026年10月7日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦で、J1の横浜F・マリノスと京都府代表の京都産業大学が日産スタジアムで対戦した。
結果は横浜F・マリノスが2-1で逆転勝利。前半35分に京都産業大学の福永裕也が先制し、今大会2度目のジャイアントキリングを予感させる展開となった。しかし後半59分、京都産業大学DF小野成夢がDOGSOで一発退場。直後の61分にジョルディ・クルークスが直接FKを決め、68分には天野純が逆転ゴールを奪った。
2回戦でJ1水戸ホーリーホックを2-0で破った京都産業大学は、今大会の大学勢で唯一3回戦へ進出していた。横浜FM相手にも先制して堂々と渡り合ったが、退場を境に試合の流れが一変。横浜FMがJ1クラブとしての地力を見せてラウンド16進出を決めた。
横浜F・マリノスvs京都産業大学|試合結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 |
| ラウンド | 3回戦 |
| 開催日 | 2026年10月7日 |
| 会場 | 日産スタジアム |
| キックオフ | 19:00 |
| 結果 | 横浜F・マリノス 2-1 京都産業大学 |
| 前半 | 0-1 |
| 後半 | 2-0 |
得点経過
| 時間 | チーム | 得点者 |
|---|---|---|
| 35分 | 京都産業大学 | 福永裕也 |
| 61分 | 横浜F・マリノス | ジョルディ・クルークス |
| 68分 | 横浜F・マリノス | 天野純 |
JFA公式記録でも、福永の先制後にクルークスと天野が後半にゴールを決め、横浜FMが2-1で逆転したことが確認できる。
両チームのスターティングメンバー
横浜F・マリノス
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 飯倉大樹 |
| DF | 井上太聖 |
| DF | ジェイソン・キニョーネス |
| DF | 諏訪間幸成 |
| DF | 関富貫太 |
| MF | 知念慶 |
| MF | 山根陸 |
| MF | 天野純 |
| FW | 近藤友喜 |
| FW | 二田理央 |
| FW | 宮市亮 |
京都産業大学
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 岩瀬颯 |
| DF | 滝口晴斗 |
| DF | 西村想大 |
| DF | 小野成夢 |
| DF | 沖野眞之介 |
| MF | 田代紘 |
| MF | 伊藤翼 |
| MF | 皿良立輝 |
| MF | 福永裕也 |
| MF | 末谷誓梧 |
| FW | 妹尾颯斗 |
横浜FMは天野純をキャプテンに据え、宮市亮、二田理央、近藤友喜らを前線に起用。一方の京都産業大学も、水戸戦でジャイアントキリングを達成した主力を中心としたメンバーで臨んだ。
前半|京都産業大学がJ1横浜FMを相手に堂々の先制
横浜FMがボールを持つも、岩瀬颯が立ちはだかる
序盤は横浜FMがボールを保持しながら京都産業大学を押し込んだ。
13分にはゴール前の混戦から宮市亮が決定機を迎えるが、京都産業大学GK岩瀬颯がセーブ。さらに24分、30分にも二田理央にチャンスが訪れたものの、京都産業大学はゴールを許さなかった。
カテゴリー差を考えれば、京都産業大学が自陣に完全に閉じこもる展開も想定された。
しかし実際には、守備で耐えるだけではない。
ボールを奪った際には素早く前へ運び、横浜FMの背後やサイドのスペースを狙っていた。
35分、末谷誓梧の突破から福永裕也
その積極性が実ったのが35分だった。
左サイドで末谷誓梧が突破。
ゴール方向へそのまま強引に進むのではなく、中央へマイナス気味に折り返す。
そこへ走り込んできた福永裕也が左足でシュート。GK飯倉大樹が反応したものの、ボールはゴールへと吸い込まれた。
横浜FM 0-1 京都産業大学。
2回戦で水戸を破った京都産業大学が、再びJ1クラブから先制した。
横浜FMが前半苦しんだ理由
サイドのスペースを有効に使えなかった
スティーブ・コリカ監督も試合後、序盤15分ほどは悪くなかった一方で、決め切れないまま自分たちのプレーが徐々にできなくなったと振り返っている。
特にサイドについては、使えるスペースがありながら前へ進めず、チャンスへつなげられなかった点を課題として挙げた。
京都産業大学の守備ブロックに対し、
ボールを持つ
→サイドまで運ぶ
→しかし最後の突破やクロスまでつながらない
という場面が増えた。
横浜FMは保持率で優位に立つだけではなく、守備陣を動かす縦へのアクションが必要な状態だった。
後半|横浜FMがハーフタイムに一気の3枚替え
谷村海那、クルークス、鈴木冬一を投入
コリカ監督はハーフタイムで大胆に動いた。
- 関富貫太 → 鈴木冬一
- 二田理央 → 谷村海那
- 宮市亮 → ジョルディ・クルークス
という3枚替えを実施した。
結果的に、この決断が試合を変える。
特にクルークスが入ったことで、横浜FMはより縦方向への推進力を出せるようになった。
コリカ監督も試合後、クルークス、鈴木、谷村の投入によって後半の内容が改善したと評価している。
59分|試合最大の分岐点、小野成夢が一発退場
キニョーネスの突破を止めてDOGSO
京都産業大学が最大の試練を迎えたのが59分だった。
横浜FMのDFジェイソン・キニョーネスが中央から前進。
これを京都産業大学DF小野成夢が止めたプレーに対し、主審は**DOGSO(決定的な得点機会の阻止)**と判断。
小野にはレッドカードが提示され、一発退場となった。
ここまで組織的に横浜FMを抑えていた京都産業大学だったが、残り約30分を10人で戦うことになった。
結果論ではあるが、ここが試合最大の分岐点だった。
61分|クルークスの直接FKで横浜FM同点
退場直後のFKを仕留める
小野の退場につながったファウルによって得たゴール正面のFK。
キッカーはハーフタイムから出場したクルークスだった。
クルークスは狙い澄ましたキックをゴールへ沈め、61分に同点。
横浜FM 1-1 京都産業大学。
退場からわずか2分。
京都産業大学にとっては、最も避けたかった形で追いつかれた。
68分|天野純が逆転ゴール
井上太聖から天野、カットインして左足
それでも京都産業大学には追加点のチャンスがあった。
67分には再び末谷の折り返しから福永がシュート。しかしボールはクロスバーの上へ。
そしてその直後の68分、横浜FMが決定的な一撃を放つ。
井上太聖から背後へ送られたボールを天野純が受けると、右サイドから中へカットイン。
左足で放ったシュートがDFに当たってコースを変え、そのままゴールへ入った。
横浜FM 2-1 京都産業大学。
わずか7分間で試合が完全にひっくり返った。
なぜ横浜F・マリノスは逆転できたのか
①ハーフタイムの3枚替え
最大のポイントは交代策だ。
谷村、クルークス、鈴木冬一を同時投入したことで、前半には不足していた縦へのスピードと推進力が加わった。
特にクルークスは直接FKで同点ゴール。
結果だけを見ても交代策は成功だった。
②キニョーネスの持ち上がり
退場の場面を生み出したキニョーネスのプレーも重要だった。
センターバックが前へ運ぶことで京都産業大学の守備配置にズレを作り、小野に対応を迫った。
単なるパス回しではなく、ボール保持者自身が相手守備を越えようとしたことが、試合を動かした。
③数的優位をすぐゴールにつなげた
相手が10人になっても、得点まで時間がかかれば守備陣形を整えられてしまう。
横浜FMは退場から2分後に追いつき、さらに7分後に逆転した。
京都産業大学に守備組織を再構築する時間を与えなかったことが大きかった。
京都産業大学がJ1横浜FMを苦しめた理由
①守備だけに頼らなかった
京都産業大学の最大の評価ポイントは、単純な「格下の守備」ではなかったことだ。
前半は横浜FMの攻撃を耐えながら、自分たちのチャンスでは前へ出た。
先制点はその象徴だ。
末谷が左サイドを突破し、福永が中央へ入る。
偶発的なロングシュートではなく、明確に相手を崩して奪ったゴールだった。
②GK岩瀬颯の存在
前半13分の宮市のシュートなど、岩瀬は横浜FMの決定機を阻止。
24分、30分にも横浜FMは二田を中心にチャンスを作ったが、京都産業大学は無失点を維持した。
J1クラブ相手に前半を1-0で折り返せた背景には、岩瀬を中心とした守備陣の集中力があった。
③末谷誓梧と福永裕也
攻撃では末谷と福永が強烈な存在感を残した。
35分は末谷突破→福永ゴール。
67分にも末谷→福永という同じ形から決定機を作っている。
横浜FMにとって最後まで警戒が必要なコンビだった。
横浜F・マリノス 選手採点
※採点は公開された試合記録・試合内容を基にした当サイト独自評価です。公式採点ではありません。
| 選手 | 評価 | 寸評 |
|---|---|---|
| 飯倉大樹 | 6.0 | 先制点は許したが、その後は失点せず |
| 井上太聖 | 6.5 | 逆転ゴールにつながる前方への配球 |
| キニョーネス | 6.5 | 前進から相手のDOGSO退場を誘発 |
| 諏訪間幸成 | 6.0 | 後半は数的優位の中で安定 |
| 関富貫太 | 5.5 | 前半のみで交代 |
| 知念慶 | 6.0 | 中盤でバランスを取った |
| 山根陸 | 6.0 | 75分までプレー |
| 天野純 | 7.5 | キャプテンとして逆転決勝ゴール |
| 近藤友喜 | 6.0 | 前線で80分までプレー |
| 二田理央 | 5.5 | 決定機を得るも前半で交代 |
| 宮市亮 | 6.0 | 13分に決定機を作った |
| 鈴木冬一 | 6.5 | 後半から流れの改善に貢献 |
| 谷村海那 | 6.5 | 最前線で起点を作った |
| クルークス | 7.5 | 流れを変え、直接FKで同点弾 |
| 喜田拓也 | 6.0 | 75分から試合をコントロール |
| 遠野大弥 | 6.0 | 終盤の逃げ切りに貢献 |
京都産業大学 選手採点
| 選手 | 評価 | 寸評 |
|---|---|---|
| 岩瀬颯 | 7.0 | 前半に好セーブを重ねた |
| 滝口晴斗 | 6.0 | J1攻撃陣に粘り強く対応 |
| 西村想大 | 6.0 | 10人になってからも中央を守った |
| 小野成夢 | 5.0 | 59分DOGSOで退場。試合の分岐点に |
| 沖野眞之介 | 6.0 | サイドで耐え続けた |
| 田代紘 | 6.0 | 中盤で献身的にプレー |
| 伊藤翼 | 6.0 | 攻守で運動量を維持 |
| 皿良立輝 | 6.0 | 退場後の守備再編に伴い交代 |
| 福永裕也 | 7.5 | J1相手に先制弾。後半にも決定機 |
| 末谷誓梧 | 7.5 | 左サイドから先制点を演出 |
| 妹尾颯斗 | 6.0 | 前線から守備にも貢献 |
この試合のMOM
ジョルディ・クルークス(横浜F・マリノス)
評価:7.5
天野純と迷うところだが、当サイトではクルークスをMOMとしたい。
0-1で迎えたハーフタイムから出場すると、横浜FMの攻撃に前方向への勢いを加えた。
そして61分、ゴール正面からの直接FKを沈めて同点。
コリカ監督も試合後、クルークス投入後に前へ進む部分で改善が見られたと評価している。
前半とは違う横浜FMを作り出したという意味でも、試合への影響は非常に大きかった。
横浜F・マリノスの課題
前半のような展開をJ1では許されない
勝利したとはいえ、横浜FMに課題がなかったわけではない。
コリカ監督自身も、前半の内容を十分ではなかったと認めている。
大学チームを相手に、
- 決定機を仕留められない
- 相手のカウンターを受ける
- 先制点を許す
- ハーフタイムに3枚替えが必要になる
という展開になった。
J1の強豪相手であれば、同じように0-1で折り返した後に逆転できる保証はない。
ボール支配を得点へ変えるための最後の質が今後のテーマとなる。
京都産業大学の課題
「あと1点」を取れるか
京都産業大学は敗れたものの、J1クラブと戦えることを改めて証明した。
ただし福永自身も試合後、後半の決定機を外したことについて、ゴール前の質や1点の重みを改めて感じたという趣旨のコメントを残している。
67分のチャンスが決まっていれば、
横浜FM 1-2 京都産業大学
となっていた可能性があった。
カテゴリーが上の相手との試合では、チャンスの数そのものが限られる。
その数少ない場面を決め切れるか。
ここはさらに上のレベルを目指す選手たちにとって、大きな経験になるはずだ。
京都産業大学の天皇杯は胸を張れる戦い
京都産業大学の天皇杯は3回戦で終了した。
しかし内容を見ると、その価値は敗退という結果だけでは測れない。
2回戦ではJ1水戸ホーリーホックを2-0で撃破し、大学勢で唯一3回戦へ進出。
そして3回戦では横浜F・マリノスから先制。
59分の退場までは1-0でリードし、10人になった後も決定機を作った。
コリカ監督も京都産業大学について、鍛えられた良いチームであり、横浜FMにとって難しい展開を作ったと試合後に評価している。
J1を相手に偶然善戦したのではない。
組織的な守備、サイドからの攻撃、そして個人能力を組み合わせ、本気で勝利を狙った90分だった。
試合総括|横浜FMの修正力と、京都産業大学の可能性が表れた一戦
最終結果は、
横浜F・マリノス 2-1 京都産業大学。
35分、福永裕也。
61分、ジョルディ・クルークス。
68分、天野純。
横浜FMが逆転でラウンド16へ駒を進めた。
横浜FMにとって最大の収穫は、0-1という難しい状況から後半に修正し、勝ち切ったことだろう。
ハーフタイムに3選手を投入。
キニョーネスの突破から退場を誘い、クルークスがFKを決め、最後は天野が逆転弾。
経験と選手層を生かして試合をひっくり返した。
一方の京都産業大学は「惜しかった大学チーム」という言葉だけでは片付けられない。
J1水戸を倒し、横浜FMから先制し、日産スタジアムでJ1クラブを本気で追い詰めた。
プロと大学サッカーの差が決して90分間ずっと存在するわけではないことを示した試合でもあった。
横浜FMは勝利という結果を次のラウンドへつなげ、京都産業大学の選手たちはこの経験を大学リーグ、そして将来のプロの舞台へどう還元するのか。
勝者と敗者の双方に、今後につながる意味の大きな一戦となった。
免責事項
本記事は、日本サッカー協会(JFA)、横浜F・マリノス公式サイト、京都産業大学公式発表および各種報道機関が公開している2026年10月8日時点の情報をもとに作成しています。
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