2026年9月2日、IAIスタジアム日本平で行われた2026/27明治安田J1リーグ第5節「清水エスパルスvsFC東京」は、1-1の引き分けに終わりました。
3連敗中だった清水と、リーグ2連勝中だったFC東京。置かれていた状況は対照的でしたが、90分を通して見れば「どちらにも勝つチャンスがあった」という表現がしっくりくるゲームでした。
FC東京は後半5分、今季リーグ初先発となった安斎颯馬が先制。しかし、そのわずか3分後に清水のプレッシングから木下康介が同点ゴール。以降はFC東京が勝ち越しを狙って攻勢を強めたものの、クロスバーに阻まれる場面もあり、最後まで2点目は生まれませんでした。
清水にとっては連敗を「3」で止めた勝点1。一方のFC東京からすれば、内容的には勝点3を持ち帰りたかった一戦でしょう。
この記事では、試合の流れだけでなく、両チームのスタメン・途中出場選手を含めた全選手採点、戦術面で見えた課題、そして今後の順位予想まで詳しく振り返ります。
試合結果:清水エスパルス1-1 FC東京
試合基本情報
2026年9月2日19時03分キックオフ。会場はIAIスタジアム日本平で、入場者数は11,223人。清水の木下康介が53分、FC東京の安斎颯馬が50分にそれぞれゴールを決めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J1リーグ 第5節 |
| 日時 | 2026年9月2日 |
| 会場 | IAIスタジアム日本平 |
| 結果 | 清水エスパルス 1-1 FC東京 |
| 得点 | 50分 安斎颯馬(FC東京) |
| 得点 | 53分 木下康介(清水) |
| 観客数 | 11,223人 |
シュート数は清水8本、FC東京9本。FC東京がボール保持率55%とやや優位に立ちましたが、数字ほど一方的な試合ではありませんでした。清水も前から積極的にプレッシャーを掛け、東京のビルドアップを何度も窮屈にしています。
前半分析:清水の勢いをFC東京が徐々に押し返す
清水は開始直後からハイプレス
試合開始直後は、明らかに清水のほうが勢いを持って入りました。
3連敗中とはいえ、直近3試合はいずれも0-1。守備そのものが完全に崩壊していたわけではありません。だからこそホームでは受け身にならず、前線からFC東京の最終ラインに圧力を掛けます。
しかしFC東京も慌てませんでした。
森重真人、アレクサンダー・ショルツを中心にボールを動かし、高宇洋と常盤亨太が受ける位置を変えながら清水のプレスを外していきます。開始10分を過ぎた頃から、徐々に東京が相手陣内へ入る回数を増やしました。
前半9分には長倉幹樹から本間至恩へつないでシュート。16分には橋本健人の浮き球から高宇洋が前進し、スルーパスに抜け出したマルセロ・ヒアンが決定機を迎えますが、清水GK梅田透吾がセーブしました。
梅田透吾が清水を救う
前半の清水で特に評価したいのが梅田です。
FC東京はマルセロ・ヒアンのスピードを使い、清水最終ラインの背後を何度か攻略。前半終了間際にもヒアンが決定的なシュートを放ちましたが、ここでも梅田がストップしました。
清水が0-0でハーフタイムを迎えられたのは、守備陣全体の粘りに加え、梅田の存在が非常に大きかったと言えます。
一方で清水は、奪った後の攻撃が少し急ぎ過ぎていました。
「奪ったら前へ」という意識は明確なのですが、前線への一本目がずれると、せっかく奪ったボールをすぐFC東京へ返してしまう。吉田孝行監督が試合前から課題として挙げていた「マイボールの時間をどう長くするか」という問題は、この試合でも完全には解消されていませんでした。
後半分析:3分間で試合が一気に動く
安斎颯馬が今季リーグ初先発で結果
後半開始から試合のテンポが一段上がります。
FC東京はマルセロ・ヒアンの突破から長倉がシュートを狙い、ポストを直撃。そして50分、ついに均衡が破れました。
長倉がカウンタープレスでボールを奪うと、本間が左から仕掛けてクロス。安斎の最初のシュートは清水DFに阻まれますが、長倉がこぼれ球を拾ってもう一度安斎へ。最後は左足で豪快にゴール右上へ突き刺しました。
今季リーグ初先発でしっかり結果を残した安斎は、この試合のFC東京側MVPとして文句なしでしょう。
清水はわずか3分後に同点
ところがFC東京は、先制の喜びに浸る時間すら与えてもらえませんでした。
53分、清水が前線から猛烈なプレッシャーを掛けると、FC東京GKキム・スンギュのプレーが乱れます。その流れから木下康介がゴールを奪い、清水がわずか3分で1-1に追いつきました。Jリーグ公式記録では木下の得点とされています。
ここは清水がこの試合で最も評価されるべき場面です。
直近3試合では、先制されてから試合の勢いを取り戻せないことが課題になっていました。しかし、この日は違いました。失点した直後にプレッシャーを強め、その圧力自体を得点につなげています。
勝利には届かなかったものの、「失点しても試合が終わらなかった」という点は、清水にとってかなり大きな一歩です。
FC東京が終盤に見せた勝ち越しへの圧力
VAR判定とクロスバー、あと一歩だった2点目
同点後は、FC東京が再び攻撃のギアを上げます。
後半26分には安斎がペナルティーエリア内で倒され、一度はPK判定。しかしVARの確認によって安斎のオフサイドが認められ、PKは取り消しとなりました。
その後も安斎を中心に右サイドから攻め続け、途中出場の俵積田晃太も左から積極的に仕掛けます。
そして終盤最大のチャンスが後半43分。
ショルツが持ち上がってクロスを送ると、途中出場の橋本拳人がダイレクトボレー。しかしシュートはクロスバーを直撃しました。
東京から見れば、勝点3を逃したという感覚が強いでしょう。
松橋力蔵監督も試合後、「自分たちで勝点2を失ったようなゲーム」と振り返っています。
清水エスパルスのスタメン・途中出場選手採点
清水エスパルス全選手評価
以下の採点は公式評価ではなく、試合内容を基にした当サイト独自の10点満点評価です。スタメンおよび交代選手はJリーグ公式記録に基づいています。
| 選手 | 出場 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK 梅田透吾 | 先発 | 7.0 | 前半にヒアンの決定機を複数阻止。勝点1の立役者 |
| DF 高橋祐治 | 先発 | 6.5 | FC東京の強力2トップに粘り強く対応 |
| DF 須貝英大 | 先発 | 6.5 | 守備だけでなく前進への意識も高かった |
| DF 吉田豊 | 先発 | 6.5 | 経験を生かし危険なエリアをカバー |
| DF 住吉ジェラニレショーン | 先発 | 6.5 | ヒアン、長倉とのフィジカル勝負で奮闘 |
| MF ジャーメイン良 | 先発→64分OUT | 6.0 | 前への推進力はあったが決定的な仕事までは至らず |
| MF 弓場将輝 | 先発 | 6.5 | 中盤で運動量を発揮。セカンドボールにも反応 |
| MF 嶋本悠大 | 先発→89分OUT | 6.5 | 前向きなプレーが多く、攻守をつないだ |
| FW 木下康介 | 先発→75分OUT | 7.0 | 貴重な同点ゴール。結果を残した |
| FW 松崎快 | 先発 | 6.0 | 動き出しは良かったが最後の局面でもう一押し |
| FW 辻友翔 | 先発→HT OUT | 5.5 | 前半のみ。試合の流れを変えるところまでは至らず |
| MF 藤井智也 | HT IN | 6.5 | 後半から入り攻撃のテンポを上げた |
| FW オ・セフン | 64分IN | 6.0 | 高さを生かしFC東京守備陣に圧力を与えた |
| MF 小塚和季 | 75分IN | 6.0 | ボールを落ち着かせながら攻撃を組み立てた |
| FW 千葉寛汰 | 89分IN | 6.0 | 出場時間が短く評価材料は限定的 |
清水MVP:梅田透吾/木下康介 7.0
FC東京のスタメン・途中出場選手採点
FC東京全選手評価
FC東京は4-4-2を基本形に、右の安斎、左の本間、2トップのマルセロ・ヒアンと長倉を配置。前節から先発4人を入れ替えて臨みました。
| 選手 | 出場 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK キム・スンギュ | 先発 | 5.5 | ビルドアップで安定感を見せたが同点場面は痛恨 |
| DF 森重真人 | 先発 | 6.5 | 最終ラインを統率。終盤のクロス攻撃にも対応 |
| DF 石原広教 | 先発 | 6.5 | 右SBとして攻守に献身。後半はクロスでも好機を演出 |
| DF アレクサンダー・ショルツ | 先発 | 6.5 | 安定した対人守備に加え終盤は攻撃参加 |
| DF 橋本健人 | 先発 | 7.0 | 内側へのポジショニングと縦パスが効果的 |
| MF 安斎颯馬 | 先発 | 7.5 | 先制点だけでなく右サイドから継続的に脅威。MOM |
| MF 高宇洋 | 先発→86分OUT | 6.5 | プレス回避と縦への持ち運びで中盤を支えた |
| MF 本間至恩 | 先発→75分OUT | 6.5 | 積極的なドリブルで先制点にも関与 |
| MF 常盤亨太 | 先発 | 6.5 | ボール奪取から攻撃への切り替えが速かった |
| FW マルセロ・ヒアン | 先発→75分OUT | 6.5 | スピードで何度も裏を取ったが梅田を攻略できず |
| FW 長倉幹樹 | 先発 | 7.0 | 先制点をアシスト。ポスト直撃もあり攻撃の中心 |
| MF 俵積田晃太 | 75分IN | 6.0 | 左サイドからドリブルで仕掛け、終盤の攻勢を後押し |
| FW 佐藤恵允 | 75分IN | 6.0 | 前線で精力的に動いたが決定機には結び付かず |
| MF 橋本拳人 | 86分IN | 6.5 | 短時間ながらクロスバー直撃の決定的ボレー |
FC東京MVP:安斎颯馬 7.5
清水エスパルスの課題と次節への改善点
課題①「良い試合」を勝点3に変える得点力
清水は5試合を終えて2得点4失点。守備が完全に崩れているわけではありません。それでも現在16位なのは、やはり攻撃面の数字が足りないからです。
FC東京戦でもプレスから得点を奪えた一方、組織的に相手を押し込み、崩し切って仕留める場面はまだ多くありません。
縦へ速く攻めること自体は清水の武器です。ただ、毎回最短距離でゴールへ向かえば相手も守りやすくなります。
時にはボールを一度下げ、サイドを変え、相手の守備ブロックを動かしてからもう一度縦へ入れる。「速く攻めるために、あえてゆっくりする時間」を作れるかが重要です。
課題②途中出場選手から試合を変える力
藤井やオ・セフンの投入によって攻撃の形は変わりました。
特にオ・セフンが入ることで、清水は地上戦だけでなく空中戦という選択肢も持てます。この変化をもっと明確に得点機へつなげたいところです。
次節は9月6日、アウェーのMUFGスタジアムで川崎フロンターレ戦。ボール保持能力の高い相手だけに、FC東京戦で機能した前線からの守備をどこまで継続できるかがポイントになります。
FC東京の課題と次節への改善点
課題①先制直後のゲーム管理
この試合最大の反省点はここでしょう。
50分に先制しながら、53分に失点。
J1で上位争いをするチームなら、先制直後の5分間は最も慎重にゲームを進めなければなりません。
無理に前進する必要がなければ一度ボールを落ち着かせ、相手の勢いを受け流す。その試合運びができれば、1-0の時間を長く維持できた可能性があります。
松橋監督も試合後、一瞬の判断やポジショニング、予測の質をもう一段上げる必要があると指摘しています。
課題②チャンス数を結果へ変える決定力
FC東京はチャンスそのものを作れています。
ヒアンの決定機、長倉のポスト直撃、安斎の得点、PK取り消し、橋本拳人のクロスバー直撃。
攻撃が機能していないチームではありません。
だからこそ次に必要なのは「あと1点を取る力」です。
安斎、長倉、本間、ヒアンという異なる特徴を持つ選手が揃っており、途中から俵積田や佐藤恵允を出せる選手層もあります。この攻撃力を90分間の得点数へ変換できれば、上位進出は十分可能でしょう。
次節は9月6日、ホーム味の素スタジアムで京都サンガF.C.と対戦します。
第5節終了時点の順位と今後の予想
FC東京は8位、清水は16位
第5節終了時点でFC東京は2勝2分1敗、勝点8の8位。清水は1勝1分3敗、勝点4の16位となっています。
まだ5試合を消化しただけなので、ここから順位はいくらでも動きます。
ただし、この試合までを見た現時点で予想するなら、筆者は以下のゾーンを想定します。
FC東京:最終5~8位予想
開幕戦の町田戦では大きく崩れましたが、その後はチーム状態を立て直しています。長倉、ヒアン、安斎、本間ら攻撃陣の個性も豊富で、中盤と最終ラインにも経験豊富な選手が揃っています。
今回のような「勝てる試合を引き分けにしてしまう」ケースを減らせれば、トップ5争いまで十分入り込めるでしょう。
清水エスパルス:最終12~16位予想
清水は順位だけを見ると苦しいものの、内容まで悲観する必要はありません。
5試合で失点4。守備が壊れているチームではないからです。
問題は明確に得点力。
1試合平均1得点を超えるところまで攻撃を改善できれば中位浮上も十分可能ですが、現在のペースでロースコアゲームを続ければ、シーズン終盤まで残留争いから抜けられない可能性があります。
まとめ:同じ「勝点1」でも意味は少し違う
清水エスパルス1-1 FC東京。
スコアだけ見れば互角ですが、両チームにとって勝点1の意味は少し違います。
清水にとっては、3連敗を止めた勝点1です。
しかも先制された直後に追いついた。これまでの試合で見られた「失点すると押し返せなくなる」という悪い流れを、この日は自分たちの力で断ち切りました。
一方のFC東京にとっては、勝点2を取りこぼした感覚の強いドローでしょう。
試合をコントロールする時間が長く、決定機も作れていました。それだけに、先制直後の失点と最後の決定力不足は上位を狙ううえで改善しなければならないポイントです。
それでも、安斎颯馬の今季初先発でのゴール、長倉幹樹の存在感、橋本健人のビルドアップなど、FC東京には多くの好材料がありました。
清水も梅田透吾の安定感、木下康介の得点、失点後の反発力という収穫があります。
まだ第5節。
この1-1が「浮上へのきっかけ」になるのか、それともシーズン終了後に「あそこで勝っておきたかった」と振り返る試合になるのか。
両チームの次節は、その答えを探る意味でもかなり重要な90分になりそうです。
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