ガンバ大阪が苦しい。
2026年9月20日に行われた明治安田J1リーグ第8節、ヴィッセル神戸戦。ホームのパナソニックスタジアム吹田で上位を走る神戸を相手に互角以上の時間を作りながら、90分にエリキのゴールを許して0-1で敗れた。
Jリーグ公式記録では得点時刻は「90分」。厳密には「90+○分」というアディショナルタイムの表記ではなく、後半45分、試合終了間際の失点だった。
この敗戦でガンバはリーグ戦7試合未勝利。さらに千葉戦、FC東京戦、神戸戦と3連敗を喫し、その3試合はいずれも無得点となった。
第8節終了時点では1勝3分4敗、勝点6で16位。
降格圏となる18位アビスパ福岡は勝点4で、差はわずか「2」。まだシーズン序盤とはいえ、「降格」という言葉を完全に無視できる状況ではなくなってきた。
しかし、神戸戦にはこれまでの敗戦とは違う「希望」も見えていた。
ガンバ大阪、開幕戦以来7試合勝利なし
開幕・浦和戦を4-3で制して以降は3分4敗
明神智和監督率いるガンバは、開幕戦で浦和レッズを4-3で下し、新シーズンを白星でスタートした。
ところが、その後は勝利から遠ざかっている。
| 節 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|
| 第1節 | 浦和 | ○ 4-3 |
| 第2節 | 水戸 | △ 1-1 |
| 第3節 | 名古屋 | ● 1-3 |
| 第4節 | 広島 | △ 0-0 |
| 第5節 | 長崎 | △ 2-2 |
| 第6節 | 千葉 | ● 0-2 |
| 第7節 | FC東京 | ● 0-2 |
| 第8節 | 神戸 | ● 0-1 |
開幕戦の勝利以降は3分4敗。
順位も第1節終了時の3位から、5位、10位、12位、13位、15位と落ち、第8節終了時点で16位まで後退した。
特に深刻なのは「3試合連続無得点」
失点だけが問題ではない。
千葉戦0-2、FC東京戦0-2、神戸戦0-1と、直近3試合はすべてノーゴール。
7試合未勝利期間のリーグ戦得点は計4点にとどまっている。
残留争いになった場合、「負けない守備」だけでなく、引き分けを勝利へ変える1点が必要になる。
現在のガンバ最大の課題は、ゴール前まで運ぶこと以上に最後に得点へ変換する部分と言えそうだ。
神戸戦は本当に悪かったのか?
結果は0-1、それでも内容には明確な改善
結果だけを見れば3連敗。
しかし神戸戦は、悲観材料だけのゲームではなかった。
Jリーグ公式スタッツでは、ガンバはボール保持率57%、シュート16本、枠内シュート5本を記録。神戸の43%、14本、枠内3本を上回った。
首位争いをする神戸に対してボールを保持し、シュートまで持ち込む回数を作った。
明神監督も試合後、ロングボールへの対応や競り合い、セカンドボール回収から相手ゴール付近まで運ぶ部分について手応えを語っている。
結果は伴わなかったが、少なくとも「何もできずに0-1で敗れた試合」ではない。
今後への希望① 守備の狙いが整理されてきた
神戸のロングボールとセカンドボールに対応
神戸戦でまず評価できるのは守備だ。
明神監督が試合後に挙げたのが、神戸のロングボールへの対応と、その後のセカンドボール回収だった。
前線からすべてを追いかけるだけではなく、競る場所と回収する場所が整理され、そこから攻撃へ移る場面を作れていた。
失点も大量に崩された結果ではなく、90分の一瞬だった。
だからこそ悔やまれるが、裏を返せば、90分近く神戸を無得点に抑えた守備の再現性は今後の残留争いにおける大きな武器になり得る。
今後への希望② 藤原奏哉が早くもフィット
明神監督も「想像以上」と評価
もう一つ大きな収穫だったのが、新加入の藤原奏哉だ。
神戸戦で先発した藤原について、明神監督は基礎技術や個人戦術を評価し、チームへの適応についても想像以上のパフォーマンスだったという趣旨のコメントを残している。
新戦力がすぐに戦力化できることは、過密日程を考えても大きい。
リーグだけではなく、天皇杯、ルヴァンカップ、ACLEを並行して戦うガンバにとって、固定された11人だけでシーズンを乗り切ることは難しい。
藤原のフィットは、単なる1ポジションの補強以上の意味を持つ。
今後への希望③ 土信田悠生がゴール前に「基準点」を作る
クロスを入れる側にも変化
神戸戦で先発した土信田悠生について、明神監督はゴール前へ入っていく動きを特徴として挙げている。
ターゲットが明確になることで、クロスを供給する選手もボールを入れやすくなり、チーム全体としてゴール前へ人数をかける回数が増えているという。
土信田は直前のACLE・コンアン・ハノイ戦でもゴールを記録している。
同試合では宇佐美貴史が2得点、角昂志郎も得点し、ガンバは4-1で勝利した。
つまり攻撃力そのものが消えているわけではない。
問題は、その攻撃をJ1でも再現できるかだ。
「ACLEでは4得点、J1では3試合連続無得点」という謎
攻撃力がないのではなく、リーグで出し切れていない
非常に興味深いのがここだ。
9月15日のACLEではコンアン・ハノイを4-1で撃破。
しかしJ1では千葉、FC東京、神戸を相手に3試合連続ノーゴールとなっている。
これは「選手に得点能力がない」と単純化するべきではないだろう。
ACLEでは相手との噛み合わせやスペースが生まれ、宇佐美を中心にフィニッシュまで持ち込めた。
一方、J1では相手の守備強度やトランジションの速さが上がり、最後のシュート精度やゴール前の判断で差が生まれている。
明神監督自身も神戸戦後、最後に決め切る力、チャンスの回数と精度をさらに上げる必要性を認めている。
最大の反省点は「勝点1をゼロにしたこと」
90分なら0-0を持ち帰る判断も必要だった
神戸戦最大の課題は、得点できなかったことだけではない。
残留争いという観点では、0-0で終えられる試合を0-1にしてしまったことの方が重い。
もちろんホームで勝点3を狙う姿勢は必要だ。
しかし現在16位という状況を考えれば、上位チーム相手の終盤では「勝つためのリスク」と「勝点1を失うリスク」を天秤にかけなければならない。
特に85分以降は、両サイドが同時に高い位置を取ることを避ける、中盤にカウンター対策の選手を残す、セカンドボールを奪われた瞬間にファウルも含めて攻撃を止めるなど、ゲームマネジメントが重要になる。
内容が良かったからこそ、最後の数分をどう終わらせるかは改善しなければならない。
ガンバ大阪は本当に「降格危機」なのか?
現時点では降格圏外、しかし勝点差はわずか2
第8節終了時点の下位は、
16位・ガンバ大阪=勝点6
17位・名古屋グランパス=勝点6
18位・アビスパ福岡=勝点4
19位・東京ヴェルディ=勝点4
20位・ジェフユナイテッド千葉=勝点4
となっている。
J1では18位以下が降格圏となるため、ガンバは現時点では圏外。
ただし、18位との勝点差はわずか2しかない。
一方で、まだ8試合を終えただけでもある。
したがって「降格が現実的に決まるような段階」ではないものの、早い段階で残留争いに巻き込まれる危険性が出ているという表現が現状には近い。
明神監督は解任すべきなのか?
現時点での即時解任はまだ早い
成績だけを見ると厳しい。
明神監督就任後のリーグ戦は8試合で1勝3分4敗。
7試合未勝利、3連敗、3試合連続無得点となれば、監督の進退が議論されるのは自然だ。
ただし、本稿では現時点で即座に監督交代へ踏み切る段階ではないと考える。
明神監督が正式に就任したのは7月21日。監督として新チームを作り始めてまだ約2カ月しか経過していない。
そして神戸戦では、少なくとも試合内容の部分に改善が確認できた。
ACLEでは4得点で勝利し、新加入の土信田や角にも得点が生まれている。
「内容も悪く、選手も機能せず、改善の兆候もない7戦未勝利」とは状況が異なる。
ただし「無条件続投」でもない
一方、クラブが見なければならないのは「良いサッカーをしているか」だけではない。
明神監督自身が就任会見で「一番良い監督は勝つ監督」と語っていたように、プロクラブで最終的に求められるのは結果だ。
今後もリーグ戦で無得点と敗戦が続き、降格圏へ転落するようなら、監督交代の判断は現実味を帯びる。
特に見るべきなのは、単純な勝敗だけではなく、神戸戦で見せた守備とチャンス創出が継続できるか、得点力が改善するか、終盤のゲームマネジメントが修正されるかの3点だろう。
明神監督を判断する「次の数試合」が重要
カップ戦の勝利だけで判断してはいけない
ガンバの次戦は9月23日の天皇杯3回戦・徳島ヴォルティス戦。
その後、10月3日にはルヴァンカップ4回戦で柏レイソルと対戦する。
ここで勝利すればチームに勢いは戻る。
ただし、現在問題になっているのはJ1での7戦未勝利だ。
カップ戦で勝利しても、リーグ戦で鹿島、清水、福岡を相手に勝点を積めなければ根本的な問題を解決したとは言えない。
監督評価では「公式戦○連勝」だけを見るのではなく、J1で勝点を積み上げられるようになったかを最重要項目にする必要がある。
今後はリーグ・天皇杯・ルヴァン・ACLEをどう戦うべきか
今季はACL2ではなくACLE
まず大会名について整理しておきたい。
ガンバ大阪は2025/26シーズンにACL2を制覇。
その実績などを経て、2026/27シーズンは上位大会となる**AFCチャンピオンズリーグElite(ACLE)**を戦っている。公式日程にも今季の大会はACLEとして記載されている。
9月から10月は超過密日程
今後の主な公式戦は次の通り。
| 日付 | 大会 | 対戦相手 |
|---|---|---|
| 9月23日 | 天皇杯3回戦 | 徳島 |
| 10月3日 | ルヴァン杯4回戦 | 柏 |
| 10月9日 | J1 | 鹿島 |
| 10月13日 | ACLE | ニューカッスル・ジェッツ |
| 10月17日 | J1 | 清水 |
| 10月21日 | J1 | 福岡 |
| 10月24日 | J1 | 京都 |
| 10月28日 | ACLE | ブリーラム・ユナイテッド |
ここで重要なのは「全部同じメンバーで勝とう」としないことだ。
今後の戦い方① J1を最優先に勝点を拾う
上位相手には「勝点1」も価値がある
現在16位という状況では、リーグ戦の優先順位を高く設定する必要がある。
特に鹿島戦やアウェーゲームで、80分を過ぎても同点なら無理に勝負を開かない選択肢も必要になる。
神戸戦のように90分まで0-0なら、それは失敗ではない。
勝点1を積み重ねながら、下位との直接対決で勝点3を取りにいく。
残留争いに巻き込まれた場合、この割り切りは非常に重要になる。
今後の戦い方② カップ戦では「全員入れ替え」をしない
センターラインだけは固定したい
天皇杯やルヴァン杯ではターンオーバーが必要になる。
しかしGK、センターバック、ボランチなどチームの中央まで一気に変更すると、守備組織そのものが崩れやすい。
中谷進之介ら守備の軸となる選手を適度に残しつつ、藤原、角、若手、新加入組などを組み合わせる形が現実的だ。
カップ戦を「完全なBチーム」にするのではなく、主力5~6人+入れ替え選手のような構成でチームの基本構造を維持したい。
今後の戦い方③ ACLEは勢いを取り戻す場所として使う
すでに4-1という成功体験がある
ACLE初戦では4得点を奪って勝利している。
これは今のガンバにとって非常に重要な成功体験だ。
リーグ戦だけを戦って3試合連続無得点になれば、攻撃陣はどうしても自信を失う。
ACLEで宇佐美、土信田、角らがゴールを奪ったように、別大会で得点感覚を取り戻し、それをJ1へ持ち帰る流れを作りたい。
ただしアウェー遠征もあるため、主力を90分使い続けるのではなく、交代枠を早めに使ったコンディション管理が不可欠になる。
今後の戦い方④ 「宇佐美頼み」ではない得点パターンを増やす
土信田+2列目の飛び込みを生かしたい
ACLEでは宇佐美が2得点を記録した。
しかし長いシーズンを考えれば、宇佐美一人の個人技だけに得点を依存するのは危険だ。
神戸戦で見えた土信田のゴール前への入り方を生かし、サイドからクロスを入れる。
そこへ逆サイドのウイングやトップ下もゴール前へ入る。
さらにこぼれ球をボランチが回収する。
このように「誰が最後に決めてもいい形」を増やすことが、3試合連続無得点を抜け出す鍵になる。
降格危機から抜け出す鍵は「内容を勝点に変えること」
神戸戦には希望があった。
守備は整理され、上位の神戸に対してボールを保持し、シュート数でも上回った。藤原奏哉という新戦力も機能し、土信田悠生という新たな攻撃の基準点も見えている。
だからこそ、もう「内容は良かった」で終わることはできない。
リーグ戦7試合未勝利。
3連敗。
3試合連続無得点。
16位。
降格圏まで勝点2。
数字だけを見れば、確実に警戒すべき状況に入っている。
明神監督を今すぐ交代させるのか。
それとも神戸戦で見えた改善を信じるのか。
現時点では後者を試す余地がある。
ただし、その猶予を作るために必要なのは「次は勝てそうだった」という評価ではない。
必要なのは勝点だ。
ACLE、天皇杯、ルヴァン杯という複数大会を戦いながら、リーグ戦でどこまで結果を取り戻せるのか。
明神ガンバにとって、ここからの数週間がシーズン序盤最大の分岐点となりそうだ。
免責事項
本記事は、Jリーグ公式サイト、ガンバ大阪公式サイト、各クラブ公式情報および報道機関など、2026年9月22日時点で公開されている情報をもとに作成しています。
試合結果、順位、選手・監督情報、大会日程などは変更・更新される場合があります。最新かつ正確な情報については、Jリーグ、AFCおよび各クラブの公式発表をご確認ください。
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