イングランド代表とアルゼンチン代表は、サッカー界でも特に因縁深いカードの一つです。両国はこれまで国際Aマッチで14回対戦しており、通算成績はイングランドの6勝、引き分け5回、アルゼンチンの3勝。全体ではイングランドが勝ち越していますが、ワールドカップ本大会では1966年、1986年、1998年、2002年など、世界的に語り継がれる試合が何度も行われてきました。2026年ワールドカップ準決勝で両国が対戦することで、ワールドカップ本大会では2002年以来、24年ぶりの再戦となります。
イングランド代表vsアルゼンチン代表 通算対戦成績
| 対戦数 | イングランド勝利 | 引き分け | アルゼンチン勝利 | イングランド得点 | アルゼンチン得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 14 | 6 | 5 | 3 | 21 | 15 |
通算成績ではイングランドが勝ち越しています。ただし、1998年ワールドカップは延長戦終了時点では2-2の引き分けで、PK戦によりアルゼンチンが勝ち上がった試合です。そのため、資料によっては「引き分け」と扱う場合もありますが、勝ち上がりを含めた対戦結果としてはアルゼンチン勝利に数えられることが多くなっています。
ワールドカップ本大会での対戦
| 年 | 大会 | ラウンド | 結果 | 勝者・勝ち上がり |
|---|---|---|---|---|
| 1962年 | チリ大会 | グループステージ | イングランド 3-1 アルゼンチン | イングランド |
| 1966年 | イングランド大会 | 準々決勝 | イングランド 1-0 アルゼンチン | イングランド |
| 1986年 | メキシコ大会 | 準々決勝 | アルゼンチン 2-1 イングランド | アルゼンチン |
| 1998年 | フランス大会 | 決勝トーナメント1回戦 | アルゼンチン 2-2 イングランド/PK4-3 | アルゼンチン |
| 2002年 | 日韓大会 | グループステージ | アルゼンチン 0-1 イングランド | イングランド |
ワールドカップ本大会では、2026年準決勝前の時点で5回対戦しています。90分または延長戦までの試合結果で見ると、イングランドが3勝、アルゼンチンが1勝、引き分け1回です。ただし1998年大会はPK戦でアルゼンチンが勝ち上がっているため、トーナメントの勝敗としてはアルゼンチンの勝利として記憶されています。
1966年大会では、開催国イングランドが準々決勝でアルゼンチンを1-0で下し、そのまま初優勝へ進みました。1986年大会では、ディエゴ・マラドーナが「神の手」と「5人抜き」として語り継がれる2ゴールを決め、アルゼンチンが2-1で勝利。そのまま大会優勝を果たしています。1998年大会では、マイケル・オーウェンの鮮烈なゴール、デイヴィッド・ベッカムの退場、PK戦でのアルゼンチン勝利と、こちらも非常に印象的な一戦となりました。2002年大会では、ベッカムのPKが決勝点となり、イングランドが1-0で勝利しています。
大会別対戦成績
| 大会区分 | 試合数 | イングランド勝利 | 引き分け | アルゼンチン勝利 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ワールドカップ本大会 | 5 | 3 | 1 | 1 | 1998年はPK戦でアルゼンチンが勝ち上がり |
| 親善試合 | 7 | 3 | 4 | 0 | 親善試合ではイングランドが無敗 |
| その他国際大会 | 2 | 0 | 1 | 1 | 1964年はアルゼンチン勝利、1991年は引き分け |
ワールドカップではイングランドが勝ち越していますが、アルゼンチンが勝利した1986年の試合、PK戦で勝ち上がった1998年の試合は、サッカー史に残る強烈なインパクトを残しました。一方、親善試合ではイングランドが3勝4分と負けておらず、全体の通算成績でイングランドが上回る要因になっています。
全対戦履歴
| 年月日 | 大会 | 結果 | 勝者・勝ち上がり |
|---|---|---|---|
| 1951年5月9日 | 親善試合 | イングランド 2-1 アルゼンチン | イングランド |
| 1953年5月17日 | 親善試合 | アルゼンチン 0-0 イングランド | 引き分け |
| 1962年6月2日 | 1962年W杯グループステージ | イングランド 3-1 アルゼンチン | イングランド |
| 1964年6月6日 | タッサ・ダス・ナソンイス | アルゼンチン 1-0 イングランド | アルゼンチン |
| 1966年7月23日 | 1966年W杯準々決勝 | イングランド 1-0 アルゼンチン | イングランド |
| 1974年5月22日 | 親善試合 | イングランド 2-2 アルゼンチン | 引き分け |
| 1977年6月12日 | 親善試合 | アルゼンチン 1-1 イングランド | 引き分け |
| 1980年5月13日 | 親善試合 | イングランド 3-1 アルゼンチン | イングランド |
| 1986年6月22日 | 1986年W杯準々決勝 | アルゼンチン 2-1 イングランド | アルゼンチン |
| 1991年5月25日 | イングランド・チャレンジカップ | イングランド 2-2 アルゼンチン | 引き分け |
| 1998年6月30日 | 1998年W杯決勝T1回戦 | アルゼンチン 2-2 イングランド/PK4-3 | アルゼンチン |
| 2000年2月23日 | 親善試合 | イングランド 0-0 アルゼンチン | 引き分け |
| 2002年6月7日 | 2002年W杯グループステージ | アルゼンチン 0-1 イングランド | イングランド |
| 2005年11月12日 | 親善試合 | アルゼンチン 2-3 イングランド | イングランド |
1966年:イングランドが準々決勝で勝利し優勝へ
1966年ワールドカップでは、開催国イングランドとアルゼンチンが準々決勝で対戦しました。試合はジェフ・ハーストのゴールでイングランドが1-0で勝利。アルゼンチン側には退場者も出た荒れた試合となり、この一戦は両国のライバル関係を強く印象づけるきっかけになりました。
イングランドはこの勝利で準決勝へ進み、最終的に自国開催のワールドカップで初優勝を達成します。アルゼンチンにとっては、判定や退場を巡って悔しさの残る試合となり、以後の対戦にも特別な感情を残すカードになりました。
1986年:マラドーナが伝説を作った一戦
1986年メキシコ大会の準々決勝は、アルゼンチン対イングランドの歴史を語る上で欠かせない試合です。ディエゴ・マラドーナが後半に2ゴールを決め、アルゼンチンが2-1で勝利しました。
1点目は「神の手」と呼ばれるハンド疑惑のゴール、2点目は自陣から複数のイングランド選手をかわして決めた「5人抜き」のゴールとして、サッカー史に残る場面になりました。イングランドはゲーリー・リネカーの得点で1点を返しましたが、追いつくことはできませんでした。アルゼンチンはこの大会で優勝し、マラドーナは大会の象徴的存在となりました。
1998年:オーウェンの衝撃弾、ベッカム退場、PK決着
1998年フランス大会では、決勝トーナメント1回戦で両国が対戦しました。試合は序盤から激しい展開となり、アルゼンチンがガブリエル・バティストゥータのPKで先制。イングランドはアラン・シアラーのPKで追いつき、さらにマイケル・オーウェンがスピードを生かした鮮烈なゴールを決めました。
その後、アルゼンチンが同点に追いつき、後半にはデイヴィッド・ベッカムがディエゴ・シメオネへの行為で退場。イングランドは10人で延長戦まで耐えましたが、2-2のままPK戦へ突入しました。PK戦ではアルゼンチンが4-3で勝利し、準々決勝へ進出しています。
この試合は、オーウェンの才能を世界に知らしめた一方で、ベッカム退場がイングランド国内で大きな議論を呼んだ試合でもありました。
2002年:ベッカムのPKでイングランドがリベンジ
2002年日韓大会では、グループステージでイングランドとアルゼンチンが再び対戦しました。1998年大会で退場したベッカムにとっては、特別な意味を持つ試合でした。
前半、マイケル・オーウェンが倒されて得たPKをベッカムが決め、イングランドが1-0で先制。その後はアルゼンチンが反撃しましたが、イングランドが守り切って勝利しました。この勝利は、1998年の敗戦とベッカム退場の記憶を払拭する一戦として、イングランド側に強く記憶されています。
2005年以降、A代表では長く対戦なし
2005年11月の親善試合では、アルゼンチンが2度リードしながら、イングランドが終盤にマイケル・オーウェンの2ゴールで逆転し、3-2で勝利しました。この試合を最後に、2026年ワールドカップ準決勝まで、両国は国際Aマッチで対戦していません。
そのため、2026年大会でのイングランド対アルゼンチンは、約21年ぶりのA代表対戦であり、ワールドカップ本大会では2002年以来24年ぶりの再戦となります。
イングランドにとってのアルゼンチン戦
イングランドにとってアルゼンチン戦は、ワールドカップ史の重要な記憶と結びついたカードです。1966年の勝利は自国開催優勝への大きな一歩であり、2002年の勝利は1998年の雪辱を果たした試合でした。
一方で、1986年の敗戦と1998年のPK戦敗退は、イングランドにとって非常に悔しい記憶として残っています。特に1986年のマラドーナの2ゴール、1998年のベッカム退場は、サッカー史だけでなくイングランド代表史においても大きな出来事です。
アルゼンチンにとってのイングランド戦
アルゼンチンにとっても、イングランド戦は特別な意味を持ちます。1986年の勝利は、マラドーナの伝説を決定づけた試合であり、その後の優勝へつながる重要な一戦でした。1998年のPK戦勝利も、激しい試合を勝ち切ったトーナメントの名勝負として記憶されています。
一方で、1966年、2002年の敗戦は悔しさの残る試合です。特に2002年は、優勝候補の一角と見られていたアルゼンチンがグループステージで敗退する流れにつながった試合でもありました。
2026年準決勝への見どころ
2026年ワールドカップ準決勝で、イングランドとアルゼンチンが再び激突します。イングランドはベリンガム、ケイン、サカらを中心に、接戦を勝ち切る強さを見せてここまで勝ち上がってきました。アルゼンチンはメッシを中心に、苦しい試合を何度も乗り越えながらベスト4へ進出しています。
過去の対戦を見ると、イングランドはワールドカップで3勝、アルゼンチンは1986年の勝利と1998年のPK戦勝利があります。単純な通算成績ではイングランドが上回りますが、アルゼンチンは大舞台で強烈な印象を残してきました。2026年の準決勝も、単なるベスト4の一戦ではなく、両国の歴史を背負った大一番になります。
まとめ
イングランド代表とアルゼンチン代表は、これまで国際Aマッチで14回対戦し、イングランド6勝、引き分け5回、アルゼンチン3勝という成績です。ワールドカップ本大会では5回対戦し、イングランドが1962年、1966年、2002年に勝利。アルゼンチンは1986年に勝利し、1998年には2-2からのPK戦で勝ち上がりました。
1966年、1986年、1998年、2002年と、両国のワールドカップでの対戦はどれも強い物語を持っています。2026年ワールドカップ準決勝は、両国にとってワールドカップ本大会6度目の対戦。過去の因縁、名勝負の記憶、そして決勝進出をかけた重みが重なる、今大会屈指の注目カードとなります。





