同じ首都を本拠地とする2クラブが激突する「マドリード・ダービー(エル・デルビ・マドリーニョ)」。しかしこのダービーは、単なる近隣対決ではありません。「王室に愛されるエリートのクラブ」対「労働者の誇りを背負うクラブ」という対立構造が、100年以上の歴史を通じて積み重なってきた試合です。なぜ同じ街のクラブがこれほど対照的な存在になったのか、その歴史から現在まで解説します。
「エリートへの反発」から生まれたアトレティコ
レアル・マドリードの前身であるマドリード・フットボール・クラブは、1902年の創設後、市内の小クラブを次々と吸収・合併しながら首都における支配的な地位を確立していきました。1920年にはスペイン国王アルフォンソ13世から「レアル(王立)」の称号を授かり、「権威あるクラブ」としてのイメージを固めます。
これに対してアトレティコ・デ・マドリードの誕生は、1903年のことです。スペイン選手権でマドリードFCを破ったアスレティック・クラブ・ビルバオの試合を見た首都在住のビルバオ出身学生たちが「自分たちの価値観を投影できるクラブが必要だ」と立ち上げたのが起源です。つまりアトレティコは最初から「既存の支配への反動」として生まれたクラブでした。
その後アトレティコは1923年にビルバオとの関係を断ち独立し、労働者階級のサポーターに根ざした「庶民のクラブ」として独自の道を歩み始めます。
「バイキング」対「インディアン」という呼び名の由来
このダービーには、両サポーターが互いを呼び合う面白いニックネームがあります。
| 呼び名 | 対象クラブ | 由来 |
|---|---|---|
| ビキンゴス(バイキング) | レアル・マドリード | 欧州を制覇する姿がバイキングに例えられた。また70年代に北欧系の選手を多く獲得したことも一因 |
| インディオス(インディアン) | アトレティコ・マドリード | 70年代に南米選手を多く獲得した際の揶揄から定着。今ではアイデンティティの象徴に |
現在、レアルのファンはバイキングの兜を被り、アトレティコはアライグマのマスコット「インディ」でそのアイデンティティを祝っています。かつての揶揄が誇りに変わっているのが興味深いところです。
また、リーグ優勝などタイトル獲得時の「祝いの噴水」にも違いがあります。レアルのファンが集まる「シベーレスの噴水」とアトレティコの「ネプトゥーノの噴水」は、それぞれ大地の女神と海の神。安定した勝利を続けるレアルと、嵐のような予測不能のアイデンティティを持つアトレティコを象徴しているとも言われます。
通算対戦成績:レアルが大きくリードも、シメオネ以降は別の話
2026年3月現在の通算公式戦成績です。
| 大会 | 試合数 | レアル勝利 | 引き分け | アトレティコ勝利 |
|---|---|---|---|---|
| ラ・リーガ | 177 | 91 | 44 | 42 |
| コパ・デル・レイ | 44 | 18 | 14 | 12 |
| チャンピオンズリーグ | 11 | 6 | 2 | 3 |
| その他 | 10 | 3 | 3 | 4 |
| 合計 | 242 | 118 | 63 | 61 |
歴史全体ではレアルが大きくリードしています。しかし2011年にディエゴ・シメオネが監督に就任してからは話が変わります。堅守速攻と高インテンシティを武器に、資金力で大きく勝るレアルを相手に互角以上の戦いを見せ、チャンピオンズリーグ決勝にも2度進出するなど、現代のダービーではアトレティコが「天敵」として機能してきました。
歴史に残る名勝負5選
2014年チャンピオンズリーグ決勝(リスボン)
アトレティコが1-0でリードしたまま後半ロスタイムへ。誰もがアトレティコの優勝を信じたその93分に、セルヒオ・ラモスが劇的な同点ヘディングを決めます。延長戦でレアルが3点を追加し4-1で逆転優勝。レアルにとって念願の「10度目の欧州制覇(ラ・デシマ)」がこうして実現しました。
2016年チャンピオンズリーグ決勝(ミラノ)
わずか2年で2度目のダービー決勝が実現。120分の激闘の末、PK戦でロナウドが最後のキッカーとして成功させレアルが11度目のタイトルを獲得しました。
2013年コパ・デル・レイ決勝(ベルナベウ)
アトレティコにとって14年間続いたダービー未勝利という「呪い」をついに打ち破った一戦。しかもライバルの本拠地ベルナベウで、延長戦の末に2-1で勝利。シメオネ体制の黄金期の幕開けを告げる記念碑的な試合です。
1999年リーグ戦(ベルナベウ)
当時低迷していたアトレティコがベルナベウで1-3の逆転勝利。このシーズン、アトレティコは最終的に2部降格という悲劇を迎えますが、このダービーの勝利は今も語り草として残っています。
2025年9月リーグ戦
アトレティコが5-2でレアルを圧倒した、過去75年間で最大点差のダービー。この衝撃的な大敗がシャビ・アロンソ監督の解任につながる一因となりました。
2025〜26シーズン:混乱するレアルと虎視眈々のアトレティコ
2025〜26シーズン、レアル・マドリードはシャビ・アロンソ監督が早期解任となり、後任のアルバロ・アルベロアが暫定監督として指揮を執っています。一方のアトレティコはシメオネのもとで新世代の選手たちが成長し、隙あらばリーグ上位に割り込もうとしています。
2026年3月初旬の順位表(上位)
| 順位 | クラブ | 試合 | 勝ち点 |
|---|---|---|---|
| 1 | バルセロナ | 27 | 67 |
| 2 | レアル・マドリード | 27 | 63 |
| 3 | アトレティコ | 27 | 54 |
そして2026年3月22日、サンティアゴ・ベルナベウでシーズンの行方を左右するダービーが組まれています。バルセロナを追うレアルにとっては、ここで敗れればタイトルレースから脱落する可能性があります。アトレティコにとっては2位レアルとの差を縮め、チャンピオンズリーグ出場権を確実にする絶好の機会です。
暫定監督アルベロアが知将シメオネの罠を乗り越えられるか。120年以上続くマドリードの街の分断が、再びピッチの上で答えを出します。

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