2026年9月2日、味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第5節、東京ヴェルディvsヴィッセル神戸。
結果は、
東京ヴェルディ 0-2 ヴィッセル神戸。
神戸は前半16分に髙橋壱晟が先制。後半6分には永戸勝也が追加点を奪い、前節セレッソ大阪戦に続く完封勝利で今季初の連勝を飾りました。一方の東京Vは開幕5試合で2分3敗。いまだリーグ戦初勝利をつかめず、19位と苦しいスタートになっています。
ただ、この試合は「神戸がずっとボールを支配して完勝した」という内容ではありません。
むしろボール支配率は東京V55%、神戸45%。パス成功率も東京Vが79%、神戸が70%でした。それでもシュート数は東京V6本に対して神戸14本。さらに東京Vは枠内シュート0本、神戸は7本を記録しています。
つまり勝敗を分けたのは、「ボールを持った時間」ではありません。
相手ゴール前まで入った時に、どれだけ怖い攻撃ができたか。
ここに、この日の両チームの差が凝縮されていました。
1. 東京V0-2神戸|試合結果とスタッツ
数字に表れた「ゴールへ向かう力」の差
まず試合の主要スタッツを整理します。
| 項目 | 東京ヴェルディ | ヴィッセル神戸 |
|---|---|---|
| スコア | 0 | 2 |
| シュート | 6 | 14 |
| 枠内シュート | 0 | 7 |
| ボール支配率 | 55% | 45% |
| パス成功率 | 79% | 70% |
| 走行距離 | 117.0km | 116.6km |
| スプリント | 132 | 130 |
| CK | 3 | 6 |
| 警告 | 3 | 1 |
Jリーグ公式スタッツを見ると、東京Vも走行距離やスプリント数では神戸をわずかに上回っています。運動量不足で押し切られた試合ではありません。
それでも0-2。
やはり注目すべきは、
東京V=枠内0
神戸=枠内7
という部分でしょう。
城福浩監督も試合後、前節や前々節より内容には進歩があったとしながら、攻守のゴール前における「インテンシティー」の差を敗因として挙げています。
2. 前半分析|髙橋壱晟がこぼれ球を仕留めて神戸先制
東京Vは3-4-2-1、神戸は4-1-2-3ベース
東京Vは3-4-2-1。
最終ラインに鈴木海音、林尚輝、井上竜太を並べ、中盤に平川怜や食野壮磨。染野唯月を最前線に置く形です。
一方、神戸は4-1-2-3をベースにスタート。直近のリーグ戦から権田修一と髙橋壱晟をスタメンへ入れました。
東京Vは序盤、福田湧矢が右から積極的に仕掛けます。
前半5分には続けてクロスを供給。
6分にはCKから染野がシュート。
入り方だけを見れば、東京Vも決して悪くありませんでした。
16分|一度防いでも終わらない神戸
先制点は前半16分。
右サイドの飯野七聖からクロス。
中央の髙橋壱晟がヘディングシュートを放ちます。
これは染野がブロック。
普通なら、
「よく身体を張って守った」
で一度プレーが切れてもおかしくありません。
しかしボールはゴール前に残ります。
そこへ誰よりも早く反応したのが、最初にヘディングした髙橋本人でした。
右足でゴール左下へ。
0-1。
髙橋にとってJ1リーグ初得点です。
このシーンは、この試合を象徴していました。
神戸は最初のシュートが防がれても止まらない。
東京Vは最初のシュートを防いだことで、一瞬だけ守備の集中が緩む。
その差がそのまま得点になります。
失点後も東京Vはボールを持ったが…
先制された後も東京Vは簡単には崩れません。
最終ラインからボールを動かし、神戸のプレスを外そうとする姿勢はありました。
ただ、相手陣内へ入ってから、
「最後に誰がゴールへ向かうのか」
が曖昧でした。
横パス。
サイドへの展開。
クロス。
ここまでは行ける。
でもペナルティーエリア中央で相手CBより先に触る選手がいない。
結果的に前半は、ボールを持っている時間の割に神戸GK権田を脅かせませんでした。
3. 後半分析|永戸勝也の追加点で試合の流れが決まる
東京Vは佐古真礼を投入
東京Vは後半開始から林尚輝に代えて佐古真礼。
佐古にとってはプロ6年目でのJ1デビューとなりました。
左足からのパスを生かし、ビルドアップでは一定の存在感を発揮。大迫勇也とも身体をぶつけながら対応し、チームが苦しい中でポジティブな印象を残しました。
神戸も郷家友太に代えて日髙光揮。
そして、その日髙が追加点に絡みます。
51分|またも「こぼれ球」を神戸が回収
後半6分。
ペナルティーエリア手前で飯野がパス。
日髙が中央からヘディングシュート。
GKマテウスが一度は防ぎます。
しかし、またボールがゴール前に残りました。
そこへ走り込んだのが永戸勝也。
右足でゴール右下へ流し込みます。
0-2。
非常に興味深いのは、神戸の2得点が似た構造だったことです。
1点目は、
髙橋シュート
↓
東京Vがブロック
↓
髙橋がこぼれ球を決める
2点目は、
日髙シュート
↓
GKマテウスがセーブ
↓
永戸がこぼれ球を決める
つまり神戸は、
「最初のシュートで終わらず、次のボールまで狙っていた」
わけです。
東京Vからすれば、「一度防いだ後」の守備を二度も破られたことになります。
大迫投入後は神戸が試合を管理
59分、神戸は小松蓮に代えて大迫勇也。
東京Vも内田陽介と松橋優安を下げ、新井悠太、齋藤功佑を送り込みました。
その後も東京Vは前線からプレス。
76分には神田奏真も投入し、流れを変えようとします。
しかし神戸は大迫という明確な基準点を作り、無理にボール保持率を上げるのではなく、前線へ預けながら東京Vの勢いをいなしました。
結果、最後まで東京Vは枠内シュートを記録できませんでした。
4. 東京ヴェルディ|スタメン・途中出場選手採点
※10点満点。公式採点ではなく、試合内容を踏まえた当サイト独自評価です。メンバー・交代時間は公式記録に基づきます。
スタメン
| Pos. | 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK | マテウス | 6.5 | 2失点も複数のセーブ。2点目も最初の日髙のシュートは止めた |
| DF | 鈴木海音 | 5.5 | 対人では粘ったがゴール前で神戸に先手を取られた |
| DF | 林尚輝 | 5.5 | キャプテンとして奮闘。前半のみで交代 |
| DF | 井上竜太 | 5.0 | 球際で戦ったが警告。神戸の前線対応に苦しんだ |
| MF | 内田陽介 | 5.5 | 豊富な運動量。攻撃面でもう一段階違いを作りたかった |
| MF | 食野壮磨 | 5.5 | ボールには関われたが決定的な仕事には至らず |
| MF | 平川怜 | 6.0 | 中盤でボールを引き出し、前進を試みた |
| MF | 溝口修平 | 6.0 | 左サイドを上下動。攻守で献身的 |
| FW | 松橋優安 | 5.5 | 動き出しはあったがシュートまで持ち込めず |
| FW | 染野唯月 | 6.0 | 前線で身体を張る。1失点目ではシュートブロックも |
| FW | 福田湧矢 | 5.5 | 序盤は右から積極的。ただし決定機にはつながらず |
途中出場
| IN | OUT | 時間 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 佐古真礼 | 林尚輝 | 46分 | 6.5 | J1デビュー。左足の配球で前進に貢献 |
| 新井悠太 | 内田陽介 | 59分 | 5.5 | 積極性は見せたがゴール前まで届かず |
| 齋藤功佑 | 松橋優安 | 59分 | 5.5 | 中盤に変化を加えようとした |
| 神田奏真 | 平川怜 | 76分 | 5.5 | 前線へ推進力を加えるもシュート機会は限定的 |
| 平尾勇人 | 溝口修平 | 89分 | 5.5 | 出場時間が短く評価材料は限定的 |
5. ヴィッセル神戸|スタメン・途中出場選手採点
スタメン
| Pos. | 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|
| GK | 権田修一 | 6.5 | 枠内シュート0。落ち着いてクリーンシート |
| DF | マテウス・トゥーレル | 6.5 | 対人で強さを発揮。染野を自由にさせず |
| DF | 山川哲史 | 6.5 | 中央を安定させた |
| DF | ジエゴ | 6.5 | 1対1とカバーで安定 |
| DF | 酒井高徳 | 6.5 | 経験を生かしサイドを落ち着かせた |
| DF | 永戸勝也 | 7.5 | 2点目を奪取。こぼれ球への反応が秀逸 |
| MF | 飯野七聖 | 8.0 | 2得点の起点。右サイドで東京V守備陣を揺さぶった |
| MF | 郷家友太 | 5.5 | 警告もありHT交代 |
| MF | 井手口陽介 | 7.0 | 中盤で強度を維持し、東京Vの中央突破を抑えた |
| MF | 髙橋壱晟 | 7.5 | J1初ゴール。ゴール前へ入るタイミングが光った |
| FW | 小松蓮 | 6.0 | 得点はないが前線から守備し、攻撃の基準点にも |
途中出場
| IN | OUT | 時間 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| 日髙光揮 | 郷家友太 | 46分 | 7.0 | ヘディングシュートが2点目につながる |
| 大迫勇也 | 小松蓮 | 59分 | 6.5 | ボールを収め、終盤の試合運びを安定させた |
| 鍬先祐弥 | 飯野七聖 | 76分 | 6.0 | リードした状況で中盤を整理 |
| 川端彪英 | 髙橋壱晟 | 89分 | 6.0 | 短時間ながら最後まで強度を維持 |
6. なぜ東京Vは55%ボールを持ちながら無得点だったのか
理由① 「ボールを持つ」と「相手を崩す」がつながっていない
東京Vは55%のボール支配率を記録しました。
決して神戸に一方的に押し込まれていたわけではありません。
しかし問題は、ボールを保持した後です。
自陣。
中盤。
サイド。
ここまでは運べる。
でも最後に神戸のペナルティーエリアへ侵入すると、パスコースが消える。
結果、シュートは6本。
枠内0本。
これは単純なシュート精度だけの問題ではありません。
「良い状態でシュートを打たせてもらえなかった」と見るべきでしょう。
理由② 染野の周囲へ入っていく人数不足
染野は中央で身体を張っています。
しかし染野が競った後、
誰がセカンドボールを拾うのか。
誰が染野を追い越すのか。
誰がゴール前へ入るのか。
この部分が神戸ほど明確ではありませんでした。
逆に神戸は、髙橋や永戸のように、本来ゴールゲッターではない選手までペナルティーエリアへ入っています。
この**「最後に一人多く入る」**意識の差が大きかったと思います。
理由③ 主力離脱による連係不足
東京Vは森田晃樹ら負傷者を抱え、厳しいチーム状況にあります。城福監督も試合前から選手層について課題を認識していました。
森田のような中盤の軸が不在になると、
誰が低い位置で受けるのか。
誰が前線につなぐのか。
誰が攻撃のテンポを変えるのか。
毎試合役割を組み直す必要があります。
今の東京Vは、まさにその苦しい時期にあります。
7. 神戸が勝利できた3つの理由
理由① ゴール前で二度目のプレーを止めなかった
最も大きかったのがこれです。
髙橋のゴール。
永戸のゴール。
どちらも最初のシュートではありません。
こぼれ球からの得点です。
シュートした瞬間に攻撃を終わらせず、
「GKが弾くかもしれない」
「DFに当たるかもしれない」
という前提で次の動きをしていました。
非常に地味ですが、勝てるチームが持っている習慣です。
理由② ポゼッションにこだわらなかった
神戸の支配率は45%。
パス成功率も70%です。
それでもシュート14本。
これは、
「ボールを長く持つより、奪ったら早くゴールへ向かう」
という割り切りができていた証拠でしょう。
東京Vが人数を前へ掛ければ、その背後を突く。
押し込めば飯野や永戸が高い位置を取る。
非常に実戦的でした。
理由③ 選手交代で試合の性格を変えられた
後半開始に日髙。
59分に大迫。
76分に鍬先。
89分に川端。
特に大迫投入後は、前線でボールを収められるようになり、東京Vが勢いだけで押し込む時間を減らせました。
勝っている時に必要な仕事を理解している選手がベンチにいる。
この選手層も神戸の強みです。
8. 東京Vの課題と次節への改善点
改善点① 「枠内0」を最優先で改善する
次節へ向けて最も分かりやすい課題です。
パス成功率79%。
支配率55%。
これ自体は悪くありません。
ただしサッカーはゴールを奪う競技です。
最後にシュートを打てなければ、保持率は得点につながりません。
次節は多少ボールを失うリスクを負ってでも、
縦パス。
裏へのランニング。
ペナルティーエリアへの人数。
を増やす必要があります。
改善点② 「一度守った後」の集中
神戸の2得点はいずれもセカンドアクション。
ここは早急に改善したいところです。
シュートをブロックした。
GKが止めた。
そこで安心しない。
完全にボールをクリアするまで守備は終わらない。
非常に基本的ですが、神戸のような上位クラブは一瞬の緩みを逃してくれません。
改善点③ 佐古真礼の左足を生かしたい
敗戦の中で好材料だったのが佐古。
J1デビューながら、後方から勇気を持ってパスを出しました。城福監督も内容面には前節までとの違いを感じています。
負傷者が多い時期だからこそ、新しく出てきた選手を戦力化できればチーム状況は変わります。
次節は9月6日、アウェーでセレッソ大阪戦です。
9. 神戸の課題と次節への改善点
改善点① プレスを外された後の守備
2-0という結果は文句なし。
ただ、東京Vに55%ボールを持たれたことは少し気になります。
この日は相手が枠内シュート0だったので問題になりませんでした。
しかし、より前線のクオリティーが高い相手に同じだけボールを持たれると、失点リスクは上がります。
前線のプレスを外された後、
井手口の脇。
SBの背後。
このあたりをどう消すかは今後も重要です。
改善点② 大迫依存にならない攻撃を継続したい
むしろ今節でポジティブだったのは、
大迫が先発しなくても2得点できたことです。
髙橋。
永戸。
飯野。
日髙。
いろいろな選手が得点場面へ絡んだ。
長いシーズンを考えれば非常に大きいでしょう。
大迫を休ませながら勝てる試合を増やせれば、シーズン後半の強さにつながります。
神戸の次節は9月6日、ホームでV・ファーレン長崎戦です。
10. 今季の最終順位を予想
第5節終了時点で神戸は3勝1分1敗・勝点10の5位。6得点3失点と、派手な大量得点型ではないものの守備は安定しています。
一方、東京Vは0勝2分3敗・勝点2の19位。5試合で2得点8失点です。
東京ヴェルディ|最終予想16位
予想レンジ:15~18位
中心予想:16位
現在19位ですから、かなり厳しい状況です。
ただ、個人的にはこのまま19位前後を走り続けるとは見ていません。
理由は、この試合でもボールを保持し、走れていること。
チーム全体が完全に崩れているわけではありません。
問題は最後のクオリティーです。
森田ら負傷者が戻り、染野周辺の連係が整えば得点数は上がる可能性があります。
逆に9月、10月でも「内容は悪くないが点が取れない」が続けば、本格的に残留争いへ巻き込まれるでしょう。
まず必要なのは、勝利以前に得点を増やすことだと思います。
ヴィッセル神戸|最終予想3位
予想レンジ:2~5位
中心予想:3位
神戸は現在5位。
しかし守備力、経験値、選手層を考えると優勝争いには十分残れると見ます。
特に今回の試合で良かったのは、
大迫が先発していない。
それでも2得点。
そして無失点。
だったこと。
髙橋のJ1初ゴール。
永戸の得点。
日髙の途中出場からの貢献。
こうした選手が出てくれば、長いシーズンでも戦力を落としにくくなります。神戸は東京V戦の勝利で今季初のリーグ戦連勝となりました。
あとは町田、柏、鹿島、広島といった上位勢との直接対決でどれだけ勝点を取れるか。
現時点では優勝候補の一角と見ていいでしょう。
11. まとめ|「内容の改善」を「勝点」に変えられるか
東京ヴェルディ0-2ヴィッセル神戸。
スコアだけを見れば、神戸の完勝です。
実際、
髙橋壱晟。
永戸勝也。
二人がゴール。
シュート14本。
枠内7本。
無失点。
神戸は欲しかった結果をきっちり持ち帰りました。
でも、東京Vにまったく見るものがなかったわけではありません。
支配率55%。
パス成功率79%。
走行距離117km。
スプリント132回。
そして後半から入った佐古真礼のJ1デビュー。
城福監督が試合後に語ったように、前節までと比べて「勇気を持ってサッカーをした」部分は確かに見えました。
ただし、
良くなっている。
頑張っている。
ボールを持てている。
それだけではJ1では勝てません。
最後にペナルティーエリアへ入る。
シュートを枠へ飛ばす。
一度シュートを防いでも、こぼれ球を先に触る。
神戸が当たり前のようにやったこの部分を、東京Vがどこまで突き詰められるか。
そこが今後の残留争いを左右すると思います。
一方の神戸は、派手ではなくても強い。
ボールを相手に持たれても慌てない。
チャンスではゴール前へ人数を掛ける。
一度防がれても二度目を狙う。
そして2点取れば、経験豊富な大迫らを使って試合を終わらせる。
勝つために必要なプレーを90分の中で積み重ねた。
これが、この日の両チームにあった一番大きな差ではないでしょうか。
東京Vは次節、C大阪。
神戸は長崎。
東京Vにとっては「内容の進歩」を初勝利につなげられるか。
神戸にとっては、この連勝を3連勝へ伸ばして本格的に首位争いへ入れるか。
第5節が終わったばかり。
両チームのシーズンは、まだここから大きく動きそうです。
免責事項
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本記事に掲載している試合結果、得点時間、スターティングメンバー、選手交代、リーグ順位、各種スタッツなどについては、2026年9月3日時点で確認できる情報をもとに記載しています。
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