026年9月30日、第20回アジア競技大会(愛知・名古屋2026)男子サッカー準決勝で、U-21日本代表はウズベキスタン代表と対戦した。
開始9分に今大会初失点を喫し、長時間ビハインドを背負う苦しい展開。それでも88分、石橋瀬凪が小杉啓太のクロスをヘディングで叩き込み同点。延長戦でも決着せず、10人目までもつれたPK戦を9-8で制した。
日本は3大会連続となるアジア大会決勝進出。10月3日の決勝では韓国代表と金メダルを懸けて対戦する。
なお、アジア競技大会男子サッカーはU-23カテゴリーで行われているが、今大会の日本とウズベキスタンはともに2028年ロサンゼルス五輪を見据えた21歳以下の選手を中心に編成されている。
U-21日本代表vsウズベキスタン代表 試合結果
試合概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会 | 第20回アジア競技大会 男子サッカー準決勝 |
| 開催日 | 2026年9月30日 |
| キックオフ | 19:30 |
| 会場 | 長居陸上競技場 |
| 結果 | ウズベキスタン 1-1 日本 |
| 前半 | 1-0 |
| 後半 | 0-1 |
| 延長戦 | 0-0 |
| PK戦 | ウズベキスタン 8-9 日本 |
| 日本得点者 | 石橋瀬凪(88分) |
AFCも、日本が延長戦を終えて1-1からPK戦9-8でウズベキスタンを下したことを正式に伝えている。
U-21日本代表のスターティングメンバー
準々決勝から先発11人を総入れ替え
大岩剛監督は、1-0で勝利した準々決勝・朝鮮民主主義人民共和国戦からスターティングメンバー11人全員を変更。4-3-3でウズベキスタン戦に臨んだ。
| POS | 選手 |
|---|---|
| GK | ピサノ・アレックス幸冬堀尾 |
| DF | 小杉啓太 |
| DF | 土屋櫂大 |
| DF | 永野修都 |
| DF | 森壮一朗 |
| MF | 保田堅心 |
| MF | 石井久継 |
| MF | 石渡ネルソン |
| FW | 石橋瀬凪 |
| FW | 道脇豊 |
| FW | 古谷柊介 |
アンカーに保田、インサイドハーフに石井と今大会初先発の石渡を配置。前線は石橋、道脇、古谷という構成だった。
試合展開|開始9分に今大会初失点
小杉のアクシデント直後にカウンターを受ける
日本は立ち上がりからウズベキスタンの勢いを受ける。
6分にはバフロモフにシュートを許したものの、GKピサノが対応。
しかし9分、日本陣内で小杉が接触の影響で倒れた状態からウズベキスタンに攻撃を続けられ、左サイドからハミドフが折り返す。最後はサルドルベク・バフロモフに決められ、0-1となった。
日本にとっては今大会5試合目にして初失点だった。
前半はボールを持っても攻撃が前進しない
失点後、日本はボールを保持するものの、ウズベキスタンの守備ブロックを崩せない。
前半終了時のボール保持率は日本59%だったが、シュートはウズベキスタン5本に対して日本はわずか1本。枠内シュートは0本だった。
数字が示す通り、問題は「ボールを持てていないこと」ではなかった。
最終ラインや中盤でボールは動かせても、相手守備ラインの背後やペナルティーエリアへ侵入する回数が不足。横へのパスが増え、ウズベキスタンに守備を整える時間を与えてしまった。
大岩監督も試合後、前半はやや受け身となり、相手に勢いを与えてしまったことを反省点として挙げている。
後半から日本が一気に変化
横山夢樹投入で左サイドが活性化
大岩監督はハーフタイムに最初の修正を行う。
古谷柊介を下げ、横山夢樹を投入。横山を左ウイング、石橋を右ウイングへ移した。
この変更が攻撃の流れを大きく変える。
横山は左サイドで積極的にドリブルを仕掛け、後半31分の時点でドリブル成功数5回を記録。15分にはカットインから枠内シュートを放つなど、1対1で相手守備を動かせる存在となった。
前半は横方向のパスが多かった日本だが、横山の投入によって「ボールを運んで相手を一人外す」プレーが生まれ始めた。
後半17分の3枚替えでさらに攻撃的に
大関・嶋本・ンワディケを一気に投入
後半17分、大岩監督は3枚を同時に変更した。
| OUT | IN |
|---|---|
| 保田堅心 | 大関友翔 |
| 石井久継 | 嶋本悠大 |
| 道脇豊 | ンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄 |
石渡がアンカーへ移動し、大関と嶋本がインサイドハーフへ。ンワディケが最前線に入った。
この交代以降、日本の攻撃テンポはさらに上がる。
大関はペナルティーエリア付近でボールに関わり、嶋本は積極的にゴール前へ侵入。ンワディケは身体の強さを生かして中央で起点となった。
後半31分には森壮一朗に代えて梅木怜も投入。右サイドからクロスを供給できる選手を加え、日本はより攻撃的な布陣へ移行した。
88分、石橋瀬凪が値千金の同点ゴール
小杉のクロスにファーサイドから飛び込む
攻め続けても得点できない時間が続いた日本。
しかし88分、ついにゴールをこじ開ける。
左サイドでボールを持った小杉が左足でクロス。ファーサイドへ走り込んだ石橋瀬凪が高い打点のヘディングで合わせ、ゴール左上へ流し込んだ。
日本が土壇場で1-1に追いついた。
このゴールで注目したいのは、得点した石橋だけではない。
序盤に足を痛めながらもプレーを続けた小杉が、試合終盤まで左サイドを上下動し、決定的なクロスを供給した。
苦しい状況でも試合から消えず、最終的に結果へつなげた2人の粘りが日本を救った。
前半1本だったシュートが後半だけで14本
修正力を示した後半
90分終了時点のスタッツは、
| スタッツ | ウズベキスタン | 日本 |
|---|---|---|
| ボール保持率 | 36% | 64% |
| シュート | 7 | 15 |
| 枠内シュート | 4 | 5 |
だった。
前半終了時、日本はシュートわずか1本。
つまり後半だけで一気にシュート数を増やしたことになる。
「悪い前半を引きずらず、試合の中で修正できた」という点は、このロス五輪世代の大きな収穫と言える。
大岩監督も、後半は選手同士でボールとゲームをコントロールできるようになった点を評価している。
延長戦では日本が逆転ゴールに迫る
大関友翔のシュートはポスト直撃
延長戦に入っても、日本が攻勢を続けた。
延長前半6分には大関がペナルティーエリア右からシュート。しかしボールはポストを直撃する。
さらに梅木のクロスから嶋本がシュートを放つなど、日本は逆転ゴールへ迫った。
延長前半終了時点では日本がシュート22本、ウズベキスタンが7本。延長後半まで含めた最終的なシュート数は日本24本、ウズベキスタン11本だった。
一方、日本の枠内シュートは6本。
後半以降に圧倒的に攻撃回数を増やしたものの、決定力という部分では課題も残った。
PK戦は10人目までもつれる歴史的激闘
日本は9-8で勝利
延長120分でもスコアは1-1。
勝負はPK戦へ突入した。
| 順番 | 日本 | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 中島洋太朗 | ○ |
| 2 | 大関友翔 | ○ |
| 3 | 石渡ネルソン | ○ |
| 4 | ンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄 | × |
| 5 | 土屋櫂大 | ○ |
| 6 | 嶋本悠大 | ○ |
| 7 | 横山夢樹 | ○ |
| 8 | 梅木怜 | ○ |
| 9 | 永野修都 | ○ |
| 10 | 小杉啓太 | ○ |
日本4人目のンワディケが外した一方、ウズベキスタンも2人目が失敗。
その後は両チームが決め続けたが、日本10人目の小杉が成功。直後のウズベキスタン10人目フシュヴァクトフのシュートがクロスバーを叩き、日本の勝利が決まった。
U-21日本代表・選手採点
石橋瀬凪をMOMに選出
※10点満点。本記事独自の評価であり、大会公式の採点ではありません。
| 選手 | 採点 | 評価 |
|---|---|---|
| ピサノ・アレックス幸冬堀尾 | 6.5 | 失点後も安定。追加点を与えず120分を戦い抜いた |
| 小杉啓太 | 7.5 | 序盤のアクシデントを乗り越え、88分に同点弾をアシスト。PK10人目も成功 |
| 土屋櫂大 | 6.5 | 最終ラインから冷静にボールを動かし、PKも成功 |
| 永野修都 | 6.5 | ビルドアップを支え、長時間のボール保持に貢献 |
| 森壮一朗 | 5.5 | 前半は攻撃面で大きな違いを作れず、後半途中で交代 |
| 保田堅心 | 5.5 | アンカーとしてプレーしたが、前半は縦方向への展開が不足 |
| 石井久継 | 5.5 | 技術を見せる場面はあったものの、決定機創出までは至らず |
| 石渡ネルソン | 6.5 | 途中からアンカーへ移り、後半のボール循環を安定させた |
| 石橋瀬凪 | 8.0 | 88分の劇的同点弾。右へ移ってから攻撃への関与も増加 |
| 道脇豊 | 5.5 | 後半にヘディングで枠内シュート。中央で身体を張った |
| 古谷柊介 | 5.0 | 前半のみ。攻撃が停滞した中で存在感を出し切れず |
| 横山夢樹 | 7.5 | 後半の流れを変えた最大の要因の一人。ドリブルで守備網を破壊 |
| 大関友翔 | 7.0 | 攻撃のテンポを引き上げ、延長ではポスト直撃の決定機 |
| 嶋本悠大 | 6.5 | ゴール前へ積極的に入り込み、複数のシュート機会を作った |
| ンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄 | 6.0 | 中央で起点を作った。PK失敗はあったものの前線の圧力を高めた |
| 梅木怜 | 6.5 | 右サイドから積極的にクロス。PKでも冷静に成功 |
| 中島洋太朗 | 6.5 | 延長途中から出場し、PK戦の1人目を成功させた |
なぜ日本は苦しい試合を勝ち切れたのか
要因1 ベンチから投入された選手が流れを変えた
この試合最大のポイントは選手交代だった。
横山、大関、嶋本、ンワディケ、梅木。
途中出場した選手が、それぞれ違った特徴を持ち込み、日本の攻撃を活性化させた。
特に横山のドリブルは、組織的に守るウズベキスタンに対して非常に効果的だった。
パスだけでは動かなかった相手守備を、個人の突破によって動かしたことが後半の攻勢につながった。
要因2 焦ってロングボール一辺倒にならなかった
残り時間が少なくなっても、日本は単純なロングボールだけにはならなかった。
サイドで相手を動かしながら、ペナルティーエリアへ侵入する形を継続。
その結果として生まれたのが、小杉のクロスから石橋が決めた88分の同点弾だった。
要因3 PK戦でも精神的に崩れなかった
日本はPK戦で4人目のンワディケが失敗。
通常なら一気に流れを失ってもおかしくない。
しかし5人目以降は土屋、嶋本、横山、梅木、永野、小杉が全員成功した。
10人目まで続いた極度のプレッシャーの中でキックを決め続けた経験は、今後の五輪予選や国際大会にもつながる大きな財産になる。
今後のU-21日本代表の課題① 試合への入り方
強度の高い相手に主導権を渡さない
最も明確な課題は前半だ。
日本は59%のボール保持率を記録しながら、シュート1本、枠内0本。
一方でウズベキスタンには5本のシュートを許した。
ボールを持っていることと、試合をコントロールしていることは同じではない。
ロサンゼルス五輪の予選や本大会で対戦する強豪国は、今回のウズベキスタン以上の強度で試合開始からプレスを掛けてくる可能性がある。
開始15~20分を受け身で過ごさないこと。
これは今後の最重要課題になる。
今後の課題② 相手プレスを外す方法を増やしたい
最終ラインから「一つ飛ばす」攻撃が必要
前半はセンターバックからアンカー、アンカーから再び最終ラインという循環が多く、相手にとって守備の狙いを定めやすかった。
改善するためには、
センターバックから前線への縦パス、サイドバックへの大きな展開、インサイドハーフが相手中盤の背後で受ける動きなどを、より早い段階から組み合わせたい。
横山のドリブル投入後に攻撃が変化したことを考えれば、「個人で一人を外せる選手」をどこに配置するかも重要になる。
今後の課題③ 24本打って1得点――決定力の改善
シュート数だけでは評価できない
120分間の日本のシュートは24本。
しかし枠内は6本で、得点は石橋の1点だけだった。
攻撃回数を増やせたこと自体はポジティブだが、今後は「どこからシュートを打つか」を改善する必要がある。
相手DFが正面にいる状態から無理に打つのではなく、ゴール前でもう一本パスを入れる、マイナス方向へ折り返す、ニアとファーへ複数人が侵入するなど、より得点期待の高い形を増やしたい。
今後の課題④ 攻撃時のリスク管理
ボールを握るほどカウンターへの準備が重要
ウズベキスタンの先制点も、日本が相手陣でボールを失った後の素早い攻撃から生まれた。
後半は日本が64%までボール保持率を高めた。
こうした試合では両サイドバックも高い位置を取るため、ボールロスト時にセンターバックが広大なスペースを守らなければならなくなる。
攻撃人数を増やしながら、誰がカウンターを止めるのか。
「攻めながら守る」配置の整理は、世界を相手にするとさらに重要になる。
今後の課題⑤ 90分間を通した再現性
「後半から強い」では世界大会で間に合わない
今回の試合では、大岩監督の交代策が機能し、日本は後半から完全に流れを変えた。
これは大きな強みだ。
一方で、毎試合「前半は苦しんでも後半に修正すればいい」と考えることはできない。
ノックアウトステージでは、前半だけで2点差をつけられればゲームプランそのものが崩れる可能性がある。
後半に見せたテンポ、前向きなボール運び、サイドからの仕掛けを、試合開始から出せるチームへ成長できるか。
ロス五輪までの重要なテーマになるだろう。
決勝は韓国戦
10月3日、16年ぶりの金メダルを懸けた日韓戦
日本は決勝で韓国と対戦する。
韓国は準決勝で中国に先制を許しながら2-1で逆転勝利。日本と韓国がアジア大会男子サッカー決勝で対戦するのは3大会連続となる。
決勝は10月3日19時30分、豊田スタジアムで開催予定。
日本にとっては2010年大会以来、16年ぶりとなる男子サッカー金メダルを目指す一戦だ。
ウズベキスタン戦の前半のように受け身になれば、韓国の強度に押し込まれる可能性がある。
一方、後半以降に見せた攻撃テンポと粘り強さを最初から発揮できれば、十分に勝負できる。
まとめ|「勝ったこと」と同じくらい「苦戦したこと」に価値がある一戦
U-21日本代表にとって、ウズベキスタン戦は今大会で最も苦しい試合となった。
開始9分に大会初失点。
前半はシュート1本。
88分まで0-1。
それでも石橋瀬凪のヘディングで追いつき、延長120分を戦い抜き、10人目まで続いたPK戦を制した。
大量得点で勝つ試合だけでは、若い代表チームは完成しない。
相手に主導権を握られる。
先制される。
攻めても入らない。
PKを失敗する。
そうした厳しい状況を一つずつ乗り越えて勝利した経験は、2028年ロサンゼルス五輪を目指す世代にとって極めて大きい。
同時に、試合への入り方、プレス回避、決定力、攻撃時のリスク管理など改善すべきポイントも明確になった。
大岩剛監督も、この試合を選手たちの勝ち切る力として評価しながら、次戦へ生かすべき課題があることを認めている。
次は韓国との決勝。
ウズベキスタン戦で見せた**「苦しい試合でも最後まで勝利を諦めない力」**を、今度は金メダルという結果につなげられるか。
ロサンゼルス五輪を目指すU-21日本代表にとって、現在地を確認する最高の一戦になる。
免責事項
本記事は、日本サッカー協会(JFA)、AFC(アジアサッカー連盟)、試合速報および国内外の報道機関が公開している2026年10月1日時点の情報をもとに作成しています。
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