FC今治が、シーズン序盤で大きな決断を下した。
クラブは2026年9月21日、トップチームを率いていたアベル・モウレロ監督との契約を解除し、9月20日付で解任したと正式発表した。
後任には、これまでトップチームのヘッドコーチを務めていた久保山由清氏が就任。久保山新監督は9月20日のトレーニングから、すでにチームを指揮している。
モウレロ氏の監督就任が発表されたのは6月11日。
クラブ公式プロフィールでも在籍期間は「2026年6月~9月」とされており、FC今治での監督生活は約3カ月で終了することになった。
クラブが決断の理由として明確に挙げたのは、J1昇格を目標としてスタートした2026/27シーズンで、最下位という目標から大きく離れた状況に陥っていることだった。
FC今治がモウレロ監督の解任を正式発表
9月20日付で契約解除
FC今治は9月21日、アベル・モウレロ監督との契約を解除し、9月20日付で解任したことを発表した。
モウレロ氏はクラブを通じて、FC今治での挑戦が終了したことを報告。サポーターと選手への感謝を伝えている。
太田康介GMは今回の決断について、J1昇格を目指して開幕したシーズンで最下位という厳しい状況になっていることを説明。
そのうえで、
「目標達成に向けて巻き返すため、このタイミングでの決断」
というクラブ側の判断を示している。
重要なのは、クラブ公式発表では直前の横浜FC戦で敗れたことだけを解任理由としているわけではないことだ。
あくまで、シーズン開幕からの成績と順位を総合的に踏まえた判断として説明されている。
約3カ月で終了したモウレロ体制
6月11日に就任が発表
モウレロ氏の監督就任が発表されたのは2026年6月11日。
スペイン出身で、1974年10月19日生まれの51歳だ。
これまで、
徳島ヴォルティス
蔚山現代
オリンピアコス
デポルティーボ・ラ・コルーニャ
仁川ユナイテッド
山東泰山
などで、ヘッドコーチや戦術コーチ、分析担当などを務めてきた。
FC今治公式によると、UEFA PRO Coaching Licenseも保有している。
2026/27シーズンの目標については、クラブ公式プロフィールで明確に**「J1昇格」**と答えていた。
しかし、新体制は開幕から苦戦を強いられることになる。
FC今治は第7節終了時点で1勝1分5敗
チームとしては勝点4の20位
Jリーグ公式によると、横浜FC戦終了時点のFC今治は、
7試合
1勝
1分
5敗
勝点4
20位
となっている。
開幕からのリーグ戦結果は以下の通り。
| 節 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|
| 第1節 | いわきFC | ●1-2 |
| 第2節 | RB大宮アルディージャ | ●2-3 |
| 第3節 | カターレ富山 | ●0-4 |
| 第4節 | モンテディオ山形 | ●0-3 |
| 第5節 | 大分トリニータ | △1-1 |
| 第6節 | サガン鳥栖 | ○1-0 |
| 第7節 | 横浜FC | ●1-2 |
開幕4連敗。
大分戦で初めて勝点を獲得し、鳥栖戦ではようやく今季リーグ初勝利を挙げたものの、第7節終了時点でも最下位から抜け出せなかった。
ただし「モウレロ監督の成績=1勝1分5敗」ではない
横浜FC戦は久保山ヘッドコーチが指揮
今回の記事で最も注意が必要なのが、この点だ。
FC今治のチームとしてのリーグ成績は第7節終了時点で1勝1分5敗。
しかし、これはそのままモウレロ監督本人の指揮成績ではない。
9月19日の横浜FC戦について、クラブは試合当日に、
モウレロ監督が体調不良で不在となり、久保山由清ヘッドコーチが代わって指揮する
と公式発表している。
したがって、モウレロ氏が実際にリーグ戦で指揮したのは第1節から第6節まで。
その6試合の成績は、
1勝1分4敗
となる。
チーム全体の「1勝1分5敗」と、モウレロ氏が実際に指揮した「1勝1分4敗」は分けて考える必要がある。
開幕4連敗が重くのしかかった
富山戦0-4、山形戦0-3
モウレロ体制にとって特に厳しかったのが、開幕直後の連敗だ。
いわきFCに1-2。
RB大宮アルディージャに2-3。
そしてカターレ富山には0-4、モンテディオ山形には0-3で敗れた。
開幕から4試合で4連敗。
特に富山戦と山形戦では2試合連続で3失点以上を喫しており、守備面で大きな課題を抱えるスタートとなった。
大分戦から3バックへ変更
守備には改善の兆しもあった
ただし、解任まで全く改善がなかったわけではない。
Jリーグ公式の横浜FC戦プレビューでは、今治は大分戦から4バックから3バックへ変更し、守備面の改善につながったと紹介されている。
大分戦では1-1。
続く鳥栖戦では今季初のクリーンシートを達成し、89分の森晃太のゴールで1-0の初勝利を収めた。
結果だけを見れば苦しいモウレロ体制だったが、解任直前には守備面で変化の兆候も見え始めていた。
第6節・鳥栖戦で待望の初勝利
森晃太が89分に決勝ゴール
9月12日のサガン鳥栖戦。
0-0のまま迎えた89分、梅木怜のクロスを受けた森晃太が右足でゴール。
今治が1-0で勝利し、2026/27シーズンのJ2リーグ初白星を手にした。
モウレロ氏が実際に指揮した最後のリーグ戦は、この鳥栖戦だった。
その意味では、監督本人のリーグ最終戦は「敗戦」ではなく勝利だったことも押さえておきたい。
解任直前の横浜FC戦は久保山氏が代行指揮
古山兼悟が同点ゴール
9月19日の第7節・横浜FC戦。
モウレロ監督は体調不良で不在となり、久保山ヘッドコーチが指揮を執った。
横浜FCに35分、ジョアン・パウロのゴールで先制されたが、50分に古山兼悟が同点ゴール。
1-1まで追いついた。
90+1分に決勝点を許す
しかし試合終了間際の90+1分。
横浜FCのアダイウトンにゴールを許し、最終的には1-2で敗戦となった。
この結果、FC今治は第7節終了時点で1勝1分5敗となった。
そして翌日の9月20日付で、モウレロ監督との契約が解除された。
ただし前述の通り、クラブは公式発表で**「横浜FC戦に敗れたから解任した」とは説明していない。**
最下位というシーズン全体の状況を重く受け止め、J1昇格という目標へ巻き返すための決断だったとしている。
カップ戦では4得点の試合もあった
天皇杯では秋田に4-1
モウレロ体制はリーグ戦で苦戦したが、公式戦すべてで攻撃が機能しなかったわけではない。
8月26日の天皇杯では、ブラウブリッツ秋田を4-1で撃破した。
一方、9月2日のルヴァンカップではツエーゲン金沢に1-2で敗戦。
大会によって結果に波があったことも、約3カ月のモウレロ体制を振り返るうえでは見逃せない。
なぜFC今治はこのタイミングで監督交代に踏み切ったのか
理由① J1昇格という目標との大きなギャップ
クラブが公式に示している最大の理由は明確だ。
J1昇格を目標としているチームが最下位にいる。
太田GMも、目標から大きく離れた最下位という現状を重く受け止め、巻き返すための決断だと説明している。
まだ7試合というシーズン序盤ではある。
しかし、昇格を本気で狙うのであれば、上位との勝点差がさらに拡大する前に手を打つ必要がある。
クラブは早いタイミングで方向転換を選んだ形だ。
理由② 開幕4連敗による出遅れ
全38試合を戦うリーグで、開幕から4連敗。
しかも0-4、0-3という大差の敗戦も含まれていた。
その後、大分戦と鳥栖戦で守備面に改善が見えたとはいえ、序盤の大きな出遅れを完全には取り戻せなかった。
理由③ 「まずは降格圏脱出」という状況まで後退
クラブは解任発表で、J1昇格という目標を諦めないとしたうえで、
まずは降格圏から脱出し、プレーオフ圏内を目指す
という方針を打ち出した。
開幕前の「J1昇格」から、まず「最下位脱出」へ。
この目標の変化だけでも、FC今治が置かれている状況の厳しさが分かる。
後任は久保山由清ヘッドコーチ
2024年からFC今治に在籍
新監督に就任した久保山由清氏は、1976年7月21日生まれの50歳。
清水エスパルスの育成年代で長く指導経験を積み、
2016~2019年 清水エスパルス トップチームコーチ
2020~2021年 清水エスパルス ユースコーチ
2022年 清水エスパルス ジュニアユースアシスタントコーチ
2023年 厚木はやぶさFC監督
2024年~ FC今治トップチームヘッドコーチ
を務めてきた。
JFA Proライセンスも保有している。
FC今治には2024年から在籍しているため、クラブ内部や選手の特徴を理解している人物へ立て直しを託した形だ。
久保山新監督が掲げる「今治らしいサッカー」
アグレッシブに、ハードワークする
久保山新監督は就任にあたり、現在の状況が厳しいことを認めたうえで、
「今治らしく攻守においてアグレッシブに、そしてハードワークするサッカー」
を掲げている。
さらに、
ボールを奪うこと。
スピーディーにゴールへ向かうこと。
選手の力を100%ピッチで表現すること。
などを今後の方向性として示した。
これはクラブがモウレロ監督解任時に掲げた、
「今治らしく、攻守においてアグレッシブなサッカー」
という方針とも一致している。
久保山監督にはすでに1試合の“予行演習”がある
正式就任前に横浜FC戦を指揮
通常、監督交代直後は選手の特徴を把握するところから始めるケースも多い。
しかし久保山氏は2024年からヘッドコーチを務めており、チームを熟知している。
さらに、正式な監督就任発表前の9月19日には、モウレロ監督の体調不良を受けて横浜FC戦を指揮している。
つまり新体制ではあるものの、完全にゼロから始めるわけではない。
この点は、シーズン中の緊急的な監督交代としては大きなメリットと言える。
久保山体制の初戦はいきなりJ1柏レイソル
9月23日に天皇杯3回戦
久保山氏が正式に監督となって最初に迎える公式戦は、9月23日の天皇杯3回戦。
相手はJ1の柏レイソルだ。
会場は三協フロンテア柏スタジアムで、17時キックオフ予定となっている。
いきなりJ1クラブとの一発勝負。
久保山新監督がどのようなメンバーを選び、どんなサッカーを見せるのか。
新体制の方向性を確認する最初の試合となる。
その3日後にはJ2湘南戦
最優先はリーグでの最下位脱出
天皇杯からわずか3日後の9月26日には、J2第8節・湘南ベルマーレ戦が控えている。
ホームのアシックス里山スタジアムで17時キックオフ予定だ。
クラブはJ1昇格という目標を撤回していない。
ただ、現状で最優先しなければならないのはリーグで勝点を積み上げることだ。
天皇杯で結果を残すことも重要だが、まず20位から抜け出さなければ昇格争いへの再挑戦も始まらない。
久保山体制で改善したいポイント① 守備の安定
3バックで見えた改善を継続できるか
開幕直後は失点が多かった今治。
その後、大分戦から3バックへ変更し、大分戦1-1、鳥栖戦1-0と守備面には一定の改善が見られた。
久保山監督が、この流れを継続するのか。
それとも新たな守備方法を導入するのか。
まず注目したいポイントだ。
「アグレッシブにボールを奪う」ためには、前線だけが追いかけるのではなく、最終ラインまで連動する必要がある。
チーム全体の距離感をどこまで整えられるかが重要になる。
久保山体制で改善したいポイント② 得点力
7試合で6得点
第7節終了時点で、FC今治のリーグ戦得点は6。
7試合で6得点となっている。
一方で天皇杯・秋田戦では4得点を記録しており、攻撃力そのものが全くないわけではない。
古山兼悟、森晃太、エジガル・ジュニオ、ウェズレイ・タンキ、中井卓大、安部裕葵らをどう組み合わせ、継続的に決定機を作れるか。
久保山監督の手腕が問われる部分になる。
「3カ月で解任」は早かったのか?
判断の評価は今後の結果次第
モウレロ監督の就任発表は6月11日。
解任は9月20日付。
約3カ月という短期政権だった。
さらに、本人が実際に指揮したJ2リーグ戦はわずか6試合。
そのため、
「もう少し時間が必要だったのではないか」
という見方が出る可能性はある。
特に最後に指揮した鳥栖戦では1-0で初勝利を挙げ、3バック変更後には守備面の改善も見え始めていた。
一方でクラブが掲げた目標はJ1昇格。
チームは第7節終了時点で最下位だった。
クラブ側はそのギャップを重く受け止め、早期の監督交代によって巻き返しを図る判断を下した。
この決断が正しかったのかどうかは、久保山体制が今後どこまで順位を引き上げられるかによって評価されることになるだろう。
FC今治はここから巻き返せるか
約3カ月で終了したモウレロ体制。
改めて整理すると、
FC今治の第7節終了時点のチーム成績は1勝1分5敗・20位。
一方、
モウレロ氏が実際に指揮したJ2リーグ戦は6試合で1勝1分4敗。
第7節・横浜FC戦は体調不良のため不在となり、久保山由清ヘッドコーチが代行指揮していた。
そして今回、その久保山氏が正式に新監督となった。
2024年からFC今治を内部で見てきた指導者が、
「アグレッシブ」
「ハードワーク」
「ボールを奪う」
「スピーディーにゴールへ向かう」
という今治らしいサッカーをどこまで短期間で取り戻せるか。
最下位からの巻き返し。
そしてクラブがまだ諦めていないJ1昇格への挑戦。
FC今治にとって、久保山新体制のスタートはシーズンの大きな分岐点となる。
免責事項
本記事は、FC今治公式サイト、Jリーグ公式サイトなど、2026年9月22日時点で公開されている情報を確認したうえで作成しています。
監督・スタッフ情報、試合結果、順位、成績、今後の日程などは変更・更新される場合があります。最新かつ正確な情報については、FC今治およびJリーグの公式発表をご確認ください。
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なお、監督交代の評価や今後の戦術・チーム改善に関する記述には、公式発表や試合結果をもとにした分析・考察が含まれています。







