ファジアーノ岡山がジェフ千葉を1-0で破り4回戦進出
2026年10月7日、天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会3回戦がフクダ電子アリーナで行われ、ファジアーノ岡山がジェフユナイテッド市原・千葉に1-0で勝利した。
0-0で迎えた64分、途中出場のナ・サンホが蹴った右CKから、ニアへ走り込んだ松本昌也が身体で合わせて決勝点。岡山はその1点を最後まで守り切り、ラウンド16進出を決めた。
岡山は9月2日のJ1リーグ戦でも同じフクダ電子アリーナで千葉を2-1で破っており、わずか約1カ月で再び敵地・フクアリから勝利を持ち帰る結果となった。
試合結果
天皇杯3回戦
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 天皇杯 JFA 第106回全日本サッカー選手権大会 |
| 開催日 | 2026年10月7日 |
| 会場 | フクダ電子アリーナ |
| 結果 | ファジアーノ岡山 1-0 ジェフユナイテッド千葉 |
| 前半 | 0-0 |
| 後半 | 1-0 |
| 得点者 | 松本昌也(64分) |
| 入場者数 | 3,417人 |
| 勝者 | ファジアーノ岡山 |
Jリーグ公式記録では、岡山が12本、千葉が15本のシュートを放った接戦だった。枠内シュートは岡山4本、千葉3本、CKは岡山7本、千葉6本と、両チームにチャンスがあった試合だった。Jリーグ公式サイト
両チームのスターティングメンバー
ファジアーノ岡山
| POS | 選手 |
|---|---|
| GK | レナート・モーザー |
| DF | 森壮一朗 |
| DF | 田上大地 |
| DF | 鈴木喜丈 |
| MF | 松本昌也 |
| MF | 神谷優太 |
| MF | 宮本英治 |
| MF | 末吉塁 |
| FW | 佐藤凌我 |
| FW | ルカオ |
| FW | 江坂任 |
岡山はリーグ戦の絶対的なベストメンバーというより、出場機会をうかがう選手も交えながら、ルカオ、江坂任、神谷優太ら経験豊富な選手を組み合わせた。
ジェフユナイテッド千葉
| POS | 選手 |
|---|---|
| GK | 鈴木椋大 |
| DF | 石尾陸登 |
| DF | ンドカ・ボニフェイス |
| DF | ダニエル・ホール |
| MF | エドゥアルド |
| MF | マテウス・インディオ |
| MF | 米倉恒貴 |
| MF | イサカ・ゼイン |
| MF | 姫野誠 |
| FW | 呉屋大翔 |
| FW | エリソン |
千葉も米倉恒貴をキャプテンに据えつつ、姫野誠、石尾陸登、ダニエル・ホールらを起用。リーグ戦とは異なる組み合わせで岡山へのリベンジを狙った。
前半8分、岡山が最初の決定機
ルカオから末吉塁へ
最初に大きなチャンスを作ったのは岡山だった。
8分、ルカオがペナルティーエリア右でボールを持つと、ファーサイドへラストパス。
フリーになった末吉塁が右足を振り抜いたが、シュートはゴール左へ外れた。
この場面に象徴されるように、岡山はルカオを前線の基準点にしながら、その周囲へ2列目が入っていく形を狙っていた。
15分、千葉がPK獲得
呉屋大翔が絶好の先制機を逃す
試合最大の分岐点の一つが15分だった。
ペナルティーエリア内で仕掛けた呉屋大翔が田上大地のファウルを誘い、千葉がPKを獲得。
キッカーはそのまま呉屋。
しかしシュートは枠を捉えられず、千葉は絶好の先制機を逃した。
このPKが決まっていれば、試合展開は大きく変わっていた可能性がある。
岡山にボールを持たせながらカウンターを狙える千葉。
逆に岡山は1点を追って前掛かりにならざるを得ない。
ノックアウト方式の一戦だけに、非常に大きなプレーだった。
前半から両チームに想定外の交代
11分にマテウス・インディオ、18分に田上大地が交代
千葉は11分にマテウス・インディオを下げ、安井拓也を投入。
岡山も18分、田上大地に代えて立田悠悟を入れた。
試合開始20分以内に両チームが交代カードを使うという、難しい立ち上がりになった。
それでも双方とも大きくバランスを崩さず、試合は拮抗した展開のまま進んでいった。
前半は0-0
千葉のプレスに岡山も苦戦
岡山の木山隆之監督は試合後、立ち上がりからもっと相手を押し込みたかったものの、「千葉のプレスも強く難しい展開になった」と振り返っている。
一方の千葉も前線から強度を出し、岡山が得意とするロングボール後のセカンド回収を簡単には許さなかった。
千葉の小林慶行監督は試合前から、岡山との勝負では「長いボールのファーストバトル」と「セカンドボール」が重要になると分析していた。実際、前半はその言葉通り、中盤での球際が激しい試合となった。
後半54分、千葉がポスト直撃
安井拓也の一撃
後半に入り、先に決定機を迎えたのは千葉。
54分、安井拓也がペナルティーエリア外から右足を振り抜く。
シュートはゴール右ポストを直撃。
岡山にとっては肝を冷やす場面だった。
前半のPK。
そして後半のポスト。
千葉には確実にゴールを奪うチャンスがあった。
しかし、この2つを生かせなかったことが最終的に重くのしかかる。
59分、岡山が一気に3枚替え
ナ・サンホ、白井康介、オベルダン投入
木山監督が大きく動いたのは59分。
神谷優太に代えてオベルダン。
宮本英治に代えて白井康介。
佐藤凌我に代えてナ・サンホ。
一気に3人を投入した。
この交代が結果的に決勝点へ直結する。
特にナ・サンホの投入によって、岡山は前線で相手に圧力を掛けられるようになり、セットプレーでも質の高いキックを期待できるようになった。
64分、松本昌也が決勝ゴール
ナ・サンホのCKから値千金の一撃
59分の交代からわずか5分。
岡山が右CKを獲得する。
キッカーは途中出場のナ・サンホ。
ニアサイドへボールを入れると、そこへ松本昌也が走り込んだ。
相手がクリアし切れなかったボールに反応し、松本の身体に当たったボールはループ気味の軌道となってGK鈴木椋大の頭上を越え、そのままゴールへ。
岡山1-0千葉。
これが決勝点となった。
松本本人は、自分はニアへ飛び込むと決めていたこと、抜けてきたボールへとっさに反応して太ももに当てたことを説明。試合前の紅白戦でも得点しており、感覚が良かったと振り返っている。
岡山は先制後も守るだけにはならず
山根永遠、レオ・ガウショも投入
木山監督は70分に末吉塁から山根永遠。
80分には江坂任に代えてレオ・ガウショを投入した。
リードを守るために完全に後方へ下がるのではなく、前へ出られる選手を残したことがポイントだった。
特にレオ・ガウショを入れることで、千葉が前掛かりになった際にはカウンターで追加点を狙える状態を維持した。
千葉は74分に3枚替え
追いつくため攻撃を再構築
千葉は74分、
米倉恒貴 → 品田愛斗
姫野誠 → 鈴木大輔
呉屋大翔 → 松村拓実
と3枚を変更。
80分にはイサカ・ゼインに代えて津久井匠海を投入した。
残り時間で同点ゴールを狙ったが、岡山の最終ラインを最後まで崩し切れない。
試合終了。
岡山が1-0で勝利した。
スタッツから見る試合
シュート数では千葉が上回る
Jリーグ公式のスタッツでは以下の数字となっている。
| スタッツ | 岡山 | 千葉 |
|---|---|---|
| シュート | 12 | 15 |
| 枠内シュート | 4 | 3 |
| オフサイド | 3 | 4 |
| CK | 7 | 6 |
| FK | 18 | 16 |
| 警告 | 3 | 2 |
千葉はシュート数では15対12と上回った。
しかし枠内シュートでは岡山が4対3。
さらにセットプレーの1本を得点につなげたのも岡山だった。
数字だけを見れば一方的な試合ではない。
むしろ千葉にも十分に勝つチャンスがあった。
その中で、「決めるべきところを決めたか」が結果を分けた。
なぜ岡山は勝てたのか
勝因① 苦しい時間帯を無失点で耐えた
最大のポイントはこれだ。
15分のPK。
54分の安井のポスト直撃。
どちらも失点していておかしくない場面だった。
しかしスコアは0-0のまま。
岡山は押し込めない時間帯でも試合を壊さなかった。
木山監督が試合後に強調した「何が何でも勝つ」というチーム全体の意識が、守備面にも表れていた。
勝因② 木山監督の3枚替えが的中
59分。
ナ・サンホ。
白井康介。
オベルダン。
この3人を同時に投入。
そしてわずか5分後。
ナ・サンホのCKから松本昌也が決勝ゴール。
まさに交代策がそのまま得点につながった。
特に一発勝負では、試合が停滞した時に「いつ動くか」が非常に重要。
木山監督は早めに勝負へ出た。
勝因③ セットプレーの質
流れの中で完璧に崩したゴールではなかった。
しかし、これも岡山の強さだ。
CK。
ニアへのランニング。
こぼれ球への反応。
最後は身体に当ててでもゴールへ入れる。
カップ戦では美しさよりも結果。
松本のゴールは、その象徴のような得点だった。
勝因④ メンバーが変わっても「岡山らしさ」を失わなかった
岡山は必ずしもリーグ戦の主力だけで戦ったわけではない。
久しぶりに公式戦へ出る選手もいた。
それでも、
ハードワーク。
球際。
セカンドボール。
クロス。
セットプレー。
というチームの基本は変わらなかった。
木山監督も、選手の立場に関係なく「勝つ」という方向へチーム全体がそろっていたことを評価している。
岡山の課題① 試合序盤の入り
勝ったからこそ修正したいのが序盤だ。
8分には末吉にチャンスがあった一方、その後は千葉のプレスに苦戦。
15分にはPKまで与えた。
松本も試合後、もっと立ち上がりから押し込みたかったと振り返っている。
強豪相手では、序盤にPKを与えればそのまま試合を持っていかれる可能性が高い。
岡山の課題② サイド攻撃の質
松本は自身のプレーについて、相手のシステムに対してもっと自分が起点になれた部分があったと振り返った。
岡山にはルカオという中央のターゲットがいる。
だからこそ、その周囲を使うサイド攻撃がさらに機能すれば、
クロス。
マイナスへの折り返し。
逆サイドへの展開。
と攻撃の幅は広がる。
なぜ千葉は敗れたのか
敗因① 最大の原因は決定力
15分のPK。
54分のポスト直撃。
この2つだけでも、千葉には試合をリードする十分な機会があった。
しかし決められない。
岡山はCKから1点。
千葉は15本打って0点。
結果だけを見れば、その差は非常に明確だった。
敗因② 良い時間帯で試合を動かせない
これは今回だけの課題ではない。
小林監督は試合前にも、直近のルヴァン杯磐田戦を振り返り、自分たちの流れの中で決定機を仕留め切れなかったことが試合結果へ大きく影響したと話していた。
そして岡山戦でも同じ問題が出た。
流れがある。
チャンスもある。
しかし得点にならない。
この部分を改善しなければ、接戦を勝点や勝ち上がりへ変えるのは難しい。
敗因③ セットプレーで失点
流れの中では大きく崩れていない。
それでもCK1本で失点した。
リーグ戦でも僅差の試合を勝ち切れていない千葉にとって、「セットプレー1本」の重さは大きい。
特に一発勝負では、CKやFKはそのまま大会敗退につながる。
千葉の収穫① プレスは岡山を苦しめた
結果は0-1。
ただし守備面で収穫がなかったわけではない。
岡山の松本自身が「千葉のプレスが強く難しい展開だった」と認めている。
小林監督が掲げてきた、
走る。
戦う。
前から圧力を掛ける。
という部分は、岡山にも十分通用した。
問題は、それを得点へどう結びつけるかだ。
千葉の収穫② 姫野誠が先発復帰
U-19日本代表活動中の負傷でリーグ4試合を欠場していた姫野誠が先発。
Jリーグ公式の試合前プレビューでも、復帰後の姫野が注目選手として挙げられていた。
18歳の若手がトップカテゴリーの一発勝負で経験を積めたことは、リーグ戦へ向けたプラス材料になる。
ファジアーノ岡山 選手採点
※10点満点。本記事独自の評価であり、公式採点ではありません。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| レナート・モーザー | 7.0 | 無失点。PKは枠外だったが、その後も安定 |
| 森壮一朗 | 6.5 | 最終ラインで粘り強く対応 |
| 田上大地 | 5.5 | 15分にPKを与え、18分に交代 |
| 鈴木喜丈 | 7.0 | 最終ラインの中心として完封に貢献 |
| 松本昌也 | 8.5 | 64分に値千金の決勝ゴール |
| 神谷優太 | 6.0 | 攻撃に変化をつけようとした |
| 宮本英治 | 6.0 | 中盤で強度を保った |
| 末吉塁 | 6.5 | 8分に決定機。積極的にゴールへ向かった |
| 佐藤凌我 | 6.0 | 前線で動き続けた |
| ルカオ | 7.0 | 前線の基準点。序盤の決定機も演出 |
| 江坂任 | 6.5 | キャプテンとして攻撃を整理 |
| 立田悠悟 | 7.0 | 18分から緊急投入され、無失点に貢献 |
| オベルダン | 6.5 | 59分から中盤の強度を向上 |
| 白井康介 | 6.5 | 途中出場からサイドを活性化 |
| ナ・サンホ | 7.5 | 投入5分後、CKから決勝点を演出 |
| 山根永遠 | 6.5 | リード後も前への推進力を維持 |
| レオ・ガウショ | 6.0 | 終盤の攻撃の出口としてプレー |
MOMは松本昌也
MOMは文句なしで松本昌也。
拮抗した試合。
決定機を互いに作りながら0-0。
その状況でセットプレーから身体を投げ出し、唯一のゴールを奪った。
カップ戦で最も必要な「勝敗を決める仕事」を果たした。
ジェフユナイテッド千葉 選手採点
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| 鈴木椋大 | 6.0 | 失点は難しい軌道。その他は安定 |
| 石尾陸登 | 6.0 | 警告を受けながらも対人で奮闘 |
| ンドカ・ボニフェイス | 6.5 | ルカオとのフィジカル勝負で粘った |
| ダニエル・ホール | 6.5 | 最終ラインで強さを見せた |
| エドゥアルド | 6.5 | 中盤から試合を組み立てた |
| マテウス・インディオ | - | 11分で交代のため評価対象外 |
| 米倉恒貴 | 6.5 | キャプテンとして強度を維持 |
| イサカ・ゼイン | 6.5 | サイドから推進力を出した |
| 姫野誠 | 6.5 | 復帰戦で積極性を見せた |
| 呉屋大翔 | 5.5 | PK失敗が非常に痛かった |
| エリソン | 6.0 | 前線で体を張ったが得点には届かず |
| 安井拓也 | 7.0 | 54分にポスト直撃。途中出場から攻撃を活性化 |
| 品田愛斗 | 6.0 | 終盤の中盤を整理 |
| 鈴木大輔 | 6.0 | 途中出場で最終ラインを支えた |
| 松村拓実 | 6.0 | 同点ゴールを狙って前線へ |
| 津久井匠海 | 6.0 | 終盤に攻撃へ変化を加えた |
岡山は1カ月でフクアリ2連勝
「偶然」ではなくなった千葉戦の勝利
9月2日。
千葉1-2岡山。
10月7日。
岡山1-0千葉。
会場はどちらもフクダ電子アリーナ。
約1カ月の間に、岡山は千葉のホームで2度勝った。
しかも今回はリーグ戦とは異なるメンバーも起用しながらの勝利。
チーム全体の戦力が底上げされていることを示す結果と言える。
岡山はアウェー5連戦の中でも勝利
木山監督は試合後、現在アウェー5連戦という非常に厳しい日程の中にいることにも言及した。
それでもカップ戦でタイトルを狙うため、「何が何でも勝つ」という姿勢を選手と共有していたという。
過密日程の中でも結果を残せることは、今後ラウンドが進んだ際にも大きな意味を持つ。
次戦|岡山は福岡、千葉は長崎
岡山は10月10日、J1第9節でアビスパ福岡とアウェーで対戦。
天皇杯からわずか中2日となる。
千葉は10月11日、ホーム・フクダ電子アリーナでV・ファーレン長崎戦。
天皇杯敗退の悔しさをリーグ戦へどう切り替えるかが重要になる。
まとめ|決定機を逃した千葉、ワンチャンスをものにした岡山
天皇杯3回戦。
ファジアーノ岡山1-0ジェフユナイテッド千葉。
決して岡山が一方的に押し切った試合ではない。
千葉は15本のシュートを放った。
15分にはPK。
54分にはポスト直撃。
十分に勝つチャンスがあった。
しかし決まらなかった。
一方の岡山。
59分にナ・サンホを投入。
64分。
そのナ・サンホのCKから松本昌也がゴール。
5分で交代策が結果へつながった。
そして残り約30分を守り切った。
一発勝負では「どちらが良いサッカーをしたか」だけでは勝者は決まらない。
決める。
守る。
勝ち切る。
岡山が、そのすべてを1点差の試合で示した。
千葉にとっては、9月2日に続くフクアリでの岡山戦連敗。
しかも今回は天皇杯敗退という結果が残った。
ただ、前線からのプレスやシュートまで持ち込む力は示している。
だからこそ必要なのは、最後の一歩。
チャンスをゴールへ変える力だ。
岡山はラウンド16へ。
千葉はリーグ戦へ。
同じ1点をめぐって明暗が分かれた、非常に天皇杯らしい一戦だった。
免責事項
本記事は、日本サッカー協会(JFA)、Jリーグ、ファジアーノ岡山、ジェフユナイテッド市原・千葉が2026年10月8日朝までに公開している公式試合記録・監督および選手コメント、ならびに試合報道をもとに作成しています。
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