2026年9月2日、えがお健康スタジアムで行われた「2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ 1stラウンド1回戦」、ロアッソ熊本vs大分トリニータ。
九州勢同士の注目カードは、ホームの熊本が2-0で大分を撃破しました。前半38分に鹿取勇斗が先制点を奪うと、後半56分には永井颯太が追加点。カテゴリーではJ3の熊本がJ2の大分を破り、2回戦進出を決めています。
公式記録ではシュート数が熊本11本、大分10本、枠内シュートは熊本9本、大分7本。数字だけを見れば決して一方的な試合ではありません。それでも最終スコアは2-0。この試合を分けたのは、単純なボール保持率ではなく、「ゴール前で仕留める力」と「相手に仕留めさせない力」だったと言えるでしょう。
今回は、昨日行われた熊本vs大分を試合展開から掘り下げるとともに、両チームのスタメン、途中出場選手を含む全出場選手を独自採点。さらに、今後に向けた課題と改善ポイントまで詳しく分析します。
1. 熊本vs大分の試合結果・基本データ
9月2日 ルヴァンカップ1回戦
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ 1stラウンド1回戦 |
| 開催日 | 2026年9月2日 |
| 会場 | えがお健康スタジアム |
| 結果 | ロアッソ熊本 2-0 大分トリニータ |
| 前半 | 熊本 1-0 大分 |
| 後半 | 熊本 1-0 大分 |
| 得点者 | 38分 鹿取勇斗、56分 永井颯太 |
| 入場者数 | 2,436人 |
| 天候 | 曇り |
| 気温 | 30.8℃ |
熊本は38分、ペナルティーエリア内で鹿取勇斗が右足を振り抜き、ゴール左上へ先制弾。後半開始から大分が反撃に出る中、56分には永井颯太がペナルティーエリア内から右足でゴール右下へ決めて2-0としました。
2. 前半分析:大分の勢いを受け止めた熊本
大分は開始直後から積極的だった
結果だけを見ると「熊本の完勝」という印象を受けますが、試合の入りはむしろ大分の方が鋭さを見せていました。
3分には山崎太新と有働夢叶が立て続けにペナルティーエリア内からシュート。6分には松岡颯人もゴール前へ入り込んでフィニッシュしています。
ただし、いずれも熊本守備陣が身体を張ってブロックしました。
ここが、この試合を振り返るうえで非常に重要です。
大分は「シュートまで行けなかった」のではありません。
シュートまで行ったのに、最後の一枚を熊本に突破させてもらえなかった。
一方の熊本は、立ち上がりの大分の勢いを慌てず受け止めました。前線から全てを奪いに行くというより、危険なエリアに入られたときに複数人でシュートコースを消す守備が機能していました。
鹿取勇斗が均衡を破る
時間が経過すると熊本も徐々に敵陣でプレーする回数を増やします。
33分には渡邉怜歩、ベ・ジョンミンが立て続けにゴールへ迫り、34分には三島頌平がこぼれ球からシュート。そして38分、ついに試合が動きます。
ゴール前に入った鹿取勇斗が右足を振り抜き、ゴール左上へ。
熊本が1-0と先制しました。
派手な崩し一発というより、それまで何度もゴール周辺へ人数を送り込んだ流れの中で生まれた得点です。
熊本にとって大きかったのは、チャンスを作るだけで終わらず、前半のうちにきっちりスコアへ変えたことでした。
3. 後半分析:永井の追加点で試合の流れが決定
熊本は「守る」のではなく追加点を狙った
1-0で迎えた後半。
熊本はリードしたからといって、いきなり自陣へ引きこもることはありませんでした。
47分には三島がペナルティーエリア内からシュート。54分には鹿取が再び枠内へ飛ばし、大分GK田中悠也がセーブしています。
そして、そのわずか2分後でした。
56分、永井颯太がペナルティーエリア内から右足でシュート。ボールはゴール右下へ吸い込まれ、熊本が2-0とリードを広げます。
1点を守るのではなく、2点目を奪いに出た熊本。
この積極性が結果的に試合を大きく楽にしました。
大分は交代カードを切るも最後まで1点が遠い
2点を追う大分は59分に一気に動きます。
茂平から松尾勇佑、有働夢叶から木本真翔、櫻井勇斗から相澤デイビッドへ3枚替え。
さらに72分には中川寛斗から榊原彗悟、木許太賀から西村恭史を投入しました。
交代後は大分がボールを持つ時間も増加。
67分には中川がFK、70分には山崎がシュート。77分には榊原、87分には木本、90+1分には再び榊原が直接FKでゴールを狙いました。
それでも、熊本GK佐藤優也と最終ラインを破れません。
大分にも攻撃時間はありました。
ただ、ゴール前で「これは決まった」と思わせるほど相手守備を完全に崩し切った場面が少なかったことが、0得点という結果につながっています。
4. ロアッソ熊本のスタメン・途中出場選手採点
熊本選手採点
※10点満点。6.0=標準的なパフォーマンスとして独自に評価。
| 選手 | 出場 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK 佐藤優也 | 先発 | 7.5 | 終盤の木本、榊原のシュートも阻止。無失点勝利の立役者 |
| DF 大西遼太郎 | 先発→72分OUT | 6.5 | 立ち上がりの大分の攻撃を冷静に処理 |
| DF 薬師田澪 | 先発 | 6.5 | 警告は受けたが、身体を張った守備で中央を締めた |
| DF 長嶋志歩 | 先発→85分OUT | 6.5 | 大崩れせず、終盤まで守備陣を支えた |
| MF 渡邉怜歩 | 先発 | 6.5 | 前半からゴール前へ積極的に進入 |
| MF 三島頌平 | 先発→82分OUT | 6.5 | 前後半でシュートチャンスに絡み、攻撃に厚み |
| MF 永井颯太 | 先発→72分OUT | 7.5 | 貴重な追加点。勝負を決定づける一撃 |
| MF 根岸恵汰 | 先発→82分OUT | 6.5 | 中盤で攻守をつなぎ、熊本のテンポを維持 |
| FW ベ・ジョンミン | 先発 | 6.5 | 得点こそないが、ゴール前で存在感を示した |
| FW 鹿取勇斗 | 先発 | 8.0 | 先制点に加え後半にも決定機。MOM級の働き |
| FW 半代将都 | 先発 | 6.5 | 前線で動き続け、79分には自らシュート |
| DF 黒木晃平 | 72分IN | 6.0 | リード後の守備を安定させた |
| MF 松田詠太郎 | 72分IN | 6.0 | 試合終盤の運動量を補った |
| DF 戸田峻平 | 82分IN | 6.0 | 短時間ながら無失点で試合を締める |
| MF 三品直哉 | 82分IN | 6.0 | 前線に新たなエネルギーを投入 |
| DF 木村匠汰 | 85分IN | 6.0 | 終盤の大分の攻勢を受ける難しい時間帯を経験 |
熊本は5人の交代選手を使いながら、最後まで失点を許しませんでした。先発・交代記録はクラブおよびJリーグ公式記録に基づいています。
熊本MOM:鹿取勇斗 8.0
この試合のMOMは鹿取勇斗とします。
0-0の拮抗した時間帯で試合を動かした価値は非常に大きいものがあります。
後半54分にも枠内シュートを放っており、一度のチャンスだけではなく、継続して大分ゴールを脅かしていました。
「欲しかった時間に点を取れるFW」がいることの大きさを感じさせる90分でした。
5. 大分トリニータのスタメン・途中出場選手採点
大分選手採点
| 選手 | 出場 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK 田中悠也 | 先発 | 6.5 | 2失点も、三島や鹿取の決定機を阻止。責任を負わせにくい |
| DF 戸根一誓 | 先発 | 5.5 | 熊本前線への対応で後手に回る場面があった |
| DF 井上聖也 | 先発 | 5.5 | 終盤まで攻撃参加したが、2失点を防げず |
| DF 森山公弥 | 先発 | 5.5 | 熊本のゴール前への侵入を完全には抑え切れなかった |
| MF 中川寛斗 | 先発→72分OUT | 6.0 | FKなどで反撃を試みたが得点には結び付かず |
| MF 茂平 | 先発→59分OUT | 5.5 | 運動量は見せたが、攻撃を決定機へ変え切れず |
| MF 山崎太新 | 先発 | 6.0 | 開始3分を含め積極的にシュート。姿勢は評価したい |
| MF 松岡颯人 | 先発 | 6.0 | 序盤からゴール前へ進入。終盤に警告 |
| FW 木許太賀 | 先発→72分OUT | 6.0 | 複数回シュートへ持ち込むも得点できず |
| FW 有働夢叶 | 先発→59分OUT | 5.5 | 開始直後にシュートも、徐々に存在感が薄れた |
| FW 櫻井勇斗 | 先発→59分OUT | 5.5 | 最前線で決定的な仕事を残せず |
| DF 松尾勇佑 | 59分IN | 5.5 | 流れを変える役割を担ったが2点差を覆せず |
| FW 木本真翔 | 59分IN | 6.0 | 87分に枠内シュート。途中出場組ではゴールへの意欲を見せた |
| FW 相澤デイビッド | 59分IN | 5.5 | 前線のターゲットとなったが決定機は限定的 |
| MF 榊原彗悟 | 72分IN | 6.0 | 77分のシュート、終了間際の直接FKなど積極性を示した |
| MF 西村恭史 | 72分IN | 5.5 | 攻撃の活性化を求められたが得点まで届かなかった |
大分は先発から大幅にメンバーを組み替えた一戦となり、後半には5枚の交代カードを使用しました。大分の2026/27シーズン登録では、有働は21番、榊原は8番、西村は7番で登録されています。
大分最高評価:田中悠也 6.5
敗れた大分ですが、GK田中悠也は評価を下げにくい内容でした。
47分の三島、54分の鹿取のシュートをセーブするなど、追加失点を防いだ場面もあります。
熊本は9本の枠内シュートを記録しており、大分守備陣が田中をもう少し楽にしてあげる必要があったでしょう。
6. 熊本が勝利できた3つの理由
① ゴール前で身体を張れた
最も大きかったのはこれです。
大分は開始早々からシュートを打っています。
それでも熊本はゴール前で簡単にシュートを通さず、山崎、有働、松岡らのシュートに対して複数回ブロック。
「攻められている=崩されている」ではありません。
危険な場所で最後の一仕事ができていたことが、クリーンシートにつながりました。
② 鹿取と永井がチャンスを結果へ変えた
カップ戦では内容以上に「1点」が重くなります。
熊本は38分に鹿取、56分に永井。
前半と後半、それぞれ非常に良い時間帯に得点しました。
特に2点目の前には三島、鹿取と立て続けに枠内シュートを放っており、熊本が後半開始から追加点を狙っていたことが分かります。
③ 2-0になってからのゲーム管理
大分が後半に選手を次々投入してきた中でも、熊本は必要以上に試合をオープンにしませんでした。
終盤には大分がポゼッションを増やす時間もありましたが、危険なエリアでは人数を揃える。
そして、奪った後はベ・ジョンミンや半代らを使って相手陣へ押し返す。
「3点目を無理に取りに行ってカウンターを浴びる」のではなく、勝つためのゲーム運びに切り替えられた点も高く評価できます。
7. ロアッソ熊本の課題と改善点
課題① 11本9枠内で2得点は、まだ伸ばせる
2得点を挙げたため目立ちませんが、熊本はシュート11本、枠内9本を記録しています。
数字だけを見れば、もう1点、2点取れていても不思議ではありません。
次の相手がJ1クラスになれば、同じ本数のチャンスを作れる保証はありません。
だからこそ、決定機一つひとつの質をさらに上げたいところです。
課題② 試合序盤の入り方
開始直後には大分に複数回シュートまで持ち込まれています。
今回はブロックできましたが、相手のフィニッシュ精度が高ければ先制されていた可能性もあります。
試合開始から主導権を握れるよう、前線と中盤のプレス開始位置を揃えることが今後の改善ポイントになります。
改善点:この「勝ち方」を再現できるか
熊本にとって重要なのは、今回だけのカップ戦仕様にしないことです。
先制する。
追加点を取る。
最後は無失点で締める。
こうしたゲームをリーグ戦でも再現できれば、チームの安定感は大きく変わってきます。
熊本は2回戦でJ1川崎Fへの挑戦権を獲得。カテゴリーが上がる相手に今回の守備と決定力がどこまで通用するかは非常に楽しみです。
8. 大分トリニータの課題と改善点
課題① 「シュート数」と「決定機の質」が一致していない
大分は10本のシュートを記録しました。
それでも0点。
ここを「運がなかった」で終わらせてはいけません。
開始3分の山崎、有働、6分の松岡、19分や39分の木許など、シュートへ持ち込む場面自体は作れています。
しかし、多くは熊本DFにブロックされました。
つまり、打つことはできているものの、
「相手がブロックできない状況を作ってから打つ」
ところまで崩し切れていません。
ワンタッチを増やす、逆サイドへ振る、中央で囮になる選手を作るなど、フィニッシュ直前のひと工夫が必要でしょう。
課題② 失点後に攻撃が単調になった
2点差となった後、大分は相澤、木本、榊原、西村らを投入。
ボールを保持する時間は増えましたが、時間がなくなるにつれて縦に急ぐ場面も増えました。
相澤のような前線で身体を張れる選手を投入するのであれば、単純に走らせるだけではなく、中央に基準点を作り、その周囲を2列目が追い越す形を増やしたいところです。
課題③ 控え組からレギュラーを脅かす選手が必要
カップ戦の1回戦は、普段出場機会の限られる選手にとって大きなアピールの場でもあります。
今回の大分は若手を含むメンバーを送り込みましたが、「次のリーグ戦でも先発で使いたい」と強く思わせる決定的な結果は残せませんでした。
敗戦そのもの以上に、ここはチーム全体として重く受け止めたいところでしょう。
ただし、山崎や木本、榊原らが積極的にゴールを狙った点には今後につながる材料もあります。
結果が出なかったからすべてが悪いわけではありません。
次にチャンスを与えられた際、今回の「惜しかった」をゴールという数字へ変えられるかが勝負です。
9. まとめ:2-0以上の意味を持つ熊本の勝利
2026/27ルヴァンカップ1回戦、熊本vs大分は2-0。
鹿取勇斗と永井颯太のゴールで熊本が九州ダービーを制し、次のラウンドへ進みました。
この試合で特に印象的だったのは、両チームのシュート数には大きな差がないにもかかわらず、スコアには明確な差が付いたことです。
熊本は大分のシュートを最後の局面でブロックし、自分たちは訪れたチャンスを鹿取と永井が仕留めた。
言葉にすれば非常にシンプルですが、サッカーで勝つうえでは最も大切な部分です。
一方の大分も、完全に何もできなかったわけではありません。
立ち上がりには積極性があり、後半も交代カードを切って10本のシュートを記録しました。
だからこそ悔しい。
「ゴール前までは行ける」という段階から、「どうやって相手を完全に外して仕留めるか」という一段上の作業が求められます。
熊本にとっては、J2大分を破ったこと以上に、先制・追加点・無失点という理想に近い勝ち方をできたことが大きな収穫。
大分にとっては、控え組を含めたチーム全体の底上げと決定力という宿題が改めて浮き彫りになった90分でした。
次の公式戦で、この一戦から何を持ち帰ることができるのか。
勝った熊本にも、敗れた大分にも、その部分こそが最も重要になりそうです。
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