清水エスパルスでプロキャリアをスタートした鈴木唯人が、ドイツの地でとんでもない開幕戦を見せてくれました。
2026年8月30日に行われたブンデスリーガ2026/27シーズン第1節、SCフライブルクvsヴェルダー・ブレーメン。
トップ下で先発した鈴木唯人は、29分、48分、55分と立て続けにゴールを奪い、ブンデスリーガ開幕戦でハットトリックを達成しました。
試合はフライブルクが4-1で勝利。
しかも鈴木の3得点は、単純に「ゴール前にたまたまボールが転がってきた」というものではありません。
CKから相手の死角へ入り込んだヘディング。
左サイドからの折り返しに合わせた左足。
相手のビルドアップミスを見逃さず、最後はゴール前へ走り込んで仕留めた左足。
それぞれ違う形から奪った3ゴールには、現在の鈴木唯人が欧州で評価されている理由が詰まっていました。ブンデスリーガ公式によれば、日本人選手による同リーグのハットトリックは高原直泰、武藤嘉紀に続く3人目。開幕戦での達成は日本人初の快挙です。
清水時代から鈴木を見てきたサポーターにとっては、少し感慨深い90分だったのではないでしょうか。
今回は、鈴木唯人がブンデスリーガ開幕戦で決めた3ゴールを一つずつ詳しく振り返りながら、ハットトリックを達成できた理由、そして今後の日本代表での立ち位置まで考察します。
1. はじめに:清水で育った鈴木唯人がドイツで大爆発
エスパルスサポーターにとって、「鈴木唯人」という名前には特別なものがあるでしょう。
市立船橋高校から2020年に清水エスパルスへ加入。
当初は紅白戦にもなかなか入れなかったものの、徐々に評価を高め、同年7月の名古屋グランパス戦でJ1デビューを果たしました。
プロ2年目の2021年には湘南ベルマーレ戦で、中盤から相手を次々とかわして最後はループシュートという強烈なゴールも記録。
清水時代から、
「ボールを受けて前を向ける」
「狭いスペースでもターンできる」
「ドリブルから自分でフィニッシュまで行ける」
という才能は明らかでした。
清水ではJ1通算63試合2得点。その後RCストラスブール、ブレンビーIFを経て、現在はSCフライブルクでプレーしています。
その鈴木が24歳となり、世界最高峰の一つであるブンデスリーガの開幕戦でハットトリック。
清水時代を知る人からすれば、
「あの唯人が、ここまで来たか」
と思わずにはいられない活躍でした。
2. フライブルクvsブレーメンの試合結果
2026年8月30日、フライブルクの本拠地ヨーロッパ・パルク・シュタディオンで行われたブンデスリーガ第1節。
結果は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | ブンデスリーガ2026/27 第1節 |
| 開催日 | 2026年8月30日 |
| 対戦 | SCフライブルク vs ヴェルダー・ブレーメン |
| 結果 | フライブルク 4-1 ブレーメン |
| 29分 | 鈴木唯人 |
| 45分 | イゴール・マタノヴィッチ |
| 48分 | 鈴木唯人 |
| 55分 | 鈴木唯人 |
| 76分 | ダリウシュ・スタルマフ(ブレーメン) |
鈴木は29分の先制点から55分の3点目まで、わずか26分間でハットトリックを完成させました。
ブンデスリーガ公式のファン投票でも80%の支持を集め、文句なしのマン・オブ・ザ・マッチに選出されています。
3. 鈴木唯人のハットトリックを3得点すべて詳しく解説
1点目:29分|CKのファーサイドへ入り込みヘディング
最初のゴールは29分。
フライブルクが右CKを獲得します。
キッカーのニクラス・ベステが左足でインスイングのボールをファーサイドへ送ると、そこへ入ってきたのが鈴木でした。
相手DFの視線が中央へ集まっている中、鈴木はファーサイドでフリーに。
最後はゴールから約5メートルという至近距離からヘディングで押し込みました。ブンデスリーガ公式データではシュート位置はゴールまで4.94メートル、得点確率は41%とされています。
このゴールで注目したいのは、ヘディングそのものよりポジショニングです。
175cmの鈴木は、空中戦を最大の武器としている選手ではありません。
それでも相手DFと競り合うのではなく、ボールが落ちてくる場所を読み、ファーサイドのスペースへ入った。
清水時代から見せていた「相手と正面から勝負するだけではなく、少し立ち位置をずらしてボールを受ける」感覚が、セットプレーでも生きたゴールでした。
2点目:48分|シェルハントの突破から左足でワンタッチ
2点目は後半開始からわずか3分。
左サイドでボールを持ったデリー・シェルハントが1対1を仕掛けます。
相手をかわしながら一気にゴールライン付近まで侵入。
そのタイミングで鈴木はゴール前中央へ。
シェルハントからマイナス気味のボールが入ると、鈴木は余計なタッチを加えませんでした。
左足のダイレクトシュート。
これをゴールへ流し込み、フライブルクが3-0とリードを広げます。
公式データではゴールまで約6.44メートル。得点確率48%という非常に大きなチャンスでした。
ただし、大きなチャンスだから誰でも決められるわけではありません。
鈴木は本来右利きです。清水時代の公式プロフィールでも利き足は右とされています。
それでも左足で迷わずダイレクト。
GKが準備する時間を与えませんでした。
この「ワンタッチで終わらせられる」ことが、欧州で得点数を伸ばす上では非常に重要です。
3点目:55分|相手のミスを逃さず26分間でハットトリック完成
そして55分。
ブレーメンが後方からビルドアップしようとしたところでパスミスが発生します。
フライブルクはこれを逃しません。
すぐさま縦へ。
右側のペナルティーエリア内に入ったマタノヴィッチがボールを受けると、自分でシュートを打つこともできる状況から中央へ折り返します。
そこへ走り込んでいたのが、またしても鈴木。
最後は左足でワンタッチ。
4-0。ハットトリック完成です。
ブンデスリーガ公式も、ブレーメンのビルドアップでのミスからフライブルクが素早く攻め、マタノヴィッチの横パスを鈴木が仕留めたと伝えています。
この3点目も鈴木らしい。
派手なドリブルで3人をかわしたわけではありません。
大切なのは、
「味方がボールを奪った瞬間に、どこへ走ればゴールになるのか」
を理解していたことです。
3得点すべてに共通しているのは、シュートを打つ前の準備でした。
4. なぜ鈴木唯人は3得点を奪えたのか?
要因① ゴール前へ入るタイミングが抜群だった
今回のハットトリックで最も評価したいのはここです。
1点目はCKのファーサイド。
2点目は左からの折り返しに対して中央。
3点目は右側からの折り返しに対して中央。
どのゴールも、
ボールが来てから動いたのではなく、ボールが来る前に動いています。
これは得点を量産できる選手に共通する能力です。
清水時代の鈴木は「ボールを持った時の才能」に目が行きやすい選手でした。
ターン。
ドリブル。
スルーパス。
ミドルシュート。
しかし現在の鈴木は、そこにボールを持っていない時の怖さが加わっています。
この変化は非常に大きいでしょう。
要因② 右利きなのに左足で2ゴール
今回の3得点は、
1点目が頭。
2点目が左足。
3点目も左足。
でした。ブンデスリーガ公式も「ヘディングと左足2発」でのハットトリックだったと紹介しています。
これも重要です。
ゴール前では、
「右足に持ち替えてから」
という1秒が命取りになります。
左右どちらでもワンタッチで終われれば、DFとGKは対応が圧倒的に難しくなる。
元々持っていたテクニックが、「得点するための技術」へ変化してきている印象があります。
要因③ フライブルクの攻撃と鈴木の特徴が噛み合っている
もちろん鈴木一人だけで生まれたハットトリックではありません。
2点目ではシェルハントが左サイドの1対1を突破。
3点目ではマタノヴィッチが自分でシュートへ行かず、鈴木へラストパスを選択しました。
1点目もベステの高精度なCKがあってこそです。
フライブルクには、
サイドで相手を広げる選手。
中央で身体を張れるFW。
セットプレーのキッカー。
そして、その周囲を動ける鈴木。
役割分担があります。
鈴木がトップ下からゴール前へ入っていくスペースが生まれていることも、得点できた大きな理由でしょう。
要因④ 「チャンスを確実に決める力」が上がっている
この試合のフライブルクはチーム全体のxGが2.59でした。
それでも実際の得点は4。
つまり、作ったチャンス以上に高い決定力を見せた試合だったと言えます。
その中心が鈴木でした。
3ゴールともゴール前からのフィニッシュでしたが、
それを3回とも決める。
これが簡単ではありません。
ストライカーではない攻撃的MFが、こうした「決めるべきところで決める」能力を身につければ、一気に市場価値も評価も上がります。
5. 清水エスパルスから欧州へ|鈴木唯人の成長
清水で始まったプロキャリア
エスパルスサポーターとしては、現在の姿を見て清水時代を思い出した人も多いはずです。
鈴木は2020年、市立船橋高校から清水へ加入。
清水でJ1デビューを果たし、最終的にJ1通算63試合2得点を記録しました。
数字だけを見ると「63試合2得点」。
現在のハットトリックから考えれば少なく感じます。
しかし当時からポテンシャルは明らかでした。
前を向いた時の推進力。
相手の逆を取るターン。
狭いスペースでのボールタッチ。
そして突然ゴールを狙う大胆さ。
その後、
清水エスパルス。
RCストラスブール。
再び清水。
ブレンビーIF。
SCフライブルク。
とステップアップしてきました。
日本で完成してから海外へ行ったのではありません。
海外でも失敗や競争を経験しながら、自分の武器を増やしてきた。
今回のハットトリックは、その成長が一つの形になった試合だったのかもしれません。
6. 今後の日本代表選出は?主力定着の可能性を考察
「代表に選ばれるか」ではなく「序列をどこまで上げるか」
ここは現在地を正確に整理しておきたいところです。
鈴木唯人はすでに2026年FIFAワールドカップの日本代表メンバーに選出されています。
背番号17で登録され、久保建英、堂安律、中村敬斗、鎌田大地らとともに攻撃陣の一角として大会メンバー入りしました。
そのため今後の焦点は、
「日本代表に呼ばれるかどうか」ではありません。
「継続して代表に呼ばれるか」
「スタメン争いへ食い込めるか」
という段階です。
今回のハットトリックを続けられるのであれば、その可能性はかなり高いでしょう。
日本代表でもトップ下は激戦区
ただし、日本代表の攻撃的ポジションは簡単ではありません。
久保建英。
鎌田大地。
堂安律。
中村敬斗。
前田大然。
さらには若い塩貝健人、後藤啓介なども2026年W杯メンバーに入っています。
特に鈴木が得意とするトップ下や中央の攻撃的ポジションには、世界トップレベルでプレーする選手が並びます。
だからこそ今回のハットトリックには意味があります。
ブンデスリーガで結果を出し続ければ、
「使ってみたい若手」
ではなく、
「使わなければもったいない選手」
へ変わっていくからです。
最大の武器は複数ポジションをこなせること
鈴木の代表定着を考えた時、もう一つ大きいのがポジションの柔軟性です。
トップ下。
左右のサイド。
セカンドトップ。
場合によってはFWの近く。
こうした複数ポジションで使える選手は、代表チームでは非常に価値があります。
特に国際大会では登録人数が限られています。
一人で複数の役割を担えれば、監督としてもベンチに置きやすい。
さらに今回のようにゴール前へ入って得点まで取れるのであれば、試合途中から流れを変えるジョーカーとしても魅力があります。
次に必要なのは「継続」
ただ、一試合のハットトリックだけですべてが決まるわけではありません。
ブンデスリーガはまだ第1節です。
相手も今後は鈴木を警戒します。
トップ下で自由に動けるスペースを消してくる。
ゴール前への飛び出しをマークする。
身体を強く当ててくる。
そこからが本当の勝負でしょう。
シーズンを通して二桁得点に迫る数字を残せるようなら、日本代表での立場は一気に変わる可能性があります。
7. まとめ:鈴木唯人はブンデスでどこまで数字を伸ばせるか
2026/27シーズンのブンデスリーガ開幕戦。
SCフライブルクの鈴木唯人は、ヴェルダー・ブレーメンを相手に29分、48分、55分と得点を重ね、ハットトリックを達成しました。
1点目はCKからヘディング。
2点目はシェルハントの左サイド突破から左足。
3点目は相手のビルドアップミスを起点とした速攻から、マタノヴィッチの折り返しを左足。
頭、左足、左足。
得点方法こそ違いますが、3ゴールすべてに共通していたのは「良い場所にいること」です。
清水時代の鈴木といえば、ボールを持って前を向いた時のワクワク感が魅力でした。
現在はそこに、
ゴール前へ入るタイミング。
ワンタッチで仕留める技術。
利き足ではない左足。
オフザボールの動き。
が加わっています。
ブンデスリーガで日本人選手がハットトリックを達成するのは、高原直泰、武藤嘉紀に続く史上3人目。
さらに開幕戦では日本人初です。
エスパルスから世界へ。
清水でプロになった一人の若者が、24歳でブンデスリーガ開幕戦の主役になりました。
ただ、本人にとってはここがゴールではないでしょう。
フライブルクで二桁得点を狙えるのか。
日本代表でスタメン争いに食い込めるのか。
そして、その先にさらに大きなクラブへのステップアップがあるのか。
2026/27シーズンの鈴木唯人は、エスパルスサポーターにとっても毎週結果を確認したくなる存在になりそうです。
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