FC町田ゼルビアが、クラブ史に残るACL2初戦を最高の形でスタートさせた。
2026年9月17日、AFCチャンピオンズリーグTwo(ACL2)2026/27・グループG第1節で、FC町田ゼルビアはカンボジア王者PKRスヴァイリエンとホームで対戦。
結果は2-0。
20分、ミッチェル・デュークが衝撃的なスーパーゴールで先制。
さらに後半61分には、ハーフタイムから投入されたテテ・イェンギが仙頭啓矢のパスを冷静に左足で流し込み、試合を決定づけた。
町田は18本のシュートを放ちながら相手を無得点に抑え、ACL2初陣で勝点3を獲得した。AFCも「町田が大部分を支配した試合」と総括している。
しかも、この試合で町田は直近のJ1横浜F・マリノス戦からスタメンを9人変更。
大幅なターンオーバーを行いながら結果まで残したことに、この勝利の大きな価値がある。
では、なぜ町田は主力を大幅に入れ替えても試合を支配できたのか。
デュークのゴラッソ、イェンギ投入の効果、選手採点、そして次戦への課題まで徹底分析する。
試合結果・基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | AFCチャンピオンズリーグTwo 2026/27 |
| ラウンド | グループG 第1節 |
| 開催日 | 2026年9月17日 |
| キックオフ | 19:00 |
| 会場 | 町田市立陸上競技場 |
| 結果 | FC町田ゼルビア 2-0 PKRスヴァイリエン |
| 前半 | 1-0 |
| 後半 | 1-0 |
| 得点 | 20分 ミッチェル・デューク |
| 得点 | 61分 テテ・イェンギ |
| 入場者数 | 2,753人 |
| 天候 | 晴れ |
| 気温 | 22.2℃ |
| 湿度 | 76% |
Jリーグ公式記録では、町田が2-0で勝利。デュークが20分、イェンギが61分に得点している。
スタッツ比較
| スタッツ | 町田 | スヴァイリエン |
|---|---|---|
| シュート | 18 | 8 |
| 枠内シュート | 5 | 2 |
| ボール支配率 | 46% | 54% |
| パス成功率 | 79% | 81% |
| オフサイド | 0 | 1 |
| コーナーキック | 7 | 1 |
| フリーキック | 11 | 19 |
| 警告 | 1 | 1 |
| 退場 | 0 | 0 |
数字を見ると興味深い。
町田のボール支配率は46%。
つまり、単純にボールを長く持って相手を押し込んだわけではない。
それでもシュート数は18対8、CKは7対1。
「ボールを持つ時間」ではなく「ゴールへ向かう回数」で上回った。
現在の町田らしさが表れた試合だった。
FC町田ゼルビアのスターティングメンバー
予想フォーメーション:3-4-2-1
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | 守田達弥 |
| DF | トーマス・アウエヤン |
| DF | ドレシェヴィッチ |
| DF | キム・ミンテ |
| MF | 仙頭啓矢 |
| MF | 下田北斗 |
| MF | 明本考浩 |
| MF | 徳村楓大 |
| FW | 松尾佑介 |
| FW | 西村拓真 |
| FW | ミッチェル・デューク |
町田は直近の横浜F・マリノス戦から先発を9人変更。
谷晃生、昌子源、相馬勇紀、小川航基ら主力の多くをベンチへ置き、守田、アウエヤン、キム・ミンテ、徳村、デュークらを起用した。
J1では第7節終了時点で5勝2分け、無敗で首位。
9月20日には3位柏レイソルとの直接対決も控えているため、黒田剛監督がターンオーバーを選択したことには明確な理由があった。
PKRスヴァイリエンのスターティングメンバー
予想フォーメーション:4-1-2-3
| Pos. | 選手 |
|---|---|
| GK | ビレック・ダラ |
| DF | ファリス・ハンムティ |
| DF | サレット・クリア |
| DF | 小田原貴 |
| MF | ヨハネス・タルタロッティ |
| FW | 大瀬貴己 |
| FW | ルイ・ピレス |
| FW | チアゴ・アウベス |
| FW | クワメ・ペプラ |
| FW | シルベスター・ファンデルワーテル |
| FW | コナー・シールズ |
東京農業大出身の小田原貴、専修大出身でカンボジア国籍を取得した大瀬貴己ら、日本サッカーと関わりのある選手もスタメンに名を連ねた。
序盤|ターンオーバーでも変わらなかった町田
徳村楓大が右サイドから積極的に仕掛ける
試合開始から町田は積極的だった。
6分には松尾が左サイドで仕掛け、7分には最初のCK。
10分には徳村が右サイドをドリブルで前進しクロスを供給。
さらに仙頭もペナルティーエリア手前からシュートを放った。
大幅にメンバーが入れ替わっても、
前へ出る。
セカンドボールを狙う。
相手陣内でプレーする。
というチームの基本姿勢は変わらなかった。
20分|デュークが衝撃のゴラッソ
守田のゴールキックからほぼ一人で仕留める
この試合最大のハイライトは間違いなくここだ。
20分。
GK守田達弥が自陣からロングボールを送る。
デュークが敵陣中央で相手と競り合い、弾んだボールへ反応。
そして相手DFをシャペウでかわす。
次の瞬間、ペナルティーエリア手前から右足を一閃。
強烈なドライブ回転がかかったシュートはクロスバーをかすめるようにしてゴールへ突き刺さった。
1-0。
まさにゴラッソ。
GK守田のキックから、ほぼデューク一人でゴールまで完結させた。
高さ。
フィジカル。
技術。
シュート精度。
デュークの魅力がすべて凝縮された一撃だった。
デュークのゴールが示した「ロングボール=単純ではない」
町田のサッカーではロングボールが多く使われる。
しかし、この得点を単純な「蹴って競らせるサッカー」と評価するのは違う。
重要なのは、
誰に蹴るのか。
どこへ蹴るのか。
競った後に何を狙うのか。
という部分だ。
守田は前線のデュークへ正確に届けた。
デュークは競り合うだけで終わらず、自らボールをコントロールしてシュートまで持ち込んだ。
ロングボールを「攻撃のスタート」に変えることができるFWがいる。
これは町田の大きな武器だ。
前半|追加点は奪えずも町田ペース
先制後も町田は攻撃を続ける。
23分には西村が右からクロス。
29分には西村自身がペナルティーエリア中央へ抜け出してシュート。
しかしボールはゴール左へ外れた。
前半のシュート数は町田6本、スヴァイリエン1本。
追加点こそ奪えなかったものの、試合の主導権は町田が握ったままハーフタイムを迎えた。
ハーフタイム|黒田監督が2枚替え
デューク→イェンギ
徳村→望月ヘンリー海輝
1-0で折り返した町田は、後半開始から2人を変更。
| OUT | IN |
|---|---|
| ミッチェル・デューク | テテ・イェンギ |
| 徳村楓大 | 望月ヘンリー海輝 |
先制点を決めたデュークを45分で交代。
次に控える柏戦などを考えた負荷管理の意味もあったと考えられる。
しかし興味深いのは、デュークを下げても前線のパワーが落ちなかったことだ。
代わって入ったのは196cmのテテ・イェンギ。
そして、この交代が追加点につながる。
61分|イェンギが追加点
仙頭啓矢の持ち運びから完璧なフィニッシュ
61分。
中盤で仙頭啓矢がボールを持つ。
そのまま中央をドリブルで前進。
相手DFを引きつけたところで前線のイェンギへパス。
イェンギはワントラップ。
そしてペナルティーエリア中央から左足で冷静にゴール左下へ流し込んだ。
2-0。
Jリーグ公式でも仙頭のアシストが記録されている。
デュークがスーパーゴールなら、イェンギの得点は非常に「ストライカーらしい」一撃だった。
力任せではない。
GKの位置を見ながらコースへ置く。
196cmの大型FWでありながら、フィニッシュの繊細さも見せた。
オーストラリア人FW2人が揃って得点
この日の町田を象徴したのが、
ミッチェル・デューク。
そして、
テテ・イェンギ。
ともにオーストラリア出身のストライカーだ。
先発のデュークが前半に得点。
ハーフタイムでバトンを受けたイェンギが後半に得点。
FWを入れ替えてもゴールを奪える。
これは黒田監督にとって非常に大きな収穫だった。
74分|小川航基&相馬勇紀を投入
2点のリードを奪った後、町田はさらに主力選手を投入する。
74分。
西村拓真から小川航基。
アウエヤンから相馬勇紀。
78分にはキム・ミンテを下げ、岡村大八を投入した。
試合を締めるだけではなく、前線の強度を維持する。
ACL2のグループステージでは得失点差が順位へ影響する可能性もある。
2-0になっても完全に守りへ入らなかった点は評価したい。
終盤|相手に反撃を許さずクリーンシート
スヴァイリエンも後半に選手交代を行い、攻撃の変化を狙った。
しかし町田は最後まで守備強度を落とさない。
守田を中心にゴールを守り、0失点。
2得点+クリーンシート。
黒田監督も試合後、「初戦でクリーンシートで勝点3を得ることは重要だった」と振り返った。
FC町田ゼルビア 選手採点
※World Soccer Portal独自採点。10点満点。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| GK 守田達弥 | 7.0 | 無失点に加え、デュークの先制点につながるロングキック |
| DF トーマス・アウエヤン | 6.5 | 左から積極的に前進。17分にはミドルも狙った |
| DF ドレシェヴィッチ | 7.0 | 最終ライン中央で安定。相手FWに決定機をほぼ与えず |
| DF キム・ミンテ | 7.0 | 対人・空中戦で安定し78分まで無失点を支えた |
| MF 仙頭啓矢 | 7.5 | 中盤を動かし、イェンギの2点目をアシスト |
| MF 下田北斗 | 6.5 | セカンドボール回収と配球でチームを支えた |
| MF 明本考浩 | 6.5 | 幅広く動き攻守へ関与。終盤に警告 |
| MF 徳村楓大 | 6.5 | 若手ながら右サイドで積極性を発揮 |
| FW 松尾佑介 | 6.5 | 左サイドから仕掛け続け相手守備を押し下げた |
| FW ミッチェル・デューク | 8.5 | 衝撃のスーパーゴール。45分間で試合の流れを決めた |
| FW 西村拓真 | 6.5 | 前線で多くのチャンスに関与。決定機を決め切れなかった点のみ惜しい |
途中出場選手
| 選手 | IN | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| テテ・イェンギ | 46分 | 8.0 | 61分に追加点。大型FWらしからぬ冷静なフィニッシュ |
| 望月ヘンリー海輝 | 46分 | 6.5 | 右サイドで攻守の強度を維持 |
| 相馬勇紀 | 74分 | 6.5 | 終盤でも前への推進力を提供 |
| 小川航基 | 74分 | 6.0 | 前線でボールを収めながら試合を締めた |
| 岡村大八 | 78分 | 6.0 | 終盤の守備を安定させクリーンシートに貢献 |
MOM:ミッチェル・デューク 8.5
試合を一発で動かしたスーパーゴール
MOMはデュークとしたい。
出場時間は前半45分のみ。
それでも試合への影響度は最も大きかった。
0-0で相手もまだ守備組織を維持できていた20分。
守田からのロングボールを収める。
DFをかわす。
そしてボックス外からドライブシュート。
一人で局面を壊してゴールを奪った。
この一撃でスヴァイリエンは前へ出ざるを得なくなり、町田により多くのスペースが生まれた。
数字以上に意味の大きい先制点だった。
町田が勝利した4つの理由
① 9人替えてもチームの基準が変わらなかった
この試合最大の収穫はここだ。
リーグ戦から先発9人変更。
普通なら連係面で多少のズレが生まれてもおかしくない。
それでも町田は、
球際。
セカンドボール。
前からの守備。
縦への速さ。
というベースを維持した。
黒田監督も試合後、「誰が出ても町田のベースをやることをぶれずに出してくれた」と評価している。
② デュークとイェンギという異なる大型FW
同じオーストラリア出身の大型FWでも、2人の特徴は少し違う。
デュークは戦える。
競れる。
身体をぶつけながら自分で局面を作れる。
一方イェンギは196cmのサイズを持ちながら、スペースへ入ってフィニッシュする能力がある。
45分ずつ使って両者が得点。
長いシーズンを戦う上で非常に大きい。
③ ボール保持率ではなくゴールへ向かった
町田の支配率は46%。
それでもシュート18本。
これはチームの特徴をよく表している。
無理にパス本数を増やさない。
ゴールが見えれば打つ。
縦へ行けるなら縦へ行く。
非常に目的が明確だった。
④ 守備の集中を90分維持
ACL初戦では何が起こるか分からない。
相手の情報もJリーグほど豊富ではない。
黒田監督自身も、スヴァイリエンについてデータが十分ではなかったことを認めている。
それでも相手に大きな決定機を作らせず、無失点。
初戦の戦い方としては非常に安定していた。
課題|もっと早く試合を終わらせられた
前半の決定機を生かしたかった
完勝に見える試合でも、改善点はある。
特に前半。
デュークの先制後、西村を中心に複数のチャンスを作った。
しかし2点目を取れないまま前半終了。
もし相手にセットプレーなどから1点を奪われれば、試合は一気に難しくなる。
Jリーグ上位やACL2の強豪相手では、一つの決定機を逃すことが致命傷になる。
支配率54%を相手に与えた時間帯も
スヴァイリエンは最終的に54%のボール保持率を記録した。
町田が意図的にボールを持たせていた部分もあるが、今後上海申花など相手の個の能力が高くなれば、長時間ボールを渡すことがリスクになる。
押し込まれた時にどう自分たちの時間を作るか。
ここはグループステージ後半へ向けた課題となる。
町田にとって大きい「勝ちながら休ませた」こと
この試合の価値は勝点3だけではない。
リーグ戦の主力を多く休ませることができた。
しかも、
デューク45分。
徳村45分。
キム・ミンテ78分。
アウエヤン74分。
西村74分。
と出場時間もコントロールできた。
町田はわずか3日後の9月20日、J1第8節で柏レイソルと対戦する。
1位町田 vs 3位柏。
序盤の優勝争いを左右する直接対決だ。
ACL2で結果を出しつつ主力を温存できたことは、柏戦を考えても理想的だった。
次戦はJ1首位攻防・柏レイソル戦
9月20日17時キックオフ
町田は次戦、9月20日にホームで柏レイソルと対戦する。
第7節終了時点で、
町田:5勝2分け0敗、勝点17。
柏:5勝0分け2敗、勝点15。
直接対決だ。
ACL2では谷、昌子、相馬、小川らを温存または途中起用に抑えた。
黒田監督のターンオーバー策が、ここでさらに意味を持ってくる。
ACL2次戦はタンピネス・ローバース戦
町田のACL2第2節は10月15日。
アウェーでシンガポールのタンピネス・ローバースFCと対戦する。
キックオフは日本時間21時15分。
さらにその後は上海申花との連戦が待っている。
| 節 | 対戦相手 | 会場 |
|---|---|---|
| MD2 | タンピネス・ローバース | アウェー |
| MD3 | 上海申花 | アウェー |
| MD4 | 上海申花 | ホーム |
| MD5 | スヴァイリエン | アウェー |
| MD6 | タンピネス・ローバース | ホーム |
初戦をホームで勝利したことで、今後のアウェーゲームにも余裕を持って入れる。
まとめ|町田の「選手層」を証明したACL2初戦
FC町田ゼルビア2-0 PKRスヴァイリエン。
結果だけなら順当な勝利に見えるかもしれない。
しかし、この試合には非常に大きな意味がある。
先発9人変更。
それでも、
シュート18本。
2得点。
無失点。
そして勝点3。
20分にはミッチェル・デュークが衝撃のゴラッソ。
後半から入ったテテ・イェンギも61分に追加点。
同じポジションの2人が45分ずつプレーし、揃ってゴールを奪った。
これは単に「デュークとイェンギが活躍した試合」ではない。
誰が出ても町田の強度を維持できる。
リーグ戦だけでなく、ACL2でも戦えるだけの選手層がある。
それを証明した90分だった。
現在J1首位。
そしてACL2も白星スタート。
ここから国内リーグ、天皇杯、ルヴァンカップ、アジアの戦いが並行していく。
過密日程の中で求められるのは、11人の強さではない。
チーム全体の強さ。
その意味で、今回の2-0は非常に価値の高い勝利だった。
町田が目指すのは、もちろんグループステージ突破だけではない。
昨季Jリーグ勢が制したACL2で、再び日本クラブが頂点へ立てるか。
町田のアジア挑戦は、最高の形でスタートした。
免責事項
本記事は2026年9月18日時点で、AFC、JFA、Jリーグ、FC町田ゼルビアおよび各報道機関が公開している試合記録・情報を確認したうえで作成しています。
得点時間、スターティングメンバー、交代選手、スタッツ等はJリーグ・JFAなどの公式記録を優先して記載しています。データ提供元によって得点時間や一部スタッツの表記・集計基準が異なる場合があります。
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