日本サッカーの「次の代表候補」たちが、世界基準を直接体感する。
Jリーグは2026年9月16日、U-16 Jリーグ選抜を結成し、9月21日から10月1日までドイツ遠征を実施すると発表した。
選ばれたのはJ1からJ3まで、23クラブのアカデミーから各1名、計23選手。
しかも、このチームを率いるのはロジャー・シュミット氏だ。
PSVアイントホーフェン、バイエル・レバークーゼン、ベンフィカなど欧州の強豪を指揮し、現在はJリーグのグローバルフットボールアドバイザーを務める世界的指導者である。
遠征先ではフォルトゥナ・デュッセルドルフU-17、バイエル・レバークーゼンU-17とのトレーニングマッチを予定。
レバークーゼンとは試合だけでなく、合同トレーニングも実施する。
まだ15~16歳。
しかし数年後、この23人の中からJ1の主力、欧州組、そして日本代表が誕生していても不思議ではない。
今回は「次の日本代表候補」を探す意味でも注目したい、U-16 Jリーグ選抜ドイツ遠征を詳しく見ていく。
U-16 Jリーグ選抜が9月21日からドイツ遠征
今回の海外遠征は、Jリーグが進める「Global Football Advisor Project」の一環として行われる。
期間は、
2026年9月21日~10月1日。
ドイツ・デュッセルドルフを拠点に、トレーニング、欧州クラブのアカデミーとの試合、教育プログラムなどを実施する。
遠征スケジュール
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 9月21日 | 集合・ミーティング |
| 9月22日 | ドイツへ移動 |
| 9月23日 | トレーニング |
| 9月24日 | トレーニング |
| 9月25日 | トレーニング |
| 9月26日 | vs フォルトゥナ・デュッセルドルフU-17 |
| 9月27日 | トレーニング・教育プログラム |
| 9月28日 | バイエル・レバークーゼンU-17との合同トレーニング・スタジアムツアー |
| 9月29日 | vs バイエル・レバークーゼンU-17 |
| 9月30日 | 移動 |
| 10月1日 | 帰国・解散 |
単純に海外チームと2試合して帰ってくる遠征ではない。
約10日間、欧州の環境そのものへ入り込み、
トレーニング。
試合。
教育。
欧州クラブとの交流。
をまとめて経験するプログラムとなっている。
選ばれたのは23クラブから1人ずつ
今回の選考方法も非常に興味深い。
特定の強豪アカデミーから何人も選ぶのではなく、J1~J3の計23クラブからそれぞれ1選手が参加する。
つまり全国各地のアカデミーから才能を集めた「Jリーグ横断型」の選抜チームだ。
U-16 Jリーグ選抜23選手
| Pos. | 選手 | 所属 |
|---|---|---|
| GK | 新村和史 | RB大宮アルディージャU18 |
| GK | 山田琥太郎 | 湘南ベルマーレU-18 |
| GK | 山下晴太郎 | ヴィッセル神戸U-18 |
| FP | 西井玄篤 | 京都サンガF.C.U-18 |
| FP | 林天音 | 大分トリニータU-18 |
| FP | 小川要 | アルビレックス新潟U-18 |
| FP | 坂堂聖 | 栃木SC U-18 |
| FP | 笠井直樹 | ガンバ大阪ユース |
| FP | 北風希 | 愛媛FC U-18 |
| FP | 小澤春太 | ベガルタ仙台ユース |
| FP | 入賀陸 | ロアッソ熊本ユース |
| FP | 竹信瑛治 | アビスパ福岡U-18 |
| FP | 三原大虎 | ギラヴァンツ北九州U-18 |
| FP | 吉田琉海 | 川崎フロンターレU-18 |
| FP | 曾我優 | FC今治U-18 |
| FP | 金子航大 | 横浜FCユース |
| FP | 米川祐輝 | FC東京U-18 |
| FP | 遠藤優空 | 清水エスパルスユース |
| FP | 庄司瑛人 | 東京ヴェルディユース |
| FP | 柿沼伶音 | 鹿島アントラーズユース |
| FP | 出川瑛太 | ジェフユナイテッド千葉U-18 |
| FP | 佐久間心輝 | ジュビロ磐田U-18 |
| FP | 岡田遼 | ファジアーノ岡山U-18 |
選手の氏名、所属、生年月日はJリーグが公表した参加選手一覧に基づく。
監督はロジャー・シュミット
PSV、レバークーゼン、ベンフィカを率いた名将
今回の最大の特徴とも言えるのが監督だ。
ロジャー・シュミット氏。
1967年3月13日生まれのドイツ人指導者で、UEFAプロライセンスを保有。
これまで、
レッドブル・ザルツブルク。
バイエル・レバークーゼン。
北京国安。
PSVアイントホーフェン。
ベンフィカ。
などを率いてきた。
PSVを率いたのは2020年から2022年。
その後、ベンフィカでは2022/23シーズンにポルトガルリーグを制覇し、同シーズンのUEFAチャンピオンズリーグではベスト8まで進出している。
「元PSV監督が日本の16歳前後の選手を指導する」。
それだけでも、このプロジェクトの規模が分かる。
実は現在「Red Bull Football」の要職にも就任
さらにシュミット氏は2026年8月、Red Bull FootballのHead of Global Soccerへの就任が発表された。
一方でJリーグのグローバルフットボールアドバイザーも継続。
今回のU-16選抜指導も予定通り行われる。
つまり23人の選手は、
欧州トップクラブを指揮してきた監督。
そして現在も世界規模のサッカー組織に関わる人物から、
直接評価され、直接指導を受けることになる。
非常に貴重な機会だ。
ロジャー・シュミットのサッカーとは?
激しいプレッシングと素早い攻撃
シュミット氏のチームと言えば、まず思い浮かぶのが強度の高いプレッシングだ。
ボールを奪われた瞬間に切り替える。
相手へ時間を与えない。
奪ったら素早くゴールへ向かう。
単純にボール保持率を高めるだけではなく、
「いつボールを奪うか」
「奪った後、どれだけ速く前進できるか」
を重視するスタイルとして知られてきた。
Jリーグも、シュミット氏が欧州トップレベルで培ったフットボール哲学やトレーニングメソッドを、日本の育成現場へ定着させることをこのプロジェクトの目的としている。
16歳前後でこの指導を受ける意味
技術だけではなく「判断速度」が問われる
日本のアカデミー選手は技術が高いと評価されることが多い。
しかし世界へ行けば、それだけでは足りない。
ボールを受けてから考えるのでは遅い。
受ける前に周囲を見る。
次のプレーを決めておく。
相手が来る前に動く。
こうしたプレースピードが必要になる。
シュミット氏のトレーニングでは、そうした部分が強く要求される可能性が高い。
「うまい選手」から「世界で戦える選手」へ
15~16歳という年代では、技術的に突出しているだけでも試合で違いを作れる場合がある。
しかしプロになると、
フィジカル。
判断。
戦術理解。
メンタル。
連続したプレー強度。
すべてが必要になる。
今回の遠征は、現在の自分が世界基準からどれほど離れているのかを知る機会でもある。
Jリーグ自身も欧州遠征の狙いとして、欧州クラブとの試合、トレーニング、データ分析などを通じて**「世界基準とのギャップを可視化する」**としている。
相手はフォルトゥナ・デュッセルドルフU-17
1歳上との実戦
9月26日の最初のトレーニングマッチは、フォルトゥナ・デュッセルドルフU-17。
日本側はU-16選抜。
相手はU-17だ。
単純な技術比較ではなく、
身体の強さ。
プレッシャー。
球際。
プレースピード。
といった部分で苦しむ可能性もある。
だからこそ価値がある。
普段、日本国内の同年代相手なら通用するプレーが、ドイツの1歳上にどこまで通用するのか。
23人にとって大きなテストとなる。
さらにバイエル・レバークーゼンU-17とも対戦
シュミット氏の古巣でもある
9月28日には、バイエル・レバークーゼンU-17と合同トレーニング。
翌29日には同チームとのトレーニングマッチが予定されている。
レバークーゼンはシュミット氏自身が2014年から2017年までトップチームを指揮したクラブでもある。
当時はUEFAチャンピオンズリーグでもベスト16へ進出した。
自らがよく知るクラブの育成組織へ、日本の若手選手を連れていく。
これも今回の遠征ならではの特徴だ。
ただ試合をするだけではない「合同トレーニング」
相手の練習方法そのものを体感
個人的に今回のスケジュールで特に注目したいのが9月28日だ。
レバークーゼンU-17との合同トレーニングが設定されている。
試合では、
日本対ドイツ。
という構図になる。
しかし合同トレーニングでは、同じメニューを同じピッチで行うことになる可能性がある。
ドイツの選手は、
どんな強度で練習するのか。
どんな声を出すのか。
どこまで細部にこだわるのか。
試合だけでは見えない「日常の基準」を知ることができる。
23クラブから1人ずつという選考が面白い
強豪クラブだけの選抜ではない
今回、鹿島、川崎、FC東京、G大阪、神戸といったJ1クラブだけから選んでいるわけではない。
栃木SC。
愛媛FC。
FC今治。
ギラヴァンツ北九州。
ロアッソ熊本。
大分トリニータ。
ファジアーノ岡山。
など全国各地のクラブから選手が参加する。
「所属クラブの規模」ではなく、個々の可能性を見る。
この考え方は日本サッカー全体の育成にとって重要だ。
次の日本代表候補はこの中にいるのか?
2030年W杯では20歳前後
今回の選手は2010年から2011年生まれ。
2030年ワールドカップの頃には19~20歳前後になる。
日本代表の中心世代になるにはまだ若い。
しかし、10代でA代表まで駆け上がる選手が珍しくなくなっている現代サッカーでは、決して不可能な年齢でもない。
今回の23人の中から、
高校年代でトップ昇格。
10代でJリーグデビュー。
海外移籍。
世代別日本代表。
そしてA代表。
そんな選手が出てくる可能性は十分ある。
Jリーグが狙うのは「23人だけの育成」ではない
今回の遠征には、もう一つ重要な意味がある。
JリーグのGlobal Football Advisor Projectは、選ばれた選手だけを成長させる取り組みではない。
シュミット氏の指導方法。
トレーニング設計。
世界基準の考え方。
欧州遠征で得たデータ。
これらを各クラブへ持ち帰り、日本の育成現場全体へ還元することが目的とされている。
「世界基準」をJリーグのDNAへ
JリーグはYear2のテーマを、
「共有から定着へ」
としている。
新しい知識を一度学ぶだけではない。
日々のアカデミー指導へ落とし込む。
そしてトップチームまで一貫した競争力へつなげる。
最終的には「世界基準」をJリーグのDNAへ定着させることを目指している。
実は今年3月のドイツ遠征は中止されていた
このプロジェクトでは2026年3月にもU-16世代のドイツ遠征が予定されていた。
しかしJリーグのシーズンレビューによると、中東情勢の影響で中止となった。
その意味でも、今回の9月遠征は重要だ。
海外へ実際に出て、欧州クラブと同じピッチへ立つ。
Year2に入ったプロジェクトが、本格的に動き出す機会になる。
ロジャー・シュミットが直接見る23人
今回の23人には、もう一つ大きなチャンスがある。
それは、
世界を知る指導者に自分を直接見てもらえること。
シュミット氏は現在Jリーグだけではなく、Red Bull FootballのHead of Global Soccerという役割も担っている。
だからといって今回の遠征が即座に海外移籍へつながるという意味ではない。
しかし、
世界トップレベルを知る人物から、
「この部分は通用する」
「ここはまだ足りない」
と評価されること自体が大きい。
World Soccer Portalが注目するポイント
今回の遠征で特に見たいのは、個人のゴール数や勝敗だけではない。
まず、ドイツ勢のプレッシャーを受けてもボールを扱えるか。
次に、ボールを失った瞬間に日本の選手がどれだけ早く切り替えられるか。
そして、シュミット氏の要求するプレー強度を10日間継続できるか。
さらに、各クラブへ戻った後に何が変わるか。
遠征直後だけではなく、半年後、1年後まで追いたい世代だ。
まとめ|この23人の名前を覚えておきたい
2026年9月21日。
U-16 Jリーグ選抜23人がドイツ遠征をスタートする。
23クラブ。
23人。
フォルトゥナ・デュッセルドルフU-17。
バイエル・レバークーゼンU-17。
そして監督は、
ロジャー・シュミット。
PSV。
レバークーゼン。
ベンフィカ。
欧州のトップレベルを経験してきた指導者が、日本の15~16歳を直接指導する。
今の段階では、まだ「有望なアカデミー選手」だ。
Jリーグデビューすらしていない選手が大半。
しかし数年後。
この23人の中から、
J1の主力が出るかもしれない。
海外へ行く選手が出るかもしれない。
日本代表が出るかもしれない。
だからこそ、今のうちに名前を覚えておきたい。
次の日本代表を探せ。
その候補たちが、まずはドイツで世界との差を知る。
そして、その差を埋めるための10日間が始まる。
免責事項
本記事は2026年9月18日時点でJリーグが公開しているU-16 Jリーグ選抜ドイツ遠征の公式情報、およびGlobal Football Advisor Projectに関する公式発表をもとに作成しています。
遠征スケジュールや参加メンバーは、選手のコンディションやクラブ事情などにより変更される場合があります。Jリーグも参加選手・日程について変更の可能性があるとしています。
また、「将来の日本代表候補」「2030年W杯への可能性」などの記述は、選手の将来を確定的に予測するものではなく、World Soccer Portalによる育成・キャリア上の展望です。最新かつ正式な情報についてはJリーグおよび各所属クラブの公式発表をご確認ください。








