東京ヴェルディは2026年10月5日、トップチームを率いていた城福浩監督との契約を解除したと正式発表した。
2022年6月から約4年4カ月にわたってチームを率い、2023年にはクラブを16年ぶりとなるJ1復帰へ導いた指揮官が、シーズン途中でチームを離れることになった。
クラブは解除理由について、第8節終了時点でJ1リーグ19位に沈んでいる現状を重く受け止め、「クラブの将来を見据えた総合的な判断」と説明している。
2026-27シーズンは開幕8試合未勝利
4分4敗・勝点4で19位
東京Vは2026-27明治安田J1リーグで開幕から苦しい戦いが続いている。
10月5日時点の成績は、
8試合
0勝
4分
4敗
勝点4
19位
となっている。
20クラブ中、唯一リーグ戦で勝利がない状況だ。東京ヴェルディ公式サイトでも10月5日現在、19位・0勝4分4敗と掲載されている。
さらに今季は8試合で4得点と攻撃面でも苦戦。
昨季から続く得点力不足を解消し切れず、結果が伴わない状態となっていた。
城福浩監督「このタイミングで離れることは無念」
チーム作りは「これから」と感じていた
城福監督は契約解除発表に際し、シーズン序盤に勝点を積み上げられなかったことについて謝罪。
一方で、新加入選手がそろい、負傷者も復帰へ向かっているため、チーム作りはここからだと考えていたことも明かした。
そのため、今回のタイミングでチームを離れることについて「無念」との思いを表現している。
結果だけを見れば監督交代という判断になったものの、城福監督としては戦力が整い始めた今こそ巻き返しへ向かえるという感触を持っていたようだ。
2022年途中、低迷していた東京Vの監督に就任
就任当時はJ2で14位
城福監督が東京Vの指揮官に就任したのは2022年6月。
当時の東京VはJ2リーグ21試合を終えて、
6勝8分7敗。
順位は14位だった。
堀孝史監督の退任を受け、FC東京、ヴァンフォーレ甲府、サンフレッチェ広島などを率いた経験豊富な城福監督に再建が託された。
最大の功績は2023年のJ1昇格
16年ぶりにトップカテゴリーへ
城福体制最大の功績は、やはり2023年だろう。
東京VはJ2リーグを3位で終了。
J1昇格プレーオフを勝ち上がり、2008年以来16年ぶりとなるJ1昇格を決めた。
長期間J2で戦っていた名門を、再び日本最高峰の舞台へ戻した。
クラブ側も今回の契約解除発表で、このJ1復帰を「非常に大きな偉業」と評価している。
2024年は昇格初年度でJ1・6位
予想を上回る快進撃
さらに驚かせたのが2024年。
昇格初年度ながらJ1リーグ6位。
若い選手を積極的に起用しながら、
前線からの激しいプレス。
球際の強さ。
全員が連動する守備。
ボールを奪ってからの素早い攻撃。
を武器に、J1でも十分に戦えることを証明した。
単純に残留するだけでなく、一桁順位まで到達。
城福監督の評価を大きく高めるシーズンとなった。
2025年は17位まで後退
「2年目の壁」に直面
しかし2025年は状況が変化する。
最終順位は17位。
J1残留こそ果たしたものの、前年6位から大きく順位を落とした。
主力選手の移籍。
負傷者。
対戦相手による東京V対策。
さまざまな要素が重なり、2024年のような勢いを継続できなかった。
それでも城福体制は継続された。
2025年12月22日にはクラブが契約更新を発表し、城福監督自身も「更なるチームの成長」を掲げていた。
2026年百年構想リーグでは一度立て直す
2026年に行われた特別大会「明治安田J1百年構想リーグ」では、東京VはEASTグループ5位。
最終的には全体10位で大会を終えた。
大きく低迷する結果ではなく、一定の立て直しを見せて新シーズンへ入った。
しかし2026-27J1リーグでは、開幕から8試合未勝利。
クラブはついに監督交代という大きな決断を下した。
なぜこのタイミングで契約解除となったのか
クラブが明言しているのは「19位という現状」
注意したいのは、クラブが具体的な戦術や選手起用を契約解除の理由として挙げているわけではないことだ。
中村考昭代表取締役社長は、
「第8節終了時点で19位という現状を重く受け止めた」
と説明。
そのうえで、クラブの将来まで含めて総合的に判断したとしている。
つまり最も大きいのは、やはり結果だ。
8試合未勝利。
19位。
リーグ最少クラスの得点数。
シーズンがさらに進む前に流れを変えたいというクラブの危機感が、今回の決断につながったと考えるのが自然だろう。
城福監督が東京Vに残したもの
若手を恐れず使う文化
城福体制を「結果が出なかったから失敗」と一言でまとめるのは適切ではない。
東京Vはもともとアカデミーをクラブの大きな柱としている。
その環境の中で城福監督は、若い選手も積極的にトップチームへ組み込んできた。
経験よりも、
トレーニングでの姿勢。
走力。
守備強度。
戦術理解度。
を重視し、若手でも条件を満たせばピッチへ送り出した。
現在の東京Vが持つ「若手が成長できるJ1クラブ」というイメージにも、城福体制の影響は小さくない。
10月7日の天皇杯は森下仁志ヘッドコーチが暫定指揮
まずはガイナーレ鳥取戦
クラブは同時に、10月7日に味の素スタジアムで行われる天皇杯3回戦・ガイナーレ鳥取戦について、森下仁志ヘッドコーチが暫定的に指揮を執ることを発表した。
そのため、現時点で最も重要な人物は森下氏になる。
正式な後任監督について、東京Vは、
「決定次第速やかにお知らせする」
としており、10月5日午前時点ではまだ発表されていない。
次期監督選びで東京Vが重視すべきポイント
城福サッカーをすべて壊すのはリスクが高い
シーズンはすでに始まっている。
しかも10月は、
10月7日 天皇杯・鳥取戦
10月11日 広島戦
10月17日 FC東京戦
10月21日 横浜FM戦
10月24日 福岡戦
と試合が続く。
新監督が一から全く違う戦術を導入する時間はほとんどない。
だからこそ現実的には、
守備強度を維持できる
若手を使える
現有戦力を理解できる
短期間でチームを整理できる
という条件を満たす人物が優先されるはずだ。
次期監督候補① 森下仁志ヘッドコーチ
現実度:★★★★★
現時点で最も現実的なのは、やはり森下仁志氏だろう。
これは単なる名前の知名度からではない。
クラブが10月7日の天皇杯で実際に暫定指揮を任せているためだ。
J1監督経験も豊富
森下氏は過去に、
ジュビロ磐田
京都サンガF.C.
サガン鳥栖
ザスパクサツ群馬
で監督を経験。
さらにガンバ大阪U-23、ガンバ大阪ユースでも監督を務めている。
Jリーグでの監督経験は豊富だ。
Jリーグ公式データでは監督としてJ1通算78試合を指揮している。
2024年から東京Vに在籍
最大のメリットは、現在のチームを知っていること。
森下氏は2024年から東京Vのトップチームスタッフに入り、現在はヘッドコーチ。
つまり、
選手の特徴。
城福監督が求めていた守備基準。
トレーニング内容。
チーム内の人間関係。
すべてを把握している。
シーズン途中でチームを大幅に変えずに立て直すには非常に適した存在だ。
U-21東京V監督も兼任
さらに2026-27シーズンはU-21東京ヴェルディの監督も担当している。
トップチームだけでなく、若手選手の状態も把握している。
東京Vが大切にする「アカデミーからトップへの育成」という考え方との相性も良い。
残りシーズンを森下体制で戦い、その結果を見て来季以降を判断する。
これが現時点では最も自然なシナリオだと考える。
次期監督候補② 和田一郎ヘッドコーチ
現実度:★★★☆☆
もう一人の内部候補が和田一郎ヘッドコーチだ。
和田氏は2023年から東京Vのスタッフに入り、現在は森下氏とともにヘッドコーチを務めている。
日本代表スタッフとして豊富な経験
経歴は非常に興味深い。
2000年から長期間、日本サッカー協会でテクニカルスタッフを担当。
2010年から2014年には日本代表アシスタントコーチ。
その後も、
ガンバ大阪ヘッドコーチ。
U-20日本代表。
U-21日本代表。
U-22日本代表。
名古屋グランパス。
などで指導してきた。
現在はJFA公認Proライセンス、AFCプロ・ディプロマコーチライセンスを保有している。
森下氏との違い
森下氏に比べると、Jクラブのトップチームを監督として率いた実績がないことがネックになる。
その一方で、
分析。
代表レベルでの戦術経験。
城福体制への理解。
という部分では強みがある。
森下氏が正式監督となり、和田氏が戦術面を支える現在のスタッフ構成を活用する形も十分考えられる。
単独での次期監督候補というより、新体制のキーパーソンとして注目したい人物だ。
次期監督候補③ 長谷川健太
現実度:★★★☆☆
外部招聘で考えるなら、候補として興味深いのが長谷川健太氏だ。
長谷川氏は清水エスパルス、ガンバ大阪、FC東京、名古屋グランパスなどを率いてきたJリーグ屈指の経験者。
ガンバ大阪ではJ1、天皇杯、ナビスコカップの国内三冠も達成している。
2025シーズン終了後に名古屋を離れ、現在はJクラブの監督を務めていないとされている。
なぜ東京Vに合う可能性があるのか
長谷川氏の強みは、
短期間で守備組織を整理できる。
ハードワークを要求できる。
J1残留争いを含む豊富な経験がある。
という部分だ。
東京Vが今季最優先すべきなのは、理想のサッカーを一から作ることよりも、まず19位から抜け出すこと。
その意味では経験豊富な長谷川氏は候補になり得る。
またFC東京を率いた経験があり、東京という環境にも慣れている。
最大の問題は「方向性」
一方で懸念もある。
東京Vは若手育成とアカデミーを非常に重視するクラブ。
城福体制で築いた高強度かつ若手中心のチームを、どこまで継続するのか。
長谷川氏を呼ぶ場合は、
短期的な残留だけを目指すのか
それとも、
数年間を託してチームそのものを作り直すのか
をクラブ側が明確にする必要がある。
次期監督候補④ 相馬直樹
現実度:★★☆☆☆
もう一人、外部候補として考えられるのが相馬直樹氏だ。
鹿島アントラーズや川崎フロンターレなどでプレーし、指導者としては川崎、FC町田ゼルビア、大宮など複数クラブを経験している。
直近では鹿児島ユナイテッドFCを率い、2026年1月末で退任。現在はクラブ監督職には就いていないとされている。
守備の立て直しに強み
相馬氏はチーム全体の守備組織を構築し、ハードワークをベースにしたサッカーを作るタイプ。
現在の東京Vの、
運動量。
強度。
前から守る姿勢。
という特徴とも大きく矛盾しない。
またシーズン途中に招聘する場合、「現在別クラブを率いていない」という条件は非常に大きい。
ただし東京Vとの直接的な接点は薄く、森下氏や長谷川氏と比較すれば現時点での可能性は低いと見る。
現時点の後任予想ランキング
最も現実的なのは森下仁志氏
現時点の状況だけから判断するなら、筆者の予想は以下の通り。
| 順位 | 候補 | 現実度 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 1 | 森下仁志 | ★★★★★ | 暫定指揮決定、現チームを熟知、J1監督経験あり |
| 2 | 和田一郎 | ★★★☆☆ | 内部昇格可能、Proライセンス、戦術面の経験豊富 |
| 3 | 長谷川健太 | ★★★☆☆ | 外部では経験値トップ級、即効性に期待 |
| 4 | 相馬直樹 | ★★☆☆☆ | 現在のクラブ拘束がなく、守備再建型 |
※上記は2026年10月5日時点でクラブから候補として発表・報道された人物ではなく、現在の所属状況、指導歴、東京Vとの適性から考察したもの。
「森下監督昇格」が最も自然な理由
今必要なのは革命より修正
現在の東京Vに必要なのは、チームを完全に作り直すことではないと考える。
城福体制には課題があった。
しかし、
2023年J1昇格。
2024年J1・6位。
という結果を残したベースまで否定する必要はない。
現在必要なのは、
ゴール前の改善。
リード時の試合運び。
負傷者復帰後の選手配置。
新加入選手をどう生かすか。
といった「修正」だろう。
その点で、2年以上城福監督と仕事をしてきた森下氏は最も移行がスムーズだ。
10月7日の鳥取戦。
そこでチームがどう変化するかによって、森下氏を正式監督へ昇格させる流れが一気に強まる可能性もある。
最大の注目は10月11日の広島戦
天皇杯鳥取戦の4日後。
10月11日にはJ1第9節・サンフレッチェ広島戦が待っている。
東京Vにとって最優先なのはリーグ初勝利だ。
仮に森下暫定体制が、
鳥取戦で勝利。
そして広島戦でも内容を改善。
となれば、急いで外部監督を招聘する必要性は低くなる。
逆に流れが変わらなければ、クラブは早い段階で外部招聘へ動く可能性もある。
今後の数試合が後任人事にも大きな影響を与えそうだ。
城福体制の4年間をどう評価するべきか
今回の契約解除は大きなニュースだ。
しかし城福浩という監督の東京Vでの仕事は、「2026年に19位だった」だけで評価すべきではない。
2022年。
J2中位の東京Vを引き継いだ。
2023年。
16年ぶりのJ1昇格。
2024年。
昇格初年度で6位。
長い間J2にいたクラブを、日本最高峰で戦えるチームへ変えた。
今回クラブ側も、現在の東京Vがあるのは城福監督のおかげだと最大限の感謝を示している。
その功績は、今回の契約解除によって消えるものではない。
まとめ|東京Vは「城福後」のクラブをどう作るのか
2026年10月5日。
東京ヴェルディは城福浩監督との契約を解除した。
リーグ戦8試合。
0勝4分4敗。
勝点4。
19位。
結果を考えればクラブが危機感を持つのは当然だ。
しかし同時に、城福監督は16年ぶりのJ1復帰を成し遂げた、東京Vの歴史に残る指揮官でもある。
その監督をシーズン途中で交代させた以上、クラブには次の一手が強く問われる。
まず10月7日の鳥取戦は森下仁志ヘッドコーチ。
そして、その先。
内部昇格で城福サッカーを発展させるのか。
それとも外部から新しい監督を招聘し、チームの方向性そのものを変えるのか。
現時点では森下仁志氏の正式昇格が最も現実的だと考える。
J1監督経験。
若手育成経験。
U-21監督。
そして東京Vを内部から知っている。
現在の状況でこれほど条件のそろった人物は少ない。
一方、クラブが「ここで大きく流れを変える」と判断するのであれば、長谷川健太氏のような経験豊富な外部監督も選択肢に入るだろう。
16年ぶりのJ1復帰を成し遂げた城福体制が終わった東京ヴェルディ。
次に誰を選ぶのか。
その選択は今季の残留争いだけではなく、今後数年間のクラブの方向性を左右する重要な決断になりそうだ。








