2026年10月7日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦で、ガイナーレ鳥取と東京ヴェルディが味の素スタジアムで対戦した。
J3の鳥取とJ1の東京Vによるカテゴリーを越えた一戦は、90分だけでなく延長戦を含む120分を戦ってもスコアが動かず0-0。最後はPK戦に突入し、東京Vが4-3で勝利した。
最大のヒーローとなったのは東京VのGKマテウス。PK戦で鳥取の1人目、2人目を連続して止め、苦しんだチームをラウンド16へ導いた。
一方の鳥取も、2回戦でJ1名古屋グランパスを3-1で破った勢いをこの試合でも証明。J1クラブを相手に120分間無失点で戦い抜き、再びジャイアントキリングまであと一歩に迫った。
ガイナーレ鳥取vs東京ヴェルディ|試合結果
天皇杯3回戦
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 |
| ラウンド | 3回戦 |
| 開催日 | 2026年10月7日 |
| キックオフ | 19:00 |
| 会場 | 味の素スタジアム |
| 対戦 | ガイナーレ鳥取 vs 東京ヴェルディ |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 0-0 |
| 延長前半 | 0-0 |
| 延長後半 | 0-0 |
| PK戦 | 鳥取 3-4 東京V |
| 勝者 | 東京ヴェルディ |
120分間で両チームに得点は生まれず、勝負はPK戦までもつれた。
両チームのスターティングメンバー
ガイナーレ鳥取
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | バーンズ アントン |
| DF | ムン・ミン |
| DF | 金浦真樹 |
| DF | ヴァンイヤーデン ショーン |
| DF | 大嶋春樹 |
| MF | 東條敦輝 |
| MF | 藤田一途 |
| MF | 木内達也 |
| MF | 河村匠 |
| FW | 篠田大輝 |
| FW | 三木直土 |
林健太郎監督は、直近の公式戦でも結果を残しているメンバーを中心にJ1東京Vへ挑んだ。
東京ヴェルディ
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | マテウス |
| DF | 松田陸 |
| DF | 林尚輝 |
| DF | 佐古真礼 |
| MF | 福田湧矢 |
| MF | 平川怜 |
| MF | 齋藤功佑 |
| MF | 溝口修平 |
| FW | 白井亮丞 |
| FW | 染野唯月 |
| FW | 藤本寛也 |
東京Vは染野唯月、藤本寛也らを前線に配置。最後尾にはマテウス、最終ラインでは林尚輝がキャプテンを務めた。
試合前から大きな注目を集めた東京Vの監督交代
城福浩監督との契約解除からわずか2日
この一戦を語るうえで欠かせないのが東京Vの置かれていた状況だ。
東京Vは試合2日前となる10月5日、城福浩監督との契約解除を発表。天皇杯・鳥取戦については森下仁志ヘッドコーチが暫定的に指揮を執ることも同時に発表されていた。
つまり鳥取戦は、新たな体制に切り替わってほとんど準備期間がない状態で迎えた公式戦だった。
戦術面だけでなく精神面でも難しい試合だったことは間違いない。
前半|東京Vが攻め切れず、鳥取が0-0に持ち込む
東京Vは開始から硬さも
カテゴリーだけを見ればJ1東京Vが優位と考えられるカードだった。
しかし鳥取は簡単には崩れない。
東京Vはボールを前進させても、最後のエリアで決定的な形まで結び付けられず、前半は0-0で終了した。
森下監督代行も試合後、立ち上がりについて選手に気合が入る一方で「少し硬い感じ」だったとの趣旨のコメントを残している。時間の経過とともに徐々に改善したものの、東京Vにとってスムーズな立ち上がりではなかったことがうかがえる。
鳥取は「J3だから守るだけ」では終わらない
鳥取にとって重要だったのは、早い時間帯に失点しなかったことだ。
J1クラブとのカップ戦では、先に失点すると相手のゲームコントロール能力が生きやすい。
鳥取は前半45分を無失点で終えることで、時間が経過するほど東京V側に「先に点を取らなければならない」というプレッシャーを与える展開へ持ち込んだ。
後半|東京Vがハーフタイムから動く
平川怜と溝口修平を交代
東京Vはハーフタイムに早くも2枚替えを行った。
平川怜に代えて食野壮磨、溝口修平に代えて新井悠太を投入。
さらに56分には藤本寛也から山本丈偉へ変更し、攻撃陣に手を加えている。
0-0という状況を受け、森下監督代行が早い段階から流れを変えようとしていたことが分かる。
鳥取も67分から選手交代
鳥取も67分に東條敦輝から本保奏希、三木直土から吉田伊吹へ交代。
75分にはムン・ミンから荒井涼、80分には金浦真樹から二階堂正哉、河村匠から橋本清太郎へと入れ替えた。
カテゴリーが上の相手に対して後半まで0-0。
鳥取としては単純に90分を耐えるのではなく、運動量が落ちる時間帯にフレッシュな選手を投入しながら試合強度を維持したことが大きかった。
90分で決着つかず延長戦へ
東京Vが攻めてもスコアは動かない
90分間を終えて0-0。
試合は延長戦へ突入した。
東京Vは延長前半開始時に松田陸から鈴木海音へ交代。鳥取も96分に藤田一途から田制裕作を投入した。
それでもゴールは生まれない。
延長前半、延長後半も0-0のまま終了。
J3鳥取がJ1東京Vを120分間無得点に抑え込むという展開となった。
PK戦|守護神マテウスが東京Vを救う
鳥取の1人目、2人目を連続セーブ
勝負を決めたのは東京VのGKマテウスだった。
PK戦で鳥取は1人目、2人目が失敗。
報道によれば、この2本はいずれもマテウスがセーブした。1本目、2本目と異なる方向へ反応し、連続セーブを記録している。
鳥取は3人目から成功。
さらに東京Vの3人目が失敗したことで再び勝負は接近した。
しかし鳥取が4人目、5人目を決めた一方、東京Vも4人目、5人目が成功。
最終的に、
ガイナーレ鳥取 3-4 東京ヴェルディ
でPK戦が終了した。
東京ヴェルディが勝利できた3つの要因
①GKマテウスの存在
最大の勝因は明確だ。
マテウスである。
120分で得点を奪えなかった東京Vにとって、PK戦は一つのミスが敗退へ直結する状況だった。
そこで鳥取の最初の2本を止めた意味は非常に大きい。
攻撃陣がゴールを奪えなかった試合で、最後は守護神がチームを救った。
この試合のMOMを一人選ぶのであれば、マテウスが最有力だろう。
②120分間無失点を維持した守備陣
攻撃面では課題を残した東京Vだが、守備では最後まで失点しなかった。
鳥取は2回戦で名古屋を3-1で破り、さらに9月29日のルヴァンカップでもV・ファーレン長崎を2-0で破っている。決して「J3だから得点力がない」というチームではなかった。
そうした鳥取を120分無失点に抑えた点は評価する必要がある。
③難しいチーム状況でも最後まで崩れなかった
監督交代から2日。
リーグ戦でも苦しい状況が続いていた東京Vにとって、精神的にも非常に難しい試合だった。
内容面では理想から遠かったとしても、カップ戦で最も重要なのは「次へ進むこと」。
その最低限かつ最大の結果を手にした点は大きい。
ガイナーレ鳥取が東京Vを苦しめた理由
①120分間崩れなかった集中力
最大の評価ポイントは120分間の無失点だ。
J1クラブを相手に、通常の90分だけでなく延長30分を含めてゴールを許さなかった。
攻撃面だけでジャイアントキリングを狙うのではなく、失点を抑えながら試合を長期戦へ持ち込むことに成功した。
②交代カードを使いながら強度を維持
67分以降、鳥取は段階的に選手を入れ替えた。
90分で終わらない可能性が高まる中、交代カードを使いながらチーム全体の運動量を維持。
結果として120分まで東京Vに得点を許さなかったことからも、選手交代を含めたゲームマネジメントは一定の成果を上げたと評価できる。
③「J1相手でも戦える」という自信
鳥取は天皇杯2回戦で名古屋を3-1で撃破。
さらにルヴァンカップでは長崎にも2-0で勝利していた。
東京V戦もPK戦まで持ち込んでおり、カップ戦で上位カテゴリーのクラブと互角に戦えることを改めて示した。
敗退という結果だけでは測れない価値がある120分だった。
この試合のMOM
GKマテウス(東京ヴェルディ)
評価:8.0
この試合ではマテウスをMOMとしたい。
120分を無失点で終えただけでなく、PK戦で鳥取の1人目、2人目を連続セーブ。
東京Vが攻撃面で苦しんだ試合において、最後に勝敗を決定付けた。
PK戦ではGKのセーブが一本あるだけでも大きい。
それを開始から2本連続で成功させたインパクトは非常に大きかった。
ガイナーレ鳥取の課題
得点まで持っていく最後の一手
120分間J1クラブを無失点に抑えた守備は大きな収穫だ。
その一方で、鳥取も120分間得点できなかった。
格上との試合では守備時間が長くなるのは避けられないが、ボールを奪った直後にどれだけ相手ゴールへ迫れるかが次のテーマになる。
守備の完成度を保ったまま、カウンターやセットプレーから決定的なチャンスを増やせれば、今後は「善戦」ではなく勝利まで持っていける可能性が高まる。
PK戦も含めた勝ち切る力
鳥取はPK戦で最初の2人が失敗した。
その後3人連続で成功しただけに、序盤の2本が結果的には大きく響いた。
120分を想定する天皇杯では、PK戦まで含めた準備も勝敗を左右する。
東京ヴェルディの課題
最大の問題は120分間ノーゴール
勝利したとはいえ、東京Vにとって手放しで喜べる試合ではない。
J3鳥取を相手に120分間ゴールを奪えなかった事実は重い。
染野唯月、藤本寛也、白井亮丞らをスタメン起用し、後半から複数の攻撃的なカードを切ったにもかかわらず、最後まで得点には至らなかった。
新体制で即座にすべてを改善することは難しいが、今後はゴール前での崩しとフィニッシュの改善が不可欠になる。
新体制で攻撃の形をどう作るか
森下監督代行自身も、試合が進むにつれて徐々に自身の求める景色に近づいたという趣旨のコメントを残している。
裏を返せば、完成にはまだ時間が必要ということでもある。
選手の立ち位置、前線との距離、ボールを奪った後のスピードなど、新体制で攻撃の共通認識をどこまで早く作れるかが今後の重要ポイントになる。
試合総括|勝った東京V、評価を高めた鳥取
最終結果は、
ガイナーレ鳥取 0-0 東京ヴェルディ
PK戦 3-4
東京Vがラウンド16進出を決めた。
しかし、内容を考えれば両チームに大きく異なる意味を持つ試合だった。
東京Vにとっては、城福浩監督との契約解除直後という難しい状況で、何としても敗退を避けなければならない一戦だった。攻撃面には大きな課題を残したものの、マテウスの活躍によって最低限必要だった「勝ち上がり」を手にした。
一方の鳥取は敗れたものの、名古屋戦に続いてJ1クラブを相手に堂々と戦った。
名古屋には3-1で勝利。
東京Vには120分間0-0。
さらにルヴァンカップでも長崎を2-0で破っている。
2026-27シーズンの鳥取がカップ戦で見せている「上位カテゴリーにも臆さない戦い」は偶然ではないことを示した試合ともいえる。
PK戦のわずかな差で明暗は分かれたが、東京Vにとっては新体制の第一歩、鳥取にとっては今後につながる120分となった。
免責事項
本記事は、JFA、各クラブ公式サイト、報道機関などが公表している試合記録・報道内容をもとに作成しています。
戦術分析、選手評価、MOM選出などについては、公開情報をもとにした当サイト独自の見解を含み、公式評価ではありません。
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