オランダ代表、ザークツィーの決勝弾でセルビアに2-1勝利
2026年10月4日、UEFAネーションズリーグ2026-27・リーグAグループA2第4節が行われ、オランダ代表はホームのフィリップス・スタディオンでセルビア代表と対戦した。
試合は31分、トゥーン・コープマイネルスのFKがそのままゴールへ吸い込まれ、オランダが先制。
しかし35分、アレクサ・テルジッチのクロスをミハイロ・ツヴェトコヴィッチに頭で合わせられ、1-1に追いつかれる。
そして迎えた72分。
後半開始から投入されたジョシュア・ザークツィーがゴール前でボールを押し込み、オランダが再びリード。
この1点を守り切り、2-1で勝利した。
シャビ体制は4試合無敗
2勝2分でグループ首位へ
2026年8月にロナルド・クーマン監督の後任として就任したシャビ・エルナンデス監督。
契約は2030年ワールドカップまでとなっている。
就任後の4試合は以下の通りだ。
| 試合 | 結果 |
|---|---|
| vsドイツ | 1-1 |
| vsセルビア | 2-1 勝利 |
| vsギリシャ | 2-2 |
| vsセルビア | 2-1 勝利 |
4試合2勝2分、無敗。
勝点8まで伸ばし、オランダはグループA2首位へ浮上した。
まだ就任から4試合。
それでもシャビが何をオランダ代表へ持ち込もうとしているのかは、かなり見え始めている。
セルビア戦は序盤からオランダが押し込む
24分までにシュート10本
立ち上がりからボールを握ったのはオランダだった。
セルビアを自陣へ押し込み、24分までに10本ものシュートを記録。
最終的には、
- ボール保持率:約64%
- シュート:22本
- 枠内シュート:7本
- パス成功:539本
- パス成功率:約87%
と、攻撃量とボール保持の双方でセルビアを上回った。
これは現在のシャビ体制を象徴する数字でもある。
31分、コープマイネルスが直接FKで先制
右サイドでFKを得ると、キッカーはコープマイネルス。
ゴール前へ送ったボールは誰にも触れず、そのままファーサイドへ吸い込まれた。
1-0。
本来は中盤を主戦場とするコープマイネルスだが、この日は最終ラインにも入りながらプレー。
ボール保持時には前へ出て中盤へ加わるなど、非常に特徴的な役割を与えられていた。
35分、またしても無失点ならず
先制からわずか4分後。
セルビアは左サイドからテルジッチがクロス。
中央へ入ったツヴェトコヴィッチがヘディングで合わせ、1-1となった。
シャビ体制は無敗ではあるものの、守備面ではまだ課題がある。
この失点によって、オランダ代表は12試合連続失点。
シャビ自身も4試合を終えた段階で、無失点試合を増やす必要があると認めている。
後半開始、ザークツィーを投入
メールディンクに代わって1トップへ
シャビ監督はハーフタイムで動く。
メックス・メールディンクを下げ、ジョシュア・ザークツィーを投入した。
ザークツィーは当初、今回の代表メンバーには入っていなかった。
ブライアン・ブロビーが負傷離脱したことで追加招集された選手だ。
その追加招集FWが最終的に試合を決めることになる。
72分、ザークツィーが決勝ゴール
30本のパスから生まれた“シャビらしい”一撃
決勝点は新生オランダを象徴するゴールだった。
オランダはボールを失わず、ピッチを大きく使ってセルビアを動かし続ける。
右サイドのデンゼル・ダンフリースまで展開すると低いクロス。
ティジャニ・ラインデルスが折り返し、最後はファーサイドでフリーになったザークツィーが押し込んだ。
2-1。
この攻撃では、ゴールまでに30本のパスをつないだと報じられている。
単純な速攻ではない。
相手を動かす。
スペースが生まれるまで我慢する。
そして最後に一気にゴールへ入る。
シャビが目指すサッカーが最も分かりやすく表れた場面だった。
シャビ監督の戦術①「ボールを持つ」ことがスタート地点
5つの“P”を重視
シャビが就任時から掲げている考え方には、明確な軸がある。
ロイターによれば、シャビの哲学は、
- Possession=ボール保持
- Position=ポジション
- Pressing=プレッシング
- Perception=認知・判断
- Passion=情熱
という5つの要素に整理できる。
つまり単純に「パスをたくさん回す」サッカーではない。
正しい位置を取る。
周囲を見て判断する。
ボールを失ったら即座に奪い返す。
その土台としてボール保持がある。
セルビア戦の64%を超える保持率は、この思想が数字にも表れたものと言える。
戦術② ポジショナルプレーで相手を動かす
選手が立つ場所に意味を持たせる
シャビのサッカーで非常に重要なのがポジショニングだ。
選手全員がボールへ寄るのではなく、
サイドに幅を取る選手。
ライン間に立つ選手。
DFラインの背後を狙う選手。
後方で数的優位を作る選手。
を配置する。
そして相手がどこかへ寄れば、反対側にできたスペースを使う。
今回のザークツィーのゴールもまさにそうだった。
長いパス交換でセルビアの守備を動かし続け、最後は右から左へ守備をずらしてゴールを作った。
戦術③「幅を取る」「速く動かす」を強く要求
シャビは最初の2試合を終えた時点で、チームにさらなる改善を求めていた。
具体的に挙げたのが、
ピッチをより広く使うこと。
ボールをより速く動かすこと。
そして、
スペースへもっと走り込むこと。
だった。
つまり保持率そのものが目的ではない。
横パスを続けるだけでは意味がない。
相手を横方向へ動かしたあと、
空いたスペースへ縦に入る。
これがシャビの求めるボール保持だ。
戦術④ フォーメーションを固定しすぎない
ギリシャ戦ではダイヤモンドへ変更
シャビ体制で興味深いのが、ボール保持を重視しながらもシステムには意外と柔軟なことだ。
ギリシャ戦では前半に0-2とリードされた。
シャビは自ら「自分の責任」と認め、ハーフタイムに3人を交代。
さらに中盤をダイヤモンド型へ変更した。
そこからオランダは試合を支配し、ファン・ダイクとラインデルスのゴールで2-2まで追いついた。
ボール保持という原則は変えない。
しかし、そのための配置は変える。
ここはシャビの大きな特徴だ。
セルビア戦でも変則的な最終ライン
コープマイネルスがCBから中盤へ
今回もその柔軟性が見えた。
コープマイネルスは登録上、最終ラインに入るような形だったが、ボール保持時には頻繁に中盤へ移動した。
これによって、
後方でパスコースを増やす。
中盤の人数を増やす。
相手FWに「誰をマークするか」を迷わせる。
という効果が生まれる。
固定された4-3-3ではなく、
ボール保持時に配置そのものが変わる。
これもシャビ体制の特徴になりそうだ。
戦術⑤ 前線にも守備を要求
メールディンクを高く評価した理由
シャビがセルビアとの第2節後に高く評価していたのがメールディンクだった。
2得点したことだけでなく、
「チームのために多くの仕事をした」
ことを評価している。
シャビの1トップにはゴールだけが求められるわけではない。
相手CBへのプレス。
パスコースの制限。
ボールを収める。
味方のためにスペースを空ける。
こうした仕事が必要になる。
今回決勝点を奪ったザークツィーにも、今後この部分が求められるだろう。
クーマン時代から何が変わった?
最大の変化は「主導権を握ること」へのこだわり
ロナルド・クーマン前監督時代のオランダも、当然ボールを保持できるチームだった。
ただ、シャビ就任でより強調されているのが、
自分たちが試合を支配する。
という姿勢だ。
KNVBがシャビを招聘した背景にも、伝統的なオランダサッカーの価値観である、
ボール保持。
創造性。
攻撃性。
をより明確に取り戻したいという狙いがあったと報じられている。
シャビ本人も初陣前から「イニシアチブを取る」「高い強度でプレーする」ことを強調していた。
変化① より明確なポジショナルプレー
以前よりも、
誰が幅を取るのか。
誰が中央へ入るのか。
誰が最終ラインから持ち上がるのか。
が整理され始めている。
今回のコープマイネルスの起用はその典型だ。
選手の本来のポジションより、
「この局面でどこに立てば相手が困るか」
を優先している。
変化② 若手を積極的に試す
シャビ新体制では若手の起用も目立つ。
初戦のドイツ戦では、
メックス・メールディンク。
ルベン・ファン・ボメル。
が代表デビュー。
そのメールディンクは次のセルビア戦でいきなり2得点。
実績のある選手だけに固定せず、新しい選手を試しながら競争を作っている。
変化③ 試合中の修正が早い
ギリシャ戦が象徴的だ。
前半0-2。
ハーフタイムに3人交代。
システム変更。
最終的に2-2。
監督自身が間違いを認め、その場で修正する。
これは代表監督として非常に重要な能力でもある。
クラブと違い、代表では練習時間が限られている。
その分、試合中にどう修正するかの重要度が高い。
ザークツィーはシャビ体制で生き残れるか
追加招集から決勝点
今回の大きな勝者の一人がザークツィーだ。
ブロビーの負傷によって追加招集。
ギリシャ戦では途中出場。
そしてセルビア戦でも後半開始から投入され、決勝ゴールを奪った。
ザークツィーの特徴は、単なるゴールゲッターではないこと。
身長がありながら足元の技術が高く、低い位置まで降りてパス交換に参加できる。
周囲の選手を生かすプレーも得意だ。
これはポジショナルプレーを重視するシャビとの相性が良い。
一方、メールディンクもすでに2得点。
ブロビーもいる。
1トップ争いはかなり激しくなりそうだ。
シャビ体制の課題① 12試合連続失点
ボールを持っていても守備は安定していない
最大の問題はここだ。
セルビア戦でも失点。
これでオランダは12試合連続でクリーンシートを逃している。
ボールを持っている時間は長い。
しかし失った瞬間に、
サイドバックの背後。
CBの横。
中盤とDFの間。
を使われる場面がある。
攻撃的なサッカーを完成させるには、ボール保持時の守備――いわゆる「予防的守備」の整備が不可欠になる。
課題② 22本打って2得点
セルビア戦では22本のシュートを放った。
しかし得点は2。
大きなチャンスを複数作りながら、決め切れない場面もあった。
ボールを支配できても、
最後のパス。
クロス。
シュート。
の精度が伴わなければ試合は簡単にはならない。
セルビアが終盤まで同点の可能性を残したのも、オランダが早い段階で試合を決め切れなかったからだ。
課題③ まだ完成形ではない
シャビ自身も最初の4試合を評価しながら、
「すべての部分で改善が必要」
という姿勢を示している。
守備。
ボールのスピード。
ピッチの幅。
スペースへのランニング。
まだ改善項目は多い。
4試合無敗だから完成したわけではない。
むしろ「方向性が見えてきた段階」と考えるべきだろう。
ファン・ダイクが代表100試合
新体制を支えるキャプテン
セルビア戦ではもう一つ大きな記録が生まれた。
フィルジル・ファン・ダイクがオランダ代表通算100試合出場を達成。
オランダ男子代表史上11人目の100キャップ到達となった。
シャビは就任後もファン・ダイクをキャプテンとして継続起用。
若手を増やしながらも、チームの中心には経験豊富なリーダーを置いている。
若返りと継続性のバランスも、新体制の重要なテーマになりそうだ。
次戦は11月のギリシャ戦
オランダは11月に再びネーションズリーグを戦う。
次戦はホームでギリシャ。
その後はドイツとのアウェーゲームが控える。
現在グループ首位とはいえ、ギリシャとの差はわずか。
ドイツも追っている。
決勝トーナメント進出へ向けて、まだ安心できる状況ではない。
まとめ|シャビのオランダは「ボールを持つチーム」から「ボールで相手を動かすチーム」へ
オランダ2-1セルビア。
コープマイネルスが先制。
一度追いつかれながら、途中出場のザークツィーが決勝ゴール。
シャビ体制はこれで4試合2勝2分。
無敗で最初の代表シリーズを終えた。
だが、結果以上に興味深いのはサッカーの変化だ。
ボールを保持する。
幅を使う。
素早く動かす。
相手が動けばスペースへ入る。
ボールを失えばすぐに奪い返す。
そして必要ならシステムそのものを変更する。
セルビア戦のザークツィーの決勝ゴールまで続いた30本のパスは、その方向性を象徴していた。
クーマン時代から選手がすべて入れ替わったわけではない。
むしろ中心選手の多くは同じだ。
それでも「どう試合を支配するのか」という考え方が変わりつつある。
一方で12試合連続失点という大きな課題も残る。
攻撃的で美しいだけではタイトルは取れない。
シャビが、
ボールを支配するサッカー
と
勝ち切れる守備
をどう両立させるのか。
そこが今後の最大のテーマになる。
4戦無敗は好スタート。
しかし、新生オランダの本当の評価はこれからだ。
免責事項
本記事は、オランダサッカー協会(KNVB/OnsOranje)、UEFA、Reutersをはじめ、2026年10月6日時点で公開されている国内外の報道・試合データをもとに作成しています。
試合結果、得点者、得点時間、交代、シャビ・エルナンデス監督就任後の成績などについては、公式記録を優先して確認しています。
なお、各データ提供元によってシュート数やボール保持率などの集計方法に若干の差が生じる場合があります。
また、シャビ監督の戦術、クーマン前監督時代との比較、選手起用の意図、今後の課題に関する記述には、公式コメントや公開された試合内容をもとにした本記事独自の分析・考察が含まれています。監督・協会の公式見解そのものではありません。
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