2026年10月1日、横浜国際総合競技場で行われた「キリンカップサッカー2026」で、日本代表はエクアドル代表と対戦した。
90分間では両チームともゴールを奪えず0-0。大会規定により延長戦を行わず、そのままPK戦へ突入した。
PK戦では日本のGK鈴木彩艶がエクアドル3人目のキックをストップ。日本は上田綺世、鎌田大地、伊藤洋輝、相馬勇紀、前田大然の5人全員が成功し、PK戦5-4で勝利した。
日本はキリンカップ決勝進出を決め、10月5日に国立競技場でニュージーランド代表と対戦する。A代表がPK戦で勝利したのは、2011年アジアカップ準決勝・韓国戦以来約15年ぶりとなった。
日本代表vsエクアドル代表 試合結果
試合概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | キリンカップサッカー2026 |
| 開催日 | 2026年10月1日 |
| 会場 | 横浜国際総合競技場 |
| キックオフ | 19:10 |
| 90分 | 日本 0-0 エクアドル |
| PK戦 | 日本 5-4 エクアドル |
| FIFAランキング | 日本17位/エクアドル25位 |
| 次戦 | 10月5日 vs ニュージーランド代表 |
キリンカップは4カ国によるノックアウト方式で行われ、90分で同点の場合は延長戦を行わず直ちにPK戦へ入る大会方式となっている。
日本代表のスターティングメンバー
谷村海那をA代表初先発で起用
森保一監督は、谷村海那を最前線でA代表初先発させた。
基本配置は3バックをベースとし、久保建英と鈴木唯人が前線と中盤の間でボールを受ける形。堂安律と中村敬斗が両サイドを担当し、中盤では田中碧と佐野海舟がコンビを組んだ。
| POS | 選手 |
|---|---|
| GK | 鈴木彩艶 |
| DF | 瀬古歩夢 |
| DF | 板倉滉 |
| DF | 伊藤洋輝 |
| MF/FW | 堂安律 |
| MF/FW | 田中碧 |
| MF/FW | 佐野海舟 |
| MF/FW | 中村敬斗 |
| MF/FW | 久保建英 |
| MF/FW | 鈴木唯人 |
| FW | 谷村海那 |
キャプテンは堂安律が務めた。
前半|エクアドルの強度に苦戦しながら徐々にチャンスを作る
序盤はエクアドルのスピードと球際に押される
試合開始直後は、エクアドルが前への推進力を見せた。
3分にはジョン・メルカドが右サイドからカットインしてシュート。
10分にはペドロ・ビテがペナルティーエリア左から折り返し、14分にもセットプレーから日本ゴールへ圧力を掛けるなど、序盤はエクアドルの時間が続いた。
特にニルソン・アングロやメルカドのスピードは脅威で、日本は瀬古歩夢、板倉滉、伊藤洋輝の3バックを中心に粘り強く対応した。
久保建英を中心に中央から打開を狙う
日本も徐々に攻撃のリズムをつかむ。
15分には久保、堂安らが細かいパス交換から中央突破を狙ったものの、エクアドルの守備ブロックを崩し切れなかった。
22分には久保のスルーパスから中村が抜け出してシュートまで持ち込んだが、オフサイド。
24分には田中碧の鋭い縦パスを谷村が落とし、鈴木唯人がミドルシュートを放った。
この形は、日本が今後強豪国を崩すうえでも重要になる。
「中盤から縦パスを入れる」
↓
「FWがワンタッチで落とす」
↓
「2列目が前向きで受ける」
という流れを作れれば、相手の強固な中盤を一気に突破できる。
33分、谷村海那に大きなチャンス
前半33分には、左サイドの中村とのワンツーから谷村がペナルティーエリアへ侵入。
左足でシュートを放ったが、GKエルナン・ガリンデスに阻まれた。
A代表初先発となった谷村にとって最大のチャンスだった。
一方で、エクアドルの強力なセンターバックを相手に、前線でボールを収め切れない場面も目立った。
今回の先発は、上田綺世という日本の絶対的なセンターフォワードとポジションを争うために、何が必要なのかを確認できた試合でもあった。
後半開始から上田綺世を投入
谷村に代えてエース投入
森保監督はハーフタイムに動く。
谷村を下げ、上田綺世を投入した。
上田が中央に入ることで、日本は前線で相手センターバックを背負うターゲットを確保。
後半1分には久保のスルーパスに鈴木唯人が反応するなど、立ち上がりからゴールを狙った。
ただし、エクアドルの最終ラインにはウィリアム・パチョらフィジカルとスピードを兼ね備えた選手が並び、中央だけで簡単に崩せる状況ではなかった。
エクアドルの守備を最後まで崩し切れず
19分、鈴木唯人が決定機
後半19分には堂安が左サイドまで流れて仕掛け、倒れながら低いクロスを供給。
中央で鈴木唯人が合わせたが、シュートはGK正面となった。
この試合で日本が作った数少ない枠内シュートだった。
日本はボールを前進させる場面を作れていたものの、エクアドルのペナルティーエリア内ではスペースが極端に小さくなった。
南米予選でも堅守を見せてきたエクアドルの守備力を実感する試合となった。
67分、森保監督が3枚替え
伊東純也、鎌田大地、鈴木淳之介を投入
後半21分、森保監督は一気に3人を入れ替えた。
- 堂安律 → 伊東純也
- 久保建英 → 鎌田大地
- 鈴木唯人 → 鈴木淳之介
さらに79分には田中碧、中村敬斗を下げて前田大然、相馬勇紀を投入。
86分には佐野海舟に代えて塩貝健人を送り込んだ。
試合終盤は中盤の選手を減らし、前線の枚数を増やすかなり攻撃的な布陣へ変更。
0-0を受け入れるのではなく、90分以内で勝ち切ろうという森保監督の意図がはっきり表れた采配だった。
伊東純也が右サイドから違いを作る
途中出場の伊東は持ち味を発揮。
後半27分には、中村からパスを受けてペナルティーエリアへ進入し、右足でシュート。
惜しくも枠を外れたが、相手DFとの1対1からシュートまで持っていける伊東の存在は、日本の攻撃に変化をもたらした。
90分では0-0|数字にも表れた互角の試合
シュートは日本7本、エクアドル5本
試合終了時の主要スタッツは以下の通り。
| スタッツ | 日本 | エクアドル |
|---|---|---|
| ボール保持率 | 47% | 53% |
| シュート | 7 | 5 |
| 枠内シュート | 1 | 1 |
| CK | 2 | 4 |
| パス | 466 | 521 |
| パス成功率 | 84% | 85% |
| ファウル | 7 | 11 |
数字を見ても、どちらかが完全に主導権を握った試合ではなかった。
日本は守備面では非常に安定していた一方、シュート7本、枠内1本という攻撃面の数字には改善の余地が残った。
PK戦|鈴木彩艶が日本を決勝へ導く
エクアドル3人目を完璧にストップ
90分を終えて0-0。
大会規定により、勝敗はPK戦へ委ねられた。
エクアドルの1人目ジョルディー・カイセド、2人目アラン・ミンダが成功。
日本も上田、鎌田が決める。
迎えたエクアドル3人目。
デニル・カスティジョがゴール右下を狙ったが、鈴木彩艶がコースを完全に読み切ってセーブした。
これが最終的に勝敗を決める一本となった。
日本は5人全員成功
日本のPKキッカーは以下の5人。
| 順番 | 選手 | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 上田綺世 | ○ |
| 2 | 鎌田大地 | ○ |
| 3 | 伊藤洋輝 | ○ |
| 4 | 相馬勇紀 | ○ |
| 5 | 前田大然 | ○ |
3人目の伊藤のキックは右ポストに当たった後、GKに当たってゴール。
最後は前田が右上へ豪快に決め、日本がPK戦を5-4で制した。
中村俊輔コーチがPK戦の準備に関与
キッカー選定にも中村コーチの提案
今回のPK戦で興味深いのが、日本代表スタッフの準備だ。
森保監督は試合後、中村俊輔コーチがPKキッカーと順番を提案し、自身が最終確認したことを明かしている。
スタッフは以前からPKに関するデータを集め、実戦を想定した準備を続けていたという。
ワールドカップやアジアカップのノックアウトステージでは、PK戦が大会の結果を左右する可能性がある。
親善色のある大会とはいえ、実際の代表戦でPK戦を経験し、勝利まで持っていけたことは非常に大きな収穫だ。
日本代表・選手採点
MOMはGK鈴木彩艶
※10点満点。本記事独自の評価であり、JFA公式採点ではありません。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| 鈴木彩艶 | 7.5 | 90分を無失点。PK戦で3人目をストップし勝利の立役者 |
| 瀬古歩夢 | 7.0 | アングロとの難しい1対1を粘り強く対応。安定感を見せた |
| 板倉滉 | 6.5 | 中央で身体を張り、エクアドルの攻撃を跳ね返した |
| 伊藤洋輝 | 7.0 | 守備だけでなく積極的に攻撃参加。PKも成功 |
| 堂安律 | 6.5 | キャプテンとしてプレー。複数ポジションに顔を出して攻撃を作った |
| 田中碧 | 7.0 | 鋭い縦パスで前進。谷村への縦パスなど攻撃のスイッチ役 |
| 佐野海舟 | 7.5 | 球際とボール奪取で存在感。強度の高い相手にも負けなかった |
| 中村敬斗 | 6.0 | 左から仕掛けたが、エクアドルの守備に苦戦 |
| 久保建英 | 6.5 | スルーパスやドリブルで違いを作ったが決定的な仕事までは届かず |
| 鈴木唯人 | 6.5 | 中央突破やシュートでゴールへ迫った |
| 谷村海那 | 5.5 | A代表初先発。チャンスは作ったが前線で収める部分に課題 |
| 上田綺世 | 6.5 | 後半から前線の基準点に。PK1人目も成功 |
| 伊東純也 | 6.5 | 途中出場からスピードで変化。シュートまで持ち込んだ |
| 鎌田大地 | 6.5 | 中央で攻撃を整理。PKでも冷静に成功 |
| 鈴木淳之介 | 6.0 | 途中出場。大崩れせず役割を遂行 |
| 前田大然 | 6.5 | 終盤から投入され、PK5人目を豪快に成功 |
| 相馬勇紀 | 6.5 | 積極的に前へ運び、PK4人目も成功 |
| 塩貝健人 | 6.0 | 代表の高強度ゲームを経験。終盤の前線でプレー |
エクアドル戦で得られた収穫① 守備強度は世界基準でも通用
南米の強豪を90分無失点
最大の収穫は守備だろう。
エクアドルは2026年ワールドカップにも出場し、南米予選では18試合5失点という堅守を武器にしてきたチーム。
スピード、フィジカル、球際の強さは日本がアジアで対戦する相手とは明らかに異なる。
それでも日本は90分間で大きく崩される場面をほとんど作らせなかった。
特に瀬古、板倉、伊藤の3バックと佐野海舟の強度は評価できる。
収穫② 佐野海舟が強豪相手でも存在感
ボール奪取能力が日本の大きな武器に
この試合で特に光ったのが佐野海舟。
前半27分にはアングロに強烈なタックルを仕掛けてボールを奪取。
エクアドルの選手が身体をぶつけてきても簡単には負けず、日本の中盤で何度も攻撃を止めた。
ワールドカップクラスの相手になれば、日本が90分間ボールを保持できるとは限らない。
「ボールを奪って攻撃へ移る」という能力が重要になるだけに、佐野の存在価値はさらに高まっている。
収穫③ PK戦という貴重な実戦経験
PK戦はトレーニングだけでは完全には再現できない。
満員のスタジアム。
代表戦。
失敗すれば敗退。
この緊張感の中で5人全員が決め、GKが一本止めた。
森保監督も「今後のシミュレーションの機会を得られた」と今回の経験を評価している。
アジアカップ2027を約3カ月後に控える日本にとって、大きな経験となった。
日本代表の課題① 強豪相手に決定機を増やせない
90分で枠内シュート1本
最大の課題は攻撃だ。
90分間でシュート7本。
枠内シュートはわずか1本だった。
エクアドルの守備が強かったことを考慮しても、世界の上位を目指すなら決定機をさらに増やしたい。
久保、堂安、鈴木唯人が細かくポジションを変えながらボールを受けても、最後は相手DFの前で止められる場面が多かった。
課題② 「中央を崩す」ためのもう一手
パス交換だけでは守備ブロックが動かなかった
日本は技術の高い選手を中央へ集め、コンビネーションによる突破を狙った。
しかしエクアドルのように身体能力の高い選手がコンパクトに中央を守ると、数本のパスだけではスペースが生まれない。
必要なのは、
- 外から縦へ突破する
- DFラインの背後へランニングする
- サイドチェンジで守備を動かす
- ミドルシュートを増やす
- クロスに複数人が入る
といった「中央以外の選択肢」を同時に使うことだ。
伊東投入後に攻撃へ変化が生まれたことは、そのヒントになる。
課題③ 上田綺世に続くセンターフォワード
谷村海那に求められる「収める力」
今回A代表初先発だった谷村は、一度大きなチャンスを作った。
一方でエクアドルのセンターバックから強い圧力を受けると、ポストプレーでボールを保持できない場面もあった。
日本の1トップを務める場合、
「ゴールを取る」
だけではなく、
「縦パスを収める」
「味方が上がる時間を作る」
「相手CBを背負ってプレーする」
ことが求められる。
上田との差を縮めるには、この部分の成長が重要になる。
課題④ 攻撃的な選手を増やした際のバランス
終盤はかなり攻撃的な布陣に
日本は試合終盤、田中碧や佐野海舟を下げ、前田、相馬、塩貝らアタッカーを投入した。
勝ち切る姿勢はポジティブだ。
一方で、中盤の守備者を減らせば、ボールを失った瞬間のカウンターリスクは当然高くなる。
今回は失点せずPK戦まで持ち込めたものの、世界トップクラスの相手では一度のボールロストが致命傷になる。
「点を取りにいく」と「カウンターを受けない」を両立する配置が今後も重要になる。
森保監督「ワールドカップ基準で試合ができた」
課題が出たこと自体も収穫
森保一監督は試合後、エクアドルについて「本当にいい相手」と評価。
高い強度の中でプレーできたことについて、ワールドカップ基準で試合ができたことがチームと選手の成長につながるという趣旨のコメントを残した。
完勝ではない。
むしろ攻撃では苦しんだ。
しかし、本番に近い強度の相手に対して「何が通用して、何が通用しないのか」を確認できたことに、この試合の価値がある。
次戦はニュージーランドとのキリンカップ決勝
10月5日、国立競技場でタイトルを懸ける
日本は10月5日、国立競技場でニュージーランド代表とキリンカップ決勝を戦う。
エクアドル戦とは相手の特徴も試合展開も変わる可能性が高い。
ニュージーランドが自陣でブロックを組む展開になれば、日本にはエクアドル戦以上に「自分たちから崩す」能力が求められる。
エクアドル戦で課題となった、
- ペナルティーエリア内への侵入
- センターフォワードとの連係
- サイドからの突破
- シュート数
- 守備ブロック攻略
を改善できるかに注目したい。
まとめ|「0-0」の中に今後につながる材料が詰まった90分
2026年10月1日のエクアドル戦は、日本がPK戦5-4で勝利した。
90分間では0-0。
攻撃面では7本のシュート、枠内1本にとどまり、エクアドルの強固な守備を最後まで崩せなかった。
一方で守備では南米の強豪を無失点に抑えた。
佐野海舟は世界基準の球際でも存在感を発揮。
瀬古、板倉、伊藤の3バックも安定し、鈴木彩艶は最後にPKを止めて勝利を引き寄せた。
そして何より、実戦のPK戦を経験して勝利できたことは今後の国際大会に向けて大きい。
森保監督が語った通り、この試合はまさに「ワールドカップ基準」を体感できる90分だった。
日本が次の段階へ進むためには、守備の安定を維持しながら、こうした強豪を90分以内で仕留める攻撃力を身につける必要がある。
エクアドル戦は「勝ったからすべて良かった」試合ではない。
だからこそ価値がある。
世界を相手にどこまでできるのか。
そして、あと何が足りないのか。
アジアカップ2027、さらにその先へ向けて、日本代表の現在地を確認できた重要な一戦となった。
免責事項
本記事は、日本サッカー協会(JFA)の公式記録、キリンカップサッカー2026大会情報、試合速報および国内外の報道機関が2026年10月2日時点で公開している情報をもとに作成しています。
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