2026年9月2日、いちご宮崎新富サッカー場で行われた「2026/27 Jリーグ ヤマザキビスケット ルヴァンカップ」1stラウンド1回戦、テゲバジャーロ宮崎対カターレ富山。
開始7分に宮崎の小林俊瑛が先制点を奪い、ホームチームにとって理想的なスタートとなりました。しかし、富山は慌てません。21分に中島裕希が同点ゴールを決めると、後半67分には吉平翼が左足でゴール左下へ流し込み逆転。富山が2-1で勝利しました。入場者数は1,181人でした。
スコアだけを見れば「富山が順当に逆転した試合」に映るかもしれません。しかし90分を細かく追っていくと、宮崎にも勝機はありました。一方の富山には、先制されても自分たちのペースを崩さず試合をひっくり返した強さがあります。
今回は宮崎vs富山を、試合展開、スタメン、交代策、全選手採点、そして両チームが次戦までに修正したいポイントまで詳しく振り返ります。
1. 宮崎vs富山の試合結果・基本データ
試合結果
テゲバジャーロ宮崎 1-2 カターレ富山
得点者は以下の通りです。
- 7分:小林俊瑛(宮崎)
- 21分:中島裕希(富山)
- 67分:吉平翼(富山)
会場はいちご宮崎新富サッカー場。天候は雨のち曇り、気温26.5度、湿度90%という蒸し暑さの残るコンディションでした。
公式記録では、宮崎がシュート8本、枠内シュート5本、CK7本。一方の富山はシュート11本、枠内7本、CK3本でした。宮崎はCKの数では上回りましたが、シュート数と枠内シュート数では富山が上。富山のほうがゴールへ直結する局面を多く作った試合だったと言えるでしょう。
2. 前半分析:宮崎が先制も富山がボールを握って反撃
開始7分、小林俊瑛が宮崎に理想的な先制点
試合はいきなり動きます。
7分、宮崎の小林俊瑛がペナルティーエリア内から左足を振り抜き、ゴール上へ突き刺して先制。カップ戦特有の硬さが出る前に宮崎がスコアを動かしました。
宮崎の狙いは比較的分かりやすかったと言えます。無理に長くボールを持つのではなく、奪ったあとに素早く前へ進み、前線の小林や塚本一咲へ届ける。
実際、前半15分までのボール保持率は宮崎22%、富山78%でした。それでも先に得点したのは宮崎です。ボール保持率がそのまま試合の優劣を意味しないことを象徴する時間帯でした。
富山は先制されても慌てなかった
この試合で評価したいのは、失点後の富山です。
先制されたことで焦って縦パスを乱発するのではなく、3-4-2-1をベースにボールを動かし続けました。宮崎の守備ブロックを左右に動かしながら、吉平翼、中島裕希、松岡大智らがゴール前へ顔を出します。
10分には吉平がシュート。11分には中島もフィニッシュまで持ち込みました。
そして21分、中島がペナルティーエリア内から右足でゴール上へ突き刺し、1-1。富山が早い段階で試合を振り出しに戻します。
前半終了時点のボール保持率は宮崎32%、富山68%。シュート数も宮崎4本に対して富山7本で、時間の経過とともにアウェーチームが試合をコントロールしていきました。
3. 後半分析:富山の交代策と吉平翼の決勝ゴール
宮崎は後半開始から佐藤遼を投入
宮崎はハーフタイムで長友海翔を下げ、佐藤遼を投入します。
前半は富山にボールを持たれる時間が長かっただけに、後半はより前への圧力を強めたい意図が感じられる交代でした。
実際、後半開始から60分までの15分間では宮崎51%、富山49%と、宮崎が一時的にボール保持でも互角以上に持ち込みます。59分には塚本、64分には佐藤がシュート。55分には小林が再び枠内シュートを放ちましたが、富山GKコ・ボンジョに止められました。
ここで2点目を奪えていれば、試合の流れは大きく違っていたでしょう。
富山は56分に一気に3枚を変更
富山の安達亮監督は56分、早いタイミングで3枚替えを敢行します。
溝口駿から髙橋馨希、中島裕希から亀田歩夢、松本遥翔から深澤壯太へ。
同点ゴールを決めた中島まで下げる思い切った判断でしたが、疲労が見え始める前にチーム全体へ新しいエネルギーを入れたことで、その後も富山が試合のテンポを失いませんでした。
67分、吉平翼が勝負を決める
そして67分。
吉平翼がペナルティーエリア内から左足を振り抜き、ゴール左下へ。富山がついに逆転します。
この日の吉平は得点だけではありません。
開始2分からシュートを放ち、10分にも枠内シュート。宮崎の守備陣にとって、常に捕まえにくい位置へ動き続ける存在でした。
この試合のMOMを一人選ぶのであれば、文句なしに吉平でしょう。
宮崎も最後まで押し込んだが、コ・ボンジョを破れず
宮崎は75分に宮脇茂夫、土信田悠生、山内陸を一気に投入。
終盤はセットプレーを含めて富山ゴールへ迫ります。
特に80分、宮脇の左CKに土信田が合わせた場面は大きな同点機でした。しかし、ここでもコ・ボンジョがセーブ。富山が最後まで1点のリードを守り切りました。
結果は1-2。
宮崎にとっては「チャンスがなかった敗戦」ではなく、「勝負どころでもう1点を取り切れなかった敗戦」だったと言えそうです。
4. テゲバジャーロ宮崎のスタメン・交代選手・採点
宮崎は4-4-2をベースにスタートしました。スタメンはJリーグ公式記録に基づきます。
宮崎スタメン採点
| Pos | 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK | 茂木 秀 | 6.5 | 2失点ながら複数の決定機を阻止。失点以上に救った場面が多い |
| DF | 長友 海翔 | 5.5 | 前半のみで交代。富山にサイドを使われ守備に回る時間が長かった |
| DF | 堤 奏一郎 | 6.0 | ゴール前で粘り強く対応。富山の攻撃を中央で受け止めた |
| DF | 安部 崇士 | 6.0 | 苦しい時間帯でも大崩れせず。ビルドアップでは改善余地 |
| DF | 田中 誠太郎 | 5.5 | 富山の流動的な前線への対応に苦しむ時間があった |
| MF | 井上 怜 | 6.0 | 中盤でボールを動かし、攻守の接続役として奮闘 |
| MF | 家坂 葉光 | 5.5 | 38分にシュート。攻撃への関与をもう少し増やしたかった |
| MF | 河合 駿樹 | 6.0 | 18分にはシュート。85分まで中盤で運動量を維持 |
| MF | 坂井 駿也 | 6.0 | 18分の枠内シュートなど積極性を見せた |
| FW | 小林 俊瑛 | 7.0 | 先制点を記録。55分にも決定機を作り宮崎攻撃陣で最も怖い存在 |
| FW | 塚本 一咲 | 5.5 | 前線で動いたものの、決定的な仕事までは届かなかった |
宮崎途中出場選手
| IN | OUT | 時間 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 佐藤 遼 | 長友 海翔 | 46分 | 6.0 | 後半の攻撃活性化に貢献。64分にはシュート |
| 宮脇 茂夫 | 坂井 駿也 | 75分 | 6.5 | CKから土信田の決定機を演出 |
| 土信田 悠生 | 塚本 一咲 | 75分 | 6.0 | 80分に枠内シュート。短時間で存在感 |
| 山内 陸 | 家坂 葉光 | 75分 | 5.5 | 中盤に新しいエネルギーを加えた |
| 奥村 晃司 | 河合 駿樹 | 85分 | 5.5 | 出場時間が短く大きな評価材料は少ない |
交代時間・組み合わせは公式記録に基づきます。
5. カターレ富山のスタメン・交代選手・採点
富山は3-4-2-1をベースにスタートしました。
富山スタメン採点
| Pos | 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK | コ ボンジョ | 7.0 | 小林、坂井、土信田らのシュートを阻止。逆転勝利の陰の立役者 |
| DF | 松本 遥翔 | 5.5 | 早い時間の失点を許したものの、その後は修正 |
| DF | 西矢 慎平 | 6.0 | 宮崎の縦に速い攻撃へ冷静に対応 |
| DF | 竹内 豊 | 6.5 | 最終ラインを統率し、終盤の宮崎の猛攻にも耐えた |
| MF | 松岡 大智 | 6.5 | 積極的にシュートを放ち、中盤から攻撃を前進させた |
| MF | 溝口 駿 | 6.0 | ボール保持に関与し、富山が主導権を握る土台を作った |
| MF | 竹中 元汰 | 6.0 | 中盤でバランスを取り続けた |
| MF | 植田 啓太 | 6.5 | 35分、77分と積極的にフィニッシュへ。攻撃の幅を作った |
| FW | 吉平 翼 | 7.5 | 決勝点。序盤から積極的にシュートを放ち、この日のMOM |
| FW | 中島 裕希 | 7.0 | 21分に貴重な同点ゴール。流れを富山へ引き戻した |
| FW | 國武 勇斗 | 6.0 | 70分に枠内シュート。前線で宮崎守備陣に負荷をかけた |
富山途中出場選手
| IN | OUT | 時間 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 髙橋 馨希 | 溝口 駿 | 56分 | 6.0 | 中盤に運動量を追加し流れを維持 |
| 亀田 歩夢 | 中島 裕希 | 56分 | 6.0 | 前線で動き直しを続け守備にも貢献 |
| 深澤 壯太 | 松本 遥翔 | 56分 | 6.5 | 後半の守備を安定させる役割を果たした |
| 池田 春汰 | 松岡 大智 | 80分 | 6.0 | リード後の中盤を引き締めた |
| 松田 力 | 國武 勇斗 | 83分 | 6.0 | 終盤に前線で起点を作り逃げ切りに貢献 |
交代は56分の3枚替えが大きなポイント。リードを奪った後にも80分、83分とフレッシュな選手を投入し、試合を終わらせるためのマネジメントが徹底されていました。
6. テゲバジャーロ宮崎の課題と次戦への改善点
課題① 先制後に主導権を手放してしまった
最大の課題はここです。
7分に先制しながら、前半15分までのボール保持率は22%。前半終了時にも32%にとどまりました。
もちろん、リードしたチームがボールを相手に持たせること自体は問題ありません。
ただ、宮崎の場合は「意図的に持たせている」というより、徐々に押し込まれた時間が長かった印象があります。
先制した後こそ数分間ボールを保持し、相手の勢いを一度落とす。こうしたゲームコントロールを身につけたいところです。
課題② CK7本を得点につなげられなかった
宮崎はCKを7本獲得しています。
終盤には宮脇のCKから土信田が決定機を作っただけに、セットプレーそのものには可能性があります。
流れの中で押し込まれる試合では、セットプレーが勝点を拾う大きな武器になります。キッカーとターゲットの組み合わせをさらに磨けば、リーグ戦でも重要な得点源になりそうです。
次戦はサガン鳥栖戦
宮崎の次戦は9月5日、J2第5節のサガン鳥栖戦です。現時点で宮崎はリーグ0勝2分2敗の19位。まず欲しいのは今季リーグ初勝利です。
小林俊瑛がこの試合で見せたゴールへの鋭さを、チーム全体としてどう生かすか。
守備だけに意識を向けるのではなく、「奪った後の一手」をチームとして共有できれば、鳥栖戦でも十分に勝機はあります。
7. カターレ富山の課題と次戦への改善点
課題① 試合への入り方
富山は勝ったとはいえ、開始7分の失点は反省材料です。
ボールを保持して試合を進めていた中で、一度の速い攻撃から小林に仕留められました。
特に相手が最初からカウンター狙いを明確にしている試合では、ボールを保持している側の「攻撃時の守備」が重要です。
後方の人数配置や、ボールを失った直後の即時奪回はさらに徹底したいところでしょう。
課題② 優勢な時間帯にもう一段得点を増やしたい
富山は前半だけでシュート7本を記録し、68%のボール保持率を残しました。それでも前半は1-1です。
内容の優位性をスコアへ変えるという意味では改善の余地があります。
吉平、中島だけでなく、松岡や植田もフィニッシュへ入っていた点は好材料。あとは最後のパス、シュート精度を一段高めたいところです。
次戦はジュビロ磐田戦
富山は9月6日、J2第5節でジュビロ磐田とアウェーで対戦します。
宮崎戦で見せた「先制されても慌てず、自分たちのペースへ戻す力」はリーグ戦でも大きな武器になるでしょう。
一方、磐田クラスの攻撃力を持つ相手に同じような早い失点を許せば、逆転は簡単ではありません。
宮崎戦の勝利を「勝ったからOK」で終わらせず、序盤の守備を修正できるかがポイントになります。
8. まとめ:富山の強さが出た逆転勝利、宮崎にも光は見えた
最終結果は宮崎1-2富山。
7分に小林俊瑛が宮崎を先制へ導きましたが、21分に中島裕希が追いつき、67分には吉平翼が決勝点。富山が逆転で1回戦を制しました。
富山にとって大きかったのは、先制されても自分たちのサッカーを手放さなかったことです。
前半からボールを保持し、中島のゴールで早い時間帯に同点。後半には56分の3枚替えで試合を動かしながら、吉平が勝負を決める。
単なる「2-1の逆転勝利」以上に、チームとしての落ち着きが表れたゲームでした。
一方の宮崎も悲観する内容ばかりではありません。
小林の得点、後半の盛り返し、終盤のセットプレーなど、得点につながりそうな形は作れています。
あとは先制した後のゲームコントロールと、数少ないチャンスを確実に得点へ変える力。
カップ戦では敗退となりましたが、この90分で見えた課題をJ2リーグへどうつなげるかが重要になります。
試合MOM:吉平 翼(カターレ富山)/7.5点
決勝点だけでなく、試合開始直後から積極的にゴールを狙い続けました。富山の攻撃に最も怖さを与えた存在として、この試合のMOMに選出します。
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