2026年9月2日に行われた明治安田J1リーグ第5節、FC町田ゼルビア対川崎フロンターレ。
試合は川崎フロンターレが後半14分に脇坂泰斗のゴールで先制。しかし、そこから主役になったのが町田の新戦力・小川航基でした。
後半15分から途中出場すると、30分に相馬勇紀のCKを頭で合わせて同点。さらに36分には途中出場の中村帆高からのクロスを右足で仕留め、わずか6分間で2ゴール。町田が2-1で試合をひっくり返しました。
数字だけを見れば「小川航基の2ゴールで町田が勝った試合」です。
しかし90分を細かく見ていくと、このゲームには町田の強さと、川崎Fが今後上位争いへ加わるために修正しなければならないポイントがかなり詰まっていました。
今回は試合展開、両チームの戦術、スタメンと途中出場選手の採点、そして次節以降の課題まで詳しく振り返ります。
1. 試合結果:町田が川崎Fに2-1の逆転勝利
試合基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 2026/27 明治安田J1リーグ 第5節 |
| 開催日 | 2026年9月2日 |
| 会場 | 町田GIONスタジアム |
| 結果 | FC町田ゼルビア 2-1 川崎フロンターレ |
| 得点 | 59分 脇坂泰斗(川崎F) |
| 得点 | 75分 小川航基(町田) |
| 得点 | 81分 小川航基(町田) |
| 観客数 | 9,021人 |
町田はシュート12本、川崎Fは9本。枠内シュートでは町田が6本、川崎Fが2本となりました。町田はボール支配率でも54%と上回り、試合終盤になるにつれて相手陣内でプレーする時間を増やしています。
結果として町田は開幕から5試合無敗。4勝1分の勝点13として、第5節終了時点でJ1首位に浮上しました。
2. 前半分析:町田が押し込むも川崎Fが耐える展開
町田は「相手に自由を与えない」入り方
前半からより強く試合を押し進めたのは町田でした。
川崎Fは本来、中盤でボールを動かしながら相手のプレスを外し、脇坂泰斗を中心に前進していきたいチームです。しかし町田は前線から簡単にボールを持たせず、中盤でもセカンドボールへの寄せを速めました。
特に目立ったのが、望月ヘンリー海輝と明本考浩の運動量です。
望月はこの試合で11.923kmを走り、両チーム最多の走行距離を記録。町田らしい強度を象徴する存在となりました。
ただ、前半の町田には一つ大きな問題もありました。
それは「押し込んだ後の最後の一手」です。
ボールを相手陣内へ運んでも、中央を川崎Fに締められると、クロスやセカンドボール頼みになる場面が多くなりました。テテ・イェンギも前線で身体を張ったものの、決定機まで持っていく回数は十分ではありません。
前半は0-0。
この時点では、町田が勢いを持ちながらも川崎Fがうまく耐えているという印象でした。
3. 後半14分、川崎Fが見せた「らしい」先制点
マルシーニョ→三浦颯太→脇坂泰斗
後半14分、試合の均衡を破ったのは川崎Fでした。
マルシーニョのスルーパスから三浦颯太がペナルティーエリア内へ侵入。三浦のクロスに最後は脇坂泰斗が入り込み、右足でゴール左へ流し込みました。
この攻撃は非常に川崎Fらしいものでした。
単純にサイドからクロスを入れるのではなく、マルシーニョが相手守備を引き付け、その内側を三浦が使い、最後に中盤の脇坂がゴール前へ入る。
町田守備陣が一瞬だけ後手に回ったタイミングを逃しませんでした。
脇坂は得点だけでなく中盤でボールを引き出し続け、町田のプレッシャーをかわす役割も担っています。
ただし結果的には、この先制後の約30分間が川崎Fにとって最大の反省材料となりました。
4. 勝負を変えた黒田監督の交代策
小川航基投入で町田の攻撃が一変
川崎Fが先制した直後、町田はテテ・イェンギに代えて小川航基を投入します。
ここから試合の空気が一気に変わりました。
小川の特徴は、単に「高さのあるストライカー」ではありません。
クロスが上がる前にDFの視界から消え、ボールが入ってくる瞬間に最も危険な場所へ現れる。このゴール前での動き直しこそ、小川の最大の武器です。
黒田剛監督も試合後、小川についてゴール前へ入るポイントや得点への「嗅覚」を高く評価しています。
そして後半30分。
相馬勇紀の右CKに小川が頭で合わせて1-1。
さらに6分後には、途中出場した中村帆高が右サイドからクロス。ファーサイドに待っていた小川が右足で押し込み、2-1と逆転しました。
注目したいのは、逆転弾が「途中出場の中村→途中出場の小川」という組み合わせだったことです。
つまり、この日の町田は小川個人が試合を変えただけではありません。
黒田監督がベンチから投入したカードが、試合終盤の攻撃力そのものを引き上げたのです。
5. FC町田ゼルビア|スタメン・途中出場選手採点
※10点満点。当記事独自採点です。
町田スタメン
| 選手 | 位置 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 谷 晃生 | GK | 6.0 | 失点場面は対応困難。大きなミスなくゲームを支えた |
| 昌子 源 | DF | 6.5 | ラインを統率。終盤も落ち着いて川崎Fの反撃を処理 |
| 菊池 ダビド 流帆 | DF | 6.0 | 対人戦で強さ。66分まで守備の強度を維持 |
| 岡村 大八 | DF | 6.5 | 空中戦とカバーで安定。町田の後方を支えた |
| 望月 ヘンリー海輝 | MF | 6.5 | 両軍最多11.923km。上下動を繰り返した |
| 前 寛之 | MF | 6.5 | 中盤のバランサー。セカンドボールへの反応も良好 |
| 下田 北斗 | MF | 6.0 | 左足から展開。川崎Fの中盤に簡単には主導権を渡さなかった |
| 明本 考浩 | MF | 6.5 | 攻守で運動量を発揮。町田らしい強度を体現 |
| 相馬 勇紀 | FW | 7.0 | 同点弾をCKでアシスト。終始サイドから脅威を与えた |
| 西村 拓真 | FW | 6.0 | ライン間で動いて攻撃をつなぐ。得点には絡めず |
| テテ イェンギ | FW | 5.5 | 前線で身体を張ったが決定的な仕事までは至らず |
スターティングメンバーはJリーグ公式記録でも確認できます。
町田・途中出場選手
| 選手 | 交代 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 小川 航基 | 60分 IN | 9.0 | 文句なしのMOM。ヘッドと右足で2得点、試合を一人でひっくり返した |
| ネタ ラヴィ | 66分 IN | 6.5 | 中盤の強度を高め、町田が押し込む時間を作った |
| 中村 帆高 | 66分 IN | 7.0 | 右サイドを活性化。逆転ゴールをアシスト |
| 松尾 佑介 | 66分 IN | 6.0 | 前線へ推進力を追加。相手最終ラインを下げた |
| 白崎 凌兵 | 88分 IN | 6.0 | 終盤のゲームクローズに貢献 |
小川、中村、ネタ・ラヴィ、松尾、白崎が実際に途中出場しています。
町田MOM:小川航基 9.0点
この試合のMOMに迷いはありません。
出場から約15分で同点弾、その6分後に逆転弾。
しかも得点方法が「ヘディング」と「右足」。
ゴール前のスペースを見つける能力、クロスへ入るタイミング、そして一度訪れたチャンスを仕留める決定力。今の町田に不足していた最後のピースが一気にはまったようなパフォーマンスでした。
6. 川崎フロンターレ|スタメン・途中出場選手採点
川崎Fスタメン
| 選手 | 位置 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| スベンド・ブローダーセン | GK | 6.0 | 2失点とも難しい場面。大崩れはしていない |
| 谷口 栄斗 | DF | 6.0 | 前半は安定。ただ終盤は町田の圧力を受けた |
| ペドロ ホマーノ | DF | 6.0 | 対人では粘ったがクロス対応に課題 |
| 三浦 颯太 | DF | 7.0 | 先制点をアシスト。攻撃参加のタイミングが秀逸 |
| 山原 怜音 | DF | 6.0 | ビルドアップに参加したが、終盤は守勢に回った |
| 山本 悠樹 | MF | 6.5 | 中盤でボールを動かし町田のプレスをかわした |
| 橘田 健人 | MF | 6.0 | 攻守をつないだが試合終盤は中盤の主導権を失った |
| 脇坂 泰斗 | MF | 7.5 | 川崎F最高評価。先制点に加え攻撃の中心として存在感 |
| 伊藤 達哉 | MF | 6.0 | ボールを運ぶ場面は作ったが決定機への関与は限定的 |
| マルシーニョ | MF | 6.5 | 先制点の起点。スピードで町田守備陣を揺さぶった |
| デリキ ラセルダ | FW | 5.5 | 前線で戦ったがシュート機会を十分作れなかった |
川崎Fはブローダーセン、谷口、ペドロ・ホマーノ、三浦、山原、橘田、山本、脇坂、伊藤、マルシーニョ、デリキ・ラセルダの11人が先発しました。
川崎F・途中出場選手
| 選手 | 交代 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 佐々木 旭 | 64分 IN | 5.5 | 町田の攻勢が強まる時間帯で守備対応に追われた |
| 持山 匡佑 | 64分 IN | 5.5 | 前線へ勢いを加えたかったが決定機は作れず |
| 紺野 和也 | 78分 IN | 6.0 | ボールを持った際の仕掛けで反撃を試みた |
| 大関 友翔 | 88分 IN | 6.0 | 短時間ながら攻撃を活性化しようとした |
| 河原 創 | 88分 IN | 5.5 | 投入直後から追う展開となり、流れを戻せなかった |
実際の交代では佐々木、持山、紺野、大関、河原が投入されています。
川崎F最高評価:脇坂泰斗 7.5点
敗戦したとはいえ、脇坂のプレーには川崎Fらしさが詰まっていました。
中盤から前線への顔出し、ボールを引き出す位置、そしてゴール前へ飛び込む判断。
先制点は偶然生まれたものではありません。
ただ、チーム全体としては先制した後に脇坂を含めた中盤で試合を落ち着かせ切れなかったことが痛かったと言えます。
7. FC町田ゼルビアの課題と次節への改善点
課題① 小川航基が入る前の得点パターン
今回の勝利は非常に価値があります。
一方で「小川が2ゴールを決めなければどうだったか」という視点は必要です。
先発したテテ・イェンギをターゲットにした攻撃は一定の効果がありましたが、前半の攻撃では相手守備を崩し切れない場面も目立ちました。
今後、小川を先発させるのか。
それとも今回のように試合終盤の切り札として使うのか。
黒田監督にはうれしい悩みが生まれました。
課題② 川崎Fに中央を崩された先制場面
町田は今季5試合で4失点と守備が安定しています。
それでも川崎Fの先制点では、マルシーニョ、三浦、脇坂という連係で中央とサイドの間を鮮やかに使われました。
強度だけでは止められない相手に対して、誰がボールホルダーへ出て、誰がゴール前を埋めるのか。
優勝争いを続けるなら、この細かな守備対応はさらに詰める必要があります。
次節・名古屋戦で期待したいポイント
町田の次節は9月6日の名古屋グランパス戦です。
最大の注目は、当然ながら小川航基の起用法でしょう。
今回の結果を受け、小川をスタートから起用する選択肢も現実味を帯びました。
相馬からのクロス、小川のフィニッシュという形が定着すれば、町田の攻撃は一段階上のレベルへ進む可能性があります。
8. 川崎フロンターレの課題と次節への改善点
課題① 先制後のゲームコントロール
長谷部茂利監督も試合後、「追加点を取れないと勝利に持っていけない」という趣旨のコメントを残しています。
この試合を象徴するポイントです。
川崎Fは59分に先制。
普通なら、ここからボールを保持して町田を焦らせたいところでした。
ところが実際には町田の圧力を正面から受け、徐々に自陣へ押し込まれてしまいます。
「1-0でどう90分を終えるか」。
長いシーズンで勝点を積み上げるには、この試合運びが重要になります。
課題② クロスへの守備
2失点はいずれも横方向から入ってきたボールでした。
1点目はCK、2点目は中村からのクロスです。
長谷部監督自身も試合後、セットプレーを含めた横からのボールへの対応について改善の必要性を認めています。
特に小川のような「クロスに合わせることを得意とするFW」に対して、ボールだけを見てしまえば一瞬で背後を取られます。
次節以降はCBとSB、GKを含めたゴール前の役割整理が必要でしょう。
課題③ 攻撃の再現性
先制点の形は素晴らしいものでした。
だからこそ、あの攻撃を一度きりで終わらせたことが惜しまれます。
マルシーニョが内側で受ける。
三浦が外から追い越す。
脇坂が遅れてゴール前へ入る。
この連係を繰り返せれば、町田の守備にもさらに大きな負荷を掛けられたはずです。
川崎Fに必要なのは攻撃スタイルそのものの変更ではなく、良い形を90分の中で何度再現できるかでしょう。
9. 第5節終了時点の順位と今季の最終順位予想
町田は首位、川崎Fは11位
第5節終了時点で、町田は勝点13の首位。
5試合を終えて4勝1分0敗、15得点4失点、得失点差+11という非常に良いスタートを切っています。
一方、川崎Fは1勝3分1敗の勝点6で11位です。
まだ第5節。
当然ながら最終順位を断定できる段階ではありません。
それでも、ここまでの戦い方から両チームの現在地はかなり見えてきました。
FC町田ゼルビア最終順位予想:1~3位
現時点では「優勝候補」と評価して問題ないでしょう。
守備強度、セットプレー、運動量という従来の町田の強みに加えて、小川航基というゴール前で仕事のできるストライカーが加わりました。
5試合で15得点と得点力も十分。
このまま小川がフィットし、相馬や周囲との連係が深まれば、昨季まで以上に相手からすると非常に嫌なチームになります。
当サイト予想は1~3位、優勝争いです。
川崎フロンターレ最終順位予想:5~8位
川崎Fについては、現在の11位という順位ほど内容が悪いとは感じません。
5試合で9得点と攻撃力はあり、脇坂を中心とした崩しにも質があります。
問題は8失点している守備です。
特に先制後のゲーム管理とクロス対応が改善されれば、一気に勝点を積み上げる可能性があります。
ただし上位4チームを見ると、町田、柏、鹿島、広島はいずれも序盤から勝点を安定して取っています。
川崎Fが優勝争いまで追いつくには、引き分けを勝利へ、今回のような試合を最低でも引き分けへ変える勝負強さが必要です。
現時点での予想は5~8位とします。
10. まとめ:町田の「強さ」と小川航基の「怖さ」が凝縮された90分
FC町田ゼルビア2-1川崎フロンターレ。
スコアだけを見ると1点差ですが、今後のシーズンを考えると非常に意味のある90分でした。
町田は先制されても慌てず、ベンチから小川航基、中村帆高、ネタ・ラヴィらを投入して試合の流れを変えました。
中でも小川は別格。
投入後に2ゴールを奪い、本拠地デビュー戦でチームを首位へ導きました。
一方の川崎Fも、脇坂泰斗を中心に作り出した先制点には高い攻撃クオリティーがありました。
だからこそ、リードしてからの約30分をどう改善するかが重要です。
町田は「優勝するチームの勝ち方」を見せ始めています。
川崎Fは「上位へ行ける内容」を「勝点3」に変えられるか。
まだ第5節ですが、数カ月後にシーズンを振り返ったとき、この試合が両チームにとって大きな分岐点になっている可能性もあります。
次節、町田が首位を守るのか。
そして川崎Fがこの逆転負けをどう修正するのか。
両チームの次の90分にも注目です。
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